案外あっさりと二人のコミュニティ加入を認められ、キキョウは部屋でヒナの瞳力を確かめていた。
「ヒナ、白眼を見せてくれ」
「はい、お父さん」
キキョウの言葉により、チャクラを眼に集中させるヒナ。
「白眼!」
ヒナの目の周りに血管のようなものが浮かび上がる。
「…懐かしいな。ヒナ、まだ言ってなかったが俺もお前のような眼を持っているんだ。今それを見せることはできないが、今度機会があれば見せてやろう」
自分の右目を触り、ヒナにもういいと言う。
「さて…ユイ、そろそろお前の修行をするか」
「はいっ! ってえぇっ?」
ユイが驚いたのも無理はない。急にキキョウがユイの首根っこを掴み、窓から飛び降りた。
「ええっ!? 急にどうしたのお父さん!?」
そして取り残されたヒナはその奇行とも思える行動に驚くばかりだった。
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「さて、じゃあまずはチャクラについて説明する。ユイ、お前はチャクラについてどこまで知っている?」
「はい、ええと……忍術を出すために必要なものです」
「……それだけか?」
「…すみません。全然覚えてません」
「まあいい、一から説明してやる。チャクラとは、術の礎となるエネルギーで、万物を生成する精気そのものともされる。人体を構成する膨大な数の細胞一つ一つから取り出す「
「はい、分かりました!」
「……本当にか?」
「もちろんっすよ!」
「……ならいい、取り敢えずお前には時空間忍術の一つ、口寄せの術を覚えてもらう」
「口寄せですか?」
「ああ、まあ見ていろ」
キキョウは親指を噛み、少し血を垂らす。そして亥・戌・酉・申・未の順に印を結ぶ。
「口寄せの術!」
大きな煙が立ち起こり、煙が晴れるそこには大きな体躯の赤き竜がいた。
「これが口寄せだ。コイツは火竜リオレウスと言われる
「ど、どうやってですか?」
「……レウス、頼んだ」
キキョウは
(あれは相当酔うんだよな)
口寄せの契約方法は様々だが、リオレウスの契約方法は単純だが恐ろしい。
口に銜えられたまま空を飛び続けるという恐ろしい行為だ。
「……はぁ……はぁ……」
「此れで契約は完了だ。早速やってみろ」
「……はぁ……はぁ……わ、分かりました」
ユイはキキョウと同じように親指を噛み、口寄せの印を結ぶ。
「印は問題ないな。さて……」
大きな煙を立てて現れたのは――
「きゅい?」
――可愛らしい
「おいおい…才能無いなぁ」
「ガーン……」
失敗したことにか、はたまたキキョウの「才能無い」にか、肩を落とし
「きゅい?」
「おお…可愛らしいじゃないか。まあ……戦闘向きではないな」
「ううっ……てか呼び出したのは俺なのに何で師匠の方ばっかなんだよ!」
まだ小さい雛は驚き、「きゅいきゅい」と鳴き声を上げる。
「馬鹿野郎、大声を出す奴があるか。……こういうのは心を通わすんだ。そうすりゃ自然と相手も心を開いてくれるさ」
「そうは言ったって…」
「まあ、口寄せは一人でもできるからな。時間があって、尚且つ開けた場所があれば挑戦してみろ。あとは…ちょっと待ってろ。ええと………あったあった、この巻物を渡しておく」
身体中を探し、漸く一つの巻物を見つける。それをそのままユイへと渡す。
「それには基本忍術から高等忍術までいろいろある。だが、使えん忍術もあるはずだ」
「え? どういうことですか?」
「誰もが全ての性質変化を持っているわけではない。それは生まれ持った才能だ」
事実、キキョウは火、水、土、雷の四つを扱うことができる。まあ輪廻眼により例外なく五つの性質変化を操れるのだが。
「忍術を撃つために必要な性質変化は、先天的なものだけではなく、後天的に覚えられることもできる。望ましいのは大体三つくらいだな。どれ、今試してみるか?」
ポーチから真っ白な紙を取り出す。まるでドラえもんみたいに何でも出てくるポーチだ。
「誰がドラえもんだ、っとまあいい。ほら」
「……これは?」
「それにチャクラを込めてみろ。その紙はチャクラに反応して燃えたりする。たとえば火の性質なら紙が燃え、風なら千切れる。まあ物は試しだ、やってみろ」
「はいっ!……うおぉぉぉ!」
ユイの両掌にチャクラが集められ、紙に自然と変化が起こる。
「――火と風か。なら教えやすいな」
紙に火が付き、切れた。
「えっ? どうしてですか?」
「それはな……うちはは火を操る家系と言われている。その中でも俺は火遁なら尾獣すら倒せる」
「尾獣?」
「まあ後で教えてやる…火遁なら丁度いい術があるな」
キキョウは巻物を開いて、とある術の項目をユイに見せる。
「火遁、豪火球?」
「ああ、うちはでも最初にこれを覚えさせられるほど認知度が高くまた、印自体は少ないからお前でも覚えられるはずだ」
「むぅー、なんか師匠俺の事そこはかとなく馬鹿にしてない?」
「安心しろ。そこはかとなくでは無く、普通に馬鹿にしているからな。まあこれを撃てるまでは何も教えることはできないぞ」
「えぇ! 何でですか!」
「当り前だろう。豪火球は確かに俺が使えば強力な術だが、所詮火遁の入門みたいなものだ。これが出来なければ次の火遁も教えられんし、どうせ覚えられん。それに」
「それに?」
「――この術は弟子であるお前には覚えてもらいたい術だからな」
ユイは感動したのか、涙が溢れかけていた。
「と言う訳で頑張れ。俺は何も教えんからな」
キキョウは手を振って、自室に戻った。
雛はきっと空に召しました
wikipedia参照