「エリチ・・・」
さっきまでのピリピリとした空間から一転、穏やかな空間になった生徒会室。ウチの目の前には、さっきまで
「エリチ、だいじょうぶ?」
「ええ、だいじょうぶよ、希。心配かけてごめんなさい。もう落ち着いたから。」
「そう・・・」
さっきまでの行動を後悔してるのか、頭を抱えながら、まさか、エリチがあそこまで感情的になるなんて思わなかった。拓人君とは何かしらのことがあると思ってみたら、あんなことになって・・・
「希?」
「え?どうしたん、エリチ?」
「いや、なんだか難しそうな顔してたから。まさか、自分が一緒にいればとか思ってないでしょうね。」
あぁ、エリチはこういう時はすごく鋭くて・・・いつもは鈍感なくせに。
「今回は私のせい。私が勝手に感情的になっちゃっただけ。流石に言い過ぎたと思ってるわ。」
表情からわかる。エリチは本当に後悔して、反省している。
「そう、勝手に感情的になってしまっただけ・・・」
「エリチ・・・」
エリチは手を握りしめて、力強く呟いた。
「わかってるわよ、何もあの学校の生徒全員が悪いわけじゃない。でも、UTXって聞くだけで、もう許せなくて・・・‼︎」
エリチはうっすらと涙を浮かべながら言葉を続ける。
「爽馬だけなんであそこまで苦しまきゃならないのよ‼︎」
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「何で雨止まないの‼︎」
不機嫌な顔で、不機嫌に愚痴をこぼし、不機嫌にフライドポテトを食べる女をひっそりと観察する。あの男が生徒会長と言い争って後、あの子たちはファストフード店に移動し、作成会議をするらしい。その後をにこはずっと追っていて、今は壁を挟んだ隣の席でひっそりと様子をうかがっている。そのため、一応変装してみたんだけども・・・
「ちょっと、派手過ぎたかしら?」
今日の服装は黒とグレーの縦縞のタイツに、袖の広く、お腹に大きな赤いリボンがポイントの白いワンピース。そして、オレンジの色のサングラスと縦に長いピンクの帽子。誰かわからないように変装したはいいけど、あまり追跡には向いていなかもしれない。
「あー、う○ち‼︎」
小さな子供がにこを指差す。なんでにこを指すのよ。すると、その子供の声に反応して高坂穂乃果がこちらをむく。とっさに身をかがめ、壁に隠れる。ふぅー危ない。そして、隠れている最中に南ことりがにこの横を通り過ぎる。
「今週もずっと雨だって。」
「ええ⁉︎それじゃあ練習できないじゃん‼︎」
「まぁ、練習もそうですが、今問題なのは・・・」
高坂穂乃果が残念そうに文句を言うのを尻目に、園田海未はある人をほう見ながら言う。
「何があったのですか?本間さん。」
視線の先には先ほど堅物の生徒会長と言い争った男、どうやら本間という人らしい。
「いや〜・・・あの生徒会長がμ’sを罵倒するようなことを言ったからつい、カッとなって・・・ごめんなさい。」
「本間さん・・・」
本間は反省の意を述べ、うつむいている。彼もあそこまで怒るとは思っていなかったらしい。
「でも、以外ですね。拓人さんが怒るなんて。ものすごく優しくて、いつでも冷静なイメージがあったなぁ。」
「見た目クール。心は熱い。穂乃果が呼んでるマンガにそんな人がいたような気がする‼︎」
「ちょっと、中二くさくないかにゃー?」
「・・・俺ってそうキャラに見えた?」
和気藹々と談笑している。そんなものを見せられてにこは不快な気持ちになる。
なんで、あの子たちはあんなに楽しんでいるのか。にこなんか・・・ずっと、ずうっと・・・。
・・・落ち着きましょ。にこはスーパーアイドル。どんな時も笑顔が大事‼︎
気を取り直すために、1度をポテトに手を伸ばす。が、ポテトはすでに空になっていた。仕方がない、高坂のポテトをもらおうかしら。そう思い、当たり前のようにポテトをつまむ。さあ、観察再開よ。
「あはは、でね・・・ああー‼︎」
「どうしたの?穂乃果ちゃん⁉︎」
「穂乃果のポテトがー⁉︎海未ちゃん食べてたでしょ‼︎」
「まっ、私が食べるわけないでしょ。」
高坂と園田が誰がポテトを食べたかを言い争いを始める。そんな中、さっきからまったく反応しない人がいた。赤毛の少女、西木野真姫。さっきからずっと髪の毛をくるくると弄んでいる。確か、いいとこのお嬢様らしいから興味がないってところかしら。
「ちょっと待とう。穂乃果じゃあるまいし、海未が盗み食いなんてするわけないだろ。俺のポテトあげるからひとまず、なっ。」
本間がその場を一旦収める。というか、彼、なかなか失礼なことを言うわね。
「そんなことりより、これからどうするのよ、練習。」
ようやく口を開いた西木野。
「そうだな。海未、どっかの空き部屋とか借りれないの?」
「えぇ、まだ、人数が足りないため部活申請ができなくて・・・。」
「そうか。でっ、申請するために必要な人数は?」
「最低でも5人は必要です。」
「5人か・・・ん?」
本間が何か気づいたよう。というか普通は気づくわよね。
「今何人だ?」
この疑問に高坂が答える。
「えぇと、まず海未ちゃんでしょ。で、ことりちゃんに花陽ちゃん、真姫ちゃん、凛ちゃんで・・・6人‼︎・・・あっ‼︎忘れてた‼︎部活申請できるじゃん‼︎」
「忘れてたんかーい‼︎」
・・・やばい、あまりのアホさにスーパーアイドルにこにー血が騒いで、ツッコミを入れてしまった。視線がにこに集中する。しかし、まるで何事もなかったかのように話の続けられる。
「よーし、明日部活申請をしよう‼︎そうすれば部室がもらえるよ‼︎」
「だからさっさと解散しろって言ってるでしょ‼︎」
贄を切らしたにこはとっさにあいつらの前にでる。
「あ、あなたは‼︎」
南は私を見て驚く。どうやら朝のことを覚えていたようね。
「隣に座っていた・・・ということは‼︎私のポテト返して‼︎」
高坂はにこのほっぺをつまむ。にこはわざと口を開き、挑発する。
「ちゃんと買って返して‼︎」
ふん。そんな言うこと聞くもんですか。
「あんたたちがやっていることはアイドルへの冒涜、恥よ‼︎」
今、にこの思ってることをおもっいきり言ってやった。
「とっとと辞めることね。」
これで、あいつらは辞めるはず‼︎よね?まぁでも、
「あんたたちのコーチかなんか?があの生徒会長といざこざ起こした時点で、あんたたちはさらに目をつけられて終わりだと思うけど。」
高坂たちが一斉に本間の方を向く。その本間は・・・
「もっきゅもしゃごっくん。」
普通にハンバーガーをほうばっている。あれ?にこの話を聞こえてないのかしら?
「ちょ、ちょっとそこのあんたよ‼︎」
この言葉でやっとあいつがこっちを向く。そして、しゃべるのため口を開く。その言葉は⁉︎
「なんでうん○が喋ってるの?」
「・・・・・・・・・えっ?」
ここにいる全員が同じ反応をする。それはそうよね。唐突のそんな下品なこと言うなんて、ねえ。
「あ、あんた何言ってるの?」
「・・・あっ、人だったよ。ごめんなさい。でもその帽子が、どう見てもうん○にしか見えなかったから。なぁ、みんな。」
・・・この帽子がうん○みたいですってー‼︎この帽子、結構気に入ってるのにー‼︎
「拓人さん・・・」
ほら小泉だって引いてるじゃない。ていうか引くわよ。
「拓人君、それは言っちゃいけないような・・・」
南が申し訳なさそうに呟く。えっ、まさかここにいる全員が思ってたの?
「いや、でもどう見てもうん○じゃん。事実なんだから別に言っても大丈夫でしょ。」
「本間さん‼︎ここは食事の場ですよ。そんな言葉を使ってはいけません‼︎」
「確かに、最初からう○ちにしか見えなかったにゃー。」
「凛‼︎女性がそんな言葉を使ってはいけません‼︎」
園田が2人に大声で注意をする。完全ににこは置いとけぼりにされてるわね。
「あの、お客様。店内ではお静かにしてもらえませんか?」
すると、店員が来て、私たちは注意された。
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シトシト、雨の音が響く。私の憂鬱な心がもっと曇る。迂闊だったわ。天気予報では午後から雨が降るって言っていたのに、傘を忘れるなんて。なんだか今日はついていないわ。
「エーリチ。」
後ろから希に声をかけられ振り返る。
「帰ろっか。」
希は傘を差しだし、私はその傘の中に入り、歩き始める。
「いやー、まさかエリチが忘れ物をするなんて。だから、雨が降ったんかな?」
「希、私だって時には忘れ物だってするわよ。忘れ物をするたびに雨が降っていたら、たまったもんじゃないわよ。」
「ふふっ、そうやな。」
希はいたずらに笑う。私はその笑顔に少し、曇っていた心が少し晴れる。希には本当に助けられてばっかだ。生徒会でも学校生活でもなんでもかんでも・・・。
希は自分よりも誰かを優先して動いてしまう娘だ。時には私が希を助けないと。
「まぁ、エリチと相合傘ができるんやったら、ウチは毎日でも雨が降ってもかまわないよ。」
「まったく、希は調子がいいんだから。」
そんな他愛もない会話をしながら校門へと向かう。
「でも、エリチにはもっと相合傘が似合う相手がいるけどね。」
「えっ?誰?」
「またまた〜。鈍感気取らなくていいんやで〜。ほら左にいるやん。」
校門に出たところで、希に言われるがまま、左を見る。そこには黒づくめの青年。
「よぉ、絵里。傘、忘れてんぞ。」
「あ、ありがとう。爽馬。」
市原爽馬。私の家に居候する青年。
って、
「希?相合傘が似合うって・・・まさか⁉︎」
「ふふ、まさかかもね♡」
私は爽馬に聞かれないように希に耳打ちをすると、予想どおりの答えが返ってきた。私は顔を真っ赤にしてからかわないでと言う。希はニヤニヤと笑う。まったく、希はと呆れてしまう。
「おい、仲間外れにしないでさ、俺も話に入れてよ〜。」
爽馬は私と希との会話にわって入ってきた。
「ふふ、だーめ。今は女の子だけの秘密の話をしてるからね。」
「えぇー、別にいいじゃん‼︎」
「じゃぁ、いいけど・・・」
子供のように駄々をこねる爽馬を見て、希は耳打ちをする。すると、みるみるうちに爽馬の顔が真っ赤になる。
「・・・わーったよ、女子トークにははいらねぇよ。」
「りょーかい♡」
よくわからないが爽馬は希に言いくるめられ、静かになった。
「それじゃあ、エリチ、爽馬君、じゃあね。」
「え?希?一緒に帰るんじゃないの?」
あれ?さっきは一緒に帰れて嬉しいって言ってなかったけ?
「ごめんな、エリチ。急に用事に思い出しちゃって。また明日ね。」
そう言って希は行ってしまい、爽馬と2人っきりになる。
「んじゃ、帰るか。」
そう言われ、私はうんと返事をして、並んで歩き始めた。
「なぁ、絵里。なんかあったか?」
「え?いや・・・別になにもないけど・・・」
私は咄嗟になにもないと答えてしまった。嘘。思っきりあった。でも、さっきのことを言ったら、爽馬に迷惑をかけてしまう。自分の勝手な感情を押し付けるわけにはいかない。そんなことを思っていると、爽馬はおもむろに口を開け、言った。
「ったく、わかりやすいなぁ、絵里は。絵里の別にないもないけどは必ずなにかあるからな。つーか、いつもより表情暗いし。」
頭をポリポリとかきながら話し始める。また、あの話か。
「なぁ、絵里。いつも言ってんだろ。1人で抱え込むなって。俺とか希を頼れってな。」
爽馬はいたって真面目に言う。何回も聞いてるけど、確かに言ってることは正しいと思う。本当、こういうのを普通に言うあたりが爽馬らしい。・・・なんか、悔しい。爽馬にこう言われるのはなんか嫌だ。ちょっとだけ、仕返しをしてみる。
「ふふっ、そうね。でも、爽馬なんか頼ったら、逆に仕事が増えちゃうわ。」
「って、それは俺じゃぁ、頼りにならねーってことかよ。」
不満気な表情を浮かべ、皮肉を述べる。もう少しだけ、仕返ししてみる。
「なんだ、自覚してるじゃない。爽馬のことだから、自覚してないかと思った。」
いよいよ、爽馬の眉がピクピクと動く。
「このニャロ、せっかく、励ましてやったのに・・・」
少し、怒った表情になる。何よ、励ましてやったよ。上から目線なんて、ムカつくわ。ムッとした感情と感謝の感情が混ざり合う。
そして、私はおもむろに走り始める。爽馬から20メートルくらい離れたところで爽馬に向かって叫んだ。
「爽馬のクセに生意気だぞー‼︎」
そう叫んだ後、私は爽馬が一瞬、安心したように笑ったの見た。
みなさん、今年もお疲れ様でした。今年はあまり投稿できなかったですが、来年はなるべく、投稿できるようにします。
さぁ、今日は紅白歌合戦。南條さんは出ませんが、μ’sの出演。
そして、来年は・・・ラストライブ。μ’sのライブに絶対行くぜー‼︎
その前に、入試をどうにかしなくては・・・