忠義の士 完全版   作:康頼

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第三話

 戦場とされる雒城から西方へと離れた場所にて陣を構えた劉備軍。

 そこに先程の戦いで大きな被害を出した焔耶率いる部隊が漸く帰陣する。

 体中に傷を負い、満身創痍な体を引き摺って先頭を歩くのは、一騎討ちで敗れてしまった焔耶本人は、そのまま劉備軍の将達が集まっている天幕へと連行された。

 援軍である紫苑の援護により、死地であった戦場から帰ってくることができた焔耶を待ち受けていたのは、表情一つ変えることのない軍師、朱里の冷徹な視線であった。

 焔耶自身、武に長けた将で、戦場で数百の敵兵を討ってきた怖いもの知らずであったが、朱里から発せられる寒気を感じさせる視線に思わず背筋を震わせた。

 

 「魏将軍、何故私の命を破ったのですか? この本陣での待機を命じたはずですが」

 

 普段の彼女から想像もできないほどの流暢な言葉使いであったが、表情が声と同じようにぞっとするぐらいに感情が篭っていなかった。

 ただ事実だけを述べる朱里の冷静な口調に充てられたのは、目の前で立ち尽くす焔耶だけではなく、その場に居た桃香達も思わず唾を呑みこんだ。

 ————理由だけを簡潔に述べろ、余計なことは口にするな、そう朱里は眼で言っていた。

 それに対し、焔耶は言葉を見繕うこともせず、ただ自分自身の考えを口にした。

 

 「このまま見合っていても勝てない、そう思ったからだ」

 

 このまま、待ちの状態を維持しても、時間だけを浪費するだけで張任を倒すことはできない、という焔耶の考えは、この場にいる誰もが思っていたことだろう。

 それ故に焔耶の発言は決して的外れたものではないということだが、そのことは軍師である朱里が一番理解をしており、眉を一度だけ動かして反応したが、未だに表情は固く冷徹な視線を焔耶から逸らそうとはしない。

 時間がないのはこちらで、あちらは時間をかければかけるほど有利になる。

 だからこそ、この場は焦ることなく相手の動きを見るべきだったのだ。

 相手側———張任は明らかにこちらの思惑を理解し、このような状況にあえて持ち込んだのだろう。

 

 結果として先に動いたのはこちら側で、その動きは完全に読まれてしまい、多くの犠牲を生むこととなった。

 この不用意な行動により、間違いなく戦場の流れがあちらへと傾いた。

 不意に攻めれば全滅する————その事実をこちら側に確実に植え付けたのである。

 こうなってしまえば兵士も、将達も慎重な考えになるだろう。

 そうなれば向こうの思惑通りになることになる。

 さらに、朱里にはもう一つの懸念すべきことがあった。

 それは降将である焔耶が勝手に軍を動かして、勝手に大敗してきたことである。

 焔耶を完全に打ち倒した事実は、向こうの士気が上がることとなり、暴走による行為はこちらの指揮系統にも影響を及ぼす。

 

 「魏将軍、貴女はこの戦においてこれ以上の参加は認められません」

 

 ならば、焔耶に責任を取らせて前線からを外すしかない。

 指揮が下がることは防ぎようはないが、指揮系統の立て直しはすることができる。

 そう結論づけた朱里の決定に焔耶が声を上げる。

 

 「待てっ! 私がアイツを止めないといけないっ!!」

 「貴女では不可能です。 先の一戦でそれが証明されました」

 

 ———貴女と張任将軍では、貴女に勝ち目がありません。

 朱里の言葉に、侮辱を、怒りを覚えた焔耶が吠える。

 

 「馬鹿をいうな!! 戦場を知らない奴が何を言っているっ!」

 

 激情に駆られて、憤怒の表情を浮かべる焔耶だが、張任を相手にして退くわけにはいかなかった。

 だが、この状況で、この発言はいけなかった。

 発言を受けた朱里は、冷酷な判断を下した。

 

 「なるほど、では星さん……彼女の首を刎ねてください」

 「なっ!」

 「しゅ、朱里ちゃんっ!?」

 

 朱里の判断に、桃香と一刀が驚きのあまり大声を上げる。

 二人だけではない。

 周りにいた鈴々や星、紫苑ですら朱里の発言に目を見開いていた。

 それほどまでに朱里の先の発言が、彼女には不釣り合いだったのだろう。

 だが、そこに居るのは間違いなく劉備軍をまとめる軍師の顔であった。

 

 「軍法違反です。 一端の将、ましてや降将の独断行動に、身勝手な発言をこれ以上許すわけにはいきません」

 

 朱里の告げた言い分は正しく、極々当たり前のことだった。

 確かにここまで付き従ってきた古参の兵からしてみれば、新参者の益州兵が自由気ままに戦うのは気分のいい話ではない。

 そう言ったことを締めていくためにも、見せしめとして焔耶の首を刎ねることは決して軍師として間違った判断ではない。

 だが、桃香達が驚いたのは、今までにない不気味な存在感を放つ朱里の姿に驚いたからだ。

 朱里の雰囲気に呑まれたこの場は、既に彼女の独壇場となっていた。

 幼く小さな外見からは考えられない程の圧迫感が周囲を支配する。

 その空気に誰もが言葉を失った————その時、天幕に光が差し込んだ。

 

 「それは早計だよ。 朱里ちゃん」

 

 現れたのはもう一人の軍師であり参謀を務める————雛里である。

 荊州からの補給を担当している雛里は、少しの間この地を離れていたのだ。

 

 親友の登場に、朱里は少しだけ落ち着きを取り戻したようで、一度大きく息を吐いた。

 そんな朱里の姿を見て、雛里は押し切るように言葉を吐く。

 

 「ここで魏延さんを斬っても、向こうが喜ぶだけだよ。 何より味方になってくれた益州兵の皆に不信感を残すことになるよ」

 

 雛里の言葉もまた真理であった。

 確かに降った益州兵達は、桃香の語る理想に惹きつけられた部分はあるだろう。

 だがその多数は、将兵———焔耶と桔梗の恩や忠義により降ったのである。

 この場で焔耶を斬ってしまえば、その益州兵達に反意を抱かせることとなる。

 

 「そう……だね。 雛里ちゃんの言う通りだよ」

 

 理を説かれたおかげが、落ちつきを取り戻した朱里が疲れた顔で頷いた。

 その姿に、桃香達が一息ついていると、雛里が続くように口を開く。

 

 「桃香様、益州に向かう途中、このような密書を手に入れました」

 

 そう言って取り出したのは二つの書簡である。

 内容は共に増援へ依頼が書かれた書簡であり、送り主には張任の文字が刻まれていた。

 送り先は、曹操と孫策の二人に向けて送られていた。

 

 その報告に、その場に居た将兵たちの顔色が変わる。

 密書の意味、それが張任による策だと気づいたからだ。

 ただでさえ目の前の劉璋軍に苦戦しているこの状況で、もしも背後を突かれることになれば、敗北は必至である。

 いくら荊州に、愛紗や呂布―――恋が控えていたとしても、大軍である曹操達を防ぐことは難しいだろう。

 そう、誰か荊州全体を見ることができる戦略を立てるものがいなければ———

 

 「朱里ちゃん。 荊州に戻ってくれないかな?」

 

 雛里の言葉に再びこの場に緊張が走る。

 この場合、先程まで荊州との連絡を行っていた雛里が益州に戻る方が自然だろう。

 言葉の捉えようによっては、朱里では益州を落とすのは無理だから、雛里(わたし)に変われと言っているようなものである。

 

 その言葉に朱里は一瞬、顔を顰めるが雛里の目を見て小さく頷いた。

 力強い目———その姿に朱里はようやく自分の過ちに気がついたのだった。

 

 「……お願いね。 雛里ちゃん」

 「うん……」

 

 覇気なく笑う朱里に対し、雛里は小さく頷いて答える。

 その姿に安心したのか、朱里は座して待つ桃香に向けて頭を下げた。

 

 「桃香様、私は荊州に戻ります。 くれぐれも無茶はなさらないように」

 「う、うん。 愛紗ちゃん達をよろしくね」  

 

 一瞬、言葉が詰まりそうになった桃香だが、朱里にいつものような暖かい笑みを浮かべて、妹分の待つ荊州を託した。

 その思いを受け取った朱里が、その足で天幕から下がっていくと、天幕の中に誰かの溜め息が零れた。

 その場に居た誰もがこの重苦しい空気に耐えれなかったのだろう。

 そんな空気の中、中央にいた雛里がゆっくりと口を開く。

 

 「朱里ちゃんは、一生懸命なんですよ」

 

 その短い言葉には、百の思いが詰まっていた。

 一生懸命———それはこの場に居る誰もがそうだろう。

 だが、この戦略の絵を描いた朱里本人が一番、気を使っていたのかもしれない。

 だからこそ、普段以上に神経質になっていたのだ。

 その言葉に、焔耶も気まずそうに顔を顰めて、朱里の去った天幕の入り口を眺める。

 そんな光景を見ていた桃香が、いつも以上に明るい声を上げた。

 

 「うん。 今まで朱里ちゃんにはお世話になったもん。 朱里ちゃんの分まで皆で頑張ろうね」

 

 簡単で単純な言葉。

 だが、劉備軍にとって最高の檄だと言える。

 桃香の言葉に先程まで淀んでいた空気が押し流されるように遥か彼方へ吹き飛び、まるで日差しが差し込んだかのような明るく優しい雰囲気に全員の表情から緊張感が抜け出した。

 母のような優しさと全てを包み込む抱擁感。

 これがまさしく桃香の才なのだろう。

 桃香の優しい檄の後に、もう一人の旗印である一刀の声が続く。

 

 「じゃあ、話を戻そうか。 雛里、攻略指針を話してくれるか」

 「はいでしゅっ! ……こほん、張任さんが守る雒城周辺の地図です」

 

 思わず気が緩み、普段通りの噛み癖を披露してしまった雛里に、星や紫苑達の優しい視線が突き刺さるが、当の彼女は話を止めることはなく、取り出した地図を中央の机に置く。

 

 「こうして見ると、やはりぬかるみと傾斜の多い地ですな」

 「縦横無尽に馬を走らせることができる中原とは違い、騎馬の動きが鈍る地形になっています。 騎馬の動きを封じ、軍全体の動きが鈍ったところを城壁や崖上からの斉射。 圧倒的な高さの虎牢関と違う意味でこの雒城は厄介な拠点と言えます」

 

 一つ一つ地形を再確認する星に対し、同感だと雛里が指差しを行って要所の説明しながら答える。

 絶対的な高さと強固の壁だった虎牢関に対し、雒城は天然と人の手が合わさった要塞である。

 

 「なら裏に回ってみるのだ」

 「確かに鈴々ちゃんの言うとおりだけど、周りにも囲地が広がっているわ」

 「比較的緩い場所には、対策として柵や櫓が立てられているのぅ」

 

 鈴々の意見に紫苑と桔梗が意見を交わすと、その意見を聞いていた雛里が声を上げる。

 

 「はい。 魏延さんが攻めた補給路が唯一の攻めどころのようにも見えますが……」

 「罠だった。 というわけだね」

 

 桃香の言葉に輪から離れた焔耶が肩を落として落ち込む。

 それも仕方ないことだろう。

 敬愛する桃香に言われたこともそうだが、自分の行動は完璧と言っていいほど、張任により見破られていたのである。

 その結果、大勢の部下を犠牲にしたのだから、少し頭が冷えた今となって、落ち込まないはずがなかった。 

 隅で座ったまま動かなくなる焔耶を放置して、話し合いは雛里を中心にして進められていく。

 

 「はい。 補給路攻めは戦の定石ですから、それをわざと緩めておいたのは、恐らくこちらを嵌めるためだと思います」

 「ならば、狙われたのは焔耶だな。 あの場所を知っているのはワシと焔耶くらいだ」

 

 桔梗は張任のことを思い出しながらそう結論づけた。

 弟子の頃から一騎討ちにおいて張任が圧勝した場合、焔耶は常に冷静さを失っている状態であった。

 幼い頃から訓練などを共にした張任ならば、焔耶は動きが読みやすく最高の的だったと言える。

 その意見には雛里も同意見だったが、その見解には続きがあった。

 

 「はい。 ですが、私はそれだけが狙いというわけではないと思うのです」

 「?? どういうこと?」 

 「益州攻め。 元々この天下三分の計を描いたのはご主人さまと朱里ちゃんです。 そのため朱里ちゃんは知らず内に焦っていたはずなんです」

 

 確かに雛里の言う通り、この益州攻めは一刀の提案と朱里の戦術眼によるもので、これが華北や中原に圧倒的な勢力を伸ばした曹操軍に対抗できる唯一の手段であった。

 この大一番の戦に対し、朱里が焦っていたのは、先程のやり取りから顧みても間違いないだろう。

 無言になった周りの反応に、雛里は自分の頭の推論を口にする。

 

 「普段の朱里ちゃんなら魏延さんの行動も読み切れたはずですが、目の前の敵に、そして背後に迫る曹操軍の存在、この二つの事実に慎重になり———結果、今回のことを見逃してしまいました」

 

 正確に言えば、恐らく朱里本人を狙ったというわけではないが、明らかに降将の焔耶とこちらが置かれている状況を読み切った上で今回の行動を起こしたとすれば、結果、こちらは相手の思惑にどっぷりと嵌ったことになる。

 

 もし、そこまで考えて行動できるのならば、その知力の判断力は、やはり厄介だと雛里は思う。

 そんなことを考える雛里の隣で、頻りに頷いていた一刀が口を開く。

 

 「なるほど、だから朱里の頭を冷やすために荊州に戻したんだな」

 「はい。 ですがそれだけではなくて、言ってみれば適材適所というものです。 戦術、戦略は私も朱里ちゃんに負ける気はありませんが、政略では朱里ちゃんに勝てる気がしません。 その点から荊州という広大な地を守る人材は朱里ちゃんが最も適任者だと思います」

 

 これが鳳雛が確信する伏龍の力———いやそれだけではない。

 友を信じる親友の思いなのだろう。

 その言葉は静かに響いたが、確かに力強い想いを秘めていた。

 

 「ですから、私の———いえ私達の力で益州を落とします。 桃香様の理想を描くために」

 

 雛里の静かな決意の言葉に、その場に居た者は心を一つにした。

 

 

 

 

 

 

 ・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

 夜が明けて、いつも通り城壁の上から、私は遥か向こうに敷かれた劉備軍の陣容を眺める。

 

 「ふぅ————特に変わった様子は無いようですね」

 「魏延将軍も打ち首にはならなかったようですからなぁ」

 

 密偵の話では、焔耶の首が晒されたという情報は、どこにも見当たらなかったようで、従軍する元・劉璋軍にも動揺はなかったようだ。

 ただ焔耶の姿は何処にも見当たらないことから察すると、恐らく治療の為に後方へ下がったか、謹慎処分が下ったかだろう。

 だが、昨日の戦の影響により、間違いなく劉備軍の士気は下がっているのが窺える。

 

 「そのようですね。 焔耶の首が刎ねられる有無を重要視していたわけではないので、どちらでも構いませんでしたから」

 

 それに張任は、劉備の印象からして、いきなり自分に付いてきた人間の首を刎ねるとは思っていなかった。

 こちらとして重要なことは、焔耶を潰したという事実であり、降将と言えど、劉備軍の将の攻勢を完全に打ち砕いた事実は、こちらの士気を盛りたてる要因になるだろう。

 

 「確かにそうですな。 これで時間を稼げそうですぞ」

 「ええ、それで張魯軍からの連絡はありましたか?」

 

 張魯軍にこちらが送った密書が無事に届いたことは確認済みで、返答待ちになっていた。

 

 「既に出陣準備を整え、こちらに向かっているようですぜ」

 

 副官の言葉に、人知れず安堵の息を吐く。

 日頃の根回しが功を奏したらしい。

 恐らく、軍を率いるのは張魯の弟である張衛だろう。

 彼ならば、何度か刃を交わし、時には異民族と戦った仲である。

 連携も意図も読みやすい。

 

 「そうですか———孫策軍と曹操軍への密書はどうやら予定通り向こうの手に渡ったようですね」

 「計算……通りってやつですかぃ?」

 

 まったく怖いお人だ、と呟く副官には悪いが、この状況下を見ればそうなるのは必然だろう。

 曹操軍と孫策軍に密書を送るには、荊州の地を通ることになる。

 つまりは、劉備軍が布陣する傍を抜けていかなければならないのだ。

 それを劉備軍の両翼軍師が逃すはずがない。

 必ずや密偵を捉えて、密書を手に入れるはずである。

 そうなれば、自然と後方に対しても注意を裂かなければならなくなる———もっとも曹操軍に関しては漢中側を通って二枚目の密書が届く予定だ。 

 

 「これで荊州への意識を割いてもらえば上々ですね。 荊州から益州への援軍も送り辛くなるでしょう」

 

 注意の撹乱を行っての、援軍への牽制。

 それがこの策の本当の狙いであり、劉備軍の喉元を狙う第一の刃である

 たとえ、向こうの軍師がこちらの意図が理解できたとしても、結果としてこちらの思惑通りにはなるだろう。

 背後をつく軍が来るかもしれないのは否定できないことなのだから。

 

 「……はぁ——大将がその気になれば天下も夢じゃないと思うのですがねぇ?」

 「そう楽観できる考えは持っていないですよ。 天下は広い———私一人では到底不可能です、それに」

 「益州を守る、ですかい? 耳にタコができるほど聞きやした」

 

 副官の耳を抑える仕草を見て、私は思わず笑みを零す。

 確かにこの副官との付き合いは数年になるが、それほどまでに自分が口にしていたことには流石に恥ずかしくなった。

 しかし、今回の一軒で自分自身の不徳さを身に染みているところだ。

 南蛮の侵攻の刃を砕き、張魯軍の歩みを壁となり防ぎ、西に東に北に南とこの益州中を駆けまわり、戦い続けたが、劉璋様にできたことは一つもなかった。

 成都で震えながら椅子に座っていた劉璋様の姿を見て、ようやく自分の過ちに気が付いた。

 言われるがままに飛ばされ続け、外敵から守りさえすれば、と考えていた私の甘い考えが招いたことだ。

 

 「確かに劉璋様の姿勢は真面目だったとは言えない。 それに対し大徳と噂の劉玄徳を迎えようとする声があるのも確かです。 だがそれでも私はこの地を渡すつもりはない」

 

 だからこそ、これから始めたいのだ。

 今まで苦労をかけた民のため、遠ざけてしまっていた劉璋様と再び話をするために、私は負けるわけにはいかなかった。

 

 「まあ、向こうに大望があったとしても、こちらにとっては侵略には違いないでしょうな……しかし、ある意味、これは好機ですぞ」

 「劉璋様の側近は、殆ど全員漢中か劉玄徳の元へと逃げましたからね。 法正殿が劉備軍についたのは厄介ですが」

 

 益州の統治をその一手で行っていた文官であり、軍師だったものがいないのは残念だが、去っていった者を止めることはできない。

 現在残っている文官は、董允殿と費禕殿くらいだが、それでも劉璋殿の周りを一掃できたことは彼等にとっても吉報だっただろう。

 故に、武官である私がすべきことは、この地を守るだけである。

 

 「この戦、勝つぞ」

 「はっ!!」

 

 頼もしき副官の言葉を聞きながら、私は階段を下りた。

 

 

 

 

 

 

 ・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

 雒城攻略戦、十日目が経った朝。

 劉備軍陣内に、一人の伝令の足音が響く。

 額に汗を滲ませ、呼吸を乱すその姿には、幾分の動揺が見られた。

 

 「報告しますっ! ここより北、二十里ほどにこちらに向かう軍勢を確認!」

 「っ! 北……なるほど張魯軍ですね。 劉璋さんと張魯さんは敵対関係だったはずですけど」

 

 会議中の天幕に響くその報に思わず雛里も顔を顰める。

 張魯と劉璋は、劉備軍が入蜀する数月前まで戦を行っていた敵対国である。

 張魯軍を動かすには、あと一月はかかると踏んでいたため、流石にその軍勢は脅威となる。

 

 「恐らく張任の仕業じゃろ。 奴は確か、張魯の弟である張衛との親交があった」

 

 そう言ったのは、益州の状況を最も知っている桔梗である。

 桔梗の言う通り、張任は幾度かの漢中攻略戦の際に、何度か張衛と顔を合わしていた。

 その後、羌族討伐の際に共同作戦を組んだ張衛が張任のことを褒めていたことを桔梗は覚えている。

 

 「なるほど、つまりは曹操軍と孫策軍に送った密書は、囮だったというわけか」

 

 やられたな、と一刀は思わず苦笑いする。

 確かに先に捕らえた二枚の密書は、張魯軍を隠すためのものだったかもしれない。

 しかし、その考えに雛里が待ったをかける。

 

 「いえ、そう考えるのは早計かと。 恐らく孫策軍の方はそうでしょうが、曹操軍の場合、私達を攻める理由があります」

 

 別に援軍が一か所と決まったわけではない。

 確かに孫策軍の場合は、囮及び混乱を招く偽報だったかもしれないが、曹操軍に関しては荊州からの挟み撃ちを狙っているかもしれない。

 何より、雛里と朱里が想定していた援軍の第一候補は曹操軍である。

 元々漢臣である劉璋は、帝を擁する曹操と関係は良い。 曹操側からしても、この大陸で唯一敵対関係となっていない劉璋に、借りを作るにしてもいい話だろうし、完全な対立関係になる劉備軍に益州を渡す気はないだろう。

 そう考えるとやはり荊州の備えは必要で、張魯軍は現在の戦力で打破するしかなかった。

 そうなると誰を当てるかになるのだが、城攻めの主攻である星と鈴々の二人は外すことができず、紫苑は本陣の護衛も兼ねている。 雛里は全体指揮を行うためこの場を離れることができず、桃香と一刀では荷が重い。

 

 「張衛ならわしがやろう。 奴とは戦い慣れておる」

 

 手を上げたのは桔梗だった。

 確かに桔梗は本陣守備の補佐だったため、この場では最も動きやすい人間である。

 だが、桔梗は焔耶と同様に降将である。 先の戦いの件もあり、扱いにくく考えていた雛里は、確かめるように桔梗の瞳を見る。

 信じろ、とそう言っている瞳を見て、雛里はその場を託したいと思ってしまうが、軍師として最悪の考えが頭から離れない。

 どうするべきか迷う雛里の横で先程まで沈黙を貫いていた桃香が立ち上がった。

 

 「桔梗さん、お願いしますっ!!」

 

 裏表のない他人を信じきった眼。

 そんな桃香の思いに透過された雛里は、ゆっくりと頷く。

 

 「……そうですね。 桔梗さんにこの場はお任せします。 ただ……」

 「わかっておる。 不用意な動きはせん。 相手の出鼻を挫くだけじゃ」

 

 深追いはやめてださい、という雛里の意志に、桔梗も答えるようにしっかりと頷いた。

 ことが決まれば、やることがある。

 元、益州兵を率いるために、隊の編成をしようとした桔梗がその場から立ち上がった、その時、再び天幕に伝令が駆けこんできた。

 

 「ほ、報告しますっ!!」

 

 先程と同様―――それ以上の動揺を浮かべた伝令に、再び天幕内に緊張がはしる。

 

 「さっきの報告の続きですか?」

 「『張』の軍勢に『馬』の旗がありっ!!」

 

 伝令の言葉に天幕内にいた人間の表情が変わる。

 その中で一番反応が激しかった一刀が大声を上げた。

 

 「『馬』ってあの錦馬超と名高い馬孟起のことかっ!?」

 「恐らくそうですな。 馬孟起は昨年の曹操さんの侵攻により、故郷である涼州を追われ、放浪の身になったはずじゃ」

 

 馬超、字は孟起。

 その武勇と馬術は、天下に名を轟かせるほどのものである。

 天の御遣いであり、この劉備軍の中心を担う一刀もその武勇を欲しがっていた。

 仲間にすれば間違いなく頼もしい勇将だが、今は間違いなく劉備軍の前に立ちはだかっていた。

 

 「ふむ、あの天下無双と呼ばれる恋と互角に渡り合えるのではないか、と噂される豪傑ですな」

 「鈴々、戦ってみたいのだっ!」

 

 やけに嬉しそうな返事をする星と鈴々。

 恐らく、雒城前に陣取って形勢を窺うことに飽きてきたのだろう。

 

 そんな二人と対照的に、軍を指揮する雛里は思わず唾を呑みこむ。

 張魯軍ぐらいの誤差ならどうにか対応できるが、あの錦馬超相手にするには十全な準備が必要である。

 一度下がるべきか、挟み撃ちを考慮して陣を組み直すべきか雛里が考慮し始めたその時、隣で何でもないように口をする者がいた。

 

 「じゃあ、鈴々に馬超の相手をしてもらおうかな」

 

 買い物に行こう――――そんな風な気楽さで一刀は口にする。

 

 「はい?」

 「やったーなのだ」

 

 思わず呆けた返事をしてしまう雛里に対し、鈴々は嬉しそうに声を上げると、その隣の星が不満そうに唇を尖らせる。

 

 「む、何故、鈴々なのでしょうか? 私でもいいのではありませんか?」

 「いえ、そういう意味じゃなくてっ」

 

 もう既に戦う気になっている鈴々や、不満そうに一刀に腕をからめようとしていた星に、雛里は慌てて声を上げる。

 その言葉に、一刀は何でもないように口にする。

 

 「まあ、鈴々を選んだのは、星の方が適任だと思ったからさ。 素早く行動し、引くときは引き、時には苛烈に迫る攻城戦を行えるのは、神槍と呼ばれる星くらいだろ?」

 「確かに――――ってそういう意味じゃなくて、一度引くのも検討すべきです」

 

 相手は歴戦の勇士と名高き錦馬超。

 あの曹孟徳ですら、一度は命を落としかけた豪傑である。

 劉備軍が誇る剛将の鈴々が、易々と敗北するとは雛里も想ってはいなかったが、逆に勝てるという断言もできなかった。

 そんな不安を抱える雛里に、一刀はしっかりと目を合わせて頷いた。

 

 「大丈夫、それに雛里もわかってるはずだ。 ここで引いたら駄目だ」

 「た、確かにそうですが……」

 

 一見、根拠のないようにも思えるその自信。 一刀にはたびたびそのようなことがあった。

 それを勘というべきか、それとも天の御遣いとしての力か。 それがどちらなのか、雛里にはわからなかった。

 だが一刀の言う通り、ここで引いてしまえば、先の戦いは負けも重なり。間違いなく劉備軍の士気は低迷するだろう。

 そうなれば益州攻略の道のりは遠くだけではなく、荊州へと引き返さなければならない状況に陥るかもしれない。

 ―――桃香様の理想を果たせなくなる―――

 一瞬、そんな不吉な思いが雛里の頭を過ぎった。

 

 「戦わない俺が言うのは変だけど、鈴々は負けない。 そう俺は信じてる」

 「雛里は鈴々を信じるのだ。 錦馬超になんて燕人張飛は負けないのだ」

 

 自信に満ちた表情で笑う鈴々とその頭を撫でる一刀。

 その姿に雛里は思い出した。 確かに策を練り、計略と戦略を組む。 それが軍師としての仕事だが、自身の軍の武将を信じることも軍師としての仕事だ、と。

 二人に釣られるように雛里も笑みを零すと、しっかりと頷いた。

 

 「わかりました。 鈴々ちゃんに馬超さんを、桔梗さんに張魯軍を抑えてもらいます。 あと星さんの助攻として紫苑さんを配置します。 中軍は私が、本陣は桃香様とご主人さまに任せます」

 

 雛里の言葉に続くように、気迫のこもった声が天幕から溢れた。

 

 

 

 

 

 

 ・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

 

 援軍来たる。

 その報を受けて、私は数名の護衛と共に雒城を出て、馬を走らせる。

 劉備軍の偵察部隊に捕捉されないように慎重に走らせると、既に日は暮れていた。

 陣前にいた見張りの兵に声をかけ、馬と武器を置いた私達はそのまま見張りに案内される。

 案内された天幕の前で護衛の兵達を待たすと、私はそのまま足を踏み入れた。

 

 天幕の中にはたった二人の少女達しかおらず、張衛の姿はどこにもなかった。

 だが、その二人の少女の名前は知っていた。

 彼女達は、話に夢中になっているようで私の入幕に気付いていない様子だった。

 

 「馬孟起殿ですね」

 「ん? アンタは」

 

 後ろで髪を束ねた少女が不審そうにこちらを見つめる。

 武将特有の鋭さを秘めた視線は、その容姿も兼ね備えたおかげで何処か愛らしく感じた。

 隣にいるのが恐らく、従妹の馬岱殿だろう。

 顔つきがやはり馬超殿に似ていた。 

 年頃の少女達に見える彼女らだが、その武勇は私ごときでは計り知れないほどのものである。

 その敬意を込め、私は目の前で両手を重ねるようにして拝礼した。

 

 「雒城城主、張任と申します。 この度は援軍、主劉璋に代わりまして御礼を申し上げるとともに、このような格好での謁見をお許しください」

 「え、いや、その……こちらこそありがとう?」

 「お姉さまお姉さま、お礼は別に言わなくていいんだよ?」

 「わ、わかってるよっ!!」

 

 私の礼に何処か照れくさそうに視線を逸らす馬超殿を馬岱殿がからかう。

 その姿はやはり姉妹のように微笑ましく、好感が持てた。

 そんな仲の良い二人を視界に収めていると、入口の幕が開かれた。

 

 「はっはっはっはっ!! 久しぶりだな張任よ」

 「これは張衛殿、久しく」

 

 目の前の麗しき馬超殿達とは対照的に、巨漢で全身に傷跡が残る豪傑が私の肩を力強く叩く。

 過去に何度か刃を交えた仲だが、こうして気楽な姿を見せるその姿は、流石は張魯軍一の豪傑と言えよう。

 

 「今回は厄介になったものだな。 あの劉玄徳に狙われるとはお前も運が悪い」

 「こればかりはどうすることもできません。 ただ目の前のことに全力で当たるだけです」

 

 からかうようにニヤニヤと笑う張衛殿に私は苦笑いを浮かべるしかできない。

 そういう意味では各地を転々とし、荊州に流れてきた劉備軍は、真逆の強運の持ち主と言える。

 

 「相変わらず固い男だ。 憎たらしいほどにな」

 「恐縮です」

 

 私の返答が面白くなかったのか、呆れたように溜め息をつく張衛殿。

 その隣では少し困惑気味の馬超殿がこちらに目を向けた。

 

 「えっと、張衛さん。 こちらの張任殿と知り合いなのか」

 「ん? ああ、何度も戦場で命を奪い合った仲だ」

 

 私に尋ねたのに何故か答える張衛殿に続くようにして答える。

 

 「そうですね。 貴殿との戦はいつも背筋が凍らされます」

 「それはこっちの台詞だ。 三年前の戦の時に嵌ったあの計略、今でも思い出すたびに血尿が流れてくるわ」

 

 物騒な言葉のわりに笑みをこぼして凄む張衛殿に、私も負けじと笑みを返す。

 そんな私達二人の様子に、馬岱殿が不思議そうに首を傾げてこう洩らす。

 

 「なんかそのわりには仲良しだね」

 「何度も対峙した憎き敵だが、何度も馬を走らせて刃を交えれば、不思議と親近感が湧くものだ」

 

 互い部下と兵士たちを殺し合った仲だが、不思議と槍だけではなく、酒をも交わす仲にもなってしまった。

 この不思議な関係をどう表現すべきか、私は悩みながら口にする。

 

 「好敵手と書いて『トモ』と呼ぶ仲ですかね。 ――――あと馬超殿、敬語は私には要りません。 位は貴殿が上で歳もそう離れておりませんよ」

 

 先程から話しづらくしている馬超殿に私はそう提案した。

 こちらは援軍を要請した身であり、何より馬超殿はこの中で一番の高官。 勢力の長を務めたことのある人間である。

 一将である私に敬語を使う必要はないだろう。

 

 そんな私の提案に、少しだけ頬を赤く染めた馬超殿が、申し訳なさそうに指で頬をかく。

 

 「そ、そうか。 ならアンタもその堅苦しい話し方はよしてくれ。 息がつまりそうだ」

 「それは無理というものだ錦姫。 こやつの喋り方が変わることはないぞ」

 「申し訳ございませぬ」

 

 馬超殿の提案に答えたのはやはり何故か張衛殿だった。

 だが、張衛殿の言う通り、私の口調はこれが基本である。

 二十数年間を続けたことをすぐに返ることは不可能だろう。

 

 「とまあこういうことだ。 とりあえず酒でも飲んで、戦の展望でも話そうか。 久しぶりに会ったんだ、付き合えよ?」

 「ありがたく」

 

 話をほどほどに切り上げて、天幕から出る張衛殿に続くように私が追いかけると、その後を馬岱殿が小走りでついてきた。

 

 「ねぇ、衛のおっちゃん、私達も参加していい?」

 

 目を輝かせて期待する馬岱殿の要望に答えるように、張衛殿も嬉しそうに豪快な口をあける。

 

 「おう、断っても出てもらうつもりだ」

 

 意気揚々と歩いていく張衛殿と馬岱殿の背を見ていると、後ろから衣服を引っ張られた。

 振り返ってみると、そこには少し呆れたように――何処か焦っている馬超殿が不満を口にする。

 

 「って、こんなに呑気にしていていいのかよ?」

 「私が言うのは何ですが、英気を養うことも戦には必要です」

 

 確かに馬超殿の言う通り、酒席など開いている暇などないだろう。

 

 「それに―――」

 「張任、早く来いっ!」

 「ああなった張衛殿を止めるのは難しいです」

 「ああ―――そうだな」

 

 凄まじく浮かれている張衛殿(四十数歳)の姿に、馬超殿は呆れながらも納得するしかなかった。

 馬超殿とその後を追いかけて、用意された席に座って始まった宴会だが―――

 

 「兄者はわかっておらぬっ!! 現在の漢中の状況を」

 「なんか、衛のおっちゃん。 一人で語り始めたね~」

 「張衛殿は昔から酒が弱いですから」

 

 ものの二刻ほどでこのあり様になってしまった。

 先程から架空の人物に語っている張衛殿の顔は真っ赤に染まっており、目の焦点も揺れ動き、足元もおぼつかない。

 その姿に一軍を率いる将軍の威厳は皆無だった。

 

 そんな姿を頬を引き攣らせてみていた馬超殿が思い出したように呟く。

 

 「そういえば、漢中にいた時、酒なんて一口も口にしていなかったな」

 「まあ、飲んでしまえば、軍を率いることは不可能ですし、兄の張魯殿が酒嫌いだったはずですよ」 

 

 しかし、この姿を見れば張魯殿が酒を嫌うのは無理かもしれない。

 そう考えれば張衛殿の不満は自業自得というものだろう。

 

 酒に呑まれている張衛殿の相手を馬岱殿に任せると、私は馬超殿と二人で酒を口にする。

 先程まで不満そうだった馬超殿だったが、酒のおかげか微かに顔が緩んでいた。

 そのおかげで会話も段々と増えてきた。

 

 「しかし張任さんとは一度話してみたかったんだ」

 「ふむ、それはありがたいですが何故ですか?」

 「益州の烈士、その軍略は戦国七雄の趙国李牧と呼ばれているそうじゃないか?」

 「そんな馬鹿な」

 

 そう言って笑みを浮かべて、何故か目を輝かせる馬超殿に、私は苦笑いしかできない。

 そもそもそういう風に呼ばれていたことも初耳で、あまりに自分には不釣り合いすぎた。

 李牧とは、かの秦国からの猛攻を跳ね返した英傑で、その堅固な布陣は秦の名将王翦すら手を焼いたと言われ、趙奢に藺相如、廉頗など亡き趙を支えた名将である。

 決して私なんぞと比較される愚物ではない。

 

 「実際、凄いと思うけどなぁ、実際劉備軍の攻勢を防いでるし」

 

 酒を口にする馬超殿の言葉は大変ありがたいものだったが、そこまでの才が私にあるのなら、劉備軍の益州への侵攻すら許さないだろう。

 結論から言えば、私は愚将と言える。 

 

 「それに比べて私は……焦って罠にかかった間抜けだよ」

 

 弱音を漏らす馬超殿の姿は弱弱しく、かの錦馬超とは思えないほどだった。

 彼女の悲しみ、それはまだ国を失っていない私には理解することができないことだろう。

 だからこそ、私は馬超殿に言わなければならない。

 

 「ですが、貴方はこうして援軍に応じてくれた」

 

 もしも馬超殿が参陣していなければ、張衛軍のみの連携で劉備軍に対抗しなければならなかった。

 国を失い、家族を失った。

 だが、それでも立ち上がり、こうして軍を率いる。

 それは並の人間ではできないことだ。

 まさしく錦馬超という名に相応しき英傑だ。

 

 「私の故郷を守る手助け、私は嬉しく思っています」

 

 杯を掲げる。

 これは約束である。

 決意を示すものである。

 過去を尊ぶものである。

 

 「そうか……そう言ってくれると、来た甲斐があったかもな」

 

 私の意を汲んでか、馬超殿は目に溜まった涙を拭うと心地の良い笑みを浮かべる。

 互いに掲げた盃をぶつけると、一気に酒を飲みほした。

 

 「涼州への帰還を夢見て」

 「益州の地を守るために」

 

 

 

 

 

 

 

 「「互いに死力を尽くそう」」

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