仮面ライバー 守れ!女神たちの夢!   作:シママシタ

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思惑

次の日の夕暮れ時、この神田明神で海未と巫女服を着た希がいた。

 

「それで話って?」

 

「はい……生徒会長のことについてなんですが……」

 

海未は昨日、絵里に言われたことを洗いざらいに話した。μ’sのダンスは未熟だと批判どころか、スクールアイドル自体を認めず、ARISEすらも素人と評価したこと。

 

「あのARISEを見て、素人というのは……」

 

「ふふ、エリチも強気に出たんやな。」

 

希はクスリと笑いそう呟き、その姿を見て海未は不思議そうに見つめる。

 

「でも、エリチにはそう言えるだけのものがある。」

 

すると、先ほどの笑顔とは打って変わって、真剣な目つきになり、海未は一体どんなものを持っているかと気になり希を見つめる。

 

「ちょっと待ってな。」

 

海未の目線に気づき、希は優しい表情を飛ばし、誰かに電話かける。

すると数分後、2人の元に黒いバイクに乗った爽馬が現れた。

 

「お〜来た来た。」

 

「何の用だよ希。俺だって野暮用があるってのにさぁ……って、昨日の大和撫子ちゃん。」

 

爽馬は海未に気づくや否、手を挙げ、満面の笑みを浮かべ、挨拶をする。しかし、海未は爽馬のことがあまり得意ではなく、苦笑いを浮かべながら、渋々挨拶を返す。

 

「それじゃあ、約束の品だ。」

 

「そうそうこれや。爽馬君、ありがとな。」

 

「えっと……音楽プレイヤーですか?」

 

爽馬の手から希に手渡されたものは1つの音楽プレイヤーだった。一体これが生徒会長の何に繋がるのだろうと海未は不思議に思えた。

 

「とりあえず、これ見てみ?」

 

そして、希から音楽プレイヤーを渡され、言われるがまま、その小さな画面を見つめる。

 

「これは?」

 

画面にはどこか見覚えのある金髪の少女が純白の衣装をまとい、きらびやかに舞っていた。無駄のなく柔軟な動きと洗練された舞に海未は釘付けになる。

 

「エリチの小さな頃のやね。」

 

「あいつは幼いころ、ロシアでバレエをやっててな、それなりに実力もあったと聞いたな。……でも。」

 

希と爽馬はポツポツと口を開き、絵里の過去を話始めた。それを海未は懸命に聞く。

 

「あいつは挫折したんだ。」

 

「あの生徒会長が⁉︎」

 

「あぁ、そうだ。それもたった後一歩のところでな。もったいねぇよなぁ。」

 

爽馬は腕を組み、本当にもったいなさそうに言った。それを聞いて海未は驚きを隠せなかった。あの真面目な絵里が挫折をしたなんて思いもよらなかったのだ。

 

「だが、実力は折り紙つきだし、そのくせ厳しい環境にいたから、ダンスなんかに関しての目は肥えている。だから、素人なんてことが言えるんだろう。」

 

頭を掻きながら、爽馬はそう絵里を分析した。そして、海未は絵里のことを知り、自身の絵里に対する思いの丈を2人に話した。

 

「私は生徒会長にμ’sを、スクールアイドルを貶されて、とても悔しかった。スクールアイドルの素晴らしさを何もわからないあの人に何故ここまで言われなくてはならないのかとずっと思ってました。でも……生徒会長にはそう言えるだけの実力があった。

それに生徒会長のバレエを見て思いました。このままではいけない。確かに本間さんのダンスの指導ははっきり言って素晴らしい。ですが、それでは足りないような気がします。」

 

「だからって、諦めるの?」

 

「いえ、だからこそ私はそんな生徒会長にダンスを教わりたいのです。本間さんの力強いダンスと生徒会長の綺麗なダンスが合わさればきっと……」

 

「なるほどね。それか海未ちゃんの考えなんやね。」

 

「はい。ですが、どうやって頼み込めばいいのかと悩んでいて…….」

 

希はそう問いかけると海未からは前向きな答えが返ってきて、希は安心する。しかし、希は視野が狭くなっている海未に遠回しにアドバイスをする。

 

「それよりも、やるべきことがあるんやない?」

 

そう言うと海未はハッとした表情となり、一瞬で小難しい表情になる。いくら絵里を説得しようが、赤点を取ってしまえば、それどころではない。海未は一旦、ダンスの指導については頭の片隅に置いておくことにした。

 

「はは、本当におもしろい奴らだな。きた甲斐があった。」

 

爽馬はバイクにまたがりなかまら高々に笑い、エンジンをかける。そのエンジンもどこか楽しげに煙を吹かしているようだった。

 

「爽馬君、もう行くの?」

 

「あぁ、どうやらそろそろお客さんが来るようでね。それと海未ちゃん?君に1つアドバイスをしよう。」

 

去り際に爽馬は言葉を残した。

 

「絵里は君たちが思っているほど固い女じゃない。」

 

それだけ言い残し、爽馬は何処かへと行ってしまった。その場には海未と希だけが取り残されてしまった。

 

「あっ、そういえばこれ……」

 

「大丈夫だよ。それにそれがないと彼を説得出来ないと思うよ。」

 

「はい、園田です。……今から話したいことがあるので来てくれませんか?本間さん。」

 

♢♢♢

2人と別れて数分後、とある廃工場に爽馬は颯爽と現れ、そのお客と再対面した。そのお客とは先の戦いで傷だらけになり、ボロボロとなったジャッカル。

 

「まさか穴を掘って逃げてるとはなぁ。これならベースになった動物のことを調べておけばよかったな。」

 

ジャッカルはフォースとファントムが戦ってる最中に穴を掘って、その場から逃亡したのだ。結果的に逃亡には成功したのだが、フォースの猛攻と神経毒の影響で動くことが出来ず、この廃工場で身を隠していたのだ。

そんな軽口を叩いている間にジャッカルはヨロヨロとこちらへと迫ってくる。まさか、そんな状態でも反抗する気なのかと爽馬は驚き、同時に気分が悪くなった。

 

「おいおい、そんな体でまだ立ち向かおうってのかい?」

 

フォースの神経毒の影響か、手と舌はダランと垂れ下がっており、目は虚ろで、見るからに弱っており、こんなものを今から倒そうと思うと気が引けて仕方がない。

 

「俺は何かをいたぶる趣味はない。直ぐに楽にしてやるから、もう動くな。」

 

最後の警告を冷たく言うも、ジャッカルは聞く耳を持たず、ひたすらに爽馬へと迫る。そして、爽馬は深くため息をつき、覚悟を決める、

 

「……そうか……せめてもの情けだったんだけどな……」

 

哀しげに呟き、黒いコートをめくる。そこには既にドライバーが巻かれており、黒いディスク、ゼロディスクをセットする。

 

《Install》

 

「変身!」

 

《Lord Rider Zero》

 

爽馬の掛け声とくぐもった電子音声とともに黒い光に包まれる。そして、その黒い光が消えるとそこには仮面ライダーファントムがおり、ファントムセイバーを携えて佇んでいた。

 

《Relord Rider ZZZero》

 

早速ドライバーからゼロディスクを取り出し、ファントムセイバーの柄の部分へとセットする。

 

「さぁ……終れ……」

 

ファントムは助走をつけて勢いよく跳び、ジャッカルとのすれ違いざまに胴体を一閃に斬る。

 

「終焉の煌めき……」

 

必殺技の名前を静かに呟く。そして斬られたジャッカルは断末魔の叫びすらもあげることなく爆発した。

 

「………」

 

そして、ファントムはその爆炎を静かに見つめる。一体、どのような思いでその炎を見つめているのか。しかし、仮面はその思いを読み取らせることを許すことはなかった。

 

 

♢♢♢

「海未、本当に言ってるのか?」

 

ハンバーガーショップの2人用の席で仏頂面の拓人と海未は互いに顔を合わせて座っていた。あの後、海未は拓人と話すために呼び出し、現在にいたる。

 

「はい、私は本気です。」

 

「……というか、何でそれを俺に言う。あの生徒会長との絡みを見てればわかるだろう。」

 

拓人がこんな反応するのは無理もない。海未は拓人に先ほどの話をした、どうしても絵里にダンスの指導をして貰いたいと。だが予想通り、拓人はものすごく嫌な顔を浮かべてちた。やはりと海未もそれなりの覚悟はしていた。確かに拓人の言う通り、拓人の絵里との仲は最悪なのだ。そんな相手と一緒に練習、まして、自分の指導でも飽き足らず、嫌いな相手に教わりたいなど言えば、反応などたかが知れていた。

 

「わかってます。」

 

「じゃあ何で‼︎」

 

「本間さんならわかってくれると思ったからです。」

 

「はっ?」

 

だが、海未は拓人を信じていた。どんなに嫌な相手だろうと、適切に評価し、しっかりと考えを言ってくれるだろう。だからこそ思惑を包み隠さず、伝えたのだ。

 

「それに本間さんなら生徒会長の踊りについて、何かしらの反応はすると思ったからです。」

 

それにあれほどのダンスを見て、ダンサーとして何も感じないわけはないと思っていたのもあった。

 

「……そうだな、確かに思った。」

 

拓人は不機嫌な表情でコーラを飲む。そして、飲み終えるとその重々しい口を開き始めた。

 

「はっきり言うと、確かに生徒会長から教わるのはいい案だと思う。あの人自身も何で辞めたのかっていうくらい上手だし。それに俺のダンスと生徒会長のはベクトルが違うから、いい経験にもなると思う。」

 

海未の予想通り、絵里のダンスについては認めており、山場は超えたとホッと安堵する。しかし、問題はまだある。

 

「でも、みんなが認めてくれるかどうか……」

 

「だからこそ、まず最初に本間さんに聞いたのです。生徒会長と1番中の悪い本間さんが賛成と後押ししてくれれば、多分皆さんも納得してくれるはずです。」

 

そう言うと、拓人は難しい表情へと変わり、腕を組み深く考える。それを海未はじっと待つだけだった。

 

「個人的には嫌なんだが……μ’sのことを考えるとそれが最善なんだろう。」

 

「それでは……」

 

「うん、海未の考えに乗るよ。」

 

「ありがとうございます!」

 

拓人は嫌な顔1つせず、快く請け負った。そして海未はホッと一息をつく。

 

「これで1つの問題が片付きました。」

 

「そうだな……1つはな。」

 

そう拓人が呟くと、2人の表情が徐々に曇っていく。そして残された問題が、自分達のものであればよかったのにと思った。

 

「なぁ、海未?」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「この話って無駄にならないよね?」

 

「……それは穂乃果達の頑張り次第ですね。」

 

この思惑が実行できるかも結局は穂乃果達のテスト次第だということを改めて痛感し、再び頭を悩ませることになったのは言うまでもない。

 

 

 




次回の仮面ライバー!
μ’sのラブライブ出場の許可が下りた矢先に告げられる廃校の決定!

「どうして⁉︎」

913「これも全部乾巧って奴の仕業なんだ。」

だが、それでもμ’sはオープンキャンパスに向け練習を続けるが……

「まだダメです……」

そして、拓人と海未はみんなに告げる!

「生徒会長に……ダンスを教わろうと思うんだが。」

次回 意思

「私たち絶対に廃校なんかさせない!」

その硬い意思が人の思いを突き動かす
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