うまく表現出来ない部分もあると思いますが、よろしくお願いいたします。
「私の名前は雨宮ツバキ、お前たち二人の教練担当者だ。この後の予定を言う、復唱はいらないが、一度で覚えろ。この後の予定はメディカルチェックを済ませたのち、基礎体力の強化、基本戦術の習得、各種兵装の扱いなどのカリキュラムをこなしてもらう」
あぁ、頭が痛い。ついでにと言うか体全体が痛い。
「今までは守られる側だったかもしれんが、これからは守る側だ。つまらないことで死にたくなければ、私の命令には全てYESで答えろ、いいな?」
右手首には見た事有るけど、画面の向こうでしか見た事ない腕輪が付いている。
でも腕輪の重みを感じているほど余裕はなくて、体全体の痛みの方に意識を持っていかれる。
「それでは、早速メディカルチェックを始める。小鳥遊左、まずはお前からだ。ペイラー・サカキ博士の部屋に一五○○までに集まる様に」
以上、そう言ってツバキと名乗った人はどっかに行った。ハァと息を吐いて肩の力を抜く。
あの人の前だと自然と力が入ってしまう。どうやら隣の少年も同じだったようだ。
「ハァ、あのツバキさんって人凄かったな。えぇと……名前何だっけ?」
こっちを向いた派手なオレンジと黄色が混じった色の服の少年が聞いてくる。多分十五、六くらいの年だろう。
「……小鳥遊左。そっちも名前何だっけ?」
「おいおい、さっき言ったじゃん。もう忘れたのかよ」
「スマン、腕輪が痛くてあまり聞いていなかった」
そう答えると、目の前の少年は申し訳なさそうな顔をして「新型って大変なんだな」とつぶやいた。
「じゃあもう一度言うから今度は覚えてくれよな。藤木コウタだ。コウタでいいぜ」
「よろしく、俺はヒダリでいい」
「了解。そろそろヒダリはメディカルチェックじゃないのか?」
コウタに言われて壁の時計を見れば時間は一四四五。指定された場所が分からない以上、どこかで聞かなくてはいけないから、結構ギリギリな時間だ。
初日から遅れるというのは絶対に避けなくてはいけない。
「じゃあコウタ、またあとで」
「ああ、またな」
歩きながらコウタに別れを告げて部屋を出る。さて、案内掲示板はどこにあるかな?
◇
目が覚めたら知らない天井と言うか、天井が見えないくらい高さのある殺風景な部屋にいた。
布団で寝ていたはずなのに、寝ているのは堅い金属の板の上。まな板の鯉の方がまだマシな環境にいるだろう。
あ、でもあれって最終的に捌かれるから良くないか。
〈小鳥遊左君、準備の方はいいかね?〉
いきなり聞こえてくる声に辺りを見回せば、はるか上の方にガラス越しに此方を見ている人影が見えた。
そしてその手前、俺の右手のすぐそばにはなんだか棺っぽいものにゴッツイドリル。それを見て頭が追い付いてきた。あぁ、GODEATERだと。
〈準備がいいのなら、これより適合試験を開始させてもらう〉
なんで自分がこの場所にいるのかさっぱり分からない。よくある転生物かと思えば、そんな記憶はないしそうでもないようだが、いかんせんここで起きるまでの記憶がトンと抜けている。
「………アアァァアアアアァァァァアァ!!」
考え事をしていたらいきなり激痛が襲ってきた。痛みに反応するように体が動くが、右手が何かに挟まっているように動かない。
痛みでうまく開かない目をどうにか開いてみて見れば自分の右手首に付けられている赤い腕輪に突き刺さるドリル。
考え事の最中で聞いていなかったが、おそらくあの時に適合試験を始めるとか言っていたのだろう。聞いていない俺が悪いのかもしれないが、せめて此方の反応があってから始めてほしいものだ。
「アアァアァア………」
しばらく痛みにのた打ち回っていると、痛みが引いてくる。それと同時に腕輪からドリルが引き抜かれて、閉じられていた棺が開く。
支えを失った俺は寝ていた鉄板から転がり落ちる。腹から落ちたが、その落ちた時の痛みは神機との適合の痛みに負けて感じることは無かった。痛みが続く体で自分が握っている神機を見ることが出来た。
「ァ……アレ?」
持っていた神機は全体が黒で統一されていて、縁だけが銀色のブレード・ブラスト・シールド。この神機に見覚えはあるが、でもこの場所で見た物ではないはずだ。
「これって……クロガ…ネ」
そこまで言って、目の前が暗くなった。
◇
「おぉ!これは凄い!」「
「……以上だ、君には期待しているよ。何か聞きたいことはあるかね?」
「……っ!えぇっと……」
……どうやら意識が飛んでいたようだ。
この部屋、サカキ博士の部屋についてシックザール支部長が話始めたところまでは覚えているが、そこから先の事が全く頭にない。
質問はあるかと聞かれても、聞いていないのだからあったものではない。
ちなみに、自分の年はここに来る途中にあった鏡で見た感じ、コウタと同じくらいの感じだったからきっと十六歳くらいだ。
「ん?どうした。なんだか顔色が悪いようだが、具合が悪いのか?」
此方が黙っていると支部長が不思議そうに聞いてきた。
さっきのツバキさんの時よりは痛みは引いてきたがそれでもまだ痛みが残っているので、支部長の質問に載らせてもらおう。
「ええ、まだちょっと体が痛くて」
「そうか、適合試験の際の痛みが残っているのか?ならば無理はさせられないな。この後の予定されている訓練は明日に変更した方がいいのかもしれない。どう思うペイラー?」
俺の答えに支部長は奥のパソコンがいくつも付いたデスクに座っているメガネの男性ペイラー・サカキに問いかける。
「そうだね、データからは特に重症とみられる反応は出ていないけれど、様子を見た方がいいかもしれないね。何分新型の適合はここでは初めてだ。急かして何かあるといけない」
博士の答えに支部長は頷く。
「そう言う事だ。小鳥遊左、貴官のこれからの予定を訓練から休養に変更する。ゆっくりと体を休めたまえ。だが念の為、睡眠をとる時は何かあった時に速やかに対応するために医務室で睡眠をとること。以上だ、何かあるかね」
「……なら、一つだけよろしいでしょうか?」
敬礼をしつつ尋ねると支部長は頷き許可をくれた。
「自分の適合試験の時に使われたあの神機は何と言うのでしょうか?」
いきなりなぜクロガネが使われたのかと聞けば、なんでその名前を知っているとか言う事態になりかねないので、無難な感じで聞いてみる。
さて、支部長はなんて答えるだろうか。
「それについては私が答えよう」
口を開いたのは支部長の後ろにいた博士だった。
「あの神機はさっきも言ったように君は第一世代の神機ではないのは分かるね」
聞いてはいなかったが、理解は出来るので頷いておく。俺が頷いたのを見て博士は続ける。
「今後は君の様な第二世代の神機に適合できる人が増えていくだろう。そうなった際に各支部でそれぞれ専用の神機を調達するのには時間と手間がかかる。そこでその問題を解決するためにフェンリル全体で量産できる第二世代神機を作ることになってね、アレはその試作機なんだ。正式に量産されるようになった時の名前は『クロガネ』だからあれは『試作・クロガネ』って所かな。何か質問はあるかい?」
俺が首を横に振ったのを見て博士は頷く。続いて支部長が話す。
「さて、以上で終了としよう。小鳥遊、君は早く休養を取りたまえ」
その言葉に敬礼をして、部屋を退出した。