ただのゲーマー高校生のハイスクールD×D   作:unat

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第9話:ランボー、悲しみのヴォルクダ

 正直言って、今日の学校は最悪だった。ウチのクラスのお奉行様含む殆どの女子の皆さんが俺に詰め寄ってきた。リアス先輩から走って逃げている俺がおかしなことをしたとでも思ったのだろうか。

 一応適当にバイトに遅れそうになって走っていたらハンカチを落としたらしくそれをリアス先輩が呼んだんだけどそれに気付かなかった俺が走って逃げてるように見えた、とまぁ間違いなくバレるであろう嘘をついたら信じてしまった。将来夫が浮気しても嘘で誤魔化されそうで心配になるわ、あそこまであっさりと信じられたら。

 

 その後小松原に出くわして例の塩の件をしつこく聞かれた。地獄耳か読心術を心得てるらしく、やはり奴は人ではないことを自分で証明しやがった。メールの事を聞いてみたがやっぱお奉行様はダメだった。

 昼休みの時、小猫さんが俺に話しかける前に逃げるように俺は適当にぶらついた。3年生のクラスがある階を極力避けて図書室とかで本を読んだりした。

 それで授業開始前ギリギリに教室へ帰り、その後も休み時間は来なかったので放課後。

 

「さて、お前ら。最近物騒になったから先生が護身術をひとつ教えてやる」

「アンタの護身術は高度すぎて誰にも使えねぇよ……」

 小松原がいきなり訳の分からんことを言い出したのでボソッ、と呟くとこっちを見ながら得意げに

「残念だったなぁ、若葉。これは本当に誰でも出来るんだよ」

 と言ってきたので俺も挑発気味に返しておこう。

 

「ほほぅ、じゃあ説明してみてくださいよ」

 元PMC社員が教える護身術が怪しいというか高度な技術を必要としないかどうか怪しい。ぜってぇ男にはできないことだったり女にはできないことだったりするんだろうなぁ。

 

「まず、女子は不審者ともみ合いになれば必ず力負けするから如何に距離を取り、相手に接近を許さない事が一番だが、もし掴まれたら……おい若葉、こっち来い」

 そう言いながら小松原は手招きをしてきた。こっちに来い、ということらしい。

「俺っすか?」

 嫌だなぁ、奴ならさり気ない所で本気出してくるだろうし、容赦ないし。しかもプロだから下手に失敗しないので、無理やり痛がって奴を失職させることも出来ない。

 

「誰でもいいだろう? で、まぁ相手がつかんできたとするだろう? おい、若葉。俺の肩を掴め」

「いや、俺そっち系じゃないんで」

 と、まぁ冗談を言いつつも小松原の肩を掴む。

 

「……このように腕を極める」

「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?」

 痛てぇ! おかしいだろこの反応速度!! つかんだ瞬間に俺の後ろに回り込むとかマジでプロの動きだよ!? これのどこに素人のできる要素があるんだよ、これ絶対俺への仕返しじゃねぇか!!

 

「「「「おお……」」」」

 技に見とれてる場合じゃないからな!? 俺マジで極められてるんだぞこれ!? 肩下手したら外されるか痛んで使い物にならなくなるんだぞ、分かるかお前ら!?

「……先生? これの何処に素人要素が入ってるんですかね?」

「おぉ、すまんすまん。お前には立派な兵士の素質がありそうだからな、それでつい本気を出してしまった。まぁ、兵士なんぞになるのはお薦めできんがな」

 

 嬉しくない、兵士の素質があるとか全然嬉しくない。命を狙われるのは悪魔相手だけでOKだ、十分です、足りてます。サバゲーやるかFPSやる方が十分俺に似合ってるよ。またはケワタガモでも呑気に狩って余生は狩猟犬育成でもするね。

 

「さて、今の動きはどうやっても男でもやるのは難しい。ここからが本題だ」

「また俺が付き合わされるんすか……」

 これ以上肩を責められるとバイトに支障が出るから止めていただきたいもんだぜ。

「さて、相手に肩を掴まれるだろう? その時は……おい、肩を掴め」

「はいはい……」

 

 言われたとおりに肩を掴む。するとごく自然な動きで肩をつかむ動作が受け流され、掴んだ瞬間に手から肩が離れ、体制が崩れる。

「おぉ?」

「これは簡単だ、肩をポンと置かれた瞬間に引くんだ。すると相手は掴もうとするから滑ってしまう。これにより大体バランスが崩れる。その後に振り向きざまに相手の顎に、平手でアッパーの様に撃つ。遠慮はするな、相手がやってきたんだ、正当防衛になる。この平手の撃つ場所は手のひらのこうやって、直角にした後手首の真上の部分、親指の付け根当たりをラインとした下半分の部分を相手の顎に向かって横に撃つことだ」

 

「おぉ、本格的に教えてるよ……さすがCQCを開発した人と似たような声をしているだけのことはあるな」

「誰がキャ●ィ何とかコンボを開発したって?」

「そっちじゃないですよ、そっちじゃ。てかストフ●イが好きなんですか先生は……じゃなくて、両腕を塞ぐように掴まれたらどうするんですか?」

「その時は……上級者向けだがやってみるか」

「はぁ……計画通り」

「ん?」

「いえ、なんでもないっす」

「まぁいいだろう。それで両腕を掴むときはだな……」

「え?掴めって?OKわかりました先生ィィィ!!」

 

 フハハハハハハハ!! まんまと引っかかったな小松原よ!! 俺が貴様に仕返しをしないとでも思ったのか小松原あああああああ!!

 俺は小松原の腰に手を回してスープレックスを食らわせてやろうとしたが、生憎ヤツの太い腕に阻まれるので両腕ごと掴むと――

「――消えた!?」

 奴は幽霊のように服を残して消えた。馬鹿な、奴はやはり人外、人ではなかったということなのか!?

「……これが上級者だ。甘いぞ若葉、その甘さを身をもって知るといい」

「う、後ろだとぉ!? 馬鹿な、これが質量のある残像かっ……!」

 確か本当は何かの破片が固まって散らばってるのがレーダーに敵機だと誤認させるのが質量のある残像なんだろうが、そんなことはどうでもいい!!

 

「さぁ、来い若葉!! お前に格の違いというものを教えてやる!! 卑怯な心を捨ててかかってこい!」

クソッ、クソッ、今日は本当にツいてねぇ! なんて日だ!あぁいいさ、ヤケだ、やってやらぁ!!

「……テ」

 

「ん? 命乞いならもっと大きな声で言うんだな若葉」

「テメェなんざ怖かねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 負け役のセリフだろうが負けフラグだろうがどうでもいい、意地もプライドももう必要ねぇ。後は俺の生き残る為の力とお前の技術のぶつかり合いだ!!

「……ふっ、随分と言うようになったなベ●ット」

「俺は元コマンドーだ!! 舐めるなよ!?」

「試してみるか? 俺だって元イエローウォーターだ。見くびられては困る」

「野郎ぶっ殺してやらあああああああああああああ!!!」

 俺の掛け声と共に小松原と俺は走り、距離を詰め、互いにカウンター、フェイントをかけずにストレートでお互いの頬に思いっきりぶん殴る。

 

 

 ――――そしてクラスが静まり返り、やがて一人が音も無く倒れ込む。

「これが、プロとアマチュアの違いだ」

 主人公補正? かかるわけないだろこんな化け物相手にさ。

 

 

 

                 ※

 

 

 なんだかんだあって放課後、俺は保健室で氷水を貰って頬を冷やす。歯が折れてないのは奴に手加減されたからだろう、正直言ってかなり悔しい。

「おっすケースケ、面白かったぞコマ●ドーごっこ」

「そうか、面白かったか」

 よしよし、あれがガチの殴り合いということは皆気づいてないようだ。まぁあそこまでネタなセリフを吐いたら誰でもそうだろうな。俺だってそう思う。

 

「女子も一部うっとりとしてるのがいたり若葉君カッコイーって言ってたぞぉ」

「後半は嘘だとして前半のは何なんだよ……」

 あの殴り合いにうっとりしていたって何だよ、男の殴り合いにときめいたりする女子が今どきいるんだろうか。何か危ない感じがしなくもないぞ。

 

「じゃあの、山田。俺はバイトだ」

「おう、じゃあ俺もアップ行くかー」

 

 俺と山田が分かれるとそこには誰も居なくなり……

「ケースケさん、いいですか?」

 居なくなり、そう、誰も居ないんだ。だからさっさと行かないとバイトに遅れる。ああ、今日は確か初復帰の日だったな、しっかりと仕事をこなさないと。

 

「よし、バイトいかないとなー」

「……話を聞いてください」

 キュッ、と肘の所の制服を軽く掴まれる。

「あー、小猫さん。俺バイトがあるんで急がないとまずいんでそれじゃ」

 俺は多少乱暴に腕を振り、走って逃げる。俺は正直言って最悪だ。

 

 

 そりゃぁ、客観的に見てみると俺って、最悪で最低だよな。人の話を聞きもしないで勝手に殺されるとか妄想してさ、挙句女の子を乱暴に振り払って走って逃げてるんだよ。それでこんな事考えてるのに……さ、何で一回も話を聞こうとしねぇんだよ……何でこんなに情けねぇんだ?

 

「畜生……畜生!!」

 虫酸が走る。自分がやった事とそれに対してああいう風に考えてるのに行動に移せない、いや移そうとしない俺に。

 

 

 

                   ※

 

 

 

「ケースケ、お疲れさん。今日は疲れてるようだがどうした?」

「いや、ちょっと走り込みをやったんすよ……」

 オヤジさんも心配しているところを悪いが適当に誤魔化そう、少し陰鬱な気分だ。

「まぁ、あまり自分を追い詰めるなよ。それが一番物事を悪くさせる」

「……はい」

 

 そう返事をして、俺は店を出た。

 オヤジさんは俺の顔から何か汲み取ったのだろうか、だが今の俺にその言葉はあまり嬉しくない。自分でやった事をここまで引きずってそれにオヤジさんにまで心配かけたんだ、情けない事この上無い。

 

「……悪魔とやりあうか」

 気付けば俺はあのじーさんが教えてくれた廃教会への道のりを歩んでいた。実際俺は何かしたい。自分のやった事を忘れて何かがしたい。現実逃避だろうと今はその事だけを忘れられることがしたいんだ。で、悪魔とやりあいたい。悪魔もそれを望んでいる奴を呼ぼう、もう一回死にかければ脳みそもスッキリするだろう。

 

 教会の前に行くと、いつもの雰囲気とは少し違うような気がした。まるで、悪魔が普通に巣食っているような空気だ、俺が昨日悪魔を召喚したからか?

「失礼しまーす……」

 なぜだか、雰囲気からこう一言でも言って入らないといけない気がしたが、誰が居るわけでもないだろう。そう思いつつも協会に入ると――

 

 ――そこには女性が居た。後ろ姿しか見えないが、シスターっぽい格好しているからおそらくはシスターだろう。そのシスターさんはなにやらお祈りでもしているのか、膝立ちをしたまま動かない。

 

「もしもーし……?」

 とりあえず呼びかけるが返事はない。一応ここは廃教会のはずだから誰も住んでも来る筈もないから俺以外がいるとなんか怖いな……

 

「あのー……」

 トントン、と肩を叩くも返事はない、ただのしかばねのようだ。そんな冗談はおいといて、大丈夫だろうか? ここは空気が悪いから気分でも悪くなったのか?

「あぁ……」

 と、ここでいきなりシスター服の女性がため息をつく。声は艶のある大人っぽい声が教会に響く。

「主は私を試すのですね、それなら仕方がありません」

「……?」

 何を言ってるんだこの人は、何か危ない電波発言にも受け取れること言ってるけど大丈夫か? もしやシスターって、こういう人が多いのだろうか。

「あぁ、お許しください主よ。人を殺める私をお許しください」

「……え?」

 何を言っているんだろうか、そう思ったとき、不意に女性が立ち上がった。

 

 女性はゆっくり、ゆっくりと立ち上がっていく……大きいな、俺より背が高い。……あれ?窓ガラスってあそこまで低かったか? それに、なんでこの人はそんな高さまで背が伸びてて――

 

 

 ――どうして腰から下が蛇の胴体なんだろう。

「あらあら、心ここにあらずといったところですか。なら元に戻して差し上げましょう」

「……?」

 何が起きているのかわからない俺の横で―――

 

 廃教会の長椅子が吹っ飛んだ。散った木片が俺の頬を掠め、痛みが俺の気を元に戻す。

「くそっ、悪魔かよ……!」

 その発言に向こうがピクッと反応する。

「そう、私は悪魔です。穢らわしい魔の物です、聖書や聖水、十字架を恐る異形の存在……!」

 どうやら俺は向こうの最も気に障ることを言ってしまったようで、相手に挑発をしてしまったらしい、まずいな。

 

 レベルは30、勝てなくはないが……どうするよ?




どうも、ここらへんからサブタイトルが滅茶苦茶になってますねぇ。文章量も少ないですし、今回もかなりの適当回になっちゃってますね……まだまだ未熟者ですわ(・ω・`)

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