思い出した人っていたりするんですかね?
まあ、話には全く関係ありませんが。
…なんだこの空間…
「…」スー…スー…
「…」チクチク…
「…」カリカリ
ルルト先生は馬車のスペースをほとんど
使って、なぜか持ってきてる布団で寝てるし、
ヨミちゃんは人形を縫ってるし、
シスさんは何か書いてるみたいだし…
というか先生はそれでいいのかな…
いや、夜も見張りをしてくれてるから
ダメとは言えないけどね。
…それにしても、
なんでこの中、こんなに静かなんだろ…
こういう空気少し苦手なんだけどな…
あと、じっとしてるのも。
アキラ君は外で馬を歩かせてるからなぁ。
話す人が誰もいないや…
「サヨリー、ちょっといいかー?」
噂をすればってかんじだね。
「どうしたの?アキラ君。」
「話し相手にでもなってくれないか?
暇で暇で仕方ねぇんだ。
ずいぶん開けた道だからサヨリん時
みたいにいきなり襲われることも
ねぇだろうから警戒もほとんどいらねぇしな。
…これ、マジで暇だな。」
「うん、そうなんだよね〜。
言っちゃえば、前見てればいいだけでしょ?
馬が道を逸れちゃったりしたらあれだけど
よく訓練されてるからかそんなことも
全然なかったし。あ、そういえば
アキラ君のお父さんたちに、店の手伝い
できないって言ったら何か言われた?」
「むしろ喜ばれたよ。
お前も立派になったなって。
そう言われんのはまだ早いような
気はするんだがな。
ま、こんなこと初めてだからな。
そんで、店の方は任せろってよ。」
「そっか。…そういえば私たちが
向かってるとこってどんなところかな?
何か知ってたりしない?」
「ん?どうせならシスさんに
聞いたらどうだ?先生じゃあるまいし
起きてるだろ?」
「何か書き物をしてるみたいで
邪魔したくないんだ。」
「へぇ、そうなのか?
しっかし、俺に聞かれてもほとんど
知らねぇぞ?親父たちから少し
聞いたぐらいだからな。」
「そうなの?」
「ああ。なんか、一言で表すなら
古き良き、ってかんじのとこらしいぜ?
露店はけっこう出てるらしいけどな。
知ってんのはそんぐらいだ。」
「露店かぁ…見に行けたりするかな?」
「俺たちがどこまで倉庫番をしてりゃ
いいかによるだろうからな。
あっちについてからそのへんは
教えてもらうんだろうし、
空く時間によっては行けるかもしれない。」
「そっか。なんか面白そうなの
売ってたりするのかな?」
「普通に食い物を売ってるのが
ほとんどだったらしいぜ。
ところどころ小物とかも売ってたらしいけどな。」
「へぇ、そうなんだ。」
小物か…あんまり興味はなかったけど、
せっかくだから何か探すのもありかもなぁ…
「まあ、向こうについてからの話だからな。
今気にしても仕方ねぇってもんだ。
まだ道のり半分ってとこだしな。」
「馬車で多少ゆっくりとはいえ、
一週間はかかるんだからけっこう遠いよね。」
「だな。こんだけ遠いと、
任務とはいえ少しだけ旅みたいな
感じがするぜ。今んとこそこまで
危険な目にはあってねぇしな。」
「いや、私死にかけたんだけど…」
「そうはいっても、あいつらは
先生がすぐに鎮圧したぐらいのやつらだった。
危険性はそこまででもなかったってことだろ。」
「まあ…そうなるのかな。」
「先生が強いって言っても上忍レベルの中では
どうかは知らんし、もっと強い人だって
いるはずだろ?そんな奴の相手とかすると
先生もただじゃすまんだろうしな。
あの結果ならそこまででもない、
ただの盗賊だったってことだろ?」
「ルルト先生のあれでそこまで強くない、
とかは考えたくないね…」
「そりゃそうだ。でも、さすがにそれはないだろ。
俺たちの指導を任されてんだし。」
「それもそっか。…でも、
ルルト先生より強い人が襲ってきたりしたら…」
「そうなることはまずないでしょうね。」
あれ?シスさん?書き物は終わったのかな?
「何か知ってるのか?」
「前の忍界大戦の前期、
私の国までその名が聞こえてきたほどの
方ですからね。あまり褒め言葉では
ありませんが、悪鬼羅刹と呼ばれていたとか。」
ずいぶんと物騒な…裏の先生のことかな?
「前期って、どういうことだ?
今も先生は生きてる。
死んでもねぇのに戦闘に参加しなかったのか?
戦争じゃそんなこと許されねぇだろうに。」
「さぁ?その辺りは知りませんが、
中期に入ってからはぱったりと
聞こえてこなくなったのは確かですよ。
しかし、前日の戦闘の様子を見れば
衰えてなどないだろうことがわかります。
相手の人数が少なかったとはいえ、
あの早さで鎮圧、それでも息切れもないし、
汗の一つもかいていなかった。
かなりの傑物ということがよくわかりますよ。」
そういえばすごく余裕そうだったな。
でも、戦争にはあんまり参加はしなかったのか。
あっちの先生で戦闘が嫌いってのは
考えられないし、大怪我したりしたのかな?
それとも、他に原因があったのかな?
…まあ、先生も話してないことだし、
言いたくないことなのかもしれないや。
気にしないほうがいいかな。
ーーーーーー
「なんとか明日には着くね。」
「ああ、長かったな。
あんまり動かない日が続くのも
逆にしんどいもんだ。」
「…後はこの森を抜ければ着く。」
「とりあえず、これが最後の野営かな?」
「ああ、そうなるだろうな。」
「…あれ?そういえばルルト先生は?」
ここに馬車が止まってから
姿を見てないような…?
ガサガサ…ドサッ
「うわっ!何?」
スタッ
「っと…みんな何事もなかった〜?」
「先生、どうしたんだ?
それに、その縄でスマキにされてるのは?」
「忍…ね、この人は…」
「忍って…Cランク任務では
相手にしないんじゃ?」
「…やっぱり裏が…」
「ヨミちゃんはわかってたかしら…
とにかく、シスさんに話をしてもらわないとね〜。」
……………
「そう、ですか…忍が襲ってきましたか…」
「ええ、中忍レベルだったわね。
あれはそこまでだったけど。
ただ、額当ては外してて特定できないし、
逃げられないとわかったら
ご丁寧にも自殺していたわ。
ここまで徹底してるとなると
どこの差し金かはわからないけど、
極秘任務並の警戒レベルよ。
…理由、それから積荷について、
話してくれないかしら?」
ルルト先生が仕事モードになってる…
それにしても、これは里を出る前に
もしかしたらって思ってた状況、だよね…
ナルト君たちと同じかんじになっちゃってるな…
「理由ですか…それの説明と、
積荷の説明は同じ説明となりますね。」
「ということは積荷がまずいものだと、
そういうことかしら?」
「そうなりますね。
あの積荷は妖刀、魔剣…そう言われるものですね。
他にも積んではいますが、重要なのは
その刀だけです。」
「妖刀って…いったいどんな?」
「戦場を人の手から人の手へ、
そうやって渡り歩いてきたものです。
戦争が始まればその存在を語られ、
終われば所在がわからなくなる。
手に入れた者を操り無差別に
人を襲わせ、最後には持ち主を殺す。
そのような刀です。そんな刀を
放置するわけにはいかない。
私はそれを、私の国のトップから、
極秘裏に封印するために準備をしていました。
今回見つけられたのは幸いでしたが、
輸送しているという情報がやはり
漏れてしまっていたようです…
その力を使って何かをしたいのでしょう。
…しかし、私が出した依頼はただの物資の
輸送護衛と一時保管する倉の警備。
騙していたとしか言えません。
…皆さんがここで帰っても、
私からは何も言えませんね。
契約違反をしていたのはこちらですから。
どうしますか?できることなら、
このまま続けて欲しいとは思います…
どうか、お願いできないでしょうか…」
「…みんな、今の話は聞いてたわね。
それぞれ、考えをまとめてちょうだい。
その後、一人一人私に結論を言いにきなさい。
この任務、下手すればAランク任務になるわ。
そのことも考えるように。」
い、いきなりそんなこと言われても
どうすればいいのか…
スタスタ
…え?ヨミちゃんはもう決まったの?
もしかしてヨミちゃんは、
最初からこうなることがわかって…?
それでもここまで来たのかな?
「…ま、そう言われてもな。」
アキラ君まで…二人が行くなら私も…
…ううん、その前に私自身がどうしたいか
しっかり考えてから行こう。先生は
その自分自身の考えを聞きたいはずだから。
さっきの話…このまま行けば私たち
下忍じゃすぐに死んでもおかしくない
状況になっちゃうってことだ。
…いくら私でも、命は惜しい…
やっぱりこの話は断るほうが…
…いや、私は何を考えてるんだろ。
私の夢はなんだったか、それは全てを守ること。
あんな刀があるんじゃ悲しむ人が
出てきちゃう。そんなのあっちゃだめなんだ。
こんなところで逃げちゃだめなんだ。
「先生、私はこの任務、参加します。」
「二人が不参加だったとしても、
いいのかしら?」
「はい、あんなものが人の手に届くところに
あっちゃいけないんです。
だから封印されるまで、あの刀は
絶対に、誰にも渡しません。」
「…サヨリちゃんも、馬鹿ね。」
私『も』?
「シスさん、あなたの国へ行きましょう。」
「それでは…」
「うふふ、ここには
バカな子達しかいないみたいですね。」
「先生、それは酷くないですか?」
「ああ、俺もそれが言いたかった。」
「…バカはサヨリだけ。」
「ちょっ、ヨミちゃん⁉︎」
「じゃあ、行きましょうかー。」
それにしてもみんなもだったんだ。
ルルト先生も…うん、同じ班の仲間だもん、
考えることも同じなんだ。
あんな物あっちゃいけないって。
きっとそう思ってるんだ。
「みんな、絶対に守り切ろうね。」
「ああ、当たり前だ!」
「…罠は惜しみなく使う。
油断なんてしない…頑張る。」
「うん、気合い入れていくよー!」
「…サヨリちゃん、気合いを入れるのはいいけど、
静かにね〜。敵がどこにいるかも
わからないんだから。」
「あっ…」
「…やっぱりバカ…」