ただのゲーマー高校生のハイスクールD×D   作:unat

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オープン・ザ・バトルフィールド

さあ、いよいよ始まりだ。

 俺は先輩達と一緒にオカ研の部室を離れてしばらく同じ道を移動していたが、途中でイッセー先輩と小猫さんとは別れる。イッセー先輩と小猫さんは体育館へ、俺と木場先輩は運動場へだ。

 

「イッセー先輩、小猫さんの足引っ張らんでくださいよ?」

「わあーってるよ、お前も木場の足は引っ張るなよ?」

 そんな他愛もない冗談をイッセー先輩と交わしながら拳をガツッ、と合わせて別れの挨拶代りにする。小猫さんにも軽く手を振ると、小猫さんは軽くペコリと会釈してイッセー先輩と一緒に走っていった。

 

「じゃあ、僕達も行こうか」

「了解です」

 これからは手ごわい相手と戦うんだ、気を引き締めないとな……。

 そう思っていると、突如僅かなノイズと同時にリアス先輩の声が聞こえて来た。通信用のイヤホンマイクからだ。

『祐斗、若葉君? 聞こえているかしら』

「聞こえます、部長」

「あ、はい。聞こえます先輩」

 すかさず俺と木場先輩が反応すると、リアス先輩はそう、と言いながら話を続ける。

 

『貴方達に行ってもらう運動場は相当厳重な配置だと思われるわ。周回の見張りも、勿論居るでしょうね。だからまず、見張りから撃破しましょう』

 ふむ、まずは周りから削っていくのか。まとめて見張りを叩けば向こうも手も足も出なくなるだろうし、できれば一気に片づけたいな。

 

「とりあえず森から様子を伺ってみますか?」

「うん、そうだね。森は僕達の方が有利に立ち回れる」

 木場先輩も賛成してくれたので早速森へと進路変更。割と旧校舎を覆う森はそこそこ広いし、その気になれば、結構高い木がいくつもあるから、そこから新校舎側を一望もできなくはない。

 

 

                      ※

 

 

 

「よーし、それじゃあ適当な木に登って斥候してきます」

 森に到着すると、木場先輩にそう言って俺は木に登り始める。俺の服の迷彩柄ならてっぺんまで登って行っても相手に見られることは多分ないだろう。

「さーてどこに居るかな……?」

 新校舎側―――特に、運動場の方を注意深く見てみると、まだ人影らしきものは見当たらない。まあ、こっちみたいに罠の一つや二つくらいは仕掛けてありそうだし油断は禁物か……。

 

「木場先輩、リアス先輩。運動場にそれらしき影はないです……が、おっと?」

 僅かに何かが視界の隅を掠めた。すかさず念のため持っていた双眼鏡でよく見てみると、ビンゴだ。三人の女の子がこっちに来ている。

 流石に役職まではわからないけれど、恐らく斥候だろうからポーンだろう。一人はやけに露出が多くてセクシーな踊り子風って感じか? もう二人はメイドさんっぽい恰好してるな……。これもアイツの趣味か。

 

「三人、こっち来てます。恐らく斥候か何か―――役職までは分かりませんが、多分ポーンですかね。ちょっと降ります」

 落ちないように慎重かつ素早く木を降りると、リアス先輩が俺と木場先輩にコールしてきた。

『恐らく運動場には遠目では分からなくするために魔法がかかっているか、それとも何処かに潜んでいる可能性が高いわね。偵察が安全を確認したら一気に森を突破する魂胆かしら。ともかく、その三人を帰すわけにはいかないわ』

「生かして帰すな、了解です」

「実際殺すわけじゃないけどね―――分かりました」

 俺の返答に苦笑しながら木場先輩も返す。

 いやだってさ……生かして返すなとか、一生になかなか言えない台詞じゃん? 一度でいいから言ってみたかったんだよね。ドラマとか映画じゃ悪役くらいしか言わないけどさ。

 

「それじゃあ、まとめて倒すならやっぱり奇襲戦法ですかねえ。数も向こうの方が多いですし」

「ナイトの流儀には反するけれど……今はそんなこと言っている余裕もないからね。そうしよう」

 先輩の同意も取れた所で奇襲をかけるわけだけど、どうしよう。三人いっぺんに倒すって、乗っている車を爆破でもするわけじゃないし。木場先輩の獲物は剣で、俺はボウガンとナイフとハンドガン。

 やっぱり罠で一人、あとは木場先輩と俺で一人ずつ倒した方がいいよな。

 

「罠はええと、確か先輩達と一緒に仕掛けたのと……あ、姫島先輩が何か仕掛けたって言ってましたっけ?」

「うん。結界をここに貼って、その周辺に旧校舎が現れたように見える魔法を施したそうだよ」

 旧校舎だと思って近づいたところを結界で閉じ込めるのか。なるほど、最終防衛ラインにもきっちりと罠を施してあるんだな……。

 

「それにしても……。うーん……まとめて倒す方法かぁ」

 どうしたものか。こっちは逃がすと折角の相手の駒数を減らすチャンスが消えるし、向こうにこちらの手の内がバレる。

 なんとかまとめて倒す方法はないものか……。

「若葉君、一度に三人倒すのはとてもじゃないけれど、難しいと思うよ」

 木場先輩がそう言う。確かにそうだよなあ、でもやっぱり一度に三人やらないと最悪二人で時間稼いで一人だけ逃げるなんてことが―――ん?

 

「逃がさないようにする……待てよ? そうか、なんだ! 最初から逃げようと思わなくさせればいいんだ!」

「何かいい案が思いついたみたいだね」

「ええ、ですからつまり……」

 かくかくしかじか、と作戦内容を伝えると木場先輩はふむ、と少し考えていたが

「悪くないんじゃないかな。ちょっと奇策かもしれないけど、僕のナイトとしての特性も活かせそうだ」

 そう不敵に微笑んで見せた。よし、これならいけるぞ!

 

 

 

                      ※

 

 

 

「―――準備できました」

『僕の方も大丈夫だよ』

 イヤホンマイクを使ってお互いに小声で確認し合う。そろそろ頃合いかな……?

 俺はサックから、緑色の毛むくじゃらみたいな特殊な服―――ギリースーツを取り出して着ていた。これは簡単に言えば、植物に擬態するための服みたいなものだ。

 一応俺のお手製で、修行を行っている間に手袋を編むお母さんのように夜なべをしてチクチクと麻糸を染めたりして愛着があるので結構お気に入りだ。

 

 それを着た俺は、運動場と森との境界線のギリギリまで来ていた。これを着でもしないと迷彩服だろうと、流石に一発で俺がいることがバレるだろうしな……。

 出来る限り音を立てないようにそっと茂みから覗き込んでみると、見つけた。例の三人だ。こっちには気づいていないようで、どんどんと俺のそばまで歩いてきている。

 

 まだバレてはいないと分かってはいても、緊張で心臓の鼓動が嫌でも高まっていく。気付かれたら、それでこの作戦は全部パァになる。

 必死に息を押し殺して、目の前に居る三人をやり過ごす。ちょっと腕を伸ばせば脚を掴んで捉えるなんてどうってこともないくらい近い。イッセー先輩ならこのまま三人の生足鑑賞とかいって堪能するんだろうなあ……。

 

 そう考えた瞬間、なぜか一気に身体から力が抜けたような気がした。普段のイッセー先輩ならやりかねないし、そんな事を思っただけで少しバカバカしくて、ちょっと肩の力が抜けていい感じに緊張がほぐれて来た。イッセー先輩に失礼だろって? 普段から覗きしてるんだから仕方ない。

 

 そんなことを考えていたら三人とも俺の目の前を通り過ぎていった。よしよし、流石に後ろからならボウガンも避けれまいよ!

 音を立てないように狙いを定める。目標は一番後ろを歩いている子の背中だ。頭はなんか怖いからやめとこう。後遺症とか、ホラ……ね?

 

 こうしてみると、ボウガンみたいな殺傷能力のある飛び道具を人に向けるのはこれが初めてだ。訓練とか、試し打ちで物を撃ったことはあっても動物とかの生き物を撃ったことはない。

 そう考えた途端、ボウガンの引き金がやたらと硬くて重いように感じ始めた。ちゃんと事前に調整したはずなのに。

 

 ―――落ち着け、俺。今がやる時だ。

 

 目を閉じながら自分にそう言い聞かせる。心の中で覚悟をしたと思った。セーフティを解除する時だと。それも結局全然ダメだったけれど、もう大丈夫だ。引き金は重くない。

 

 改めて狙いを定める。引き金を絞り、ボウガンはそのまま真っ直ぐと飛んでいった。そしてそのまま吸い込まれるように背中へと突き刺さる―――はずだった。

 

「……? あれ?」

 殆ど引き金を引くと同時かそれより少し前に、狙っていた子がしゃがみこむ。ギリギリのところで矢は当たらずに木に突き刺さった。

 

「……っ!」

「罠!」

 狙ってない二人が先ほどよりも、より一層険しい表情で辺りを警戒し始めた。クソッ! これじゃこっちも迂闊に動けないな……。それにしたってなんてツイてないんだ。よく狙撃がくしゃみ一つで失敗するなんていうけど、実際にあるのかよ! 俺の覚悟が無駄になったじゃないかと叫んでやりたい。

 

 さて、どうしたものだろうか。予定では一人を撃破できないまでも一時的に行動不能にできるだろうから、そこで木場先輩が姿を見せてちょっと戦った後にわざと撤退して奥へ奥へとズルズル引きずり込んで、俺が不意打ちで混乱させてから木場先輩が叩くっていう予定だったんだけどなあ。

 

 作戦を変更するべきか? もう一つの作戦も木場先輩に伝えてあるしインカムで変更できることはできるけど、そのためにはまずここから離れないといけない。正直三人相手に目を盗むのは無理、ギリースーツだってそこまで万能じゃないし、俺もそこまで隠れるのは得意じゃない。

 

 それに万が一俺がやられちゃったら、2対3から1対3になって一気にこの場での数的不利が更に酷くなる。そうなったら木場先輩が勝ったとしても、負担が強くかかるし1人無駄死にして3人倒すってのはあまりにもこっちに不利すぎる。局地的勝利だろうと、戦略的には敗北だ。

 

「木場先輩、一人仕損じましたが作戦通りでお願いします」

『分かった、今行くよ』

 その返事と同時に、木場先輩が三人の前に現れた。流石に不意打ちで仕留めるのは無理と感じたのか、それとも先輩のナイトとしての矜持なのか。どっちにしても、俺が口出しすることでもないな。

 

「やあ、僕はリアス・グレモリー様に仕えるナイト。いくよっ!」

 木場先輩は三人にまさしく弾丸のような速さで切りかかるが、三人共警戒してたためか簡単に躱した。木場先輩は無理に誰かに狙いを定めずに一旦下がると、剣を構えて相手全員が視界に入るような位置に陣取る。

 

「あら、随分といい男。でも残念、三人相手に勝てると思うおバカさんだなんてね」

 そう随分と色っぽい恰好をした女の人が木場先輩に笑いながら挑発する。やれやれ、どうやらさっきの俺の放ったボウガンは罠だと勘違いしてるらしい。まあそっちの方が俺はやりやすいんだけどね。

 

「僕はそうは思わないかなっ!」

 そう言いながら木場先輩は潔く後退する。言葉と行動が一致してないって? いいんだいいんだ、あとから実行すりゃそれでOK。

 

「あら、逃がすと思ってるのかしら!」

「待てっ!」

「逃がさない!」

 木場先輩の後を三人が追いかけていった。よしよし、案の定木場先輩に釘付けだ。さっきまでの罠の事も気にかけてすらないだろうな、この様子なら。

 

 さて、まずは第一トラップ! 最低でも一人、あわよくば全員罠に引っかかればいいんだれども。さあてどうなるか。罠にひっかかったのの止めを刺す役は俺だからな、ちんたらしてるほど暇はないぞ。

 急いで先輩達の後を追うと、なんとか罠の場所に先回りで来た。

「先輩、移動完了です」

『うん、そろそろそっちにつくよ』

 急いで俺もボウガンの再装填を済ませて隠れる。勿論今度も先輩達の仕掛けた罠に紛れてボウガンで狙い撃つ。さっきはしくじったが今度は当ててやるぞ。

 

 先輩が予定してたルートを無事に通っているなら、こっちの方向で合っているはず。ならこのまま狙っていれば問題ない。それよりも問題は焦って先輩を撃っちゃうことだ。誤射ダメ絶対、一発だけでもダメ。

 そんな事を考えていると、先輩の走ってくる音がした。よし、狙いを定めて―――

 

 ―――サイトを覗き込む瞬間に木場先輩が通り抜け、その後を三人が追った。そしてトラップが発動して三人に魔力の矢が降り注ぐが、これを三人が躱して木場先輩の後を追う―――

 

 この間わずか1秒。オイオイオイ、早すぎんだろ! 狙いどころか構えた瞬間に通り過ぎてったぞ! こんなに早いとは思わなかった。俺のアホ! もっと早く集中してればあいつらの動きに対応して狙えたのにボケっとしすぎだ!

 

「先輩すいません! 次は仕留めます!」

『うん、期待してるよ!』

 もう木場先輩の期待は裏切れない。失敗は二度までにとどめておかないと、二度あることはなんとやらで非常に縁起が悪い。急いで次のトラップゾーンに移動だ。次の罠は俺の仕掛けたボウガンと先輩達の罠であらゆる角度から矢が飛んでくる上に、俺も狙うから流石に一人くらいは負傷するだろう!

 

 急いで現地についた俺はボウガンを構える。さあ、集中だ。先輩達の自称百八式まである魔球をすべて躱すとかいう狂人じみた特訓を超えた俺なら、あのスーパースローモードに入ることくらい容易い。さっきはちょっと油断しただけなんだ、うん。

 

 深く呼吸し、目を閉じる。五感に全集中力を注ぐと、木場先輩の足音が聞こえて来た。よし、このペースならあと三秒でここにつく。今の俺なら十分くらいにも感じられるくらい長い時間だ。絶対に当ててやる。

 木場先輩がまず現れた。その足取りから木場先輩の表情まで、俺には全てがゆっくり動いているように見える。

 そして次に例の色っぽい人、狙うは足だ。動きを封じれば罠で仕留められる。軌道を予測して足に狙いを定めてレバーを絞る。

 

 急いで矢を再装填する。飛んでいる矢から目を離さずに装填するのは大変だが、これも今の状態のみでなせる業だ。放たれた矢はトラップの矢と同時に襲い掛かる―――が、その一つ一つを見切っているかのように躱していく。これでも駄目か畜生!

 

 再装填した矢で次の目標。なんか背中をやたらと露出させたメイドさん姿の二人組の片割れ!往生せいや!

 迫りくる矢の中をかいくぐるメイドさんに狙いを定める。今度こそ当てる! これで当たんなかったらグダグダすぎる!

 

 神様仏様と祈るような勢いで放った矢は、今度こそよけられることもなくメイドさんの脇腹へと突き進み―――

 

「っ!危ない!」

 

 ―――そして、もう一人のメイドさんの放たれた魔力によって無事消滅! チクショーめ! ああもう、作戦が思った以上にグダグダじゃねーか!

 

「だーっもう! 先輩、例の場所にお願いします! 一人確実に仕留めますんで!」

 

 

 

                       ※

 

 

 

 俺は例の姫島先輩が仕掛けた場所に先に待機する。ここで逃がしたりはしない。確実に一人は俺が倒してせめて同数にしないと、明らかに俺が木場先輩の足を引っ張りかねない。

 となると、あれだけ避けられてしまったボウガンはあまり使えない。正直もう当てる自信がないし、確実性を求めればハンドガンの方がいい。とは言っても、ハンドガンは奥の手として最後の最後までとっておきたい。

 

 つまり最終的には、己の鍛え上げた肉体のみが頼り………ってどんな脳筋だ俺は。いやしかし、実際に俺はレイナーレさんを裸締めで落とした実績がある。同じ要領でやれないことはないはず!

 小猫さんに鍛えられて更に磨かれた俺のゲリラ戦の奇襲戦法の腕前を見せる時ってやつがついに来たのか……。へへっ、目にもの見せてやるぜ。

 

 隠れて辺りを見回していると、木場先輩が見えた。森の中でも開けた場所であるここはまさに機動性の高いナイトのホームベースといった所だ。逆に俺にとってはあまり出たくない場所でもあるけれども。

そしてすぐさま例の三人組が登場。俺もそれに合わせて背後を取るためにコソコソと移動開始。

 

「さて、もう逃げられないわね? 旧校舎まで私たちが入ってしまえば、プロモーションで私達3人共クイーンになる。勝負は決定的よ?」

 近づいていくにつれてそんな声が聞こえてきた。なんという分かりやすい説明だろう、読者に優しいな。

「ふふふ、私好みだから特別に痛くしないで終わらせてあげる」

 続いてまたこんな声が。やれやれ、順調に負けフラグを構築していってるな………獲物を前に舌なめずりをするのは三流だぜ?

 

 俺は音を立てずに木へと登る。その際に木場先輩と目が合い、軽く俺が頷いた。作戦開始だ。

 

「……まだ勝つと決めるのは早いんじゃないかな?」

 木場先輩がそう笑顔で三人組に返す。その瞬間結界が発動し、ドームのように辺り一帯を包み込む。そして幻覚が解かれ、旧校舎は蜃気楼のごとく消えていった。

 

「っ……! ここに誘き寄せるためにさっきまで逃げていたのね」

「でも、それって貴方も逃げられないってことじゃない?」

「貴方を倒して結界を解けばいい話じゃない。それとも3対1で勝つ自信が?」

 一瞬驚いたも束の間、3人は平静を装いながらそう木場先輩に答えている。さて、そろそろ出番か……。

 

「それはどうかな?」

 木場先輩がそう呟いた瞬間、俺は足で木の枝にぶら下がりながら一番近くにいた例の露出度の高い踊り子さん風の人の首を捉えた。身を反らし、左の腕で完全にホールドしたのを確認すると、そのまま木の上にまで俺の体を持ち上げて吊り上げる。まあ、軽く人間離れした技だなこれ。

 

 木の幹を背に俺は踊り子さんの頚動脈を圧迫。よし、完全に極まった。これなら5秒と経たずに落とせるな。

「残念、3対2でした♪」

 決め台詞っぽく俺が囁く頃には、とっくのとうに踊り子さんの意識は遥か彼方に飛んでしまっていた。

 

『ライザー様のポーン、一体撃破』

 グレイフィアさんのアナウンスと同時に踊り子さんの体が消えていった。確か戦闘不能になったら魔法で転送される仕組みになってるんだっけか。その後治療を受けるとか。

 

「な、何が起きたの!?」

「け、毛むくじゃらの生き物がシュリヤーを襲ったのよ! 私見たわ! 見たの! 目だけが光ってたわ……」

 あっという間の出来事にメイドさん二人がテンパっているな。しかし毛むくじゃらっていうのはともかくとして、俺はプレデターか何かかよ……。そしてあの踊り子さんシュリヤーって名前なのね、なるほど。

 

「二人ともよそ見をしている場合はないと思うよ!」

 木場先輩が駆け出し、一気に二人に詰め寄る。逃げてる時とは比べ物にならない速さ……これが木場先輩の本気か! 二人はこの速さに対応しきれず―――

 

『ライザー様のポーン、2体撃破』

 

 ――――追加のアナウンスが鳴り響くことになった。

 

「ん、そういえばもしかして俺達が先に倒したんですかね?」

 剣を鞘に収めながら木場先輩は俺の問いに答える。

「どうやらそうみたいだね、向こうはだいぶ手こずってるみたいだ」

 作戦的には向こうの方が早く済むと思ったんだけれど……。実は何だかんだいって失敗しまくったけど木場先輩が囮になって結界まで誘き寄せたので早く済んだのかな? 怪我の功名というかなんというかだけれども。

 

『ご苦労様。どうやらイッセー達より先に撃破したようね……なら、先に運動場へと移動して頂戴。そうね、相手が私達が仕掛けてくるのを待っているようだったら、若葉君はイッセーと小猫の所へ助太刀に。祐斗はそのまま出方を伺っていて。運動場は今回のゲームの主戦場、戦力を集中させて何としても勝たなければいけないわ』

「了解です」

「分かりました」

 運動場に行く前にギリースーツだけは脱いでおこう。運動場じゃ必要ないし、正直動くのに邪魔だ。白兵戦なら、やっぱり動きやすくしておかないとな。あと、これ着たままイッセー先輩達と出会ったら敵と間違えられそうだし……。

 

 

 

                       ※

 

 

 

 運動場の手前で俺と木場先輩は歩みを止めた。小屋の影に隠れて木場先輩は運動場の方を覗き込んでいる。

「先輩、双眼鏡どうぞ」

「ありがとう」

 木場先輩に渡しながら俺もちょっと顔を出して辺りを伺ってみると、運動場には誰もいない。本当に誰もいないわけじゃないだろうけど、実際は罠やら待ち伏せやらが山盛りで”ぜひ飛び込んでください、息の根を止めて差し上げます”って感じなんだろうな。あれが俗にいう殺し間ってやつか。

 

「あー……絶対伏兵が一杯いるんでしょうね、あそこ」

 ボソっと呟いた俺に対して木場先輩は双眼鏡を俺に返しながら頷いた。

「十中八九はそうだろうね。流石に僕達二人で飛び込むのは自殺行為かな」

 となると俺の役目が回ってきた。イッセー先輩と小猫さんと合流だな。そして運動場で大決戦の始まり、っと。いざとなったら、木場先輩と小猫さんとイッセー先輩に前線は任せよう。俺は後方支援に徹する方が良いかな、俺が闘うより先輩達を支援した方がよさそうだし。

 

「それじゃ、いってきまーす」

「いってらっしゃい」

 ちょっとふざけた感じのやりとりを後に俺は体育館へと足を運んだ。えーと、段取り通りにやればいいんだよな? 作戦は俺も耳にしてるしさっさと終わらせてしまおう。

 そう思いながら歩いていると、突如姫島先輩からの無線が入ってくる。

『若葉君、伏せていてくださいね』

「あれ、俺助太刀しなくていいの―――危ねえっ!」

 

 素っ頓狂な声を出した俺は、作戦の最終段階を思い出して慌てて頭を腕でカバーしながら物陰に隠れる。それとほぼ同時に爆音が鳴り響き、静まったのを確認した俺が物陰から体育館を見てみると綺麗さっぱり体育館が消えていた。

 姫島先輩は随分と派手に吹き飛ばしたなあ、イッセー先輩達もちゃんと避難したよな? うっかりイッセー先輩が巻き込まれましたとか割と洒落にならないぞ。

 

『ライザー様のポーン2名、ルーク1名撃破』

 アナウンスを聞く限りだとイッセー先輩も小猫さんも無事なようだ。そしてこれでルークが残り1人、8人居たポーンはもはや3人。怖いくらいに順調だなあ……。

 

 辺りを見回すと、小猫さんとイッセー先輩を発見。何やらちょっと雰囲気がギスギスしてる、というよりは小猫さんが何やらイッセー先輩に対して怒ってるのかな? 何をしでかしたんだ先輩は。

「おーい、小猫さーん。イッセーせんぱーい」

 俺が手を振ると、二人が気付いて俺に手を振り返してきた。小猫さんが俺に近寄ってきて―――

 

 

 

 

 ―――次の瞬間、小猫さんを炎が包んだ。




私は帰ってきた!
はい、ごめんなさい。正直に言います、全然間に合いませんでしたごめんなさい。
とりあえず次はなるたけ早く仕上げます。……仕上げたいと思います。……仕上げるんじゃないかな。……少し覚悟はしててください。
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