ただのゲーマー高校生のハイスクールD×D   作:unat

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第22話:僕に飯を食えというのか!!

「起きたか。目覚めの調子は、どうかね?」

 目が覚めると、なんかメガテンⅢに出てくる閣下みたいな外見をした初老の男性が話しかけてきた。

 なんだなんだ、俺これから悪魔の体にされちゃうの? トウキョウ消えるの? あ、でもここトウキョウじゃねーや、なら大丈夫か……ってそうじゃない。此処は何処なんだ此処は。

 

「えっと……此処は……?」

「私の家だよ。そして此処は客室だ。君は私の下僕に運ばれてきたのだよ。どうやら、私の下僕の一人が君に迷惑をかけてしまったようで、すまないな」

「あー……」

 そうか、何となく思い出してきたぞ。俺はあの後疲労と空腹で倒れたのか。それで、この人にお世話に……か。あともう一つ、重要なことを思い出した。あのはぐれ悪魔はどうなった?

 

「あー……一つ聞きたいことがあるんですけど」

 そう俺が言うと初老のおじーさんはクルリ、と振り返る。な、何だ? もしかして一戦おっぱじめようというのか?

「まぁ、積もる話もあるだろう。付いて来たまえ」

 そう言うとおじーさんは部屋を出ていった。いやいや、ベットから出るまで待ってくれませんかね?

 

 

 部屋を出ると、中々に品のいい雰囲気が漂う廊下に出てきた。全体的に照明が落ち着いた感じの明るさで、心が安らぐ。

「あの……」

 俺が話しかけるとおじーさんはこちらを見ずに歩きながら返してきた。

「何、もう少しすれば食堂だ。そこでゆっくりと話をしよう」

「はぁ……」

 食事つっても……俺、過去二回も食い物や飲み物に毒盛られた事あるからなぁ……なんか、あんまり嬉しくない。まぁ二回目は俺が食う前にカラワーナさんとかドーナシークさんが引っかかってギリギリ被害に遭わなかったけどさ。

 

 そんな鬱々とした思い出を振り返っていると食堂とやらに到着。どうやら先客が居……っ!?

 

「オ、オニィ……テメェ何堂々と食ってやがんだ?」

  俺が食堂に到着すると、バカスカバカスカ飯を食っているオニ。いやいや、何でお前俺を差し置いて一人でバカスカ……ってあれ? 例のはぐれ悪魔も居るな。

 

「オゥ、アニキ! アニキも食ったらどうっスか?中々に美味いモンですよ!」

 いやいやいや、オニ。お前、兄貴分への口のききかた講座の足しに、お世話になっている人への接し方講座も開催して欲しいのか? 俺もあまり他人にどうこう言える程の品の良さではないけど……流石にお前、失礼すぎるだろ。

 

「まぁ、掛けてくれ給え」

「あぁ……はい」

 席に着いて料理を見ると、滅茶苦茶美味そうだ。やべぇ、今まで腹が減ってきたからそろそろ我慢するのにキツくなってきたな……。

「まぁ、遠慮なく食べると

「戴きます!」

 とりあえず目についたパンを頬張ると、口いっぱいにふんわりとした食感と良い匂いがして……

 

「うまっ!! 何これ、うまっ!!」

 思わず叫んでしまうぐらいに感動的に美味い。空腹というステータスであることを差し引いても美味い。なるほど、オニもバカスカ食べるわけだ。

「喜んでもらって何よりだ。それでだな……」

「やべぇ、美味い、美味いぞこのスープ!」

 スープはスープで、程良い塩かげんによって、味に深みが出ている。何度飲んでも飽きない工夫が凝らされていてパンにも合う、最高だ。

 

「アニキ、肉も美味いぜ! あとサラダも中々!」

 オニに勧められたので、更に肉――――ローストビーフを口に入れる。

 そしてビーフを噛むと、ミディアムレアに焼かれたビーフの脂とソースが口の中で絡んで―――

 

「――うっ、美味い! 何だこの美味さ……っ! 犯罪的だっ……! これは徹底的に食い尽くすぞオニ!」

「オウよ、元よりそのつもりだ、肉ウメェ! サラダと一緒に食うと二度ウメェ!」

「なんのなんの、俺はパンに挟んでさらにスープを浸す!」

 このパンとスープと肉とサラダ、黄金の4つが合わさって至高に思えるような食べ物を食すと、絵の具でいう、綺麗な色を全部入れたら汚い色――――なんてこともなく、最高だ。

 

「ウォ……いや、オレだってまだ腹2分目よ!」

 俺等がそんな風にハイテンションになりつつ飯を食っていると、例のはぐれ悪魔が呆れた顔で話しかけてきた。そういえば何か体があの姿じゃなくて普通の人間の姿に……だが今はそんなことより飯だ飯。体が栄養を求めている!

 

「全く、もう少しは落ち着いて」

「何ですと!? こんな飯を食っておきながら落ち着けだと!? いいだろう。喰らえ、パンとスープと肉の黄金比率を実現させた幻のコンボ!!」

 そう言うと俺ははぐれ悪魔に例の極ウマコンボを口に突っ込ませる。

「ンググッ!? ちょ、ちょっと何を……やだ美味しい」

「だろー!? レッツイート! ウィーニードフゥゥゥッッド! 」

 そう言いながら、更に俺とオニは食べるテンポを底上げしていく。それも、今なら大食い選手権に出場できそうな勢いだ。

「もういいかね?水を差すようで悪いが……」

 

「オニ、もう片付けますよ! コックさんが運ぶスピードより早くこの食卓を空にするのだぁ!」

「オウ、行くぜェ!!」

「ヒャッハー! 飯ダァーーーッ!」

「わはははははぁぁぁぁ! 今日も元気だ飯が美味いぜェ!」

 そう言いつつも俺はオニと一緒に机の上にある目についた料理から片っ端に喰らい尽くしていく。後机に残っている料理は半分。たった半分だ……あと5分もかからんね。

 

「まずは話を……」

「あーくそ、ここまで食ってきてチキンだと? このローストチキンを焼いたのは誰だーっ!……うん、うまい。」

 このローストチキンは、さっきのローストビーフとは違い、さっきのビーフはしっとりとしていたが、このチキンは皮がパリッとしていて美味い。

「アニキィ、やっぱチキンはいいっすねェ!」

 

「……おい」

 おじーさんが華麗に指パッチンをすると、コックが何かを持ってきた。どうやらトマトスープなのか、真っ赤なスープにブロッコリーやエビなどの具がちらほらと見える。

「さぁ、当家の絶品スープだ。じっくりと味わうがいい。じっくりとな……」

「おー、丁度スープのおかわり欲しいところだったんだよ!」

「いやぁ、丁度酸味が欲しいとこだったんで助かったぜ!」

 そう言うと俺とオニはスプーンを持たず、皿を両手で取り、礼儀なんざクソ食らえと言わんばかりにスープを一気に飲み込んだ。

 

 ――――そう、今思えば、こんなことするなんて。いつもの俺らしくもなかったし、本当にどうかしていたと思う。

 

「「口当たりがよくサラサラとしていて、それでいて酸っぱすぎず、僅かな塩あガパァッ!?」」

 気がつけば口の中全体の感覚がない。いや、ないというよりは痛すぎたせいか一瞬の激痛の後から何も来なくなった。

 

 しかし痛かったもんは痛い。俺とオニは床にゴロゴロと転がっては、たまに痙攣するのを繰り返すことを繰り返すこと十分。やっとまともに話せるようになってきた。

「あっ……ああぁ、あっ、ががががあがっ……いぁ……いぁ……くとぅるー……ふだ……」

「ギァッ……テメェ……何しやがっ……」

 

 オニが何とか質問をすると、おじーさんは、極めてにこやかな笑顔でこう言い放った。

「ああ、すまない。これが悪魔流の絶品スープなのだよ。言おうと思ったのだが先に飲んでしまうものでな」

 そう言うとおじーさんはコックが運んできたスープを、美味しそうにお上品に飲んでいる――――ちなみに、スープの色がまっっったく赤くない。寧ろコンソメの色で綺麗に濁っている。さらに言えば例の元?はぐれ悪魔も同じく綺麗なコンソメだ。

 

「お、俺等が……何をしたっていうんだ」

「人の話を聞かない、マナーは酷い、物を口に入れながら喋るわ、挙句にレディにセクハラもどきのことするわ……最悪ね」

 明らかにこちらを小馬鹿にするように言いながら、更に養豚場の豚を見るような目でこっちを見下ろしている……ああ、屈辱的だ……。

 

「さ、最後のほう……あからさまな私怨じゃねぇか……」

 そう言いつつ俺とオニは何とか椅子に座り直す。オニはテーブルに肘をついて顔を抑えている……そうか、アイツ辛いもの苦手だったか。覚えておこう。

 

「で、その……話ってなんですか?」

 そう言うと老人はさっきまでとは違った、真剣な顔になった。

「ああ、実はだな……この、バイサーの件でだ」

「はぁ……」

 そういえば、そうだ。俺はあそこに居るはぐれ悪魔……バイサーだったかと一戦やって気を失ってここに来たんだったな……。

 

「そ、そういや……体が、元? に戻ってるけど……」

「ふむ……やはり、あの姿を見たか……いや、見ていないわけがないか」

 そう言うと老人はしばらく思い悩んでいたようだが、決心したのか話し始めた。

 

「そうそう人間に話していいものではないのだが……身内が世話になったのでは仕方あるまい。バイザーはな、危うく”はぐれ悪魔”になりかけていたのだ」

「はぐれ悪魔……ですか」

 一応、はぐれ悪魔についてはそれなりに知っているつもりだけど……詳しくは思い出せないので、そのまま聞いてみる。

 

「まぁ……”はぐれ悪魔”とはな、簡単に言えば下僕となった悪魔が主人を殺す、あるいは主人の元から独断で離れ、己の欲望のままに力を振るうことによって醜い存在になった者の総称だ」

「ほぉほぉ……ん?”なりかけた?”とは?」

 なりかけ……ミーナさんとかはどうなんだ? ミーナさんもはぐれ悪魔になりかけだったのか?

 

「はぐれ悪魔に完全に成り下がるにはな、己の欲望を開放……いや、欲望を叶える……といえばいいのだろうか……私にもよく分からん。だが……一つだけ、一つだけ言えることがある」

「一つだけ……ですか」

 つまり、はぐれ悪魔に成り下がる……つまり、化けモンの体になるにも、行程を重ねる必要があるのか。それで、俺が成り下がる所を奇跡的にとっちめたから、今もこうやって普通に居られる……とか、そんな感じなのだろうか。

 

「まず……私の見てきたはぐれ悪魔は、人を必ず殺していたな。それも主人の元を離れた後にだ」

「つまり、主人の元を離れて人を殺したらはぐれ悪魔に完全に成り下がると?」

 そう聞くと老人は顔が更に難しい顔になった。

 

「いや……はぐれ悪魔になった後、人を殺していたのもいる。だから……確実にそうとも、言えん」

「なるほど……」

 つまり、欲望を満たす、または人を殺すとはぐれ悪魔に完全に成り下がる……のか?初耳だ。

 

「えーと……つまり、なりかけの所を俺が縛り上げて更にそこを貴方が見つけて何とかなった……と?」

「まぁ、そういう所だ。いやしかし、危なかった……いきなり逃げ出すものだからな。まさか人間を襲ったとは……申し訳ない」

 そういいながら、おじーさんは俺に頭を下げる。

 

「いやいや、大丈夫ですよ俺は。いいもん見してもらいましたから……なぁ、オニ?」

 そう俺がオニに振ると、オニは思い出し笑いをしながら頷いた……まぁ、気持ちは分からんでもない。

「ああ、サイコーだったぜ……見張りの時間は特に……おっと、何でもねェっす」

 ほう、見張りの時……ねぇ?

 

「まぁ、後で詳しーく、事実をありのまんまに、その時の話を聞かせてもらおうか。なぁ?」

「へ、ヘイ……」

 睨みを効かせると、オニは少し恐縮したような様子を見せた。よしよし、これぐらい大人しくしてくれよ戦闘の時以外。

 どうもオニはまだまだ教育が足りないようだ……いつか絶対矯正させてやる。

 

「ああ、そうだ。確か、そこのバイサーさんから話を聞いたんですが……」

 確か、バイサーさんはここから逃げたんだよな? 確か数日間飲まず食わずの監禁とかそんなので。それで、どうして監禁された当の本人は平然と飯食ってるんだ?

 

「ああ、その話はな……その、なんだ。あまり……身内の恥は晒したくないのでな。なぁ?」

「ええ、まぁ……他人にそうそう事情を話すわけにもいかないし……」

 そう言うと、二人は二人の中では自己完結したのか、それぞれ飲み物を手に取り、食事を再開し始めた。

 ……なんか様子がおかしいな。何か俺に隠してるのか?

 オニを手招きでこちらに引き寄せ、しゃがんで二人に聞こえないように囁く。

 

「……なぁ、明らかに怪しいよな」

「なンか隠してますよね、明らかに」

「探るか?」

「勿論」

 意見がまとまったのでお互いに席に就き、何事もなかったかのように食事を再開する。うん、改めて出てきたスープがうまい。

 

「まぁ、仕方ないですねー。本人達が納得してるんだから。それだったら俺等被害者に話す必要はないですもんねー……仕方ないなー、オニ」

 そう言うと、オニも俺に続いてオーバーなリアクションで話し始めた。

「仕方ねェよなぁ~……テメェにとって被害者にすら話せねェぐらい都合が悪ぃんじゃ、話せなくても仕方ないよなぁ?」

「まったくだな、だから俺等は泣き寝入りして、飯食ってさよならだもんなー……ああ、世の中は寂しい」

「心狭い世の中になったもンだぜ」

 そしてとどめに二人でハァ……と同時にため息を付き、淋しそうな顔つきで食事を再開。カチャカチャと俺とオニの動かすフォークやスプーンの音だけが響き渡る。

 

「――ッ!ああもう、話せばいいんでしょ話せば!!」

 と、ここでこの空気に耐えられなくなったのか、バイサーさんが机をダン!と叩いた。

 よし、何とか聞き出すことに成功だ。

「いい?絶対に笑うのは禁止よ!」

 その言葉を聞いた俺とオニは、待ってましたと言わんばかりに身を乗り出す。

 

「待ってましたよその言葉ァ!」

「聞かせてくだせェ姐さん!」

 調子づいた俺等を見て、バイサーさんはちょっと引きつった笑顔を見せながら”後で覚えてなさいよ……!”とか言ってるけど、気にしない気にしない。

 

「私はあまり覚えてないけど、確かあれは―――」

 

 

 

 

                       ※

 

 

 

 

「―――というわけだったのよ」

 語り始める頃にはバイサーさんは恥ずかしいやらんやらで疲れきった表情になっている。

「へ、へぇ……そうだったんですかー。知らなかったなーオニ」

「オ、オゥ」

 そんな話を聞いた俺はなんとも言えぬ反応を見せていた。なぜなら……その、”これ絶対ウソだろ”とかそれに近い感じだ。

 俺等の聞いた話がどんな感じかというと――

 

                         ※

 

「なぁ、バイサー。そろそろお前もレーティングゲームに参加できるぐらいにはなった」

 老人……ここでは閣下としておく。閣下がレーティングゲームの話を持ちかけたらしい。何でも、そろそろ十分に悪魔としては成長したらしいからだ。

 

 だけど、その時バイサーさんはワインを飲んで結構酔ってたもんだから

 

「え?んー……レーティングゲームね。最近は米ドルより豪ドルが狙い目だし」

 と、噛み合ってない会話をし始めたらしい。しかも、なぜか世界為替の話だと勘違いして。

 

「……何の話だか分からんがまぁいい。で、そろそろお前にもレーティングゲームに向けてそろそろトレーニングをするべきだと思ってな」

「んー?トレェニング?」

 ここでようやく、イサーさんの脳内では、世界為替からトレーニングの話に切り替わったらしい。 

 

「そうだ。まずは何から鍛えるかを考えていたんだが……」

「トレーニングはね、忍耐が基本じゃない」

 

「まぁ、そうだな……それではまず何を耐える?」

「食制限しなきゃー駄目でしょ、食制限」

「食制限……ふむではどれくらい減らすか」

 

 閣下がそう言うとバイサーさんは即決で、胸を張って答えたそうな。

 

「思い切ったほうがいいわよやっぱ。どうせ悪魔なんだし」

「……いいのか?後悔すると思うが……」

「するくらいならしない。これ大事」

「……そうか、そういう考えも悪くはない。では期間はどうする?」

「1ヶ月続けて変化が見られないなら駄目ね」

「……大丈夫なのか本当に?」

「あーうんうん、大丈夫だから。思いっきりキツくして一回絞ればいいのよ」

「そうか、では明日から始めるとするか……」

 そう言うと閣下とバイザーさんはグラスに互いにワインを注ぎ、飲みかわしたそうな。

 

 

                       ※

 

 

「……で?レーティングゲームの訓練の話をしていたのに、持ちかけられた当の本人は、自分の主のトレーニング……つまりダイエットの話と勘違いして? 更にその話をその後飲み過ぎたせいで忘れ? 二日酔いに苦しんだ挙句?10日でギブアップして? 様子を見に来た所を脱走した……と」

 ……なんだろうか。

 仮にも、仮にもだ。俺は、下手をしたら死んでいたかもしれない相手と、戦っていたわけだ。その相手がとってもおマヌケだと知った時に走る、この情けなさや虚しさや悲しさやアホらしさは何なんだろうか。

 

「……なぁ、オニ。俺達、何と戦ってたんだろーな……」

「何スかね、兄貴……」

 俺とオニは今度こそ本物のため息をついた……。

「だから話すのが嫌だったのよ……ッ!」

 バイサーさんは、悔しそうにしながらも俺等の反応に、更に自分のした行為が恥ずかしく思ったのか、余計顔が赤くなっている。

 

「あー……うん、俺も聞かなきゃよかったと今初めて思い始めました。好奇心猫を殺すってホントだったんですね」

「くっ……やたら素直なのが腹立つっ……!」

 歯ぎしりをしながら顔芸されても威圧感も何もないですよ、ハイザーさん……っと相手をおちょくるのもここまでにしよう。そろそろ家に帰らなければ出席単位が大変なことになる。

 

「あー、そろそろ御暇させていただいます。大量のごちそうをありがとうございました。ほら、帰るぞオニ」

「ん?ああ、あいよ」

 俺とオニは席を立ち、二人に対して深く礼をする。一宿一飯の恩義というやつだな。

「いや、私の部下を助けてくれたのに対してこの仕打ちですまない。またいつか暇があったら歓迎しよう」

 

「いえいえ、こちらこそ色々とやってしまって……その、料理とか」

 今思えば、かなり汚い食い方でテーブルを汚しまくったし、オニに対してあれこれ言ってたのが情けなくなってくる。

 

「なに、コックが最近食の細い私の料理だけでは作りがいがないと嘆いていたのでな。久しぶりの客を招いての食事だ、満足していることだろう」

「なるほど……では、またいつか食事をする時を楽しみにしてますよ。えっと……」

 ……そういえば、名前をまったく聞いていなかった。なんだろうか、ルシファーとかそういう名前だったらどうしようか、いや確かこの世界だとルシファーって名前は受け継ぐんだっけな……?

 

「失礼、名を名乗り忘れたようだ。私の名はペオル・ベルフェゴールだ。名も知られぬ没落貴族の名前で良ければ覚えてくれ給え」

 そう言うとペオルさんは席を立ち、一礼した。この一礼自体に、何か一つの大きな意味があると思えるほどの堂に入った動きに俺も思わず頭を下げてしまう。

「ああ、すんません。俺も名乗り忘れていました。若葉 啓介です、ペオルさん」

「なるほど、若葉 啓介か……良い名だ」

 そう言いながらペオルさんはそのまま歩き、手招きをしている。どうやらついて来いという事らしい。

 

「玄関へ案内しよう……と言っても場所が場所だ、きちんと送らなければなるまい」

 場所が場所……? そういえば、ここが何処にあるかまったく聞いてなかったな。

 

「ええと……ここは、その……人間の住む場所じゃなかったりします?」

 そう言うと、ペオルさんは頷いた。

「貴族でも有力になると人間界にも隠れ家を作るが……生憎、私はそこまでの身分ではないのでな」

 ……そうか、そうだよな。悪魔の貴族が住む場所って言ったらそりゃ――――

 

「ここは冥界、堕天使と悪魔が未だに覇権を競い争う世界だ。私の連れや私の案内なしでは人間界には帰れん」

「ああ……で、ですよねー」

 薄々気づいてたけど……俺、冥界に居たのね。




すいません。はい、申し訳ありません。

またもや3日に1度の更新ペースを破ってしまいました。どうも最近忙しくなってきてしまい……推敲に時間が裂けなくなってきました。もう少しで最新話に届くので、このまま3日に1度の更新でいきたいと思います。

さて、とうとうケースケ君も冥界入りです。なんか、色々と行程が飛んでいる気がしなくもないです。冥界に入ったケースケ君はどうなってしまうのか、乞うご期待ください。
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