新たな精霊と闇のデュエル
「…はぁ、遅くなってしまったな。もうそこそこ暗いし」
そう思いながら最近、結にボコボコにされかけた俺、黒崎仭は歩を進める。
今日はカイ達が俺達の世界に飛ばされてきて、1週間ぐらい経った。ちなみに土曜日。
俺は少々午後から用事があり、それを終わらせたら、カードショップに寄り道してた。現在夕方。
「ん?…何か落ちてるな」
道端にカードらしき物が落ちていたので近づいて、拾う。
「…《闇霊使い ダルク》?何でこのカードが?誰かが落としたなんてことはないだろうから…」
捨てられたか。
「しかし、このようなカードを今更捨てるような奴がいるとは…」
かなりとまではいかんが、結構古いぞ。しかも使ってる者を見たことがないし。
『俺は捨てられたわけじゃない!…って、聞こえねぇか…』
「ん?」
…は?
『ったく、どうするか…。こんな奴に拾われちまって』
「…誰がこんな奴だ」
とりあえず空耳じゃないことを確認し、おそらく喋ったであろうカードに話しかける?。
『そりゃ、おm…は!?―お、お前俺の声が聞こえるのか!?』
「ばっちり」
もっと驚くところ?
異世界というファンタジー要素がある時点で、もう十分驚いた。
しかし、これがカードに宿る精霊というものか。
「で、聞きたいことがあるんだが」
『ああ、ダルクって名前だ』
「違ぇよ。名前を聞いてるわけじゃねぇ。何でこんな遊戯王が
『な!?お前異世界があるってことも知ってるのか?』
カイ達の世界しか知らんがな。
「で、どうなんだ?」
『…いや、その…』
「うん?」
はっきりしない奴だな。あれ、カード?…いや、やっぱ精霊だから奴でいいのか。
とりあえず返答を待っていると、人の気配がしたのでひとまずそっちの方を見る。
そこらにいそうな不良の姿があった。
「おい、そこのお前」
「俺か?」
「そうだ。周りにお前しかいねぇだろ」
それもそうか。
目的はカツアゲか?俺からカツアゲするんだったら少なくとも15人はいないと駄目だな。
…慢心でもないぞ?昔、それぐらいを相手にしたことがあったし。
懐かしいな。あの時は頭に血が上ってたから。
「で、何だ?金ならないぞ?」
『お、おい』
今話せねぇよ。
「いや、目的は金じゃねぇ。…お前の持ってるそのカードを寄こせ」
「これか?」
ダルクを見る。
「ああ、そうだ」
「けどな、あんたの物なのか?これ」
「そうだ。だから返せ」
「何でだ?別にレアでもないだろ?」
『お前…』
本当のことだろうが。
「…いいから俺のだって言ってんだろ!」
逆ギレか。絶対に嘘だな。
けど、こいつが欲しいということは、精霊という存在を知ってるのか?いや、知ってるか。
「…駄目だな。これはやれない」
『!』
「…んだと…!」
これはカイ達に渡した方が良さそうだ。
「そういうわけだ。だから諦めてくれ」
そして俺は回れ右をして帰ろうとすると
「待てガキ」
「………」
ナイフでも取り出したかと思いながら後ろを向くと
「…何故?」
思わず言ってしまった。
ナイフなどではなく、デュエルディスクが左腕にあったからだ。
「てめぇもやれるだろう?デュエルだ!」
「いや、何でだよ」
何故に?頭おかしいんじゃないのか?
「俺が勝ったらそれを渡してもらう!」
人の話を聞けや不良A。とりあえず
「断る」
「んだとてめぇ!!」
「あんた頭大丈夫?何でそうなるんだよ。デュエルで決着とかアニメの見すぎだぞ?」
「て、てめぇ…」
この世界ではだが。
「それにこいつを賭けで『よし、わかった』で受けるわけないだろ」
『お、お前…』
「んだぁ?負けるのが怖いのか?」
「はいはい、そうです。あんたとデュエルするのが恐ろしくてたまりませんよ(棒読み)」
「!?」
面倒くさいから、そういうことにしとく。
「じゃあな」
「待てやクソガキ!!」
うるさいな本当に。
「何?」
「穏便に済ませてやろうとしたが…こうなったら意地でも受けてもらう。…闇のゲームだ!」
「…いい病院教えようか?」
「黙れガキが!!」
穏便とか言うが穏便じゃねぇだろ。ああ、もう気絶させていいかな?中二病のようだし…もしくは精神に病が…
『いや、違うぞ。えっと…』
「黒崎仭。で、何が違うんだ。ダルク…で言いんだよな?」
『ああ、仭…あいつは普通じゃない』
「見りゃわかる」
本当におかしい。精神科へ行くことを進める。いや、俺も行った方がいいか?
『…俺はお前の見てる幻とかじゃないからな?あっちも見えてるだろ』
「そういう感じだな。…で、おい」
『…言いたいことはわかる。だがこれは幻じゃない』
いやいや、信じられるか。
「俺とあの中二病患者を含み、黒い炎で周囲が囲まれてるとか…」
そう、いつの間にか炎に囲まれて完全に逃げられなくなっている。
とりあえずナイフを取り出して炎の壁に投げる。それは燃え尽きた。
「…どうやら本当のようだな」
「ヒヒ、逃げられねぇぞ…」
IS使えばどうとでも逃げられるかもしれんが、この炎をそのままにしとくわけにはな…。
『この炎は消せない』
「何で言い切れる?」
『その前に…ちょっと俺の質問に答えてくれ。お前、
「
『そうか…ならもうあいつとデュエルするしかないぞ』
おい、それってもしや…
「ヒヒヒ、これはどちらかのライフが尽きるまで解放されない!闇のゲームだ!!」
やはりそれか。
となると信じられんが、命がけのデュエルか。
「まあ、事情はわかった。奴とデュエルして勝つまで帰れない。そういうことだな?」
『あ、ああ…けど…』
「?」
『いや、何でもない…』
おそらく闇のゲームで負けたら死ぬとか言おうとしたのだろう。
だが、言ってしまうとプレッシャーになると考えたか。
まあ、俺が勝ったら相手は死んでしまう、命を奪ってしまうとも考えたのだろうが、別に俺は問題ない。
「まあ、いい。やってやろう」
「ヒヒ、どの道デュエルしなきゃいけねぇ運命なんだよ」
ディスクを展開し、デッキを入れる。
持ち合わせのデッキは学園から持ってきた1つしかないからな。
「お前みたいな奴はとっとと倒してやる」
「弱いやつほどよく吠えるということを知らないのか?」
「ガキ…」
『仭…』
「お前は黙って、離れてろ」
そういうと実体化して離れる。
というか実体化できたのかよ。
「「デュエル」」
仭:LP4000
不良:LP4000
ライフは4000か…。
「先行はこの俺だ。ドロー!」
さて、どんなデッキを使うか。
「俺は《召喚僧サモンプリースト》を召喚!効果で守備表示に」
召喚僧サモンプリースト
DEF:1600
「効果で手札から魔法カードを墓地に送って、《ジャイアント・オーク》をデッキから特殊召喚!」
ジャイアント・オーク
ATK:2200
「ターンエンド」
え?マジで?
不良:LP4000
手札4
召喚僧サモンプリースト
ジャイアント・オーク
せめてプラフとはいえ、カードを伏せるのが普通だぞ。
馬鹿か?それとも思惑があってか?
「俺のターン、ドロー」
さて、どうするか。
「…俺はモンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンド」
仭:LP4000
手札4
セット1
伏せ1
「俺のターン、ドロー!サモンプリーストの効果で、手札から魔法カードを墓地に送って、デッキから《ゴブリンエリート部隊》を特殊召喚!」
ゴブリンエリート部隊
ATK:2200
パワー型か?
「《シールドクラッシュ》を発動!セットカードを破壊!」
セットしていた《ダブルコストン》が破壊される。だが
「伏せカード《道連れ》。効果でサモンプリーストを破壊!」
「ひゃはは!馬鹿か?」
『何でそっちなんだ!?』
ま、さすがに言われるだろうな。
普通だったらジャイアント・オークを破壊するところだろうし。
当然わざとで、あることを試したかったからだ。
「バトル!ジャイアント・オークでダイレクトアタック!!」
ジャイアント・オークの棍が、俺に殴りかかろうとしてくる。
そして俺に当たり大きな音を立てた。…だが
『…!』
「…なるほど。一応ISにも攻撃は効くみたいだが、防げないわけではないようだな」
俺は右腕にISを部分展開して防いでる。衝撃がISを通して伝わる。
で、ISに衝撃がくるということは、どうやら本当に命がけのようだ。
これが俺の確かめたかったことだが。
仭:LP1800
「そしてバトルフェイズsy「おっと待て。自分フィールドにカードが存在せず、相手がコントロールするカードによってダメージを受けた時、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。現れろ《冥府の使者ゴーズ》!」
冥府の使者ゴーズ
ATK:2700
「そして受けたダメージの種類が戦闘ダメージのとき、受けたダメージと同じ数値の攻守を持つ『冥府の使者カイエントークン』(天使族・光・星7・攻/守?)を特殊召喚する。現れろ!」
冥府の使者カイエントークン
ATK:2200
「ちっ、そんな奴を出しやがって。バトルフェイズ終了時にオークは守備表示になる」
ジャイアント・オーク
DEF:0
守備になったな。だが…
「俺はまだこのターン通常召喚をしていない!オークとエリート部隊をリリースし、《モザイク・マンティコア》をアドバンス召喚!」
モザイク・マンティコア
ATK:2800
「カードを1枚伏せてターンエンド!(伏せたのは《最終突撃命令》。これで守備表示にしても、無駄だ!)」
不良:LP4000
手札0
モザイク・マンティコア
伏せ1
「俺のターン、ドロー」
…言おう。馬鹿だあいつ。もう勝ち誇った気になってやがる。
どうするか、手札に《地砕き》あるから、それで破壊してやってもいいんだが、あの伏せカードがな。あの顔からして絶対に使えるみたいだし…
「はぁ、俺は手札から《死者蘇生》を発動。効果でお前の墓地から召喚僧サモンプリーストを特殊召喚」
召喚僧サモンプリースト
DEF:1600
「こいつの効果で、魔法カードを墓地に送って、デッキから《ライトロード・マジシャン ライラ》を特殊召喚」
地砕きを捨てた。
ライトロード・マジシャン ライラ
ATK:1700
「表側攻撃表示で存在するこのカードを表側守備表示に変更し、相手フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。お前の伏せカードを破壊」
ライトロード・マジシャン ライラ
DEF:200
カードは…最終突撃命令。こんなカードで勝ち誇ってたのかよ。
「くっ…だが、マンティコアには誰1人勝ててねぇぞ!」
知ってるっての、阿呆が。
「《巨大化》を発動。冥府の使者 ゴーズに装備。ライフは俺が下回ってるから攻撃力が2倍」
「!」
冥府の使者 ゴーズ
ATK:2700→5400
「ゴーズでマンティコアに攻撃!」
マンティコアを切り裂くゴーズ。
不良:LP1400
「ま、待て!お、お前「冥府の使者カイエントークンでダイレクトアタック!」
あいにく、こっちの命もかかっててね。
そしてもう1体の冥府の使者が不良を切り裂いた。
「ぐおおおあああ!!」
不良:LP0
本当だったら、手札の《邪神 ドレッド・ルート》を召喚して、ぶちのめしたかったが、場所が場所だ。おそらくキング・もけもけの時と同じようにデカいだろうし、それで騒がれると面倒だからな。邪神デッキなんか持っていかなきゃよかった。
…さて、不良の方を見ると、身体が消えたりとかはしてない。
とりあえずどうなのか確かめるとしよう。
「…おい、大丈夫か?」
「う、うう…」
意識あり。どういうことだ?
サイコデュエルだっただけか?
「おら、起きろ」
「こ、ここは…?あんたは?」
「…おい」
「!」
「他人の振りしたら逃げられるとか思っちゃいねぇか?おい」
「ひ、ひ……」
何だこいつの怯えようは?
いや、それは俺の殺気ということはわかってるのだが、さっきとは性格がな。
とりあえず色々聞くが
「し、知らない!俺は何にも知らない!!だから助けてくれ!!」
…別に暴力は使ってないのだが。
殺気のせいだろうが、ここまでとは…本当にどういうことだ?
『仭、そいつに何を聞いても無駄だ』
「!」
「ひ、ひぃ!!」
「!――おい!!」
ダルクに話しかけられ、少し気をそっちにやった隙に、不良は服をつかんでいた俺の手を振り払って、逃げ出す。
追うこともできたが、ダルクに咎められた。
『あいつは何も覚えちゃいない』
「…ふぅ、あいつが覚えてねぇってことは…誰かに利用されてたってことか?」
『まぁ…そんなところだ』
やれやれ、アニメじゃあるまいし。
だが、さっきのは普通のデュエルじゃねぇってことは確かだ。
「で、お前どうするんだ?」
『…どうするべきか』
「はぁ、仕方ない。ひとまず俺がかくまってやる』
『!?――いや、だが迷惑をかけるわけには…』
「迷惑はもうとっくにかけてるだろ。俺に命がけのデュエルを経験させたという』
『き、気付いてたのか!?』
「衝撃が実体化する時点でそう思うだろ」
『ほ、本当に済まない…けど、またあのようなことをお前にさせるわけには…』
「は?お前は馬鹿か?」
『な、何?』
「狙いは知らんが、お前を守った時点で、もう手遅れだ。たとえお前と関係がなくなっても、俺を狙いに来るぞ?」
『う……』
「それに当然何とかできそうな奴がいるから、こう言ってるんだ」
『ほ、本当か!?』
「ああ」
嘘は言ってない。
ただ、あの2人は何か知ってそうな気がするんだよな。
「それに俺と別れたとして、お前どうするんだよ。さっきのような奴にあったら」
『そ、それもそうか…』
「俺に悪いと思うんだろ。黙ってこい。わかったな?」
『わ、わかった。…それじゃあ、頼む』
「ん」
さて、帰るか。
もうすっかり遅くなっちまった。このままでいると、下手したら、学園をも巻き込む可能性があるからな。
そう思いながら俺は歩を進めた。帰る途中、ダルクにこの世界のことを話したことを言っておく。
はい、デュエルはかなりあっさりついてしまいました。(汗)
次話はカイと結へ、精霊のことを話します。