刻まれたHAPPY END   作:金森光琳

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急☆展☆開 突入です。

ここから駆け足で物語が進んでいき、物凄い勢いで書き溜めが消化されていきます。
女子との会話はマンガや他のssで学びました。リアルでは絶対にこうならない(機会がない)。


まずは一人目

「おーい、えーじー、起きろ―。」

 

唐突な外界からの刺激によって、一瞬にして目が覚める。どうやら授業中に眠ってしまったらしい。しまった、今日の授業は結構大切な所だったんだけどな。まあでも、ノート写しを口実にしてあかりちゃんに話しかけられるからよしとするか。

彼女がいるであろう生徒会室に向かいながら、ノートを覗いてみる。最後に書いたページまで、パラパラとページをはじく。そこに書いてあったのは、見慣れない単語。忘れている、と言うわけではない。絶対に授業では習ってない言葉だ。もしやと思い、黒板の方に振り向いた。やはりあった、ノートと同じ文字が。いつの間に板書をしたのだろう。誰かが代わりにやってくれた・・・はずはない。では、寝ながら写したのか。俺はそんなもの恐ろしい器用なことができるというのか。あ、これは俺の隠れた能力の一つなんだそうかそうかそれなら納得だハァァーッハッハッハッハッ。

無理やり自分を納得させる。口実が無くなったとしても普通に話しかければいいのだ。生徒会室の扉が近づくにつれ、胸のざわめきが激しくなってくる。落ち着け、落ち着くんだ俺。別に不自然なことはしていないし、久々にしゃべりたかった、理由としてはそれで十分じゃないか。なんでこんなにドキドキするのだろう。このドアを開いたら、もう後に引けなくなるような、そんな緊迫感。きっと気のせいだ、レッツゴー。

ドアノブを回して扉を開く、と同時に心が落ち着く。部屋の中には話に聞いた通り、勇斗と明里しかいない。二人は楽しそうに喋りながらお弁当を食べていた。

 

「あ、えーじ君だ。どうしてこんなところにきたの?」

 

僕に気付いたあかりちゃんが無垢な笑顔で話しかけてくる。

 

「ああ、昨日の帰りに勇斗から、昼休みはいつもここにいるって聞いたから、久しぶりに三人で話したいなーって思って。もしかして迷惑だった?」

 

当の勇斗は、というと驚きの表情もなく目線だけこちらに向けて今だなお、お弁当を絶え間なく口に運んでいる。

 

「ううん、そんなことないよ。今はそんなに仕事もないしね。」

 

冬こそ生徒会の仕事が多いと思うのだが、嘘をつくほどに彼女の中でのこの会話の優先順位が高いということか。

彼女とは同じクラスでありながら、周りの目を気にしてあまり喋れないでいる。不用心に楽しい長話に花を咲かせてみろ、すぐさま根も葉もないうわさが学年中を駆け巡り、羨望と嫉妬とウェーイ系の厄介な仲間意識に囚われ、学校の居心地が悪くなる。だから俺は、こういう場所で、久しぶりに三人で話せることが、嬉しくてしょうがないのだ。

 

「ありがとう。忙しくないなら、しばらくお邪魔するよ。」

 

彼女の嘘に合わせる。でも本当にいいんだろうか、彼女がいいと言っているんだから、帰るつもりもないが。少々不安に思っていると。

 

「ところで、さ。せっかく揃ったんだから、いつもの持ちネタ、あるでしょ。なんだっけ、えーと、未来予知っていうの。どーぞー!」

 

無茶ぶりされた。

 確かに、中学生のときには、この能力をよく自慢していたが。まさか持ちネタに思われていたなんて。少々気に障ったが、目を輝かせ、前のめりになって体全体で期待を表している彼女の気持ちを無下にすることもできない。本当は自発的に能力を行使しようとして必ずできる、というわけではないのだが、試しに心の奥の、もう一人に俺の声に耳を傾けてみる。

『今後一週間の間に――』

 

お、聞こえてきた。空気を読んでくれて助かった。いやぁ、助かった。

 

「では、神の言葉を伝えよう。これから一週間の間に・・・」

『鉄輪永至が大切だと思っている親友が――』

「俺の大事な親友たちが・・・」

 

 俺の親友と聞いて、二人が若干近づいてくる。もしかしたら自分たちかもしれない。この未来予知は、良いことならなおさら、不幸な出来事を予知しても、それを簡単に回避することができる。故に聞いて損にはならないし、皆が幸せになれる。そんな、くだらなくて素晴らしい能力だ。

 

『死ぬよ』

「――死んじゃうよ・・・って、えぇーーーーっ!?」

 

 ここにいる誰もが予想だにしなかった言葉と永至の発した大声でついに勇斗が箸をとめ驚愕の表情でこっちを見る。

 

「うっわ最低、冗談にしてもそれはひどいよ。」

 

あかりが機嫌を損ねた様子で注意してくる。笑顔から真顔への急降下。やめてくれ、それもきついが怒り模様の顔の隣にひょっとこみたいな変顔を並べるのをやめてくれ勇斗。驚くのはわかるが一番驚いているのは他でもない俺のはずなんだ。

 

「いや、これは、違うんだ。」

 

慌てて取り繕う。あせって頭が真っ白になっていく。

 

「何が違うっていうのよ。」

「そ、それは・・・冗談って言う所?」

 

言ってから気付く。彼らは俺の能力を持ちネタかなんかだと思っている。つまり予言は全て永至の冗談だと。故に、その予言として言った言葉を冗談ではない、と否定するのは「本心からそう願っている」と取られてしまうだろう。なんということだ墓穴を掘ってしまった。

しかし弁解をする余地などなかった。ちょっと涙目になって彼女は生徒会室から飛び出しっていった。

 

「待ってあかりちゃん!俺の話を聞いて!」

 

俺も後を追おうとドアノブに手をかける。瞬間、睡魔が襲いかかってくる。授業中に睡眠をたっぷりとったはずなのに、おかしい。

体から力が抜きかける。ドアを思いっきり殴りつけた痛みで脱力していく肉体に活を入れ、廊下に転がり出る。横目に見た勇斗の顔は、先ほどの変顔とは程遠い、深淵を覗いているような闇をちらつかせていた。

なんだか自分の身体が自分のものじゃないみたいだ。それでも俺は、この誤解を解きたい一心で追いかける。今を逃すと何か良くないことが起こりそう、そんな予感がしたからだ。

階段を上るあかりちゃんの姿が見えた。生徒会室は学校の最上階にある、よって向かった先は屋上か。

屋上に着いた。あかりちゃんは・・・いた。柵の近くに立っている。

俺は走って近寄り、

 

「君は何か誤解をしている。信じられないような話だけどあらいざらい全て話すから、今は俺の話を聞いてほしい。」

 

と声をかけた。

たまたま屋上にいた同じクラスの川田冬馬が何事かと近寄ってくる。

あいつはこれを告白か何かだと勘違いしてないだろうか。残念ながらそんな浮ついた話は今の俺には無縁なのだ。

 

「なによ、信じられない話って、もしかして予知能力は本物だって言いたいの?なら余計にたちが悪いじゃない。あんたバカなの?」

 

毒づきながら、彼女は、後ろの柵に、もたれかかろうとする。

 その後ろの柵は、緩まっていた。固定するねじが、外れかけていた。

 このままだと彼女の体重で柵は折れ、支えを失った彼女は転落するだろう。4階の屋上から、まっさかさまに。最後に大きな赤い花を作りだす。中央には灰白色の液体が蜜のように、そして制服を羽織った胴体が雌しべのように。雄しべになるのは何だろう。

 このままだと間に合わない、距離が遠すぎる。彼女は柵の一歩手前、俺は屋上のドアを開けてすぐのところに・・・?

 そう、間に合わないはずだった。このままでは二人の距離が縮まる前に彼女は転落死する。だが俺は走り出していた。柵の異変に気付く前から、ずっと、目の前に起こるであろう死から彼女を救いだそうと。最初から、間に合わない程の距離なんて存在しなかった。

 記憶の混同が起こっている。なにと?俺はこんな状況を一度たりとも経験していないはずだ。じゃあ、なぜ混同だと断言した?

 柵が折れ、思わず伸ばしたあかりの手に、俺の手が届いた。そのまま引っ張られないように力を込めて自分の胸に引き寄せる。あかりちゃんはまだ先ほど起こった出来事に理解が追いつかず困惑しているようだ。

 

「『大丈夫だったかい、あかりちゃん。』」

 

俺はとっさに声をかける。下で地面に落ちた柵の金属音がした。この高さからならもっと激しい響きになりそうなものだが。だが今は彼女の精神状態の方が大事だ。ここでしっかりと世話をしないと後でフラグが立ってしまう、って何を考えているんだ俺は。これは俺の思考なのか。わからない、自分自身この状況に理解が追いついていない。なのに、鉄輪永至は冷静だ。それがさらに混乱を招いていた。

 先生が屋上にやってきた。誰かが呼んできてくれたらしい。

 

「いったいどうしたの?あ、白石さんに鉄輪君、こ、これは。何故柵が壊れているの?何があったの?」

 

先生も若干パニックになっているが、大人を見たことであかりちゃんが少し冷静さを取り戻してきたようだ。

あとは先生に任せよう。それが、最善の選択だから。




―(ダッシュ)の使い方をようやく知りました。
使った方が読みやすくはあるでしょうけど、使いどころがいまいちわからないのです。
なので、無闇矢鱈に使うよりはましかなと思い、ダッシュや罫線はほとんど使いません。
(本音:めんどくさい)

改行は使おうかな・・・
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