僕と天狗の取材録   作:彩風 鶴

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注意
・この作品は東方projectの二次創作です
・不定期更新
・原作とは異なる自分設定
・妄想過多
・にわか故のキャラ崩壊や原作と違う部分
・VRの真価が発揮されるゲームっていうのはFPSとかエ(殴
以上が苦手な方でも折角ですしゆっくりしていって下さいね!


おまけ編 2話~契約事項の確認を~

「あの………文さん?本当にやるんですか…?」

獣耳と尾のついた女の子が文さんに尋ねる。

しかしそれに答えたのは文さんではなく…

「今更何言ってるのよ。私の情報のためよ。」

その横にいるツインテールの女性だ。

「はぁ……。」

女の子は諦めたようにため息をつくと僕の方へ体を向けた。

 

「犬走椛です。よろしくお願いします。」

そう言ってペコリと頭を下げる。

「え?あ!ここ、心音鞘といいます!。え、えと……お手柔らかに……。」

つられて僕もペコペコと忙しなく頭を下げた。

椛さんは顔を上げるともう一人の女性を見る。

ツインテールの女性は視線に気づいたのか「ん?」と声を上げた。

「あぁ、そう言えば名乗っていなかったわね……私は姫海堂はたてよ。こいつと同じで新聞記者をやってるわ。」

「一緒にされるのは大変不本意ですね………発行部数を比べても『同じ』なんて言えますか?」

笑顔で自己紹介したほたてさんに文さんが食いかかる。

「ふん……なにも発行部数だけで新聞の良さがきまるわけじゃないでしょ!?」

「えぇ、もちろんそれぐらいのことは存じていますよ?ですが情報の鮮度、記事の面白味……どれ一つとっても文々。新聞の方が優れていると思いますが……?」

「私は捏造なんてしたことないわよ?」

「捏造だなんて人聞きの悪い。第一新聞っていうのは―――」

 

そして口論が始まる。

なんというか……同族嫌悪……っていうんだろうか?どうにも仲が悪いらしい。

マスメディア関連の人物っていうのは敵を作りやすいと聞いたことがある気がするけど……仲間内だけでも仲良くしておいた方がいいんじゃないだろうか?

そんなことを心配していると椛さんが仲介に入る。

「二人ともそれくらいにして下さい。」

諫められた二人は渋々といった様子でお互いに口を噤む。

 

「さて、じゃぁ気を取り直しまして……勝負のルールを説明しましょう!」

すると一転、声色をグンッと明るくして文さんが話し出した。

そして、ルールの説明を始める。

要約するとこんな感じだ。

・両者は木刀を持ち、合図で対戦を始める。

・勝利条件は木刀を相手に当てる。またはなんらかの方法で「降参」を認めさせる。

・基本的には禁止事項なしのフリーダムなもの。

・文々。新聞の記事は世界一ィィ。

………最後のはいらなかったのではないだろうか?

まぁ内容は前に妖夢さんとお手合わせさせてもらったときと殆ど変わらない。

「弾幕勝負ではないんですか?」

横で椛さんが不思議そうに尋ねる。

ほたてさんもなんだか納得がいかないように眉をひそめている。

「まぁ、聞き分けのない妖怪なんかには有無を言わさず喰い殺される可能性だってありますしね。そういうときに身を守るためには肉弾戦の技術も必須でしょう?」

しかし文さんは当然だと言うように肩をすくめる。

なんだかとんでもなく不穏な言葉が聞こえた気がするけど僕は何も聞いていない。

聞いていないったら聞いていない。

「んー……まぁそうね。人間でも足掻けばどうにかなるかもしれないしね……。」

ほたてさんが小刻みに頷く。

椛さんはまだ納得している様子ではなかったが、そんなことは知らないと文さんが明るく言い放った。

 

「……とまぁ!そういうことです!!それでは!早速始めましょう!!」

 

そうしてノリノリの新聞記者二人と溜息混じりの助手二人は仕事場の外へと足を踏み出した。

 

 

周りが木に覆われていて少しだけ開けた空間。

お互いに向き合うようにして僕と椛さんが立っている。

緊張で汗ばんでいる手をギュッと握った。

「はーい!じゃぁ、始めますよー!!」

……とそこに緊張感のない声が一つ、続けて

「椛ーー。負けるんじゃないわよー!」

二つ……。

なんだか自分だけ緊張しているのが馬鹿らしくなってきた。

「あ、すいません!ちょっと待って下さい!」

ほどけた靴ひもを結ぼうと体を屈める。

 

「しっかし…いいの?万が一にも負ける可能性なんて……?」

「いやいや、甘く見ていては痛い目を見ますよ……。」

「……?」

「あの……!もう大丈夫です!」

僕が文さんたちに聞こえるように叫ぶ。

「よし!それでは始めましょう。私の『開始』の合図で始めて下さい。」

意気揚々といった感じで話す文さんに僕たちが頷く。

僕たちの様子に、文さんは満足そうな表情をつくった………。

 

そして。

 

 

「それでは……………………開始!!」

 

 

文さんのその言葉と共に場の空気が一転する。

椛さんは合図直後に動く様子はなかった。こちらの出方を窺っているのだろう。

二人の得物は普通の木刀一本で同じ条件だ。

ハンデと言えば椛さんの服の方が動きにくそう……ってぐらいだろうか……。

とにかく……ほとんどフェアな状態での勝負と言うことだ。

今までの経験から言ってまず簡単には勝たせてくれないだろう。

しかし僕も個人情報がかかっている………負けられない戦いなのだ………。

 

チラッ…と椛さんの表情を見やる。

真剣で……鋭い眼だ。

見た目がふわふわとした印象だからかすごく違和感を感じる。

 

………って、そんなこと考えている暇はない……!

相手が来ないなら自分から行くまでだ……!!

 

そう心の中で叫ぶと椛さんめがけて猛突進を仕掛ける。

少しは怯んでくれることを期待したのだけれど椛さんは表情をぴくりともさせずに構えの姿勢を保っている。

大きく上に振りかぶったひどく乱暴な一手。

隙だらけだが椛さんは受け止めようと木刀を構えた。

僕は自分のありったけの力を込めて木刀を振り下ろす………相手の木刀を吹き飛ばすつもりで………!

 

椛さんはゆっくりと……そう………しっかり視認できるほどゆっくりと木刀を前に突き出す。

 

それは勢いよく振り下ろされた僕の攻撃を受け止める。

そして、じっくり、丁寧に横に衝撃を流した……。

その勢いで体勢が横に崩れる。

「なっ……!?」

あまりにもあっさりと避けられた木刀が向かう先はただの地面。

この後にどうすればいいかなど考えるまでもない……。

 

どうにか身を横に転がす。

一瞬前に僕がいたところに椛さんの木刀が走る。

何とか避けることが出来たのは良いが木刀を離してしまった。

しかし今取り返そうとするのは得策じゃないだろう………。

そう思い、まず間合いを取るのを優先した。

椛さんは横に転がる木刀を蹴り飛ばす。

カランカランと音をたてて椛さんを通して僕の対極へと移動した。

 

「降参しますか……?」

 

椛さんがゆっくりと距離を詰めながら訊いてくる。

答えは勿論……

「まさか……まだ負けてないですよ!」

ハッキリNOと椛さんの目を見据える。

「そうですか………。」

椛さんは気が進まないというように溜め息混じりに呟いた。

そして……。

 

強く踏み込んでグンッと間合いを詰められる。

 

鋭い突き………。

 

間一髪で身を翻す。

受け止めることは出来ないから避ける以外に方法はない。

続く攻撃も同じようにぎりぎりでかわす。

 

椛さんの攻撃は妖夢さんのように攻撃と攻撃のスパンが短いわけではない。

しかしどうにも隙が見当たらない。

木刀を取り戻そうと少しでも背中を見せようものならそこで試合終了だろう。

どうしたものか…………。

そんなことを考える暇も与えずに椛さんの攻撃は続く。

集中力を切らすことが出来ない防戦にだんだんと疲れが現れてくる。

対する椛さんは息の一つも切らさずたんたんと攻撃を続ける。

このままでは負けるのも時間の問題だ……。

 

どうすれば………。

 

 

 

「あぁ、もう!何やってるのよ椛…!さっさとしなさいよ………。」

いらだった様子の声。

闘っている二人から少し離れた岩に腰掛けながら二人は観戦に興じる。

「いやぁ………ピンチですねぇ………。」

緊張感のない言葉。

その耳に入ってくるのは「はっ!」とか「やっ!」など短いかけ声のみ。

防戦一方の助手を見ながら呟いた。

「あんたねぇ……もう少し応援してあげなさいよ…。」

「いえいえ私は応援していますよ。表に出さないだけで……。」

微笑みながらそう答えるが目は二人から離れない。

「まぁ、どちらにしてもこの勝負………。もらったわね……!」

余裕の表情で言い放つが彼女はただ…………

「…………どうですかねぇ………。」

クスクスと笑った。

 

 

 

………。

さすがに疲れからか目の前が不明瞭になってくる。

まずい……………。

まずいのは分かっているけど打開策は見あたらない。

放たれた突きを屈んでかわす。

 

もう………一か八かだ……!

 

半ば自棄になって体を前に乗り出す。

そうして椛さんの手を掴んだ。

もう一方の手を肩辺りに置く………そして……。

 

「いゃっ!?」

 

思いっきり突き飛ばした。

小さな声と共に椛さんの体勢がぐらつく―――が、すぐに立て直してしまった。

 

しかし僕のやることは一つ………。

椛さんから得物を奪い取るのは難しいだろう。

それなら自分の得物を取り戻すまで……。

僕は転がった木刀の方めがけて一目散に走った。

木刀はまるで待っていたというように見えやすい位置に転がっている。

走りながら木刀を掴み、それと同時に180度体を回転させる。

椛さんが追いかけてきていると思ったからだ。

しかし実際はそんなことはなく倒れていたところでゆっくりと立ち上がっているところだった。

 

視線がこちらを向く……。

なんだかさっきより更に鋭さを増したというか……まるで獲物を狩る狼のような眼をしていた。

それを見て思わず木刀を掴む力をいっそう強くする。

 

椛さんが動いた……。

その次の瞬間には目の前に振り下ろされた木刀。

咄嗟に自分の木刀で受け止める。

 

ガッ……!!

 

受け止めた木刀を持つ手にびりびりと衝撃が走る。

しかし、反動のせいか椛さんは前に体勢を崩した。

 

 

…………刹那……。

 

 

「やぁっ!!」

放たれたそれは弧を描きながら椛さんを横からとらえ―――

ガンッ…

る直前に音をたてて静止する。

 

お互いに木刀を持つ手がぷるぷると震えているのが分かった。

頬には相手の息がかかる。

 

競り合いになれば分が悪いのは分かり切っている。

いったん後ろに跳ねるようにして距離をとる。

しかし椛さんは間髪入れずに距離を詰め、細かく攻撃を放つ。

その一つ一つを受け止め、かわしながら徐々に後退していく。

ガッ……

ガン……

カッ……

そんな音と共に繰り返される単調で、しかし気の抜くことは許されない作業。

ミスした方が………負ける。

集中力を切らすことなく尚も後退を続ける。

 

そして……。

 

足がもつれて後ろに倒れる。

「しまっ―――」

声を上げる間もなく椛さんが僕に向かって走る。

 

 

その途中にこけた。

 

 

………。

もう一度言い直そうか………。

その途中にこけた。

かわいらしい悲鳴とともにかなり派手に。

 

靴紐を結ぶときにもし役に立ったらと思って足を引っかけるようにして結んでおいた高い草。

 

え?ずるい?

 

勝負の世界では勝つか負けるかが全てなんです………。

過程なんてそんなに重要じゃないんですよ………。

計画通り………と新世界の神のように笑うと椛さんの前に走る。

そして、余裕だというように満面の笑みを浮かべながら速度を加減した一振り。

今度こそそれは椛さんをとらえて――――。

 

あれ?

 

顎に何かが当たる感覚。

椛さんに当たるはずの木刀は空を掻いていた。

そして顎には木刀。

横にはその木刀を持つ椛さん。

 

 

「はーーい!!そこまでです!!」

 

 

遠くから聞こえてきた試合終了を告げる声に脱力し僕はその場に滑り込んだ。

椛さんは「ふぅ………。」と一息つくと僕に一礼した。

僕は力なくなんとか笑顔を作り一言。

 

「参りました……。」

 

 

 

 

 

 

      続く……。

 

 

 

 

小さなおまけ~本編の尺が足りない~

 

「いやぁ……惜しかったですね。」

「うぅ…………気休めはいいですよ………。」

笑いながら肩をポンポンと叩いてくる文さんに顔を覆いながら応じる。

 

「それじゃぁ文……!約束の品を頂戴するわよ。」

落ち込んでいる僕の襟首を掴む細い腕。

振り返るとほたてさんが勝ち誇ったように笑みを浮かべていた。

文さんはやれやれといったように肩をすくめるとほたてさんに向かって新聞を投げた。

「……?」

ほたてさんは訝しげにそれを受け取ると僕から手を離した。

新聞を広げて中身に目を通している。途中で椛さんを一瞥していた。

椛さんは不思議そうに首を傾げると横から新聞を覗き見る。

そしてその顔はみるみるうちに紅潮していった。

「ちょ、ちょっと文さん!?これ処分してくれるって言ったじゃないですか!?」

真っ赤にした顔で叫ぶように文さんに尋ねる。

何が書いてあるんだろうか……。

「これ、ちょっと前にあんたが出したやつでしょ?これなら私だって持ってるわよ「えっ!?」これが何だって言うの?」

ほたてさんも半眼で文さんに尋ねる。

 

文さんはすぐに答えることはせず僕の肩を持って自分のもとへ引き寄せた。

そしてニコッと笑顔を作って……

「私は確かに情報をあげると言いましたね?」

「……。」

ほたてさんが黙って頷く。

「それで、誰の情報だと言いました?」

文さんの問いかけにその場の全員が黙り込む。

僕が記憶を引っ張り出す前に椛さんが答えた。

「『その子の情報』って言いましたっけ?」

ご名答!と文さんは満足げにコクリと頷いた。

「えぇ、しっかりと椛の方を指差して言いましたよ?」

いたずらっ子が種を明かすように嬉しそうに楽しそうに言った。

 

「なっ!?………そんなの屁理屈……。」

「屁理屈は理屈の親戚ですよー。」

不服申し立てるほたてさんにヘラヘラと応じながら文さんは笑う。

 

「はぁ………」「はぁ………」

重なったため息に椛さんと顔を合わせる。

それがおかしくて、互いに少しだけ笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも!面白そうなゲームが多すぎてどうすればいいか分からない彩風です。

それ以前に所有ハードが少なすぎるんですけどね……。

さて今回もここまで見ていただきありがとうございました。
さてさて、おまけ編も終わり次回からはやっとこさ本編に戻ります。
ふぅ……リアルが忙しくなってきて辛いです。助けて下さい。
………助けて下さい(期待の目)

いやぁ……戦闘編はどうにも書き方がつかめません………。
迫力のある描写を書ける人って凄いですよね……マジリスペクトデス。

因みに今回は久しぶりに《尺が足りない》という事態に襲われました!!
僕と天狗の取材録は基本4000文字から4500文字までで構成されているのですが今回はなんとなんと5000文字越えでお送りさせていただきました。
後書きの『ここまで見ていただきありがとうございます!』がより深みのあるものとなっております。

尺が足りないというのは結構な問題でして、鞘は話中ではたてのことをほたてと勘違いしているのですが………。
訂正するタイミングを逃してしまった……。
それ故鞘の中では、はたてはほたてであり続けるのです……!!
いやぁ、名前間違えることってありますよねぇ。
しょうがないしょうがない……(白目)


それでは!次回も是非是非ゆっくりしていって下さいね!
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