ただのゲーマー高校生のハイスクールD×D   作:unat

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第5話:口は禍の門

 朝起きて、いつもの先輩達と合流する場所まで歩いていったけど今日は先輩達が居なかった。よって今日の朝はいつもより太陽が眩しく感じる。

「んー……いい朝だ。先輩達が居ないとこうも静かで穏やかなのか」

「よっすケースケ。珍しいな、お前が先輩達と一緒に居ないのは」

 

 そう話しかけてきたのは山田。うんうん、朝に似合った爽やかな奴だ。俺を清々しい気分にしてくれるなぁお前はいつも。

「なぜか分からんけどまぁたまにはこういうのも悪くはないなぁ……こういう幸せはたまにくるから幸せなんだろうけど」

「ははっ、面白いこと言う奴だぜ、ホント」

「んー……まぁそうだろうけどさ、これから色々と大変だろうしさ」

 

 俺がこの世界に入って1ヶ月――そろそろ物語も始まっていることだろう。まぁ、まだなんの動きも見せないから呑気にハイスクールライフを楽しんでるけどさ。

校門を目の前にして、女子の多さに改めて驚く。まぁ、先輩達が居ないために平和だけどさ。……平和、ねぇ。

「なー山田」

「どうしたケースケ」

「堕天使とか悪魔とか魔王だの居たらこの平穏は続くんだろうかね」

「おいおい、ゲームのやりすぎか?」

「まぁな。で、居たらこんな平穏があると思うか?」

「んー……わかんねーよ。実際に居るわけじゃないんだしさ」

 

いやまぁ、実際に居るんだがそれはややこしくなるから置いておいて、山田の考えは面白いなぁ。普通のヤツなら絶対平穏が無いとか言うだろうけどさ、山田は違う。分け隔てなくモノを見ようとするその姿勢は流石だよ。俺も少しは見習いたいもんだ。

 

「だよなー……やっぱ堕天使だの悪魔だの魔王だのには会ってみねえとどんな奴だかなんて分かんないんだしさ」

「そうそう、そんなもんさ。案外そういうのにも気前の良いのがいるかも知んねーしな!!……おっ?」

「ま、悪魔も堕天使も魔王も居ない方が気楽だよなぁ」

 

その方がはぐれ悪魔なんぞに狩られる心配はないし悪魔と契約しちゃって堕天使に命を狙われることもないわけだしな。

「お、おいケースケ、お前の後ろ」

「え?」

 

 山田がただならぬ様子なので振り返ってみると……そこには綺麗な紅い髪。思わず見とれてしまうような綺麗な真紅の色。その髪の持ち主は整った容姿でこの学園を代表する生徒といってもおかしくない人。

その人の名はリアス・グレモリー。今は数少ない純潔悪魔の一人で部下への愛は悪魔一と言ってもおかしくはないだろう。

 

 そして俺はさっきまで悪魔と魔王と堕天使をディスってるような発言をした記憶が……あれ? ヤバくね? 俺悪魔に喧嘩ふっかけちゃったんじゃね? まずい、相手は超ラスボスとか言われてる悪魔だぞ? 本気出したらレベル90の大台いってるかもしれないような悪魔相手に俺は未だレベル5だぞ? 明らかに俺”レベルはたったの5か……フン、ゴミめ”ってラデ●ッツに倒されるような奴が魔人●ウを相手にするようなもんだぞ?

 

 そんな考えから、俺の結論は出たよ。”あ……俺、死んだな”って。とりあえず平静を装うことにしよう。うん、そうだゲーム、ゲームの話をしていたんだったな俺は。そうだそうだ、忘れていた。ゲームの話なら仕方無いな。やっぱ女神転生はNルートが一番平和だよ。

 

「君、どうしたの?」

と、ここで平静を装い現実から半ば逃避していた俺の意識を一本釣りで戻すかの如く件の悪魔が俺に話しかけてきた。やっべえ、どうする? 悪魔とか以前に女性に対しての接し方をまともに知らない俺だぞ?ええい、こうなりゃヤケだ。ポッと出た言葉を口にそのまま出してやる。

 

「いや、綺麗だな……って思って」

しどろもどろになってしまった俺は今実際何を言っているんだろうか。とりあえず命が助かるような発言であることを祈ろう。

「おい、ケースケ、それって……」

 

 ん? 俺なんか不味いこと言ったか? 残念だが俺は今自分の言葉をフィルターにかけて発言していい言葉とダメな言葉を分ける機能が停止しているために自分で悪いことを言ったのか全くわからん。

「え? 俺なんかまずいこと言ったか?」

え? なんで向こう方のお二人さん、ってドSに定評のある姫島先輩も居るのか。いやそれはいいとしてなんでそんなにお二人は俺の事見て驚いたような顔してるの? あれれぇ? いつBAD END"残念 私の 冒険は ここで 終わってしまった !!"を選んだっけ? あれ? 目の前に死神が見えるよどうしてだい?

 

「な、なぁ山田、俺何か不味いこと言ったのか!?」

不安になった俺が山田に自分がそこまで不味い発言をしたのか聞いてみると、山田は驚いた表情で

「お前、自分であの人に”綺麗”とか言ってどうしたんだ!? しかもそれ覚えてないの!?」

と言ってきた。

 えっ、俺先輩に綺麗って言ったの!? 何そのさり気ない自分先輩に気がありますよアピール!? やっべぇ、ルートによっちゃ俺が悪魔になって堕天使に殺されるじゃん! 死ぬとかマジ勘弁!

 

 と、ここであわてふためいていると先輩達が急に笑い出した。な、なんだ? ”よくぞ私の正体に気づいたな!!”みたいな感じですか!? 魔王の持つ貫禄ってやつですか!?

「ねえ、君面白いわね。名前は?」

「あ、若葉啓介っす……」

 

 とりあえず質問に素直に答える俺。あれ? 確か悪魔に名前を教えちゃダメって邪教の館のおっちゃんが言ってなかったっけ? あれ、まずいことしたんじゃないのか俺!?

「若葉啓介君ね……ありがとう。私の名前はリアス・グレモリー。よろしく」

あっ……フラグたった。確実に死ぬか下僕になって最終的に堕天使に殺されるオチになるわ。うん、ぜってぇ俺のBADENDルートは確定してしまった。

「本当に面白いわね、貴方。よければまた会いましょう」

貴方!? 君から貴方に昇格!? 怖えぇ……怖えぇよぉ……俺契約させられるんですか?一誠先輩の代わり? あぁ、それで一誠先輩悪魔に拾われずにそのまま死亡……マジでアーメン。

「……はい」

 

力無く返事をする俺。なんだろう、体から力が抜けていく。この目から流れているしょっぱいものは心の汗なんだ。だからっ……止まれよっ……止まってくれよぉ……

「山田ァ……」

 

 俺はすがるような思いで山田に話しかける。なぁ、お前とは短い付き合いだったよなぁ……

「まぁ、お前が先輩に気に入られたことによって若干周りの目が厳しくなるかもしれないが気にすんな! っと、そろそろ教室行かねーとまずい時間だぜ?」

違う……違うんだよ山田ァ……俺、悪魔に転生させられてポーンの駒が足りなくなって一誠先輩が死んで俺が半強制的に主人公みたいなものになるかもしんねぇんだよぉ……。またはこっそり路地裏に呼び出されて人知れず物言わぬ骸になるんだぜ……?

 

 

 

 

                 ※

 

「ねぇ、朱乃……」

「はい、なんでしょうか」

「あの若葉君っていう子のことだけど」

「あの坊っちゃんがどうしかしましたか?」

「ちょっと怪しいから調べたいの。私に気付かず堕天使や悪魔の事を話していたかと思えば私の事を綺麗って言ったり。……行動が読めないのよ。だから念の為」

「了解しましたわ、部長」

 

 

 

                 ※

 

 

 

 そんなことが分かるわけもなく、俺は山田に引き摺られながら教室へと到着。教室に到着するまでにすれ違う女子の目が痛いものだったり興味を持った目だったりで……死にたい。と、ここで騒ぎを聞きつけたクラスの大半の女子が駆けつけてきた。怖えぇ……餌に群がってくるピラニアじゃねーか!! マジで怖えぇよぉ……

「ねぇ、若葉君!! 君リアス様に告白したっていうの本当!?」

「噂じゃ、もう付き合ってるっていう……!!」

「あぁ、リアス様が私達の物じゃなくなるなんてっ……!」

「若葉君、リアス様がタイプなんて……悔しいっ」

 

 おいおい、噂にヒレがついて一人で泳いでるじゃねーか! 俺先輩と付き合ってもねーし告白もしてないからね!? と、とりあえず暴徒と化したウチのクラスの女子陣を落ち着かせよう。

「えっと……まだ、告白はしてないんだよね、確かに俺は先輩に綺麗って言ったけどさ……そりゃあ綺麗な先輩とはお近づきになりたいけどさ、その……綺麗だけど好みとは別っていうかさ」

「「「「つまり?」」」」

 

 怖えぇ……数の暴力って怖えぇ……何この威圧感、俺尋問受けてる訳でもないのにうっかり変なこと言ったらその次の瞬間……アウト。俺の高校生活(仮想体験)は終わりを告げるぞ……気を付けて言葉を選ばんと。さっきみたいにフィルターが停止してるわけじゃない、落ち着いていこう。

「その……綺麗だけど好みは別って言ったけど、いやまぁ、先輩を嫌いってわけじゃないんだ。先輩が好きっていってくれたら俺だって嬉しいよ? けど俺じゃあ不釣合いだから、告白もしてないし、付き合ってもいない訳です……これでいいですか?」

 

 あまりの威圧感にいつもより丁寧な口調になってしまっていますよ俺。と、とりあえず女子の皆様方の様子を伺おう……。こっちを見ながらヒソヒソと話をしている。怖い、何を話しているかわからない故にめちゃくちゃ怖い……

「……じゃあ、あの噂は嘘ってこと? 本当は先輩に綺麗っていっただけ?」

「はい、そうですそうです、その通りでございますだ」

 いかん、何か田舎の農民Aみたいな口調になってしまった。それよりも何よりも、女子の皆様方はまだ結論に納得していないのかヒソヒソと話している。あぁ、出来れば無罪放免であって欲しい。F●F団みたいな異端審問だったらどうしよう、俺間違いなく死刑だぞ?

 

「……若葉君」

「はい、なんでございますでしょうか」

 この際命が助かれば敬語でもなんでもいい。俺のクラスの安定した位置付けを守れるんだったらそれでいいさ。

 

「リアス様に変なことしない? 若葉君がつるんでる先輩みたいに」

「しません、誓ってしません。今も過去も未来も狼藉を働くことはしません」

したら俺はナニをちょんぎって新宿2丁目で新しい店を構えます。残ったナニは犬にでも食わせます。ですからお命だけはご勘弁をお願い致しますだ。

「ふぅん……まぁ、そこまで言うんだったら……色々と話を聞かせてくれてありがとね、若葉君」

「ははぁ……」

 

 とりあえずお奉行様が話の解る方で良かった。あっしの話なぞ聞き入れてもくれないかと思いました。

……じゃなくて、良かった。誤解は解けたようだ。これで何とか俺のクラスの地位が陥落することはないだろう。噂も嘘だと分かれば噂もすぐに消えるだろう。

 

「ういっすケースケ、終わったか?」

「ああ、終わったよ――お奉行様は寛大なお心をお持ちだった……」

「……頑張ったんだな、ケースケ」

 俺が遠い目をしてると山田がポンと肩を置いてきた。あぁ、親友って素晴らしい。親友がいなかったら俺はもう心がヘシ折れていたかもしれない。親友には色々と迷惑をかけるよ、本当に。

 

 

 

                  ※

 

 

 なんだかんだで授業を過ごし、飯を食っての昼休み。のんびりと過ごしていると、その時は来た。

不意に小猫さんが俺のところにやって来た。

「ケースケさん、部長がお話をしたいそうです」

 

 ……来たか、オカルト部部長であるリアス先輩とサシで話をするんだろうか。何をされるのか考えると陰鬱な気持ちになってしまうが、もうヤケだ。こうなれば行くところまで行ってやる。どうせ夢だ、起きれば寝汗でぐっしょりとした夢。そうだ、そういうことにしておこう。

 

「あー……分かった」

 席を立つ足がとても重い。確かこっちは新校舎だから旧校舎まで少し時間がかかるんだよな。

 

「こっちです」

 スタスタとマイペースに歩く小猫さん。何も交わす言葉がないので廊下が静かで何か嫌だ。この雰囲気がますます俺を陰鬱な気分にしてくる。ダメだ、何か話題を振ろう。

「そういえばこないだあげたのど飴だけどさ」

「……………」

 ダメだ、何もしゃべらない。眉一つ動かしてないぞ。人形じゃないんだから喋ってくれませんかね?こないだのあのやりとりみたいに話をしてくれませんでしょうかお願いします子猫先輩。

 

「ここです」

 おおぅ、一言も話さずにとうとう到着してしまった、オカルト研究部に。悪魔の総本山に。いや、確か生徒会の皆さんも悪魔だったから悪魔の総本山というよりはマフィアのアジトみたいなもんか。

 

 コンコン、とドアをノックして自分が来たことを知らせる。

「すいません、若葉です」

「どうぞ」

「では、私はこれで」

 

 あぁ、私はこれでっていうけどこれ絶対出入口を見張ってるんだろうなぁ……ハハッ、逃げ場はないか。ここ何階だったっけ?3階までならいざという時窓を破って逃げ出せる自信がある。足を負傷しようが命のためなら惜しくはない。

 

「失礼します」

ギィ……とドアが開き、中にはリアス先輩と姫島先輩が居た。おいおい、二対一かよ。話をする相手にこっちを監視する相手という感じか?絶対俺下手な動きをしたら後ろを取られて……南無。

 

「そこにかけていいわ」

「失礼します」

座れと言われたのでおとなしく座ろう。姫島先輩が視界から消えたために下手な動きをしないほうがいいだろう。座ってみたソファの心地は悪くない。が、そんな事を悠長に感じてる暇は生憎俺にはない。

 

「さて、単刀直入に言うけど……」

え?いきなり本題ですか? さり気なく聞いてくれたほうがこっちも誤魔化しが効くのに単刀直入か……これは不味い。

「な、なんでしょうか」

 

 嫌でも舌が鈍くなる。怖い、怖すぎる。そんな俺の心情を知ってか知らずかリアス先輩が一言。

「校門で言ってた、悪魔とか堕天使とかって……どういうこと?」

これ、誤魔化すことができるか……?




ふぅ……ここから姫島先輩ルート開拓とシリアス(笑)パートが始まったのでした……完。

いや、終わりませんけども。少なくとも現在23,4話までは執筆してありますからね、ハイ。
一応、23,4話を投稿し終えた後からググンと更新ペースが落ちるかもしれませんが、その時は
”ああ、ワナビもんとかプロフに書いてあるけど実際にはワナビ以下の精神力と根性を使い果たしたんだな……ヘタレがっ!”とでも思っておいてください。


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