刻まれたHAPPY END   作:金森光琳

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更新遅くなってすいません!許して下さいなんでもしますから!

steamでいろいろゲームを買いまくってたり、遊戯王ADSでデュエってたり、クトゥルフのシナリオを書いていたりしてました。

たぶんこれからも不定期更新になってしまいそうです。


覆水盆に返る

 あれから数日間、俺はあかりちゃんと勇斗にしつこく絡み続けた。自分が近くにいた方がいざという時対処できるという判断のもとで、猛烈に意識してしまっているが、『俺』から何のお咎めもないので特に問題は無いのだろう。しかし、お咎めどころか一向にしゃべる気配もない。たぶん、次に話しかけられた時は、俺が行動しなくてはいけない時だ。

 

 その時がついに来た。授業が終わり、何気なく帰宅の準備をしていた時だった。

 

『放課後は一緒に帰れ。』

 

 と唐突に話しかけられた。

 

 もう覚悟はできている。あとは実行するのみ・・・なのだが、俺は今日の掃除当番だった。もちろん掃除なんかしている暇はない。早く他の人に押し付けて、女友達と帰り始めているあかりちゃんを追わなくてはならない。

 

(どうしてこんな時に限って誰も了承してくれないんだっ・・・。)

 

 頼んだ人全員が「ごめん部活で急いでいるから。」と言ってそそくさと逃げるように去っていく。こうなれば仕方ない。仕事を放棄してあかりを追跡することにする。明日怒られても構わない。最初からこうすれば良かったのだ。

 

 帰り道、女の子二人で仲良く談笑している後ろを、必死に周囲を警戒しながらつけている男子高校生。完全にストーカーだ。どうしてこうなったかというのも全て『俺』の指示だ。

 

『あの二人の中に混ざってはいけない。変な人に見られることも、自分がみじめに思えてくることも我慢しろ。』

 

 はあ、混ざるとピタゴラスイッチよろしくバタフライエフェクトで死んじゃうのかな。なんて面倒くさい。

 

 ため息を軽くこぼし再び前方を注視した時、向こうからいかにも事故を起こしそうな運転のトラックが近づいてくるのが見えた。明里とその友達の佐野綾菜はまだ気づいていない様子だ。

 

 これが原因か、納得した。たぶんこのトラックがあの二人に突進するのだろう。大変だ、教えてあげなくちゃ。あれ、体が、動かない。声も、でない。それに眠気が。

 

 ヴィジョンが見えた。明里の手を引っ張り自分の方へ引き寄せる。だが、目測を誤ったのか、トラックは器用に明里達だけを押し出し、破裂させた。断面から鮮血を垂れ流しながら、残った彼女の腕をぶらぶらと揺らし失敗を嘆く永至。

 これは、起こりうる未来の出来事か。映像とともに永至の悲しみまで伝わってくる。まるで体験したことがあるかのようだ。この映像から分かることは、つまりあかりちゃんのとこに行って引っ張ってはいけないということ。

 しかし、彼女から離れたり逆に押し出したりすれば「普通に」轢き殺されるだけ。ならば、残る方法は。

 俺は無意識に軽く前傾姿勢になって、体の硬直が切れるその時を待つ。俺の予想が正しければ、この硬直は『俺』によるもの。どうやっているのかは知らないがきっと能力の一部だとすれば強引に納得できる。そしてもうそろそろ身体が動くようになる。

 

「『綾菜ちゃん!止まって!』」

 

 全身の拘束が解け、真っ先に叫ぶ。

 

「ん、なに?あれ、鉄輪君じゃない、どうしたの?」

 

 彼女が言い終わらないうちに俺は駆けだす。あかりちゃんに向かって。

 先ほどから自分の身体が軽い。二人で動かしているような感覚。故に動きに無駄は無く、迷いもない。

 鬼気迫る表情で幼馴染に迫られた彼女は思わず後ずさりする。綾菜の方はまだ現状が理解できていないようだ。

 それでいい。そのまま二人の間を離す。横をすり抜ける俺を目で追った綾菜が、目先にいるトラックにようやく気付いたようだ。恐怖で顔が引きつり、先の俺の言葉もあって動けていない。

 

(ありがとう、君のおかげであかりちゃんが助かる。)

 

 俺はあかりちゃんに飛びつき、そのまま押し倒した。直後、後ろで暴走貨物列車が、綾菜の肉体から「人体」という概念を奪い去っていった。

 

『「大丈夫だったかい?」』

 

 面倒くさい工程を終えてようやく明里を助け出した鉄輪永至の顔は心配と優しさそのものだった。後ろでグロテスクな惨状が起こっていることは知っているのに。だが彼女はその異常性に気が付かない。度重なる生命危機に恐怖心が募り、泣きながら抱きついている。彼が友達の綾菜の動きを止めて殺したも同然だというのに、そんなことはどうでもよくなっているほど憔悴している。

 

(これで、一人目は助かった。あともう一人だ。)

 

 元少女だった肉体の下に、赤黒い血液が水溜りのように溜まっている。そこから放たれる、錆びた鉄のような吐き気を催す悪臭が、勝利を祝う特別な芳香の様に感じられた。鉄輪永至の心は、達成感と喜びで満ち溢れていた。

 




自分で書いてて説明不足だと感じたので補足。

永至は何回か前のループにおいて、このやり方で成功しています。
当時、どうやったら助けられるかを考えていた永至は直前まで迫ってくるトラックに気付きませんでした。さらに、自分でも驚くほどの奇声とも呼べる悲鳴を上げつつあかりに向かって走っていったため、綾菜は立ち止まり、無事に生贄となりました。
次のループで明里を引き戻そうとして失敗したため、面倒くさいが成功例を再現することにしました。

本当なら***( 別視点パート) でやるべきなのでしょうけどね。
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