仮面ライバー 守れ!女神たちの夢!   作:シママシタ

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大変お待たせしました!
最近は色々とあったのと、スランプでなかなか執筆が出来ず、遅くなってしまいました


悲劇へのプロローグ

時は早く過ぎ3ヶ月。俺は彼女の隣で踊り続けていた。彼女曰く、俺はどうやら筋がよく、ダンサーとしては破格の才能を持っているらしい。

俺はその言葉を聞いた時、全部改造手術のおかげではと疑い、遠回しに運動神経がいいからでは聞いてみた。だけど、彼女はダンスは運動神経だけじゃなく、リズム感も大事だと言い、決して運動神経だけではないと断言した。

俺はその時、なんとも言えないくらい嬉しかった。改造手術を受けてからというもの、運動に関しては異常な程の結果を残していた。例えば、100mを5秒程で駆け抜けたり、握力で200kgだったり。俺は異常なその感覚とその結果に大きな違和感を感じていた。まるで、自分ではないような感覚。俺そのものの力ではないような感じがして嫌だった。

しかし、ダンスは改造手術の賜物ではなく俺の自身の力だと知り、俺はこの上ないほど嬉しかった。

 

「いや〜本当にたくちゃんは上手いね!なんかもう、抜かされそうだよ〜!」

 

「そんなことないですよ。俺なんかまだまだですよ。」

 

彼女の言葉には俺は謙遜して言葉を返す。ダンスを教わって以降、俺は彼女と先生として慕い、先生は親しみを込めて俺をたくちゃんと呼んでいた。

あの事件以前は俺もかなり友達がいて、たっくんだとかたくあんとか様々なあだ名があったが、たくちゃんと呼ばれたことはなかったため、むず痒い気持ちになる。

 

「全く、謙遜な奴だな〜このこの!」

 

すると、彼女は俺は肘で軽く何度も突いてくる。

 

「先生、痛いですよ」

 

「良いではないか〜」

 

結構な力で突いてくるものだから、本当に痛かった。

でも、こんなじゃれ合いも俺にとっては何よりも幸せだった。

 

「あっ」

 

そんなじゃれ合いをしている中、公園内に5時を知らせるチャイムが鳴り響く。

それは俺にとって幸せの時が終わりを告げるチャイムでもあった。

 

「時間だね」

 

「……はい」

 

「もう、そんな悲しい顔しないで。折角の美形が台無しだよ」

 

俺は露骨に悲しい顔をしてたのか、先生は俺の頭を撫でて、励ます。

 

「また、今度、会えるんだからさ」

 

「わかってますよ……」

 

俺は弱みを見せまいと意地を張る。それすらも可愛いと思った先生は笑みを浮かべて、さらに強く頭を撫でた。

 

♢♢♢

 

「ただいま戻りました」

 

重い足取りで生活の場である博士の研究所に帰って来る。

 

「最近は帰りが遅いな」

 

コーヒーを啜りながら博士は目を合わせようともせず、話してくる。

 

「別にいいだろ。トレーニングはサボらないんだから」

 

「……まぁいい、とにかく始めるぞ」

 

俺の冷たい態度に何かを察したような博士は結局、それ以上追求することはなかった。

それよりも今は俺のトレーニングの方が大事だった。

 

「……はい」

 

俺はただ一言を返事をすると、ロッカーからトレーニング用の服に着替える。

服と言っても、町中で売っているようなスタンダードなものではない。

ライフル弾も防げるように防弾加工された服と言えば、その可笑しさがわかるだろう。

そして、俺は可笑しな服に身を包み、俺は防弾加工された壁に囲まれた部屋に向かっていった。

 

♢♢♢

 

「動きが遅い!それではオーガに殺されるぞ!」

 

四方八方から放たれる弾丸を俺は目視で避ける。しかし、無茶苦茶に襲ってくる弾丸を全て避けることは出来ず、服や頬に掠ってしまう。

 

「クッ!」

 

やがて一発の弾丸が腹に直撃する。防弾加工されている為、死ぬことは無いが、衝撃は流石に受けてしまう。

 

「しまった!」

 

弾丸を受けた衝撃でよろめいた一瞬の隙に無数の弾丸が俺に襲いかかり、一瞬のうちに俺は地面に倒れる。

 

「これでお前は死んだ。……後はわかるな」

 

「わかってる……次はくらわない……」

 

部屋のスピーカーから博士の冷淡の声が発せられる。俺は強化ガラス越しに俺を観察する博士を一瞥する。

まるでゴミを見るような目。しかし、そんな扱いされても文句は言えない。

弱さは罪だ。強くなければオーガとは戦えない。オーガと戦う為にここに来た俺が弱ければ、存在価値はない。

それに、博士も好きで厳しくしているわけではない。俺を死なせない為に、心を鬼にして、やってくれているのはわかっていた。

ふらつく脚に喝を入れながら、俺は再び立ち上がる。

 

「次だ」

 

立ち上がった俺を確認すると博士は手元にあるボタンを押す。

すると、部屋の壁から刀を持ったアンドロイドが5体が現れる。

 

「こいつらを倒せ」

 

「はい」

 

俺が戦闘態勢に入る前に、アンドロイド達が早い動きで俺に迫っていく。

俺はたった拳一つでアンドロイドに立ち向かっていった。

 

♢♢♢

 

「あ」

 

ダンス中に躓いた俺は間抜け声と共に地面に転ぶ。硬く、荒いアスファルトの肩をぶつけ、擦り傷ができる。

 

「大丈夫!?」

 

たかが転んだだけで、大袈裟に慌てる先生。そんな先生を横目に、俺は冷静にバックから消毒液を傷口に塗り、絆創膏を貼る。

 

「少し休憩する?今日は動きが鈍いね」

 

「ちょっと寝不足で……」

 

俺は適当に笑って冗談に見せる。確かに寝不足もあったが、それよりも昨日のトレーニングで受けた傷の影響が大きい。

体を動かす度に傷口が開き、痛みを感じる。

そんな傷なら行かなければいいと思うかもしれないが、俺はこのダンスの時間が、先生といる時間がどんな時よりも幸せで楽しかった。

だから、怪我ごときで先生と会わないのは勿体気がした。

 

「……嘘だよね?」

 

「え!?」

 

一瞬で頭が真っ白になった。

まさか、先生が俺の嘘を見破るなんて思いもよらなかった。

本当のことを言うなら、先生はダンスのことしか考えていないため、そんなとこまで頭が回らないと軽く馬鹿にしていた。

 

「ちょっと!」

 

「ねぇ、この痣は何?」

 

突然、先生は俺の服を捲り、俺の肌を舐めるように見る。

俺の腹には殴られた時に出来た青い痣や切り傷が痛々しく残っていた。

それを見て、先生の表情が引きつる。

 

「こ、転んじゃって……」

 

「転んだだけでこんな傷はないでしょ!虐待されてるの!?どうなの!?」

 

俺は転んで出来た傷だと言い張るが、そんな見え見えの嘘が今更、先生に通用するわけがない。

 

「それは……」

 

だからと言って、本当のことは言える訳がなかった。絶対に嘘だと言われ、信じてもらえないはず。

信じて貰ったとしてもどうなる。ただ、危険な真実を目の当たりにし、恐怖させるだけだ。

だけど、そんな心配は無用だった。

先生は優しく、俺を抱き寄せ、耳元で優しく声をかける。

 

「大丈夫だよ。私はたくちゃんの味方だから」

 

「……先生!」

 

俺は結局、先生の優しさに負けた。負けた結果、子供のように泣きじゃくり、先生にしがみついた。

今まで堪えて、苦しみや悲しみが先生のおかげでやっと露わに出来た。

 

「……いいよ、今は泣きなよ。君はもう少し、子供になるべきだよ」

 

先生は俺の突然の変わりように驚くことも否定することもなく、ただ優しく抱き寄せ、励まし続けてくれた。

♢♢♢

 

「君はその……オーガっていう敵を倒す為に毎日辛い修行か……」

 

結局、俺は先生にオーガについて、俺がオーガに全てを奪われたこと。そして、そのオーガに復讐する為に自分を売って、厳しいトレーニングをしていることを話した。

本当は他人には話してはいけない秘密事項。でも、俺は先生の優しさに負けて、話してしまった。

 

「何で、先生が泣いているのさ」

 

「だって……家族も失って……辛い思いしてきたんだよね……」

 

でも、後悔はしてなかった。先生に共感して貰えただけで、俺は救われた。

 

「確かに……辛かったです。でも、あんなことがあったから俺は先生に会えたんです」

 

「たくちゃん!」

 

それに辛い事ばかりではなかった。今こうして、先生と出会えたことは俺にとって何よりも幸せだった。

そんなことを言うものだから、先生は泣きながら喜び、俺に熱く抱擁する。

先生の特有の甘い匂い。思わず、頭が昏みそうになり、動悸が激しくなる。

このまま、ずっとこうしていたい。ずっと傍に居たい。

そんな甘く、幼い願いが俺の中で生まれた。

でも、そんな些細な願いを奴らは許さなかった。

 

「た、助けてくれ!ば、化け物だ!」

 

風船のように柔らかい、俺たちの空間を破るように聞こえてくる男性の悲鳴。

俺の脳内に一抹の不安が過ぎる。

 

「どうしたのかしら?」

 

助けを呼ぶ声が聞こえ、先生は抱擁を止め、声をした方向に行こうと足を踏み出す。

しかし、俺はそんなことを許す訳がなかった。

先生の手を掴み、必死に制止する。

 

「行っちゃダメだ!」

 

「たくちゃん?」

 

「多分、化け物って言うのはオーガだと思う」

 

「それならどうするの!」

 

「俺が行きます!」

 

まだ自分の目で確かめていないから確証はなかったが、街中で暴れる化け物なら恐らく、オーガで間違いはないだろう。

オーガは通常の兵器では太刀打ち出来ない。

対抗出来るのは対オーガ専用の兵器か、オーガと同等の力を持つ存在ーー俺しかいない。

 

「ダメだよ!幾らたくちゃんがオーガのことよく知ってるからって、無茶だよ!」

 

「無茶なのはわかっています!でも、俺にしか出来ないことなんです!それに!例え、自分を犠牲にしてでもオーガを止めないと!そうしないと沢山の人が死んじゃう!そんなのは嫌だ!」

 

無茶などは最初から、戦う事を決めた時から承知していた。それでも、俺は戦う事を決めた。

俺の全てを奪ったオーガに復讐する為に。

あの惨劇を二度と起こさせないように。

もう、俺と同じあんな悲しい思いを誰にもさせないように。

 

「たくちゃん……」

 

俺の言葉を聞いて、先生は哀しそうな表情を浮かべる。

そして、俯いくとそのまま俺の目の前まで来て、そして、俺の頬にキツイビンタをくらわせる。

 

「何が自分を犠牲によ!ふざけないで!君は若いの!未来があるの!それなのに!自分を犠牲にするなんて言わないでよ!」

 

先生の涙の訴え。叫びに似たその声は嫌でも俺の心に響く。

しかし、響いたところで俺の決心は揺らぐことはなかった。

 

「俺は……本当は未来なんてなかった。本当ならあの時、家族と一緒に死ぬはずだった。でも、俺は生かされた。だから、いつ死んでもいいんだ。それが誰かの為なら本望なんだ」

 

10年近く、抱き続けた覚悟を変えることは今日までの自分を全否定することだった。

そんなこと、俺が出来るはずがなかった。

 

「だから、俺は行く。オーガを倒す為に俺は!」

 

「待って!たくちゃん!」

 

先生の制止を無視して、俺は1人、駆け出した。

中学生とは思えない速さで。異形の速さで、一心不乱に。

こうやって逃げるように先生から離れれば、きっと先生は追ってくることはない。

そう高を括っていた。

でも、それは大きな過ちだった。

 

「……もう!ここまで無視出来るわけないでしょ!」

 

先生は俺の暴走を無視出来なかった。

一人の大人として。先生として責任を果たす為、先生は俺の後を追うように走り出した。

それが、取り返しのつかない悲劇への第一歩とも知らず。




いかがでしたか?
次回で過去編は終わらせる予定です。
後、ご勝手ながら誕生日編を消させて貰いました。
なんというか、真姫誕で拓人と真姫が結婚するように書いたんですけど、なんか……違和感を覚えて、消しました。
でも、真姫誕だけ消すのはあれなんで、一層の事全員の誕生日も消しました。
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