厨二病全開&主人公に私のコミュ障が投影されています、ご了承ください。
「うー、トイレトイレ。」
今、トイレを求めて全力疾走している僕は回博高校に通うごく一般的な男の子。強いて違う所をあげるとすれば、厨二病だということかナ。名前は鉄輪永至(かなわ えいじ)そんなわけで帰り道にある公園のトイレに向かってダッシュしているのだ。
『この道を通ると転ぶよ』
おっと、危ない。今のは未来予知だ。こうして別の人格が声で教えてくれる。かといって荘厳な神のお告げとかいう雰囲気はない、自分の声だ。やはり多重人格には憧れていたが、思い描いていたものと違うため、なんというか残念である。それに些細なことしかわからないし、たびたび間違える。まあ、多少はね。
「おーい、永至―。」
公園の前で黒い上着を羽織ってこっちに向かって手を振る少年の名前は及川勇斗。俺と、もう一人俺と同じクラスの白石明里と幼馴染で、ちょっと変わったところもあるけど生き物を大切にするなどいいやつだ。
「なんだいそんなに慌てて、トイレか?それにしちゃ遠回りだな。またお得意の自演未来予知か。とりあえずトイレに行っトイレ、なんて。」
「自演じゃないよ、何度も言っているでしょ。」
なぜ俺の行動がそこまでわかるのか、寒いギャグではぐらかせた気がするが、とりあえず自演の件に関しては否定しておく。本当に聞こえているからね。別に自分で考えて自己満足しているだけじゃないからね、本当に。
「お待たせ。アイスティー買ってきたけど、いいかな?」
用を済ませ、自動販売機で飲み物を買って勇斗のもとへ向かう。アイスティーにしたのはあてつけだ。前に彼の家に行ったときにアイスティーに睡眠薬を盛られたことがあった。あの時はごく微量しか飲んでなかった上に何もされていなかったおかげで大事なかったが、今思うとなんと末恐ろしいことか。拘束され、ひん剥かれる可能性もあった。
しかし、なぜあの時は未来予知が働かなかったのだろう。それこそ転倒よりよっぽど大事だから教えてくれてもいいのに。発動条件が今一理解できない。別人格とは多少の意志疎通ができるが、この点に関しては無言を貫いている。
「ありがと。キャップが空いているがお前何か入れたのか、まさかあの時の復讐か?」
さすが勇斗だ、とっさに過去の出来事から推理し、察知する能力や警戒心が強い。さりげなく人が多い所に移動しているのは抑止力のつもりか?考えすぎか。
「入れたかもしれないよ、その辺の砂とか。」
もちろん、冗談である。
「お前がそんなことをするわけないだろう。俺は信じているぞ、だってお前は、『降臨系異能保持者-二つ名未定(笑)-』だもんな。厨二病ならもうちょっと痛々しいやつか、かっこいい奴にしろよ。こんなダサい肩書きつけているようなバカにそんなことまで頭が回るかよ。」
「突っ込みどころが多いから順番に処理していくぞ。まずこの肩書きは俺がこの能力に目覚めたときに別人格が教えてくれたものだし、俺も気に入っているが、二つ名未定(笑)は違うからね。そこまで肩書きに入れなくていいから。次に、バカであることは認めるがこれぐらい俺でも思いつくよ。でも俺は優しいからやらないのであってだな。」
「はいはい、長文乙ww」
他愛のない会話をしながら、一緒に家路につく。俺たちは家が近いため昔はいつも一緒に帰っていた。最近は、彼があかりちゃんのいる生徒会に入り下校時刻がずれた上にクラスも異なるため、ちゃんとした会話は久しぶりだ。今日は、ここのところ聞けなかったことを聞いておこう。
冷たい風が頬をなでる。しかしこの日照りの中ではそれも気にならない。道行く人々も心なしか少し明るく見える。きっと数時間もすれば仕事帰りで疲れている人があふれ出てくるのだろうが。明日も天気予報は晴れらしい。今度は明里ちゃんも一緒に三人でしゃべろうかな。
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確かにその日は天気が良かった。昨日までの冬のしみ込んでくるような寒さから一転、絶好のお出かけ日和だった。僕も例にもれず外へ出ていた。何をするわけでもなく、誰とも話すわけでもない。そもそも話す誰かはつい最近いなくなった。それでも、“普通”の生活がしたかった。
「はぁ・・・」
思わずため息が漏れる。どうしてかな、やっぱり呪われているかも。もはや誰かの悪意をかんじる。目の前の人たちが赤く染まっていく。悲鳴や断末魔の叫びが流れ込んでくる。通り魔が、こっちに向かってきているようだ。
(最近物騒だな。)
あまりにも非日常、且つ危険な情景を目の前にしてなお、僕の頭はあくまでも平静だった。
そういえば数日前に二回も交通事故があったな。二回目は結局トラックの居眠り運転による自損事故らしいから良かったが、一回目は被害者が出た。僕の、友達だった。
彼女の後ろを歩いていた学校帰り、前にこちらに向かって不自然な軌道を描くトラックが見えた。気づいた僕は、思わず黙って体を引いてしまった。案の定、トラックは歩道に乗りあがり、反応が遅れた彼女の身体を撥ね飛ばしそのまま押しつぶした。そんな狂える程残酷な事故に立ち会ってしまった以来、僕は学校に行くのも億劫になってしまった。
それなのに、久々に外に出たというのに、どうしてまた僕は危険事に巻き込まれそうになるのだろう。いやいや余計なことを考えている暇はない、逃げなくては。
僕は踵を返して、逃げる人の流れに乗る。だから自分の後ろに立ち止まっている人がいるなんて思わなくて。
「うわっ。ど、どうしてここに×ちゃんが。」
そこには尻もちをついた×××がいた。彼女は最近不幸な目に会っている僕を心配してくれているクラスメイトだ。そんな彼女がなぜ僕の後ろにいたのだろう、いやそんなことより逃げければ。でもここにいる彼女を見捨てていいのだろうか、だって殺人鬼がすぐそこまで迫ってきているじゃないか。このままでは殺されるのは時間の問題だ。
これが他のクラスメイトであれば、僕は迷わず見捨てていた。
逡巡してしまった。転んだ女の子と一緒に逃げ遅れている少年。絶好の的だろう。すでに誰かの血で真っ赤になったナイフが突き刺さる。
(あーあ、これで僕も終わりか。)
犯人は僕の体からナイフを抜き、狙いをとなりの少女に向ける。
また、だ。今までは、友達が目の前で死んでしまうのを、安全圏に張り付いたままの僕はそれをずっと仕方ないことだと、そう思って。少し勇気を出せば変えられたかもしれないという現実から目をそむけていた。今もなお、その保身的なスタンスは変わらない。変わらないからこそ、すでに保身が意味のない行為になってしまった今なら。枷が外れ、好きな人を助けることに危険を顧みず行動できるようになった今なら。
この一週間の出来事が脳裏を駆け巡る。走馬灯、というものだろう。先日、もう一人の幼馴染が自殺したようだった。彼もまた心を病み、僕と違って耐えきれなかったのだ。ではここで僕が死ねばまたあの世で皆に会えるのだろうか。全員この一週間で死んだんだ。会えるに決まっているさ。行き先は天国か地獄か、それとも・・・。
僕は先ほど自分を刺していった黒いコートの通り魔の方を見た。すでに血が足りなくなっており、視界がかなりぼやけている。いつの間にか立ちあがった―ちゃんと犯人が向かい合っている。何かを話しているのか。もう音も遠く聞こえる。なぜか油断している犯人ににじり寄り、ナイフを奪った。そして目を瞑り、握ったナイフを倒れこみながら前に突き出した。
感触はあった。初めて人を殺した。きっと僕は地獄に堕ちるだろう。次に目を覚ませばそこは三途の川か。それでもいい。僕は最後に助けられた。最後まで弱い自分だったが、一矢報いることができた。それだけで満足だった。
横になった僕の体の前には、先ほどナイフが刺さったはずの犯人の二本の足が見える。意識がだんだん薄れていく。急に衝突音とともに視界が大きく変わった。目の前に口から血を垂らし、眼孔が大きく開いた、助けたと思っていた顔が飛び込んでくる。おかしいな、でもこれは。じゃあ、さっきの感触は。
(やっぱり地獄行きだ。)
意識を維持するだけの意地が、折れた。
全て深夜テンションで書き、モチベが下がり文章量を少なくするために超展開になってしまったり。
普段あまり喋らないから語彙力や表現力が足りなくて拙い文章になってしまいました。口が達者な人が本当にうらやましいです。