希一さんのラブライダー企画のため、少し遅れてしまいました。
ラブライダー企画。自分も読ませてもらっていますが、どれも全部面白い!全部面白すぎて、自分が書いた作品に自信が持てなくなって、絶賛スランプです。
そのため、文も内容もあまりいい出来ではないかもしれません。
運命の朝。拓人は激しい鼓童を抑えながら、音乃木坂学院に向け、バイクを走らせていた。
今日は待ちに待ったオープンキャンパスの日。今日のライブが成功しなければ音乃木坂学院の廃校は確定する。
「何だろうな……。」
自分が踊るわけではないのになぜか緊張する。おそらくただ見守ることしかできないもどかしさからきているのだろう。
そうこう考えているうちに、音乃木の正門に到着した。
「たっくん、おはよう!」
「おはよう、穂乃果、海未、ことり。」
そこで、仲良く3人でいた2年生ズと会い、穂乃果は相変わらずの明るさで拓人に声をかける。
「いよいよだな。」
「うん!」
大一番を前にして、緊張して声が震えてるのかと思えば、むしろはっきりとしていて拓人は驚いてしまう。
「緊張してないのか?」
「緊張はしてます……でも!」
「ちょっと、楽しみなのもあるかな?」
海未とことりはまるでこれから遊園地にでも行くかのような物言いで、拓人は唖然としてしまう。
「全く、すごいことを言うな。」
「だって、この日の為に頑張ってきたんだもん!」
本当はとても重い重圧を感じているはずだ。しかし、そんなものを一切感じさせない3人を見て、段々自分が緊張してきたのがバカらしく思えてくる。
「そうだな!なら、みんな出せる力を出していこう!大丈夫、きっと成功するさ!」
今までの後ろめいた感情を振り払うように拓人は高々に言い放った。
♢♢♢
一方、神田明神では本殿の前で希が真剣な表情で、願い事をしていた。
「最後の最後に神頼みかい?」
すると、背後から爽馬が現れ、いつもの軽い調子で希に聞いてくる。
「せやね。何も起こらないようにね。」
「そっか。」
ライブが成功するようにではなく、何も起こらないようかと爽馬は希にしては変わった願いだと思った。
(そっか……心配なんだな。)
爽馬は希の思いを悟る。ライブについては今まで、必死になって練習してきたのだ。むしろ報われて当然であり、またライブの成功は必然でなければならない。
だが、ライブにある1つの問題が起きたら?機械トラブル、自然災害、そして……第三者の介入などが起きてしまったら希達ではどうしようも出来ない。そんなことが起きないように希は手を合わせたのだ。
すると、希は爽馬といつも一緒にいる絵里の姿が見当たらないことについて聞いた。
「エリチは一緒じゃないの?」
「絵里はもう学校に行ったぞ。集合時間の1時間前なのにな。」
「ふふ、エリチらしいね。それで爽馬君はついて行かなかったの?」
「亜里沙ちゃんを起こしてたしね。ご飯作ってたから。それに……たまには希と一緒に行きたかったし。」
「ふぅん……爽馬君。そういう女の子を誑かすことは簡単に言っちゃいけんよ。」
爽馬は意図的になのか……否、おそらく無自覚なのだろう。時々、女の子に気を引かせるようなことを言い、数々の女の子を落としてきた。その癖に思い人はおり、そのおかげで何人の女の子が傷ついたか。
希もその1人だ。
「それは……肝に命じておく。だけど、これは本心なんでね。どうしようもないくてさ。」
申し訳なさそうにしながらもその表情の片隅にはどうすることも出来ないと諦めが見えていた。
「なぁ、希?」
「急にどうしたん?」
「あの時、俺が希の思いを受け入れてたら、今頃どうなってたんだろうな。」
希の隣に立ち、爽馬はポツリと呟く。2年前、希は爽馬に告白した。だが、少女漫画のようなロマンチックなものではない。
真っ暗な部屋に招き入れ、背後から裸で抱きつく。あの時の爽馬と言ったら、自分の欲望と戦っている様子があまりにもヘタレ過ぎて、面白かった。
今思えば顔から火が出るものだ。しかし、転勤族で恋する暇もなかった希が初めて恋をしたのだ。何をどうすればいいかわからず、まして、爽馬は常に絵里と一緒におり、かなり焦った結果があの不器用な告白だ。
だが、希は後悔はしていない。振られようが、痴態を晒そうが、思いを伝えられただけ、余程ましだと思っているからだ。
「多分、幸せやないかな?だけど、ウチにとって、爽馬君にとっても今のほうがずっと幸せだと思うんよ。」
漠然とした答え。しかし、ここで下手に長々と言うことは未練がましいと思われるのは嫌だ。
とは言うが希は今でも爽馬のことが好きだ。もし、絵里が爽馬を傷つけるようなことをすれば直ぐにでも2人を引き剥がす
だが、逆に爽馬が絵里を傷つけるようなことをすれば、直ぐにでも見限る。好きだからこその覚悟だ。
「そうだな……たくさん仲間ができたしな。」
ふっと爽馬は安心したように笑う。そして、そっと後ろから希を抱き締める。
「なぁ、希。もし、神頼みが外れても心配するな。俺がいる。俺がみんなを守るから。」
希の耳元で爽馬は優しく囁く。なるべく、希の不安を取り除いてやりたいという思いからの行動だ。
だが、他にも理由がある。爽馬は神を信じていない。いるかどうかもわからない神を頼るくらいなら、自分を信じて欲しかったからだ。
「……わかってるよ。だけど、無茶はせんといて。」
「わかってるよ。」
希は抱き締めている爽馬の手をそっと触れる。爽馬のこういう優しいところに惚れたのだと希は改めて確認する。
「それじゃあ、行こうぜ。」
爽馬は希から離れると、希の前に立ち、左手を差し伸べる。希は差し伸べられた手を握り、歩き出した。
♢♢♢
「みんな集まったかしら?」
ピリピリとした雰囲気が部室に充満する。絵里は1人立ち上がり、周りを見回す。μ’sメンバーも、拓人も爽馬もしっかりといた。
「今日は
「私と希は生徒会として、少しここを離れるわ。だけど、みんなはライブ始まるまで、各自、振り付けを確認しておくように。」
「「はい!」」
元気のいい返事が聞こえ、どうやら問題はないと絵里は確信する。
「後、本間君と爽馬はステージの設置の準備の手伝いをお願いしたいのだけど。」
「ガッテン承知!お任せを!」
爽馬はガッツポーズをする。そして、絵里は次に拓人に視線を移す。爽馬のように大袈裟にはせず、ただ黙って頷いた。
「それじゃあ、連絡するべきことはないわ。最後に本間君、何か言いたいこととかあるかしら?」
「特にないけど……強いて言うなら、楽しめばいいと思う。」
これは拓人自身が大事にしている教えだ。
どんな場面でもダンスを楽しむこと。そうすれば、最高のパフォーマンスが出来るし、何より絶対に満足のいく結果になる。ただそれだけを伝えたかった。
「だろ、穂乃果。」
「うん!確かに緊張するかもしれないけど、今まで頑張ってきたんだから大丈夫だよ!」
「穂乃果ちゃん!」
穂乃果の一言で全員の表情が見る見るうちにやる気に変わっていく。たった一言で周りの気持ちを変える穂乃果に拓人は流石としか言えない。
「よ〜し、今日のライブ、絶対に成功させよう!」
そして、部室に明るい掛け声が響く。
♢♢♢
校庭ではヒデコ、フミコ、ミカの3人組とその他複数人のお手伝いがステージを作っていた。
「ヒフミトリオ、持ってきたぞ。」
「ありがとうございます。」
爽馬と拓人は女子にとっては運び辛い重い資材を運んでいる。
「悪いね、こんな面倒なことさせちゃって。」
「いいよ。私たちだって、穂乃果達に成功して欲しいしね。」
ヒフミトリオの好意的な行動に拓人は心を打たれ、持つべきものは友だなと拓人は思った。
「なぁ、拓人。」
「どうした?爽馬。」
「こりゃあ、最高のライブになるな。」
みんなで作り上げているステージを見て、爽馬は確信めいたことを言う。そうだなと拓人は相槌を打つ。すると、爽馬は突然、険しい形相に変わり、拓人は何事かと驚いてしまう。
「爽馬、どうした!」
「……拓人、悪い。ウンコしてくるわ。」
「あぁ、いいけど。」
その形相からは予想だにしない事態に思わず、拓人はずっこける。そして、爽馬は走り去っていった。
「……あれ?あっちにトイレはなかったはずじゃ?」
♢♢♢
爽馬は息を切らしながら全速力で走る。トイレに行きたいというのは嘘だ。ふと、校舎に目をやった時、あふ見覚えのある影を見つけたのだ。
背筋がゾッと凍りつく。その影を放って置けば、いずれ大きな事件へと拡大するだろう。だから、爽馬は嘘までついてその影を追っているのだ。
「てめぇは!」
その影に追いつき、鬼の形相で睨みつける。その影の正体、蛇目の男は舌をチロチロと出し、ニヤリと笑みを浮かべていた。
「おやおや、見つかってしまいましたか。」
「白々しい。何しに来た!」
「屈辱を晴らしに来ました。」
すると、蛇目の男は不敵な笑みを崩してはいなかったが、その異様な目には怒りが満ち溢れていた。
「この前は私は白のライダーにやられましてね。」
「だからって何でここに!」
「あの時、私は人質を取ってましてね。その人質がこの学校の生徒と調べたのでね。」
「そいつを襲えばまた奴が来ると言うのか。」
「ええ、白のライダーはどうやらあの人質に固執していたので。」
下唇を噛み、蛇目の男を睨みつける。ここまで陰湿だと、
「でもよぉ……そんなことはさせねぇぜ!」
「俺が来たからにはって言いたいのですね。しかし、私がやるとはまだ言ってませんけどね。」
「……何?」
蛇目の男の不穏な言葉に爽馬は顔を歪ませる。その時、爽馬の第六感が働き、頭を抑える。この感覚のおかげでやっと蛇目の男のやろうとしていることに気づき、激しい怒りを露わにする。
「てめぇ!まさか!」
「そうですね、私は直接手は下しません。部下達が勝手に暴れてくれるだけですから。」
そう、蛇目の男は自ら手を下さず、他のオーガにやらせようとしているのだ。自分を傷つけることなく、他の何かを傷つけることで事を成そうしている、卑怯な蛇目の男に爽馬はファントムセイバーを向ける
「この……下衆が!」
「罵ってもらって結構。この場で戦っても結構。ですが、その間にも事は進んでいきますよ。」
怒りに燃える爽馬を蛇目の男は嘲笑う。蛇目の男の言う通り、オーガは徐々にこの音ノ木坂学院に近づいている。爽馬はファントムセイバーを強く握りしめ、歯を食いしばる。本当ならこのまま、蛇目の男を殺したかった。卑怯でかつ陰湿は蛇目の男は人間としても、オーガとしての風上にも置けない、外道だ。
しかし、ここで蛇目の男と戦えば、学院にオーガが集まり、たちまち生徒や学院を見にきた中学生達の血で真っ赤に染まるだろう。
「今度会った時は覚悟してな。」
震える声でそう言うと、爽馬はファントムセイバーを携えたまま、蛇目の男に背を向け、その場を後にした。
「ひひっ。果たして、ライダーはオーガ達を倒せるのでしょうかね。」
残された蛇目の男は不敵な笑みを浮かべ、何処かへ消えていった。
仮面ライダー555の小説を読んで、落ち着こう