「君はどこか僕と似てるところがあるんだよね」
「僕とヤシャがですか?」
「うん、実は僕リアルでは病弱でね、あんまり外でも遊べないし、ずっと病院で寝たきりだった事もあるんだ。だから、似てる、体が強くない所が似てる……」
誰かの話し声が聞こえる。その声はとても寂しげでとても儚げだった。
「そう、ですか……もしかしてハンターに襲われた時にヤシャが怒ったのって……」
「まぁそういう事。マナのことを生きてても仕方ないみたいに言ったハンターが許せなくて僕にも言われた気がして、つい熱くなっちゃった」
そうか。ヤシャにそんな秘密があったなんて……
「ホノは起こさないのかい?別れの挨拶した方がいいと思うんけど……」
「いえ、止めておきます…。ホノは多分僕のために泣いてくれると思うので、僕は大好きな友達が泣く姿はみたくないから……」
ヤシャ「そっか……」
楽しかったこれまでが終わりを告げる…マナの手がすやすや眠っているホノの手に触れ、マナはホノに語りかける
マナ「僕は見ての通り子供ですからホノを悲しませない方法はこれくらいしか思いつかないから。謝らせてくださいごめんなさいホノ……」
あ、といいマナは静かに見つめるヤシャに向き直り言った
マナ「……ヤシャ。ホノが起きたら伝えて欲しい事があります―――――――――」
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ホノ「……はっ!」
何かに導かれるように慌てて起き上がるホノ。どうやら木の影で眠っていたら熟睡してしまった様だ。何か夢を見てた気もしていた。
ホノ「夢……だったのかな……?」
辺りは暗く完全に日が落ちていた。ボーッとした意識の中ある事に気づく。隣で眠っていたはずのマナが居ないのだ。
ホノ「いや、夢のはずがない……!」
ヤシャ「起きた見たいだねホノ」
無防備に寝ていたホノを守るためにずっと起きていたヤシャがホノに声を掛ける、
ホノ「ヤシャ!マナは!?私の横で眠ってたはずなのに居なくなってるの!」
慌てて状況を確認するホノにヤシャは言った
ヤシャ「ホノ……マナはね……もういないんだよ…」
え?とホノの小さな声が暗くなった野原に消えていった
ホノ「そんな……なんで……何も言わずに行っちゃうのさ…私……まだマナにさよならって伝えてないのに……」
俯き涙声になるホノにヤシャは優しく背中を撫でた
ヤシャ「泣かないで……、マナもそれは望んでいないよ、だから泣かないで」
ホノが泣かないことがマナの望みだからそれを伝えるヤシャ。ホノもそれを聞いて涙を堪えて
ホノ「……うん……泣かないよ……だからね」
そう答えた。ヤシャは黙ってマナを引き止められなかった自分は何を言われてもいいと思いながらホノの言葉を聞いた
ヤシャ「……うん」
ホノは決意めいた表情を浮かべ続けた
ホノ「マナを……マナを探しに行く!」
え、というヤシャの言葉が出た頃にはホノは立ち上がり周りをきょろきょろしながら
ホノ「マナはどこに行ったの、ヤシャ!?」
問いただされるヤシャだが、答えた所でもうマナが居ないという事は変わらない。だからヤシャは言う
ヤシャ「ホノ……お願い分かって……マナはもう……居ないんだ」
目元を両手で抑え、泣くのを堪えるように言った。そんなヤシャを見てホノは何も言えなくなり再び芝生の上に座り込む。そして座りながら俯いた
ホノ「マナ……ごめんね………………さよなら」
マナを救えなかったことによる謝罪か、ホノは自然とごめんねと言った。そして別れの言葉を口にした。
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謝る事など何もありません。僕はホノとヤシャ。あなた達が居なかったらずっと孤独のままでした。それなのに僕を外に連れ出してくれた。僕を普通のプレイヤー……いえ、普通の人間のように接してくれた。楽しい思い出がいっぱい出来た、だから僕は消えることに何も後悔はありません。楽しい思い出を沢山ありがとうございました。さようならヤシャ、そしてホノ。
宿舎のベッドに座っているホノ、窓の外から見える星がとても綺麗で言い知れぬ物が胸の中で渦巻いた。あの後そのまま宿舎に帰り、落ち着こうとベットに座るが未だに悲しさは癒えない。ヤシャもホノの部屋で椅子に座ったまま喋らない、そこでホノが
ホノ「はぁ〜あ」
と、突然気の抜ける声を出しベッドにそののまま横に倒れるホノにヤシャが変な顔をした
ヤシャ「どうしたのホノ、急に」
横に眠った状態でホノは言った
ホノ「ううん、こんな時でも星は綺麗だし、お腹は空くし時間は流れるんだなー思って」
さっきまで泣く一歩手前ぐらいだったのにと、思ったヤシャだったが、吹っ切れたのかと解釈しヤシャが言った
ヤシャ「そう言えばマナがいなくなる前にホノ伝えて欲しい事があるって言ってたよ」
ホノ「え!?」
突然の事に驚きガバっと起き上がるホノ。そしてヤシャに詰め寄った
ホノ「何!?なんて言ってたの!?」
急に詰め寄られ少し後ずさるヤシャだが、何とか億さず続けた
ヤシャ「えっと……『僕がいなくなった後アイテム欄の一番下を見てみて下さい』だよ」
別に忘れていたわけではないのだが、突然探しに行くなんて言うものだから色々な事を含めて今言った方がいいと判断した
ホノ「アイテム欄?」
早速ホノは右手を振りメニューを開きアイテム欄を確認する。一番下までスクロールさせるとそこには
『サンドイッチ』
それはマナがこのSAOで初めて食べた物。マナが凄く美味しいとぱくぱくと頬張っていた物。
ホノ「サンドイッチって……ふ、ふはは」
余程美味しかったのだろう。こうやってアイテム欄にこっそり入れておくほどなのだから。ヤシャもそれを見て2人で微笑んだ。ホノはそれをクリックし、手元にオブジェクト化させた。とても美味しそうなサンドイッチがホノの手元に現れた
ヤシャ「ははは、なんじゃそりゃ」
ホノ「本当にね、こんなの……ふふ……食べられないよ…」
涙がホノの頬に流れた。それでもホノは笑うマナのために笑った
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ハンター「ほら、行くぞ」
マナ「うん…」
ハンターに連れられたマナは自分が元いた場所へ帰るため、またあのクエストの道なりを歩いていた。帰った所で消えるのは変わらないが、場所くらいは選びたかった。そこでマナはふと気になった事をハンターに訊ねた
マナ「そう言えばハンター」
ハンター「なんだ?」
相変わらずの巨体をそのままに言葉だけで返すハンター
マナ「その……なんで一度僕を見逃してくれたの?」
それを聞いたハンターは頭を掻きながら
ハンター「見逃したつもりは無かったんだがなぁ、予想以上にあの二人がやる者だからこれ以上戦うのがめんどくさくなっただけだ」
と、返した
マナ「でも、やろうと思えば僕を無理矢理連れて行くことも出来たよね?それにそんな理由で仕事を投げるのはハンターらしく無いし。やっぱり見逃してくれたんだ。見た目によらず優しいねハンター」
にこにこ笑いながらハンターに言うマナ。そんな純粋な表情で見られたハンターはあのなぁと頭を抱えた
ハンター「俺はただ、お前の境遇に少しだけ……ほんの少しだけ同情しただけだ。間違っても俺が良い奴なんて思うな。お前とその、ヤシャってプレイヤーにも癪に障ったみたいだしな」
マナ「あれ?もしかして気にしてたの?やっぱり優しいーね」
はぁとハンターはため息をついて足を止めた
ハンター「着いたぞ」
マナ「うん」
そこはホノとヤシャがマナに出会った場所。お墓のような建造物の上にマナは座った状態で2人に出会った。あの時のようにマナは座った。そして目を閉じる
ハンター「それじゃ俺は行くぞ。お前の事は忘れねぇ」
マナ「うん。ありがとう。あ、そうだユイもここの所心配だから様子を見てくれると嬉しいよ」
ハンター「メンタルヘルスケアの奴かどうだろうな、あそこは俺の管轄外だからな。まぁお前の姉さんみてぇなものだからな気にしてはみるさ。じゃあな」
そう言うとハンターは何も無い空間から穴を開けその中に消えていった。マナの周りが綺麗な光に包まれた
マナ(ああ楽しかったなぁ、ホノ、君のおかげで僕は幸せだったよ)
マナ(サンドイッチ凄く美味しかったです)
マナ(さよなら)
光に包まれながらマナの体は消えていった
ホノ「ん?何だろこれ?」
宿舎でヤシャと一緒に眠ってたホノはふと目が覚め起き上がる。気がつくと手に何かを握っていた
ホノ「石?アイテム名は『コネクトストーン』?」
初めて見る名前だが何故か落ち着く、ホノは直感で感じた、この石は大切にしようと。ホノは一度宿舎を出るためヤシャに気づかれないように外に出た。空を見上げると綺麗な星が煌めく
ホノ「マナ……きっとまた会えるよね」
コネクトストーンを空に掲げると、流れ星が一つ流れた