仮面ライバー 守れ!女神たちの夢!   作:シママシタ

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みなさんお待たせしました。
始動編も残すところあと2話です!



闘士

拓人が屋上に着くと、既に練習が始まっていた。しかし、今回は少し風景が違っていた。

 

「ほら、そこ!ピンとして!」

 

拓人が遅れて来る時はいつもは海未が指導しているのだが、今回は絵里が指導していた。

昨日、メンバー全員と話し合い、絵里にダンスを教わろうと決め、それを早速実行したのだ。

 

「あら、あなた。」

 

厳しい表情をしながら絵里は振り向き、拓人を見る。それに拓人はほんの少し固まるも、負けまいと拳を握り締める。

 

「これはどういうこと?全然基礎がなってないじゃない!」

 

すると絵里は拓人を見るや、叱責を浴びせる。それを拓人は嫌な顔をして聞く。

 

「柔軟もダメ、筋力もバランスもなってない。それなのにあなたは技術だけを教えてたの?信じられないわ!」

 

「そ、それは……。」

 

そう、拓人はμ’sにはダンスの技術しか教えていなかった。いや、それしか教えることが出来なかったのが真実だった。

 

「一体、あなたはどうやってダンスを学んだの。」

 

「……1人で……。」

 

「えっ?」

 

「誰にも教わってない。全部1人でやっていた。」

 

絵里はμ’sのダンスの練習を見て、あまりの酷さに呆れて、その思いを吐きかけるように拓人にぶつける。しかし、拓人が思いがけないことを言い出し、絵里は困惑してしまう。まさか、独学でダンスをやっていたことが衝撃的すぎるのだ。

 

「嘘⁉︎本当に誰にも教わってないの?」

 

「一度だけ……一度だけ教わったっていうか、やらされた……。」

 

「あ、ありえないわ……。」

 

ダンスを教わったことがないのにコーチを引き受けてることと、独学でありながらUTXに入学出来たことに絵里は衝撃を受けてしまう。

 

「うわっ!」

 

拓人と絵里は花陽の声に反応し、同時に振り向く。そこでは花陽がバランスを崩し、倒れており、すかさず凛が近くに寄って介抱していた。

それを見た絵里は所詮この程度かとまたも呆れ、ため息を吐く。

 

「もういいわ、ここまで。今度のオープンキャンパスにら学校の存続がかかってるの。もし出来ないなら、早めに言って。時間がもったいないから。」

 

絵里はそう冷たく言い放ち、屋上を後にしようとした。

 

「ありがとうございました!明日もよろしくお願いします!」

 

なんと、μ’sが揃って絵里に感謝の挨拶をしたのだ。そんな行為に何とも言えない複雑な思いを抱きながら、絵里は屋上を1人、後にした。

 

 

♢♢♢

日が落ち、街灯がポツポツとつくころ、絵里は考え事をしながら帰り道を歩いていた。

 

「私のやりたいこと……。」

 

今日のおかげで自分のやりたいことにはっきりと気がついた。しかし、今更なのだ。あれほど、貶すようなことを言っていた自分が、今になって一緒にやりたいなんて言えるはずがない。そのため、今まで自分が彼女達にやってきたことを後悔しているのだ。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

すると突然、閑静な住宅街に女性の悲鳴が響き渡った。

 

「何!?」

 

絵里はすぐさま反応し、その悲鳴がした方へ駆け出した。すると、人気のない工場へとたどり着いた。工場の入り口の前で絵里は唾をゴクリと飲み、バッグからグレーのリボルバー型の銃、あのフォースのスプッラシュフォームの銃と似たものを取り出し、構える。

そして、恐る恐る中へと入り、周り見回す。中は薄暗くよく見えないうえ、大きなコンテナが要所にあり、もの陰からいつ何かが現れてもおかしくなかった。そのため、絵里は細心の注意を払いながら、中を散策する。

 

「あれは‼」

 

ある程度奥へ進むと、先ほど悲鳴をあげたであろう女性が倒れており、絵里は音を立てずに素早くその女性のもとへ駆け寄った。

 

「大丈夫ですか!?」

 

女性の耳元で、最低限の音量で話しかける。反応こそ無かったものの、呼吸をしていることは確認できたため、とろあえず安心する。

 

「とりあえず、ここから出ましょ。」

 

絵里は女性を肩にかけ、そのまま工場を出ようとしたその時、ガシャンガシャンと人間ではない足音が工場内に響き渡り、それに気づいた絵里は咄嗟に近くにコンテナの影に隠れる。

そして絵里はコンテナの影から、その異形を観察する。その異形は先ほどまで女性が倒れていた所を凝視する。首を少し前に伸ばし、鋭い爪とずんぐりとした足。そして背中には硬く大きな甲羅を背負ったオーガ、タートルオーガは耳を塞いでしまうほどの叫びをあげる。

 

「ジジャァァァァァァ!」

 

「ん……ふぁ……ここは?」

 

するとタートルの叫びにより、今まで気絶していた女性が起きてしまった。そして、起きるやいな、すぐに普通の声量で声を出してしまったせいで、タートルに気づかれてしまう。

 

「しまった!」

 

絵里の血の気が一気に引いていく。絵里には銃と爽馬から教わった護身術のおかげで多少オーガと戦うことは出来る。しかし、爽馬のように本格的に戦うわけでなく、あくまで時間稼ぎや援護のレベルでしかない。

そのためこのように爽馬がいないかつ、一般人がいるこの状況は最悪とも言えた。だが爽馬を呼べばすぐ覆る状況でもあるのだが、その肝心な爽馬がどのくらいで来るかわからない以上、それまで持ち堪えなければならないのがまた問題だ。さらに、連絡してる最中にタートルが襲ってこないというそんな都合のいいこともないだろう。となれば、最善の方法はどうにかしてこの場から離れることと絵里は考える。そうとなればと、早速実行に移す。

 

「あなたは逃げて!」

 

「でも……。」

 

「早く!」

 

絵里が女性を逃がすためとタートルの注意を引くためにあえて大きな声を出す。すると、予想通り、タートルが絵里達の前に現れた。

 

「ひっ!」

 

女性は先ほど襲われたおかげで、タートルを見るとすぐさまその場から逃げていった。異様な空気の中、残された絵里は握られた銃をタートルに向ける。

鼓動がいつも以上に速くなり、額から汗が流れ、喉の渇きも感じる。

 

「くっ……やぁ!」

 

覚悟を決め、絵里はトリガーを引く。銃口からは銃弾がタートルめがけて発射し、直撃する。

 

「ジャワ!」

 

タートルは銃弾の威力によろめく。しかし、大したダメージではなかったため、すぐに体勢を立て直す。そして、キッと絵里を睨みつけ、標的として定める。

 

「こっちよ!」

 

再び絵里は2発撃ち、タートルに当て、一旦コンテナの影に隠れる。そ

して、隠れながら入り口に向け走り出す。そして、タートルが隠れている絵里に気づかず、そのまま通りすぎるのを確認すると、絵里はすかさず移動する。

 

「ゾゴウ!」

 

タートルに気づかれたなら、銃弾を浴びせ、動きを止め、その隙に物陰に隠れる。それを何度か繰り返しいると、ようやく出口が見え始め、絵里は少しだけ気が緩む。

あそこに辿りつけば、後はどうにかなるはず。そう思い、一目散に出口に向かった。

しかし、ここで予想だにしないことが起きてしまう。突然、絵里は何かを感じ、不意に振り返る。すると1トンもあるコンテナが絵里目掛けて迫ったきていたのだ。

 

「嘘っ!」

 

絵里は咄嗟に反応し、直撃は免れたが、コンテナが落下してきた衝撃に襲われてしまい、吹っ飛ばされてしまう。

 

「痛っ!」

 

地面に叩きつけられ、鈍い痛みに耐えながら立ち上がろうとするが既にタートルが絵里の前に立ちはだかり、その退路を封じる。

 

「もう……ダメ……。」

 

絵里はこのまま殺されると覚悟した。しかし、その覚悟は一度、遠くへ追いやられることになる。

 

「ハァ!」

 

突然、入り口から白いバイクが現れ、タートルに体当たりをする。

 

「ジジュウ!」

 

悲鳴をあげながら吹っ飛ばされたタートルはゴロゴロと転がり、地面に伏せる。そんなタートルを見ながら仮面ライダーフォースはバイクを降り、タートルに指を指しながら決め台詞を放った。

 

「さぁ、俺のパフォーマンスに魅入られな!」

 

そう言うと、フォースはタートルに元へ駈け出し、既に立ち上がってタートルとの戦闘に入った。

 

「セイッ!」

 

フォースはタートルにパンチを決めるが、あまり聞いておらず、逆にタートルのキックをくらってしまう。

 

「なら!」

 

《Lord Power》

 

右の拳をグッと握りしめ、再びタートルにパンチを決めようとする。しかし、タートルが背を向け、その強化されたパンチを自慢の甲羅で受け止める。

 

「硬い!」

 

そのあまりの硬さに、フォースは右手に痛みを感じ、振るう。その隙にタートルは鋭利な爪でフォースの装甲を切り裂き、その衝撃でフォースは吹っ飛ばされてしまう。

 

「グワッ!」

 

フォースか地面に叩きつけられ、痛みに悶えている間にもタートルはジリジリと迫ってくる。

 

「ジジジ」

 

しかし突然、ガンと何かがぶつかった音が鳴り、フォースとタートルは同時にその方向を向く。そこには絵里がしまったというようや表情でフォース達の方を向いていた。

 

「ゼギャア!」

 

「やばい!」

 

すると、タートルは奇声を発し、絵里に襲いかかる。そうはさせまいとフォースは立ち上がり、タートルを羽交い締めにする。

 

「速く逃げろ!」

 

フォースは絵里に逃げるように促すも、絵里は足を怪我していたため、すぐに逃げることは出来なかった。

フォースが余所見をしているうちにタートルは拘束を解き、爪でフォースを何回も切り裂き、装甲から火花が散る。

 

「あっ……グッ!」

 

だが、フォースはその強烈な攻撃を受けながらも踏み止まり、反撃に出る。

 

《Overlord Rider FFFForce》

 

「ダァァァァァ!」

 

フォースは強烈なパンチをタートルにくらわせる。タートルはその攻撃に踏ん張りながら後方に飛ばされる。そして、飛ばされ終わると体を叩き、再び臨戦体勢にはいる。

 

「やっぱり効いてないか。」

 

フォースは冷静にタートルを分析し、その結果として新たなディスクを取り出す。

 

《Lord Form Land》

 

電子音声と共に砂煙が舞い、フォースを覆い隠す。そして、砂煙が消えるとそこには紫色の鎧をまとい、大きなハンマー、ランドハンマーを持ったフォースがいた。

 

仮面ライダーフォース ランドフォーム

 

強固な鎧を持ち、力の限りに敵を嬲る狂戦士の力をまとったフォームである。

 

「いくぞ!」

 

フォースはハンマーを下ろし、引きずりながらゆっくりとタートルに近づいていく。

 

「ザャギャウ!」

 

タートルも雄たけびをあげ、フォースに襲い掛かる。

 

「ふん!」

 

タートルが襲い掛かる瞬間、フォースは右下から思いっきりハンマーを振り上げ、重い一撃を与える。

 

「ゼキュ!?」

 

タートルはそのまま吹っ飛ばされ、壁へと叩きつけられる。その衝撃により粉塵が舞い、それをフォースは凝視する。すると粉塵の中からタートルがフォースにとびかかってきた。

 

《Lord Sutan》

 

フォースは急いでハンマーにスタンディスクをセットし、タートルの攻撃に突きで対抗する。突きをくらったことにより、タートルはうつ伏せに倒れるが、すぐに立ち上がり、爪でフォースを切り裂こうとした。しかし、ランドフォームの強固な装甲には傷一つつけられなかった。だが、諦めの悪いタートルはもう一度同じ攻撃をしようとするが、突如電気が流れたかのように痙攣し始め、動きが完全に止まった。

先ほどのスタンディスクがようやく効いたのだ。この状況を好機と見たフォースは、仮面の奥でニヤリと笑い、ハンマーで容赦なくなぶっていく。

 

「ジャ……ギュ……」

 

フォースの猛攻にタートルはうつ伏せに倒れる。そしてフォースはランドディスクをハンマーにセットし、止めの準備をする。

 

《Relord Land FFFForce》

 

するとハンマーの片方からブースターが現れ、火を吹き始める。そのブースターを地面に向けつつ、大きく振りかぶる。そして、ブースターから一気に炎が噴出し、フォースが宙に浮く。

 

「ライダー……インパクト‼」

 

フォースはブースターの推進力を利用し、ハンマーをタートルに向け、振り下ろす。ハンマーはタートルの固い甲羅をガラスを割るように粉々に砕き、タートルを叩き潰した。

 

「ジャギャァァァァァァァァァァァ‼」

 

タートルの悲痛な断末魔とともに爆発し、工場内は赤く照らされる。

 

「ふぅ、終了。」

 

深く深呼吸をし、バイクにまたがり、そのまま工場を後にしようとすると、フラフラとした足取りで絵里が目の前に現れた。

 

「ねぇ、あなた正義なの!?」

 

突然、絵里がフォースに問いかけた。何故、絵里がそんなこと言うのかと疑問を抱いたが、とりあえず質問に答えることにした。

 

「俺はオーガを倒すだけだ。」

 

「他の人を犠牲にしてまで!?」

 

その絵里の言葉にフォースは仮面の奥で眉をピクリと動かした。絵里の言いたいことはよくわかった。UTXはオーガを倒すためなら犠牲も問わない。もしかして絵里はUTXに何かされたからこんなことを聞いたのかと考えた。

しかし、人々を悲しませないために戦っているフォースにとって絵里の言葉は自分を侮辱しているにも等しかった。

 

「人を救わないで何が仮面ライダーだ!俺はオーガと……そんなUTXの奴らと一緒にするな!」

 

激しい怒りを絵里にぶつけ、フォースは強くアクセルを踏み、その場から去っていった。

そして、1人残された絵里はフォースはUTX側の人間とは思えない発言に戸惑いを隠せずにいた。

 

「フォース……あなたは爽馬に似ている気がする。」

 

いくらUTXの仮面ライダーだとしても、倒してしまってもいいのかと爽馬の復讐に疑問を抱いてしまう絵里であった。




次回はあの感動回です!
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