仮面ライバー 守れ!女神たちの夢!   作:シママシタ

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前回はピリピリしてたので今回は和み回です笑


束の間の休息

夕日が地平線に顔を隠す頃、爽馬は気のかかることが多いことにため息を吐きながら料理をしていた。

一つは蛇目の男のこと。二つは絵里達のこと。明日は運命のオープンキャンパスであり、学校存続がかかっている。そんな大きなものが二つも爽馬の転がり込んできたのだ。心配になるのと無理はない。

 

「お兄ちゃん!こんなに作ってどうしたの!?」

 

「えっ……あぁ!?」

 

考え事をしながら作っていたため、殆ど無意識の内に手を動かしていたため、テーブルの上には約30品目、人数に換算して、20人分の料理が所狭しに置いてあった。

 

「あらら……やっちまったな。」

 

予想外の失態に頬をひきつらせる。因みに作りすぎても、大食いの爽馬ならペロリと平らげるので問題はない。

 

「爽馬、大丈夫?」

 

「いや、ぶっちゃけ大丈夫じゃない。絵里、メシ食い終わったら俺の部屋に来てくれないか?」

 

「わかったわ。」

 

珍しく、弱音を吐いた爽馬に絵里は目を丸くしながらもとりあえず返事をする。

 

「さんきゅ。それじゃあ、メシ食うか。」

 

「亜里沙、お腹ペコペコ。」

 

待っていましたと言わんばかりに亜里沙は椅子に座り、食事の準備を始める。

そして、爽馬と絵里も席に座ると、手を合わせる。

 

「「「いただきます!」」」

 

そして、亜里沙は早速、爽馬お得意のピロシキを口に頬張る。

 

「う〜ん!やっぱりお兄ちゃんの料理は世界一美味しい!」

 

爽馬は亜里沙の幸せな笑顔を眺める傍で、先日のことを思い出していた。

 

♦︎♦︎♦︎

カンガルーオーガを撃破し、絵里と爽馬は息を切らしながら蛇目の男を追っていた。

 

「くそッ!拓人達を助けに行かねぇと!」

 

一刻の猶予も許されない状況に焦りと不安が募るばかり。だが、青い感情はある男が現れたことに解消される。

 

「その必要はない。君達のご友人は無事だ。」

 

後ろから聞き慣れた声が聞こえ、二人は同時に振り向く。そこにUTXの一員として爽馬の目の敵でありながら、個人的な理由で組織に隠れて爽馬を支援する立木がいた。

 

「負傷者は出たもののフォースが何とか撃退してくれたおかげで被害は最小限に抑えられた。」

 

アイデンティティと化したスーツを身に纏った立木が思考が読ませることのない淡々とした表情で二人に蛇目の男の行方を説明する。

 

「へぇ、なかなかやるじゃん。あんたのところも。」

 

犠牲者が出ず、二人は胸を撫で下ろす。しかし、爽馬は同時にUTXらしからぬ結末に疑問を抱く。

 

「でも、撃退なんだな。らしくねぇな。UTXならどんな犠牲を払ってでも、オーガは倒すんじゃなくて?」

 

皮肉がこもった爽馬の疑問に立木はただ黙ったまま聞いていた。UTXはオーガ殲滅のためなら一般人などの犠牲はやむを得ないと簡単に切り捨てる組織だ。そんな組織の

 

「なぁ、あいつは何者だ。」

 

ただ純粋に気になっていたのだ。フォースという戦士、否、その人物が一体どんな人物なのか。組織という枠に収まりながらも、その組織に捉われないことをするフォースに興味を抱いたのだ。

すると、立木は爽馬を一瞥し、何を言っているんだと言わんばかりに堂々と言葉を放つ。

 

「君と同じ志を持つ仮面ライダーだ。」

 

「……そうかい。」

 

例え、支援している相手だろうと正体を明かすことも、ヒントも与えない。立木のそういう抜け目のないところは爽馬にとっては嫌いではない。

 

「それで、立木さんは何故私たちのところに?」

 

「あぁ、それはある話があってね。まぁ、無理だとは思うけどね。」

 

すると、立木は淡々とした表情からバツの悪そうな表情へと変わる。立木の表情が変わるほどの話とは何だろうと二人は疑問を抱く。

 

「これはUTXの意見だ。仮面ライダーゼロ……いいや、今は仮面ライダーファントムだね。君に仮面ライダーフォースと一時的に戦線を共にしてもらいたい。」

 

その瞬間、二人に電流が走るように衝撃が襲いかかる。

 

「……本気で言ってるの?」

 

「そうだ。私は本気だ。」

 

絵里の声色が一気に暗くなる。それもそうだ。UTXは爽馬に対し、取り返しのつかないことをし、人生をめちゃくちゃにしたのだ。そして、挙句に使えないと処分しようとしたくせに今更何を言っているのかと絵里は激しい怒りを表に出す。

爽馬もこれが立木ではないUTXの何者かが言ったのなら、おそらく吐き気を覚えるほどの怒りを露わにし、その場で斬り殺すほどの話だ。

 

「立木さん。あんたの予想通り、それは無理な話だ。こんな出来損ないがあんな完成品と肩を並べるなんて無理だ。」

 

「そうか。それはそれで安心した。」

 

UTXにとっては自業自得の結果だろう。しかし、UTXの一員である立木は悔しさなど微塵も感じず、むしろ安心したようで、ニヤリと笑う。すると、ポケットからディスクを取り出し、爽馬へと投げ渡す。

 

「また新しいディスクか。」

 

「バリアディスク。それを使えば電磁バリアが発生して、あらゆる攻撃を防ぐことが出来るものさ。」

 

「ふぅ〜ん。あんたも相変わらずだな。拡張性のない旧型のためにわざわざ専用のディスクを開発するなんて。あんたのところのライダーにも使えるようにすればいいの。」

 

立木は爽馬と接触する場合、時々自作のライダーディスクを爽馬に渡すことがある。因みにシステム上ではフォースとファントムは根本的に違う。そのため、実はライダーディスクは共有出来ないのだ。

そのため、立木はわざわざファントムの専用のライダーディスクを開ているのだ。

 

「それは正規の開発者がやってくれるから構わない。それにこれはあくまで趣味だ。」

 

「相変わらず、あんたの考えはよくわからないな。」

 

「そうかな?ただ私は義務を果たしているだけさ。」

 

爽馬はこうは言ってるが、実際は立木の考えはよく理解している。不幸な身になった自分に同情しての行動であり、そして立木自身の償いなのだ。それをわかったうえで爽馬は敵でありながら、立木と接触しているのだ。

 

「……そうか、ならありがたく使わせてもらう。」

 

そして、爽馬はそのディスクをコートの裏ポケットに仕舞う。

 

「それと絢瀬さん。君にも渡したいものがある。」

 

次に絵里に近づき、花の女子高生へのプレゼントにしては物騒にもほどがある、サバイバルナイフを手渡す。

 

「オーガの肉体を斬れるナイフだ。しかも、刃が当たれば電流が流れ、一時的に動きを止めることが出来る。だけど、過信はしないで欲しい。あくまでも護身用にね。」

 

「はい。」

 

絵里はその強大すぎる力を恐る恐る手に取り、慎重にバックへと仕舞う。

 

「それでは二人とも……武運を祈る。」

 

立木は二人にそう言葉を言い残すと、近くに停めてあったオフロードバイクにまたがり、去って行った。

 

「爽馬……これって……。」

 

「あぁ。相当やばい状況かもな。」

 

爽馬だけでなく、絵里にも新しい戦力を渡す程の状況。これには爽馬も顔を引きつらせてしまう。

 

♦︎♦︎♦︎

「「「ごちそうさまでした!」」」

 

そうこう考えているうちにたくさんあった料理はあっという間になくなり、片付けに入る。

 

「亜里沙ちゃん、もうお風呂が湧き上がっているから先に入ってきな。」

 

「うん!わかった。」

 

片付けを終えると、爽馬は亜里沙にお風呂に入ってるように促すと、亜里沙は純真無垢な笑顔を振りまき、着替えを持ってお風呂場に向かっていった。

亜里沙が行ったのを確認すると、爽馬と絵里は一緒に爽馬の部屋へと向かった。

爽馬の部屋は漫画やDVD、ギターにプラモデルにヒーローのフィギュアなどの数々の趣味のものがこれでもかと飾ってあった。因みにこれらの趣味の中で爽馬が一番お気に入りのものはグリッド○ンのフィギュアである。理由としてロボットと合体するとか、いろいろな男のロマンが詰まっているかららしい。

 

「それで、話って?」

 

そして、二人は並んでベッドに座る。

 

「あぁ……あんまり言いたくはねぇけど……不安になっちゃってさ。」

 

不安だというにもかかわらず、爽馬は笑っており、表情からはそんな不安など微塵も感じない。まるで、仮面を被っているようだ。

 

「いや〜、今までなら最悪、絵里に亜里沙ちゃん、それに希とにこさえ守れればよかったんだけど……まぁ、友達が増えちゃったじゃん。」

 

「爽馬……あなた!」

 

爽馬の言葉が絵里の心にひっかかる。爽馬は仮面ライダーであるが故にに全ての人間を守らなくてはならない。そこに優劣をつけてしまうと途端に守りづらくなる。そのため、爽馬はあまり他人と深い繋がりを求めない。

そんな、爽馬が『友達増えた』が増えたと言ったのだ。当然、絵里は驚いてしまう。

 

「いや、実際は守るべきものには含まれてはいたんだから増えてはないんだけどね。でも、あそこまで近い存在になっちゃうと……失いたくはなくてね。」

 

やれやれと言った様子で爽馬は語る。しかし、絵里の目にはどこか嬉しそうに見えた。昔の孤独な爽馬ならありえない。そんな爽馬を見て、成長したんだなと絵里はクスリと笑う。

 

「爽馬も変わったわね。昔の爽馬なら『俺は孤高の戦士だ!だから、誰とも交わる気はないぜ!』とか言って、近づいてきた人たちを突き放していたのに。」

 

「そうだったな。そんな俺を変えてくれたのは誰らかな?」

 

爽馬の黒歴史を絵里はからかい、恥ずかしがらそうとするが爽馬は全く気づくことなくスルーする。

 

「一緒に戦ってくれてありがとな。」

 

絵里の瞳をじっと見つめながら、曇りのない純粋な感謝を絵里に放つ。爽馬は時々、こういう自覚のない不意打ちをしてくる。この仕打ちには大概の女性は堕ちてしまい、それは絵里も例外ではない。

この爽馬は本当にずるいと絵里は顔を赤らめながら思う。

 

「べ、別にいいわよ。私は好きでやってるの。」

 

絵里が目を逸らしながら言う。それから数秒だけ沈黙が流れる。

 

「ねぇ、今度は私の話を聞いてくれる?」

 

すると、その沈黙は破るように絵里が再び話始める。

 

「あぁ!どんとこい!」

 

「明日は……成功するかしら?」

 

絵里が不安な様子で明日のライブについてを爽馬に聞いた。明日のライブ学校の存続のかかっているのだ。失敗もリベンジも許されない。そういった極限状態の中、パフォーマンスを行うのだから不安を抱くの無理はない。

そんな、絵里を安心させようと爽馬を気の利いたことを言おうとするが、ダンスのことなどわからないのでどうも言葉が思い浮かばず、つい適当になってしまう。

 

「まぁ、成功するんじゃね?根拠はないけど。てか、そういうのは拓人に聞けよ。」

 

「何よ。話を聞いてくれるって言ったのは爽馬じゃない。」

 

「そうだけども……ダンスなんてマジでわかんねぇし。」

 

そう言って爽馬は慌てた様子で次の言葉を探す。そんな真剣に迷う爽馬を見て、絵里は可笑しく思えてつい笑ってしまう。

 

「ふぅ、なんか緊張が解けた気がする。ありがとう、爽馬。」

 

「お、おう!まぁ、心配しなくていい。必ず成功するさ。」

 

「うん。」

 

すると、絵里は爽馬に甘えるように肩に寄りかかる。これには爽馬は顔を赤らめる。チラリと横を見れば長いまつ毛が目に入り、次に柔らかそうなピンク色の唇。そして、女性特有のいい匂いが爽馬の鼻腔を襲う。

はっきり言って、理性が飛びそうであった。心臓が聞こえてしまうのかと思えるくらい脈を打つ。

そして、不意にあるいけない欲望が爽馬の脳内を支配する。だが、一線を越えるのはと思い留まろうとする。しかし、一度湧いた欲望を自力で止めるの難しい。

 

「爽馬……。」

 

絵里は艶っぽい表情でさらに上目遣いで爽馬を見つめる。そんな絵里を見た途端、爽馬の中で繋ぎ止めていた糸が切れる。そして、ゴクリと唾を飲み、意を決して絵里をベッドに押し倒そうと肩に手をかけたその時。

 

「お風呂あがったよ……って、お姉ちゃん達何やってるの!?」

 

可愛い猫がプリントされた水色の寝巻を着た亜里沙が部屋の前におり、しっかりと二人の行いを見ていた。

 

「あ、亜里沙!?べ、別に何もないわよ!」

 

爽馬と絵里はとっさに離れ、わちゃわちゃと慌て、誤解を解こうと必死になる。だが、純真無垢な亜里沙には二人の行いの意味をわかっていなかった。

 

「ずるい!亜里沙もお兄ちゃんに甘える!」

 

すると、亜里沙は爽馬の膝に寝そべり、膝枕の形になる。ただ、甘えあっていたと勘違いして亜里沙に二人はホッと胸を撫で下ろす。

 

♢♢♢

時計の短い針がちょうど左を指すころ。静まり返った白い部屋。タンスやベッドなどの生活に必要最低限な家具しかない部屋。ゲームや漫画など一切なく、年頃の男子高校生に殺風景すぎる。

そんな部屋で問題なく過ごしている拓人は近所のコンビニで買ってきた弁当は淡々と食べている。

 

「蛇目の男……。」

 

箸を動かしながら殺し損ねた蛇目の男について考えていた。おそらく、何かしらの形でまた接触するのは確定だ。だが、それがいつ来るかだ。狡猾な男だ。いやらしいタイミングで来ることが多いに予想できる。

 

「今度こそは……必ず殺す!」

 

容器にまだ料理に残っているにも関わらず、殺意が湧き、思わず箸をへし折ってしまう。

 

「絶対に守ってやるからな、真姫。」

 

不意にそばに置いてあった写真とMDプレイヤーを手に取る。この二つは拓人にとって大切な思い出のものが。

写真には幼いころの真姫と若かりし真姫の両親。そして、拓人と両親と妹が写っていた。

そして、MDプレイヤーにはある思い出の曲が入っていた。拓人はその曲を聴くために、再生ボタンを押した。

 

〜愛してるバンザーイ〜

 

そのMDプレイヤーからは幼い頃の真姫、そして聞き覚えのある、拓人の母と妹の歌声が流れていく。

拓人は嗚咽交じりに涙を流しながら聴いていた。

 

♢♢♢

 

そして、運命の日が訪れる

 

 

♢♢♢

次回、仮面ライバー!

いよいよ開幕する! オープンキャンパス!

「必ず成功するよ!」

「全部出し切っていくぞ!」

 

しかし、そう簡単に上手くはいかない

「思っている以上に人が……。」

「もっと人手が必要なんだ!」

 

そ し て 現 る 蛇 目 の 男

「てめぇ!」

「さぁ、狂演の始まりです!」

 

仮面ライバー最大のピンチ

音ノ木坂に襲いかかる千体のオーガ!

このピンチを仮面ライダーは切り抜けられのか!?

「俺は戦う!仮面ライダーフォースとして!オーガを狩る!」

「守りたいもの守るためならプライドなんか捨てたって構わねぇ!」

 

 

 

 

「手を貸せ!フォース!」

 

 

仮面ライバー 〜オープンキャンパス動乱編〜

開幕

 




いや〜爽馬がリア充していましたね笑
ウンメイノーになってくれませんかね?(自分で書いてといて)

まぁ、今回はライダー達のキャラ掘り下げ回です。拓人と爽馬の根本的な違いがちょくちょく垣間見えたのでは?

趣味のない拓人と趣味のある爽馬
殺風景な部屋としゃれた部屋

これらの違いが一体何を示すのか?

そして、少しづつ明らかにライダー達の過去
その過去はおそらく壮絶なものとなるでしょう

では次回もお楽しみに!



仮面ライバーサンシャインもよろしね★
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