仮面ライバー 守れ!女神たちの夢!   作:シママシタ

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あんまりラブライブのキャラが出て来ないとかどういうことかな?


作詞

 人気のいない上野公園に甲高い鉄の音が響く。

 

「はぁっ!」

 

「グギャッ!」

 

 街灯が無惨に倒され薄暗くなった空間に炎の斬撃が軌跡を描いて振り下ろされる。その斬撃はトカゲオーガの尾に命中し、青い血が吹き出しながら分断される。

 

「それそれくたばってくれないか?」

 

 赤い鎧を纏ったフォースフレイムフォームは膝まずくトカゲにフレイムソードの先を向ける。

 戦闘は序盤からフォースの圧倒的優勢であった。いや、戦闘よりもリンチのほうがわかりやすいか。動きも速いわけでもなく、力も大してあるわけでもない。はっきり言えばトカゲは弱かった。そんなトカゲを倒すことなど数多の戦闘を経験してきたフォースにとっては道に歩いている蟻を殺すのと同じくらい簡単なことであった。

 しかし、打たれ強くなかなかに倒れない。

 

「これ以上は疲れる! だから、これで決める!」 

 

 雑魚に時間をかけられるほどフォースは暇ではない。明日も過酷なレッスンやμ'sの練習に付き合わなければならない。

 ドライバーからフレイムディスクを取り出し、フレイムソードにセットする。

 すると、刃が燃える。このまま、必殺の「ライダースラッシュ」で仕留めようと振り上げる。

 

「やらせませんよ!」

 

 だが、背後から銃弾がフォースを襲い、よろめいてしまう。

 水を差した奴は誰と警戒心と怒りを剥き出しにしながら振り向く。

 

「お前は蛇目の男!」

 

 そこには真姫に手を出した外道、蛇目の男が左手と一体化したガトリングをフォースに向け、立っていた。

 

「すみませんね。ここで死なれると作戦が狂いますので」

 

 すると、蛇目の男は紫色の異形、コブラオーガへと変態し、ガトリングを放ちながらフォースへも迫る。

 

「ちっ!」

 

《Lord metal》

 

 乱れ撃たれた銃弾を避けるのは至難の技。フォースはメタルディスクで防御力を上げ、銃弾を受けきることにした。

 

「それはよんでいました」

 

 しかし、メタルディスクを協力な防御力が約束される代わりに身動きが一切取れなくなるというデメリットがある。コブラはその隙にトカゲを抱え、逃げ去ろうとする。

 

「行かせるか!」

 

「行かせてくれないと困るのですよ!」

 

 折角、撃破寸前まで追い込んだのだ。ここで逃すまいとメタル化を解除し、追いかける。だが、コブラはガトリングから煙幕を必要以上に撃ち、フォースの視界を遮る。

 

「クソが!」

 

 フォースが煙幕を払った時には既にコブラ達の姿は消えていた。

 どうしようもない悔しさを噛み締めながらフォースは変身を解除し、拓人へと戻る。

 

「あいつは一体何を企んでいる!」

 

 あの弱いトカゲを利用できる作戦などあるのか。拓人には到底、思い浮かばなかった。しかし、人並み以上に頭の切れるコブラだからこそ、利用価値を見出だせたのかもしれない。

 

「止めなくては」

 

 あの外道のコブラが考えた作戦。遂行されれば多くの人々が悲しい目に遭うのは明白だ。

 そんなことはさせないと拓人は前を見る。悲劇を演じる役者は自分一人で十分なのだ。

 

◇◇◇

「危ないところでしたね」

 

 フォースの猛攻から何とか逃げ延びたコブラは冷や汗を拭う。

 目の前には尻尾を切り落とされ、瀕死の状態のトカゲ。

 

「あなたには実験体になってもらいます」

 

 助けたのも束の間。これからトカゲはコブラ--否、オーガ全体の為の実験体になる。

 

「ガギュッ!?」

 

「さぁ、いきますよ」

 

 すると、コブラは先に針のついた掌に収まる箱を取り出す。

 そして、その箱に黒いディスクを入れ、トカゲに突き刺した。

 

◇◇◇

 

「いらっしゃいませ! ご主人様!」

 

「いいよ、穂乃果ちゃん! 様になってる」

 

「おぉ! かわうぃぃ!」

 

 ここはメイド喫茶ユグドラシル。今、この場所でメイド服を完璧に着こなした穂乃果をことりが褒め、その姿をタキシード姿の爽馬がオタクのカメラマンのような気持ち悪い様子で写真に収めていた。

 その様子をメイド服姿の海未とタキシード姿の拓人は呆然と眺めていた。

 

「どうしてこんなったんだ……」

 

「それは私も聞きたいですよ……」

 

 二人は何故、こんなことになったのか思い返す。

 先日、絵里がμ'sメンバーに秋葉原でライブを行うと伝えた。にこからは気は確かと苦言を呈されていた。秋葉原にはARISEというトップのスクールアイドルが身構えている。そのお膝元でライブするなどただの旗本の武士が将軍に喧嘩を売るようなこと。

 しかし、そのような無礼を押し通す覚悟なければラブライブ等出場できるわけがないとの理由からにこからも了承を得ることができた。

 問題はそこからだった。なんと、今回のライブで歌う曲の作詞をことり頼んだのだ。理由は秋葉原のことをよく知っているからというのだが、作詞経験のないことりにはかなりの難関なことだろう。

 案の定、作詞は全く進まず、幼馴染みの穂乃果と海未、何故か拓人と爽馬も手伝うことになった。そして、作詞のネタを集めるためにこのユグドラシルで共に働いているのだ。

 

「ほら、次は海未ちゃんの番だぜ」

 

 すると、爽馬がニヤニヤと笑いながら海未に手を招く。

 

「わ、私ですか!? 絶対無理です!」

 

「何で? いつもは鏡に向かってラブアローシュートとか言ってるのに?」

 

「あぁぁぁぁ! それは見なかったことにしてください!」

 

 親友に自分の恥ずかしい姿を暴露されて海未は顔を真っ赤にする。

 

「全く可愛い奴らだよな」

 

 三人の仲睦まじい様子を爽馬は暖かい目で見守る。

 

「どうした? いつも以上に元気ないな」

 

「いや、ちょっと忙しくてな」

 

「そうか。それなのにこんなことに付き合わせて悪かったな」

 

「詫びる気持ちがあるなら帰ってもいいか」

 

「焦るなよ。少しはこういう楽しい一時がないと鬱になるぜ」

 

 やけに機嫌の悪い拓人の肩を爽馬は優しく叩く。

 機嫌が悪いというより焦っているように爽馬は見えた。

 

「……助けを待っている人がいてもか?」

 

「どういう意味だ?」

 

「……いや、近々テストがあって、難所のステップを教えてくれって沢山の人から助けを求められてさ」

 

 拓人はあたかも事実であるかのように嘘を吐く。

 その嘘に何も疑いことなくなるほどと爽馬は頷き、拓人の頭をクシャクシャと撫でる。

 少し、良心が痛んだがかといって本当のことなど言えるわけもなく、仕方がないと言い聞かせる。

 

「お前はかっこいいよ」

 

 すると、爽馬は徐に語り始める。

 

「いいか。俺達は人だ。救える人間の数は限られている。この世界の人間全員を救うなんて言っちゃ悪いが無理だ」

 

「そうかもしれないが」

 

 確かに普通の人では救える人間の数に限界はある。それは拓人自身も過去に唇を噛み締めるほど痛感している。

 

「手を広げてみろよ」

 

「は?」

 

 突然、意味のなさそうな行動を強いられ、拓人は呆れる。

 だが、爽馬は無理矢理、拓人の手を広げる。

 

「お前の手はここまでしか広がらない。この範囲でしかお前は人を救えない」

 

「いや、違う。力があれば救える」

 

「いや、力を持つヒーローだって救えない時もある。てか、ヒーローですら大体、誰かが犠牲なってからやっと事件に気づいて動いてるぜ」

 

 爽馬の言葉には妙に説得力があった。拓人にはまるで長年、ヒーローとして戦い続け、成し得たい理想と成し得ない現実を知っているベテランのように見えた。

 無論、それは事実なのだが。

 しかし、納得することはできない。

 まだ青い拓人には掴み始めた理想の端を切り捨てることはできなかった。

 

「肩を力を抜けよ。お前の代わりをいない。だからこそ倒れられたら本当に困るぞ」

 

「爽馬……」

 

 すると、爽馬は拓人の肩を優しく揉む。

 優しい奴だと拓人は思った。異変にすぐに気づいては親身になって話を聞く。そして、しっかりとアドバイスもしてくれる。

 普段はふざけている爽馬が今だけは本当に頼りになり、気が楽になった。

 μ'sのメンバーと共に良い仲間を持ったと爽馬は実感した。

 

「すまない。少しトイレに行ってくる」

 

 だからこそ、心苦しい。

 全ての人々を救わねばならないという使命感と救いたいという理想。そのおかげで爽馬の言葉を理解することを自然と拒んでしまう。

 爽馬の気遣いを無下にしたことに拓人は後ろめたい気持ちになる。そして、逃げるように爽馬の前から去る。

 

「あいつ……変わってやがるな」

 

 爽馬はただ拓人が心配だった。

 初めて会った時から他の人とは違う何かを持っていると感じていた。

 何かというのはよくわからない。拓人自身、その何かを悟られないようにしている生きているの確か。そして、自分が背負っているものと似ているのはわかった。

 人一人、ましてや子供が背負いきれることのできない仮面ライダーという責任感や使命。

 

「まさか……な」

 

 爽馬の中で最悪の仮説が生まれようとしていた。

 だが、その仮説がもし本当ならば知らなかったとは言え自分は仲間に手を下していたことになる。

 そして、殺してしまっていたかもしれないと思うと恐ろしい。

 

「あいつがフォースなわけ……ないよな……」

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