「アタシは妖精ピクシー。アタシを呼んだのはキミかな?」
おぉ……目の前にピクシーが居る。すげぇ、なんだこの感動は。
「お、おう……」
「ふ~ん……キミかぁ……」
まじまじと体を見回される。な、なんだ。ちょっとドキドキするぞ、試されてる感じがすっげえ緊張する。
「な、なんだ」
「いやぁ、キミ弱っちそうなんだよねぇ。ちょっと試させてくれない?」
「ほほぅ、いいだろう。」
俺が弱っちいとは舐められたものだ。陸上部あがりの体は3年の前半に引退したとはいえまだ衰えてはいないぞ。
「えいっ」
バチバチッ!という音と共にピクシーの手に雷らしきものが。え?何?物理じゃないの?このレベルでジオ覚えてるの?あれ?これはまずくないか?
「さぁて、死んじゃわないでね~♪」
「ちょ、おま待てぃ!!」
マズイ、このままPCとかに当たったら大変なことになる!!
「うぉっと!PCには当てさせんぞぉ!!」
手で放たれたジオを受け止めると手がビクビクとおかしな痙攣を起こし始め、ビチビチと痛い。
「……ぐぅ。この程度か、なら次は俺からだ」
そう言うと俺はピクシーに拳を向け……
「……っ!!」
ピクシーが回避できないと見たのか、防御体制に入る。が、何も来ないのを不振に思い防御解除したところを……
「そい!」
「あうっ!!」
デコピンしてやったわ。仮にも目の前に居るのが女の子なのでどうも手が殴ることを嫌がる。まぁデコピンでもダメージ大きいだろう。
「あう……キミ、強いね。アタシは妖精ピクシー。今後ともよろしくね♪」
どうやら認められたっぽい。デコピンで強いことを認める程の強さなのか、それともピクシーが女の子故に体力低いからか。まぁいい。
「んで?契約したけどどうするんだ?」
「あぁ、COMPに格納するんぢゃ。そこのボタンを押してみぃ。そうそう、COMPはもうお主の物になったからこの世界では絶対に壊れないぞ。お主の一部みたいなものになったからの」
「ほぉ、これで戦闘中に壊れて大変なことになる事態は免れるわけか」
と、ここでピクシーがちょんちょんと俺の肩を叩いてきた。なんだろうか。
「ねぇねぇ、キミの名前はなぁに?」
「ん?ああ、俺の名前は若葉啓介だ」
ピクシーに名前を聞かれる日が来るとは思わなかったな。まぁ女子に名前を聞かれることも少ない俺にとっては結構新鮮だ。
「ケースケって呼んでいい?」
「おう、別に構わんよ」
「ケースケ、その右手大丈夫?」
「え?」
ふと見ると俺の右手が何か力でも求めるかのようにビクビクと痙攣しているではないか!!
「え?ちょ、何これ!? え!?」
何も感じないのがかえって怖い。え?俺次から利き手が左になるの?マジ?右手とサヨナラするの?嫌だよミギー!!
「あー……アタシの責任もあるから手、見せて?」
そう言われたので俺は右手を抑えながらピクシーに見せる。
「鎮まれ……俺の右手……!ミギー……理性を失うんじゃない!!」
「寄●獣のストーリーはちゃんと覚えておるか?懐かしいのぉ」
「おう、微妙に覚えてるぞ。ラスト微妙に地味だったような……」
「そうかの、中々によかったと思うがの」
「えっと……良い? 治療するよ?」
「あぁ、オッケー」
何故か少しピクシーがこっちを若干引き気味に見てくる。なぜだ。
「……ディア」
そう唱えると右手の痙攣は収まり、心無しか右手の調子が良くなった気がする。
ディアは回復呪文の基本であり、たいていの擦り傷とかなら完全に元に戻るようだ。どこまでディアで通用するのかわからないが、大体ディア係二人いれば初めのボスなんて楽勝だろう。
ちなみにジオは雷属性の呪文で当たると稀に麻痺したりする。1ターンが大体1分ぐらいだとすると1分間ぐらいは動けなくなるのか。戦闘の際に感電したら間違いなくアウト。ジオは食らわないようにしよう。
「ふぅん、キミ男の子なのに指が綺麗だねぇ」
なぜか指が綺麗とか言われるのだが、自分では良く分からない。爪のピンクの部分が長いから女っぽいとか言われたり。よくわからん。
「そうか?結構細いから指の関節の骨とか浮き出てるのに」
「んーまぁ綺麗な方だよ? 女の子のアタシより綺麗に見えるから嫉妬しちゃうなぁ」
「お世辞を言っても何も出ないぞ? ピクシーだってかなり綺麗じゃないか」
「キャハハッ。アタシにお世辞言っても何も出ないからね?」
「下心丸見えだったか」
「んも~冗談だよ?」
「分かってるって、からかっただけだ」
「やだ、からかわないでよ~」
「あぁ、悪い悪い」
「ちょっと若いの」
と、ここでのんびりとピクシーと話をしているとじーさんがいきなり話しかけてきた。なんだ、楽しい雰囲気だったのに。
「お主……女子が苦手とか言ってなかったかの?」
「あぁ、じーさんに言ったっけ」
「ワシは神ぢゃ。そのくらい手に取るように分かる」
小さい女の子は心が無邪気だからな、話していて和む。ロリコンじゃないぞ? 和むんだ。
「で? お主はキャッキャウフフしとるわけか」
「ただ仲良くしたいなーと思ったからだが? この先長くお世話になるだろうしな」
ピクシーの使うディアはかなり有効だろう。範囲はそれなりにあるし即効性がある。さらにジオというおまけ付きで戦闘の際のサポート役になってくれるだろう。無論戦闘以外でも癒してくれる可愛い奴だ。
「長くお世話になる仲魔とは連携が必要だろ。だからこうやって話をしていたんだが」
「そうか……」
「じーさんアンタ……嫉妬してるか?」
「ふふん、お主ワシを誰だと思っておる? 神ぢゃぞ? 若いのに負けると思うか?」
「ねーねー、このおじちゃんだれ?」
「フォッフォッフォッ。ワシは神ぢゃよ」
「ふぅん……」
見た目が妖しいじーさんにそう聞いたピクシーが深刻な顔してこっちに話しかけてきた。
「ねーケースケ」
「どうした?」
「あのおじちゃんアルツハイマーか歳ボケしてるからちゃんと介護しなきゃダメだよ?」
「あ、ああ……分かった」
ピクシーなのにアルツハイマーとか知ってることにまず驚いたわ。最近じゃ悪魔の間でも人間の生活習慣病とかあるのだろうか。ちょっと聞いてみたいが何か怖い。太り気味のピクシーとかそういう特殊な趣味は俺には生憎無いからな。
で、とうのじーさんはと言うと……
「……貝になりたい」
小さい子の無邪気な言葉に心臓をえぐり取られたようだ。これはさすがにじーさんも可哀想だな。ちょっと男二人で語り合って慰めてやろう。さすがにピクシーがこれ以上じーさんの心臓をえぐると大変なことになりそうなのでピクシーには悪いが帰ってもらおう。
「あー……ピクシー、それじゃあまた今度な」
「えー?もう、まぁいっか。バイバイ」
「ん」
ピクシーとお別れすると俺はCOMPにピクシーを収納する。COMPの中ってどういう感じなんだろうか。後でこっそりピクシーに聞いてみるか。
とりあえずじーさんと男二人に戻ったところで色々と質問だ。
「なぁ、じーさん。MAGって召喚中はどれ程減るんだ?」
俺がじーさんに質問してみると……
「……COMPを見るんぢゃ。後ワシは神なんぢゃよな? アルツハイマーなぞワシには無い筈ぢゃろ?」
とがっくり項垂れながら答える。マジでアーメン。
「あーうん、じーさんは神だ。俺が保証する。アルツハイマーは……かかりつけのお医者さんにどうぞ」
アルツハイマーはごめん、実際洒落にならないから医者に見てもらったほうがいい。年ボケならまだしもアルツハイマーなんて神が発症したら”あれ? こんな世界作ったかの”の一言で世界滅亡ですよ。アルツハイマー恐ろしい。年ボケは朝食の内容を忘れ、アルツハイマーは朝食をとったことすら忘れてしまうのでつまりは内容を忘れるか行動自体を忘れるかで見分けられるから覚えておこう!!
COMPのMAG消費量を見てみるとどうやらこの3分で10程消費しているようだ、安いな。ピクシーだと3分で10ってことは閣下とか召喚してたら……あぁ、一発ですっからかんだな。
ともかく閣下を呼べるレベルになるのは恐らくってか100%この世界じゃ無理だろ。
「そうそう、俺は魔法とか使えるのか?」
「使えるぞ、経験したモノを吸収していくからの。精神は経験と体験で育つのぢゃ」
「おお、ある意味俺スゲェ。で、レベルは確認できるか?」
「頭の中に聞いてみぃ」
「ふむふむ……」
俺の頭の中に聞いてみろって言われたけど、どんな感じだ?意味がわからん。さっきみたいにイメージすればいいのか?
「お主の今ある力を体で感じればそれが数字となる。慣れればすぐにレベル確認ができるし戦闘する際にも役に立つぢゃろう。自分の力を感じ取り、如何に相手に立ち向かうかが生き残るコツぢゃ」
イメージ……ふむ、このアラミタマみたいなのが力か?それでサキミタマみたいなのが体力でクシミタマは速さか。ニギミタマは知力と魔力、運は……何これ、某人気スライムの色違いが出てきたぞ?
ふむふむ、数値は……アラミタマ5つのサキミタマ4のクシミタマ6のニギミタマ3の……某スライムが4、ほぉほぉ、良くも悪くもない俺らしい感じだな。
見やすくするとこんな感じか。
力 :5
体力:4
知力:3
魔力:3
速さ:6
運 :4
アラミタマは女神転生で赤い勾玉をしており、力の象徴でそれ以外は以下略。ただの色違いだ。説明が長くなるがこれらはそれぞれのパラメータを象徴するものだと思えばいいだろう。で、レベルは……5?妥当だな。
「なるほど、で自分より強い悪魔を相手にするときはどうなる?」
「ふむ、自分で感じられるようになったぞ。自分より強い者に立ち向かう場合には肌が少しピリピリするだろう。まぁそんな輩はそうそう居ないから気にするでない。強い者のレベル差は5ぐらいぢゃがそれより上のボスの場合が殆どぢゃろう?」
「まぁ、そうだな」
「で、レベル10以上差が開いた場合人間の火事場の馬鹿力が発動するようになっておる。具体的には値が全部1つ上がるんぢゃ。ちなみにレベルの上がる時は自分でどれをあげたいか選べるぞい」
「なるほど、さっきみたいに上げたいもののミタマをイメージすればいいわけか」
「まぁ、そうぢゃの」
結構良く出来たシステムだな。まぁ能力値は合計6上がるんだからレベル差10でも6上がることによって自分がレベル4の差しかつかないわけか。まぁ勝てないわけじゃないが自分にしか能力付与は無いから仲魔を考慮しなきゃダメだな。自分だけヒャッハーして仲魔が気がついたら全滅して回復役まで戦闘不能になったら待ってるのは俺の死だけだしな。
「おおそうぢゃ、お主の扱いは駒王学園の入学予定の高校新1年生ぢゃ。年齢だけはごまかせんからの」
「あ、そういや今日は……え?3月28日?」
「そうぢゃ、入学式は4月の3日ぢゃ」
「制服とか生徒手帳は!?」
「心配するでない、ちゃんと用意してあるからお主は飯食って済ませることすんだら寝るだけぢゃ」
「おぉ……そうか、高校か……」
まさか高校生になる前に入学式を体験するとはな。まぁ予行練習予行練習。
制服もちゃんと合ってるみたいだし規則もそこまで厳しくない。
「で、COMPはどうする?」
「意識して格納したり呼び出ししたりできるのぢゃ」
「……戻れ」
そう命ずるとCOMPはふっと消え、重みもなくなった。おお、これはかっこいいな。もしかしたらCOMP無しに呼び出せるようになったら結構かっこいいんじゃね?
「さて、ワシもたまには顔を出してやるが一つ言っておこう。レベルは精神の強さで精神は経験により磨き上げられるんぢゃ。つまり死にかけるとその分だけレベルは上がるがリスクも高いというわけぢゃ」
「経験を得るために死にそうになるとか俺だって嫌だよ」
「まぁ働けば経験が入るからそれで地味にレベルを上げるんぢゃな。ちなみにこのマンションはワシの所有物なので家賃はいらん。水道代電気代はワシの管轄外ぢゃからの。ちなみに預金通帳と印鑑もあるからの、ほれ。」
「ん、おぅ30万か。やっぱりこういうのはドカッと使うより溜め込んで使うのがいいよな」
「まぁワシ等の趣味は金がかかるからの、色々と考慮してみたわい」
やはりこのじーさんとは酒が飲めるようになったら色々と語り合いたいもんだな。ちょっと頭がアレなのが気になるがそれでも話のわかるじーさんだよ。
「さて、じゃあ俺も夕食を作ってネットやって寝るかな」
「夕食はそこ手が込んでいないものでいいからの、ばあさんや」
「誰がばあさんだ。誰が。ほら、奥さんに頼んで来いって」
「ばあさんも中々料理が上手でな、ほれ、ビーフストロガノフという料理が得意ぢゃ」
どうやら夫婦円満のようで何よりだ。じーさんも普段は良い一家の大黒柱なんだろうな。
※
じーさんが帰ったあと俺は適当に冷蔵庫にあるものを見繕って作った味噌汁と炊けてたご飯。うん、やっぱ一晩目の味噌汁が一番うまい。ネギはシャキシャキしていないでトロッとしている物が好きだがラーメンの青ネギはシャキシャキしてるのがいい。みじん切りのやり方を知らないから作れないが。
「どれ、そろそろ寝ますか……」
飯を食べたら眠気がしてきた。ネットをやる体力もない。朝いきなり死にかけたからなのか体力がごっそりと持ってかれて布団敷いたらバタンキュー。近々始まる高校生活を楽しみにしよう。
懐かしいですね……最近あとがきでこれしか言ってない気がしますが、ホントに懐かしいです……
寄生獣のラスト、未だによく覚えてません……なかなかに結構面白かったような気もしますが……
面の破壊力うんぬんだけは覚えてますw