「…ん?」
夜になって、キキョウはノーネーム拠点に
修行で疲れてぐっすり眠ってしまった二人の兄妹を起こさないように、音を立てずに部屋を出る。
「……どうした黒ウサギ?」
「キキョウさん! 今元ノーネームの仲間が来ているんです!」
ウサ耳と尻尾を振り振りと動かせ、満面の笑みを浮かばせて言う黒ウサギ。
「…成る程、この気配は其れか」
キキョウは気配の人物が入ったであろう部屋に向かって歩き出す。
「……つまり今のノーネームの力が知りたいんだろ?――だったら簡単な方法がある。元魔王サマのその力で試せばいい。――なぁ?」
「……そうだな。そんな簡単なことがあったな」
十六夜の挑発めいた
そこに――
「面白そうだな、俺も混ぜてもらおうか」
――魔王も気を失う程の
「キキョウ…」
「どうした、何を怯えているのだ? 元魔王よ」
殺気とは違い圧倒するような
「……この程度か」
その様子に、魔王と言う生物に興味を失ったの踵を返す。
「……おい、そこの元魔王」
「な、なんだ?」
部屋を出る直前、振り向き様に言う。
「…不可視の能力に心当たりは?」
「!?」
レティシアの反応を肯定と取ったのか、キキョウはため息を吐いて飛雷心の術を使い、中庭へと一瞬の内に移動する。
「…不可視の集団か……確か似たような能力を邪神の部下が使っていたな。なら…」
キキョウは目を閉じ、ゆっくりと開く。
その眼は紅く、三つの勾玉模様が浮かんでいた。
「…成る程、つまりは気配も消せず生命エネルギーも遮断できないのか…雑魚が」
一瞬、キキョウは一瞬で上空の
「…やはりつまらん」
意識を失って落下してくる
「邪魔するぞ」
「んなっ!?誰だお前は!」
室内にマーキングしておいたため、直接室内へと現れたキキョウに対して、金髪の青年は警戒心を剥き出しに言った。
「…喚くな、雑魚が」
「ああっ!!」
「ええい!少し落ち着かんか馬鹿者どもが!外に放り出すぞ!」
「っ!?」
白夜叉の怒声に金髪の青年、ルイオス・ペルセウスは恐怖した。怒声とともに殺気も乗っていたので、当然と言えば当然だが。
「…おい、塵芥……貴様がペルセウスのリーダーだな?」
「…ああ、それがどうした?」
「…ふっ、何でもない。ただうちのコミュニティに手を出すような馬鹿共の親玉が知りたかっただけだ。おい、塵芥風情が…」
キキョウは目を見開く。やはりその眼は紅く三つの勾玉模様が浮かんでいた。
「俺とゲームをしようぜ。なに、そう難しいものじゃない、ただ貴様らのコミュニティメンバー全員と俺が戦うだけだ」
キキョウは一方的に言う。既に幻術に掛かっているルイオスはただ頷くことしかできない。
「もちろんハンデもつけよう……俺が勝ったら元魔王は貰っていくぞ」
最後のキキョウの言葉にルイオスが頷く。すると、上空から
「時間は三十分後、場所は…白夜叉、ゲーム盤を一つ借りるぞ」
「う…うむ、分かった」
そう言ってルイオスの幻術を解いた。
「……漸くか、あまり俺を待たせてくれるな」
「フッ、コミュニティ全員を集めるのは時間がかかるんだ。それより…」
「ああ、早く始めよう。その前にハンデを教えよう……俺は五分間手を出さん。さあ、開始だ」
「くっ、早く行け!名無し如きに僕の手を煩わせるな!」
ペルセウスのメンバーは慌てて武器を持ち直しキキョウに向かって突っ込んでいく。
「甘い甘い」
全てをひらりと躱していく。総勢百を超えるペルセウスのメンバーは武器を振るうが、一発も届かず更にルイオスの解放した星霊アルゴールの石化からも躱す。五分が経った頃には、ペルセウスのメンバーは既に疲れ切っていた。
「……五分が経ったな。一発で仕留めてやるから覚悟しておけ。……火遁・豪火滅却」
それは白夜叉に放った火遁のどれと比べても比較にならないレベルの忍術で、その一撃でルイオスたちはおろかアルゴールですら瀕死の重傷となった。
「…レティシアは貰っていくぞ」
「……どうしたお前ら?こんな遅くに」
コミュニティに戻ると黒ウサギ達はみんな起きていた。
「…キキョウさんが行ったあと、私たちも追いかけようとしたのですが十六夜さんに止められてしまいました」
「だから言ったろ?キキョウなら余裕だって」
それまで黙っていたレティシアが口を開く。
「…なぜお前は私にそこまでしてくれるのだ?」
「…別に、気が向いただけだ」
キキョウはそれだけを言って部屋に戻った