交差する世界 騎士と暴君と五聖獣   作:狂戦士

33 / 35
デュエルの書き方少し変えました。

ひとまず1話目です。


初デュエルの相手は憑かれている?者

「…しかし、本当に広いな。火山や森、などなど本当にここを創ったのかと言いたくなってしまうな」

 

 自称いつもニコニコ隣に這い寄る混沌――愛奈の創った世界は、ざっと挙げるだけでも草原・高原・火山・荒れ地・館……いろんな地形が密集しているのである。そんな世界に飛ばされた(融合させられた)黒崎仭は、創られた世界の中の街であまり動いてはいない。ひとまずこの辺りでデュエリストを待ち構えるようだ。

 

「というか、何のために家とか造形物も創ったのやら…」

 

 もう街と言えるくらい造形物があるのは、明らかに無駄だろうと思いながらも辺りを見渡していると

 

「…見つけた」

 

 1人の人物の姿を確認する。

 

「んん?何かぶつぶつ呟いているようだが…まあ、近づけばわかるか」

 

 

 

「あーもう本当にどうすればいいのさ。夢想も1人で行っちゃったし」

 

『まあ、さすがはデュエル脳というべきか。それはこいつもだが、見知らぬ所に飛ばされてどうしようかってなってるわけで』

 

「だってしょうがないじゃん!」

 

『気持ちはわかるがな』

 

 そう2人は会話しながら、歩を進める。もっとも一方は浮いているのだが。1人は遊戯王GXデュエルアカデミアのオシリスレッド制服上下を着た黒目黒髪で、見た感じ優男と言った少年。もう1人は霊体――幽霊であった。

 黒髪の少年の名は遊野清明(ゆうのあきら)と言い、またその隣で文字通り浮いている幽霊はユーノと呼ばれていた。

 

「というわけで、出てきてサッカー!」

 

 そうデッキに向かって声をかけ、シャーク・サッカーの精霊を呼び出す。出てきたシャーク・サッカーの頭をよしよしと撫でながら、清明は1つ頼みごとをする。

 

「サッカー、悪いんだけど他のデュエリストを探すの手伝ってくれない?なかなか見つかんなくてさ………僕はあっちの方に行くから、サッカーはこっちの方お願いね。あんまり遠くに行っちゃだめだよ」

 

 その頼みにサッカーはこくこくと頷くとシャーク、と一声鳴いて空中をゆったりと泳ぎ始めた。それを見ながらやはり1匹で行かせるのに不安を感じた清明は、新たに精霊を呼び出す。

 

「ブリザード・ファルコン召喚!ファルコン、悪いけどかくかくしかじかで、サッカーと一緒に行ってやってくれる?」

 

 コクリ、と力強く頷いて飛んでいくブリザード・ファルコンの後姿も見送り、満足げな表情を浮かべるのに対し、ユーノは呆れ顔だった。

 

『お前なー……いや、もー何でもいいや。だけどまあ1つ言うなら、その必要はなかったみたいだぜ』

 

「へ?」

 

 それはどういう意味か、問おうとする前に

 

「おーい」

 

「!!」

 

 後ろから声をかけられ、気付いていなかった清明は慌てて声の方を向く。声をかけた人物は、デュエルの相手を探していた仭である。

 

「い、いつから僕の後ろに!?」

 

「少し前から。…なるほど、精霊のカード持ちか」

 

「君は精霊を知ってるの?」

 

『ほう』

 

「ああ、色々特殊な事情持ちなものでね。近くで浮いているシャーク・サッカーの姿がよく視えたよ、アカデミアレッド生」

 

「アカデミアのことも?じゃあ君は…」

 

「ん?ああ、俺はアカデミア生じゃない。というより、デュエルアカデミアなど、俺の世界には存在しない。もちろんデュエルモンスターズはあるが」

 

「え?じゃあ…」

 

 その言葉に声明は表情を変え、それに仭が微笑を浮かべる。

 

「ああ、どうやらあの腹黒そうな眼鏡の言うことに半信半疑だったようだが、俺はそっちの世界の者ではなく、まぎれもなく別世界の住人だ」

 

「てことは他の世界からも人が来てるってのは、本当だったんだ」

 

「俺もあんたがこの世界で初めて会った人物だから、完全にはそうとは言えないが、真実と考えていいと思う。…何よりあんたも何か持っているのだろう?得体の知れないのが何となく感じる」

 

「っ…!」

 

『精霊やデュエルアカデミアのことも知っていて、ただ者じゃねぇようだが、俺の姿は視えてないようだな』

 

 その言葉によるものかほけーっとし始めた清明に、仭は僅かばかり慌てながら言葉を続ける。

 

「そう警戒しないでくれ。別段取って食うほどの力なんざない。…それよりも会った以上、やることはあるだろう?」

 

 そう言うと黒いデュエルディスクが仭の左腕に装着された状態で現れる。そして腰に付けられているデッキケースから、デッキを取り出しセットした。

 

「積もる話はひとまず後回しに。デュエリストならば、デュエルでひとまず語り合おう」

 

「ちょっと混乱気味でよくわかんないとこもあるけど、要するにデュエルだってんでしょ?望むところ!」

 

『単純だなぁこいつも。まあ、あいつ自身が言っているように、本当に何か力を持っていなさそうだから、大丈夫か』

 

 お互いデュエルディスクを構えた状態になり、そのまま始めようとすると、デュエルを挑んできた仭がいきなり待ったをかける。

 

「と、名前を言ってなかったな。俺の名は黒崎仭。おそらくこの世界に呼ばれた者の中で、何ら特別な力を持たぬも普通ではない唯一のデュエリストだ」

 

「僕の名前は遊野清明。えっと……」

 

『無理に格好つけんでいい』

 

 仭のように何か言おうとしたが、ユーノにそう言われたのもあって少しにとどめて、改めてデュエルを始める。

 

「「デュエル!」」

 

清明:LP4000

仭:LP4000

 

 先攻後攻はデュエルディスクの機能によって決まる。先行となったのは、清明だ。

 

「ドロー!オイスターマイスターを攻撃表示で召喚、カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 魚族だが、魚には見えない戦士が現れる。

 

オイスターマイスター

ATK:1600

 

 カードを伏せると清明はターンを終えた。

 

「俺のターン、ドロー」

 

 仭はあちらは様子見かと思いながら、ひとまず此方も様子見でいくことにする。

 

「ふむ、カードを3枚伏せる。そしてモンスターをセットし、ターンエンドだ」

 

清明 LP4000

手札4

・モンスター

オイスターマイスター

・魔法・罠

伏せ1

 

仭 LP4000

手札2

・モンスター

セット

・魔法・罠

伏せ3

 

「僕のターン、オイスターマイスターをリリースしてジョーズマンをアドバンス召喚!

 さらにマイスターが戦闘以外の方法で場から墓地に送られたことによりその効果、オイスタートークンを守備表示で召喚!さらにさらに、ここでジョーズマンも効果を発動………僕の場には水属性のオイスタートークンが1体いるから、攻撃力300ポイントアップ!」

 

 オイスターマイスターがリリースされると、全身に鮫のような口が付いたモンスターがその姿を現す。その効果により、自身の攻撃力を上げる。

 

ジョーズマン

ATK:2600→2900

 

オイスタートークン

DEF:0

 

「バトル!ジョーズマンで、セットモンスターを攻撃、シャーク・ストリーム!」

 

「こうも伏せカードを恐れてこないとは…」

 

 さすがにカードを3枚も伏せている状況で攻撃をしてくるのに対し、相手は深く考えないのか、それとも対策があってなのか。そう仭が本気で頭を悩ませてる間に、セットモンスターが無数の口によって同時に噛み付かれ、破壊される。

 それを見て、おっと戻らねぇとと呟きながらデュエルへと戻る。

 

「破壊されたモンスターは、インフェルニティ・ナイト。

 このカードが破壊され墓地へ送られた時、手札を2枚捨てる事でこのカードを墓地から特殊召喚する」

 

 中世の軍隊における兵士のような姿をしたモンスターが、再びその姿を現す。

 

インフェルニティ・ナイト

DEF:400

 

「タ、ターンエンド」

 

 エンド宣言を受け、自分のターンとなったのでカードをドローする。

 

「ドロー。…手札が0の時にドローされたインフェルニティ・デーモンの効果を発動。このカードを相手に見せることで、手札から特殊召喚する」

 

インフェルニティ・デーモン

ATK:1800

 

「デーモンの第2の効果。手札が0の時に特殊召喚に成功した場合、デッキからインフェルニティと名の付いたカードを手札に加えることができる。

 デッキからインフェルニティガンを手札に加える。そして発動」

 

 清明は何をしてくるのかとばかりに、現れた巨大な銃を見ている。それを見てどうやらインフェルニティのカテゴリーを知らなさそうだと思いながらも進めていく。

 

「インフェルニティガンの効果発動。手札が0の時にこのカードを墓地に送ることで、インフェルニティを墓地から2体まで特殊召喚できる。

 蘇れインフェルニティ・ネクロマンサー、インフェルニティ・ビートル」

 

インフェルニティ・ネクロマンサー

DEF:2000

 

インフェルニティ・ビートル

ATK:1200

 

 モンスターが2体出現したことに、清明は多少驚きの表情を出しているが、これはまだ終わらない。

 

「インフェルニティ・ビートルの効果発動。手札が0の時、このカードをリリースする事で、デッキから同名カードを2体まで特殊召喚する。インフェルニティ・ビートル2体を特殊召喚」

 

「モンスターゾーンが埋めつくせられた。けど、ジョーズマンは倒せないよ」

 

「…遊野、と言ったな。良いことを教えてやる」

 

「え?」

 

「そういうのは、フラグというんだ」

 

 苦笑を浮かべながら言うが、いまいちよくわかっていないらしい。ふぅと息をつくと宣言する。

 

「行くぜ。レベル4のインフェルニティ・デーモンにレベル2のインフェルニティ・ビートルをチューニング」

 

「え?」

 

「シンクロ召喚、大地の騎士ガイアナイト!」

 

 そして暗黒騎士ガイアを思わせる騎士が仭のフィールドに現れる。しかし暗黒騎士とは違い、馬の背中から騎士の上半身が生えている。

 

大地の騎士ガイアナイト

ATK:2600

 

 ちなみにそれを見た清明はというと、

 

「ええええちょっとユーノ何アレなんか出たんだけどアレなにどーゆーこと!?」

 

(何だ?)

 

『…………わかった、わかったから少しは落ち着け。うむ、おそらくあれはお前の知らない異世界で出回っているカードのようだな。チューナーモンスターをそれ以外のモンスターと一緒に墓地に送ることでそのレベル合計分のモンスターを特殊召喚する、ってとこだろ。いやー、他の世界ってのは面白いな』

 

『よくもまあそんなぬけぬけと。やはりお前の方が清明より我々の仲間、ダークシグナー向きの性格しているな』

 

『おっと、俺は別に嘘を吐いた覚えはないぜ?』

 

「さっきから何ゴチャゴチャ2人で話してるのさ、そんなことよりどうしようあのシンクロとかいうの!?」

 

 横にいる幽霊と清明の中のある神の3人?で会話?しているが、仭からしてみれば何をやっているのかという感情しか抱かない。

 

「お前こそ何をそんなに騒いでいる?ターンを続けさせてもらうぞ、ネクロマンサーの効果発動。

 手札が0の時、墓地からインフェルニティを1体特殊召喚する。蘇れ、デーモン。特殊召喚されたデーモンの効果で、デッキからインフェルニティ・ブレイクを手札に。そしてセット」

 

 ネクロマンサーの効果により、再び姿を現したデーモン。デーモンはその力で再び仭の元へカードを呼び出した。さらに

 

「レベル3のナイトと、レベル3のネクロマンサーにレベル2のビートルをチューニング。

 シンクロ召喚、ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン!」

 

「2体目来たー!」

 

『やかましい!』

 

 ガイアナイトの時と同じようにビートルは2つのリングに姿を変え、その中へ飛び込んだナイトとネクロマンサーは、自身の持つレベルと同じ数の星へと変わる。そして一筋の光がそれらを飲み込んだ後、その名以上に全身に目を宿す竜がその姿を現す。

 

ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン

ATK:3000

 

 そして先程からの清明の反応から、さすがに仭も疑問を抱いていた。

 

(……やべぇ。あの反応、もしかしてシンクロを知らないとかか?)

 

 そうだったらさすがに悪かったなぁと、慌てふためく清明を見ながら思う仭。

 だが、今更手を抜くことなど当然しない。それに清明はデュエルモンスターが娯楽である自身の世界出身である(気持ちで負けているつもりはないが)自分などより、必ずいるであろう強者達が揃っている世界に放られた1人であるという時点で、弱いというのはあり得ない。現に清明の闘志は揺らいでいない。

 

(けど、あっちも俺が初戦の相手のようだし…あっちにとってはシンクロを知ることができたと考えれば、な。このデュエルを終えたら色々話すとしよう。この勢いだとあの腹黒そうな眼鏡の余計な愉悦になりかねない)

 

 ひとまずデュエルの続きだと、バトルへ移す。

 

「バトル。デーモンで、トークンを攻撃。ヘルプレッシャー」

 

『来たか……わかってんだろうな、清明?』

 

「もちろん。その攻撃はそのまま通すよ」

 

 デーモンが上空に展開させた魔法陣から巨大な手が出てきて、それがオイスタートークンを攻撃して破壊した。

 

「次いで、ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンで攻撃力の下がったジョーズマンに攻撃。インフィニティ・サイト・ストリーム!」

 

「使いどころはここしかないねっ!トラップ発動、ポセイドン・ウェーブ!

 獣戦士族のジョーズマンじゃバーンダメージはないけど、攻撃を止めるならこれで十分!これでその攻撃は無効さ」

 

「ほう……。ガイアナイトで相打ちさせてもいいが…ここはターンエンド」

 

清明 LP4000

手札4

・モンスター

ジョーズマン

・魔法・罠

なし

 

仭 LP4000

手札0

・モンスター

ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン

大地の騎士ガイアナイト

インフェルニティ・デーモン

・魔法・罠

伏せ4

 

「とはいえ、危なかった………大したもんだよ、すごいデュエリストだよ。だけどただやられるのは性に合わないし、僕もまだまだ負けないよっと!

手札から爆征竜ータイダルの効果発動、このカードと手札の水属性モンスター1体、ハリマンボウを墓地に送ってデッキのモンスター1体を墓地に送る。そしてこの瞬間に落としたハリマンボウの効果発動、相手モンスター1体の攻撃力を500ポイント下げるよ。えーと、ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンだっけ?その目玉の攻撃力をダウンさせるから」

 

ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン

ATK:3000→2500

 

「さらに死者蘇生を発動、これで墓地に送ったシーラカンスを……」

 

「トラップ発動、インフェルニティ・バリア。

 俺の場には攻撃表示のデーモンがいる。その死者蘇生は無効だ」

 

 死者蘇生により清明の墓地からモンスターが蘇生されようとするも、デーモンによって作られたバリアでそれは無効化される。

 

(…ってミスった。これで1ターン前のポセイドン・ウェーブ無効化できたじゃないかよ)

 

 今更ながらにそれに気付く。あの時は考えがあって発動しなかったのではなく、素で発動していなかった。いや、それ以前にモンスターの展開ももう少しやり方があった。

 最近デュエルを行ってる暇もなかったし、はっきり言ってやる気もなかったために仭にとってデュエルは久しぶりであった。

 顔に出しておらず、効果の説明もしていないためあっちは気付いていないようであるが。

 

「んなっ……。だったらバトルフェイズ!ジョーズマン、インフェルニティ・デーモンに攻撃!」

 

「インフェルニティ・ブレイク。

 俺の手札は0枚、よって墓地のインフェルニティ・ビートルを除外してフィールドのカード1枚を破壊する。俺が選ぶのはジョーズマンだ」

 

 デーモンへ攻撃を仕掛けようとしたジョーズマンに雷が落ち、破壊される。

 

「ジョーズマーン!?えーいまだまだ、なんぼのもんじゃーい!モンスターをセットして、カードも伏せてターンエンドだよ」

 

 死者蘇生が不発に終わり、ジョーズマンが破壊されながらも清明はそのままターンを渡すことはなく、モンスター1体とカードを1枚伏せてターンを終了した。

 

「(もうちょっと回し方が楽なのにすれば良かったな。どうも調子がまだ戻らない)ドロー…ふむ、おろかな埋葬を発動し、デッキからインフェルニティ・ミラージュを墓地に。

ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンの効果発動。自分の墓地に存在するレベル6以下の闇属性の効果モンスター1体をゲームから除外。そしてエンドフェイズ時まで、このカードはゲームから除外した効果モンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。俺が除外するのは先程墓地に送ったミラージュ」

 

 ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンが効果を発動すると、頭に付いている1つ以外に閉じている目が開き、その中で一際大きな目にインフェルニティ・ミラージュの姿が映し出された後、全ての目が紫色に光った。

 

「ミラージュの効果は自分の手札が0の時、このカードをリリースすることで墓地のインフェルニティ2体を選択して特殊召喚できる。ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンをリリースし、ビートル2体を蘇生」

 

 ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンが姿を消すと、インフェルニティ・ビートルが2体フィールドに現れる。それに清明は苦い表情を浮かべた。

 

「わざわざ呼び出したってことは…シンクロ召喚だっけ?それをやり直す気かな」

 

「半分正解。レベル4のデーモンに、レベル2のビートルをチューニング。

 シンクロ召喚、吠えろ。天狼王 ブルー・セイリオス!」

 

 一筋の光から蒼き狼がフィールドに現れ、大きく吠える。

 

天狼王 ブルー・セイリオス

ATK:2400

 

「次いでレベル6のブルー・セイリオスに、レベル2のビートルをチューニング。

 シンクロ召喚、その息吹(ブレス)で全てを浄化せよ。煉獄龍 オーガ・ドラグーン!」

 

 召喚されたセイリオスは上空へとすぐさま飛び、ビートルであった2つのリングに飛び込む。そして煉獄よりいでし鬼の名を冠す竜がその姿を現す。

 

煉獄龍 オーガ・ドラグーン

ATK:3000

 

「何かまた怖そうなのが来たよ…」

 

『しっかりしろ。ああいうのは俺達の世界でもいたろ』

 

「…ん?というより、何でわざわざレベル6のをシンクロ召喚してから、レベル8のをシンクロ召喚したんだろう」

 

『おそらく、素材に条件があるんだろ。チューナーは1体までとか』

 

「あ、なるほど」

 

「(やはりシンクロを知らないか。しかし、俺には見えない何かと話でもしているのか?それとも内側に別の人格いるとかか?)…行くぞ?バトル。オーガ・ドラグーンで、セットモンスターを攻撃。煉獄の混沌却火(インフェルニティ・カオス・バースト)!」

 

「セットモンスターは、ペンギン・ナイトメア。リバースした時の効果で、その怖そうなドラゴンをバウンスさせてもらうよ」

 

 蝶ネクタイを締めたペンギンの力により、オーガ・ドラグーンはその姿を消す。…その際、ペンギンが此方に向かってどや顔したように思えた。

 

ペンギン・ナイトメア

DEF:1800

 

「…ちっ。ガイアナイトでダイレクトアタック」

 

「トラップ発動、リビングデッドの呼び声!今度こそシーラカンスを墓地から特殊召喚!」

 

 ガイアナイトが清明へと突撃しようとすると、そうはさせないとばかりに魚の王が姿を現し、ガイアナイトを阻む。

 

超古深海王シーラカンス

ATK:2800

 

 ガイアナイトにシーラカンスの攻撃力を超えさせることもできないため、仭は攻撃を中断せざるをえなかった。

 

「攻撃中断。くっ、うz…いや、しぶといな」

 

「今言い直したよね?今絶対うざいって言おうとしたよね?」

 

「ミスト・ウォームがあったら、2ターン前に勝ってたのに…あいつに貸さなければよかった」

 

「聞いてないし!」

 

 そう呟きながらも、さてこの後どう回していくかと思案し始める。…知り合い(あいつ)にカードを貸さなければよかったと後悔しながら。その間、清明も隣に浮遊している幽霊と会話していた。

 

『しかしやっと状況が逆転してきたか』

 

「うん、手札も0だし、伏せカードも前からセットしてあったのだけだし、やることは…」

 

「っと、現実逃避的になっていた。トラップ発動、闇次元の解放。

 ゲームから除外されている自分の闇属性モンスター1体を特殊召喚する。ネクロマンサーを特殊召喚」

 

「何だってー!?」

 

 闇次元からネクロマンサーが現れ、不気味に笑う。まったく不自然ではない。

 

インフェルニティ・ネクロマンサー

DEF:2000

 

「手札0。よってネクロマンサーの効果を発動し、デーモンを復活。デーモンの効果でデッキからインフェルニティ・セイジを手札に。そして召喚」

 

 三度(みたび)姿を現すデーモン。次いでその力によって加えられた魔法使いが召喚される。

 

インフェルニティ・デーモン

DEF:1200

 

インフェルニティ・セイジ

ATK:400

 

「レベル3のネクロマンサーに、レベル2のセイジをチューニング。

 シンクロ召喚、正義の名の元にすべてを破壊せよA・O・J(アーリー・オブ・ジャスティス) カタストル!」

 

 デーモンとセイジが一筋の光に呑まれると、その中から正義の味方と大災害の名を冠した機械のモンスターがフィールドに現れる。

 

A・O・J カタストル

ATK:2200

 

「ターンエンド…ってああ!攻撃表示で召喚してしまった!!」

 

「やったね。プレイミスだ」

 

『『いや、騙されるな(ないでくれ)!!』』

 

(ノリがいいな)

 

 一応やってみた見え見えの演技に対しての清明の反応にそう思った。

 

インフェルニティ・セイジ(漫画版5D’sオリ)

チューナー(効果モンスター)

レベル2/闇属性/魔法使い族/攻撃力400/守備力800

このカードが自分フィールドに表側表示で存在する場合、

自分は手札を全て捨てる事ができる。

 

清明 LP4000

手札0

・モンスター

超古深海王シーラカンス

・魔法・罠

リビングデッドの呼び声

 

仭 LP4000

手札0

・モンスター

A・O・J カタストル

大地の騎士ガイアナイト

インフェルニティ・デーモン

・魔法・罠

闇次元の解放

伏せ1

 

「僕のターン、墓地に眠る瀑征竜―タイダルの効果を発動、同じく墓地の水属性モンスターのジョーズマンとペンギン・ナイトメアを除外して、このカードを特殊召喚!」

 

 その効果から古より甦りし水の竜が現れ、咆哮を轟かせる。

 

瀑征竜ータイダル

ATK:2600

 

「さらに今ドローしたカードを捨ててシーラカンスの効果発動、魚介王の咆哮。

 デッキからレベル4以下の魚族モンスターを、僕の場の空いてるモンスターゾーンの数のぶんだけ特殊召喚だ!来て、ハリマンボウにオイスターマイスター、フィッシュボーグ-アーチャー!」

 

 さらにシーラカンスの咆哮により、デッキから3体の魚達が現れていく。

 

ハリマンボウ

DEF:100

 

オイスターマイスター

DEF:200

 

フィッシュボーグ-アーチャー

DEF:300

 

「さて………バトルフェイズ!タイダル、カタストルに攻撃!」

 

「何?まあいい、カタストルの効果が発動する。このカードの相手モンスターが闇属性以外だった場合、ダメージ計算すら行わずにその相手を破壊する」

 

「え…………?」

 

『また無策で突っ込む、つくづくお前って奴はいつもこれだなぁ』

 

「まだバトルフェイズは終わってない、あのモンスターが倒せないなら他から倒してくさ!シーラカンス、ガイアナイトに攻撃!マリン・ポロロッカ!」

 

 ようやくダメージが入ったと言わんばかりの表情を見せる清明に対し、未だカタストルへの攻撃について複雑な表情を仭は浮かべていた。

 

仭 LP4000→3800

 

「僕は、これでターンエンド」

 

「いやぁ…さすがに言わせてもらう」

 

「ん、ん?」

 

 ターンエンド宣言後、清明に話しかける仭。内容は当然、先程仭が考えていたことだ。

 

「あそこまで馬鹿正直に突っ込むとは思わなかった」

 

「うぐ…」

 

『あの演技の後でだからなぁ』

 

「うぐぐ…」

 

『私もさすがに黙認しきれない』

 

「うぐぐぐぐ…」

 

 さらに2人?の追撃に言葉が詰まる清明。何せ本当に大きく考えずにカタストルへ攻撃したからだ。が、

 

「―――と、思わせて油断させたいのだろうが、そうはいかない」

 

 結局の所、仭は勘違いをしていた。それはそうであろう。たとえ効果を知らなかったとしても、見え見えの演技の後に攻撃してこられては、何か策略があってと思わざるを得ない。仭は自らがやった演技のせいで、勘違いをしてしまった。

 

『よかったな。あまりに無策な突撃に、何か策があってだと思われてるぞ』

 

「お願い。もうそれ以上言わないで」

 

 小声でそう言う清明。聞こえていない仭は、続けるぞと言いながらカードをドローし、ターンを進める。

 

「デーモンをリリースし、インフェルニティ・デストロイヤーをアドバンス召喚」

 

インフェルニティ・デストロイヤー

ATK:2300

 

「バトル。カタストルでシーラカンスを攻撃」

 

「墓地のキラー・ラブカの効果発動!

 自分フィールド上の魚族・海竜族・水族モンスターが攻撃対象に選択された時、墓地のこのカードをゲームから除外して、その攻撃を無効にし、次の自分のエンドフェイズ時まで500ポイントダウンするよ」

 

「シーラカンスの手札コストの時か」

 

 半透明のキラー・ラブカがいきなり姿を現し、シーラカンスに突撃しようとしたカタストルに攻撃を加えて怯ませる。

 

A・O・J カタストル

ATK:2200→1700

 

「だが、まだ攻撃可能なモンスターはもう1体いる。デストロイヤーで、オイスターマイスターを攻撃」

 

 インフェルニティ・デストロイヤーが、その名の通りにオイスターマイスターを叩き潰す。だが、これで終わりではない。

 

「デストロイヤーの効果。手札が0枚の時、戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合、相手ライフに1600ポイントのダメージを与える」

 

「嘘ぉ!?」

 

 胸部の目から放たれた紫色の光球が、清明を襲う。ライフ4000のデュエルでこの効果はかなりの痛手だ。元々仭の世界ではデュエルをライフ8000で行うため、それに合わせられてしまってるが故に仕方がないと言える部分もあるのだが。

 

清明 LP4000→2600

 

「初期ライフの5分の2を削るとか、何て凶悪な…」

 

「ターンエンド」

 

清明 LP2400

手札0

・モンスター

超古深海王シーラカンス

ハリマンボウ

フィッシュボーグ-アーチャー

・魔法・罠

リビングデッドの呼び声

 

仭 LP3800

手札0

・モンスター

A・O・J カタストル

インフェルニティ・デストロイヤー

・魔法・罠

闇次元の解放

伏せ1

 

「僕のターン、ここは力技で押し切ってやる!シーラカンスでデストロイヤーを攻撃!マリン・ポロロッカ!」

 

 全身に激流を纏い、シーラカンスがデストロイヤーに突撃をする。デストロイヤーはその勢いに負け、破壊された。

 

仭 LP3800→3300

 

「とりあえずこれも通った、か。カードをセットしてターンエンド」

 

「ドロー」

 

 ドローしたカードを見ると、微妙な表情を作る。

 

「…ここでこれか。一時休戦を発動して、お互いに1枚ドロー」

 

 お互いにカードをドローすると、その瞬間に仭はカードを発動させる。

 

「トラップ発動、便乗。

 相手がドローフェイズ以外でカードをドローした時に発動。以降、相手がドローフェイズ以外でカードをドローする度に、俺はデッキからカードを2枚ドローする」

 

「とりあえず今回はドローしないんだよね?」

 

「その通り」

 

 間違えられやすいが、セットされている便乗の『カードの発動』時は『カードを2枚ドローする』効果の適用はなされない。それ以降相手がドローフェイズ以外でカードをドローした時である。

 

『というか、インフェルニティのデッキにドロー加速カードの便乗入れてるってのは、な~んか怪しいな』

 

「しかし便乗を入れといてよかった。こういう時に本当に役立つ」

 

「だって」

 

『だからお前は一々信用するんじゃねぇよ!!』

 

 ユーノの疑問を聞いた(というより聞こえない)わけではないが、そう呟く仭にそうらしいと清明が返すが、先程のこともあって怒る。

 

「続けるぞ。カードを1枚伏せて、バトル。カタストルでシーラカンスを――」

 

「そうはさせないよ。トラップ発動、フィッシャーチャージ!

 自分フィールド上の魚族モンスター1体を墓地に送って、フィールド上のカード1枚を選択して破壊。その後デッキからカードを1枚ドローするよ。まあ、便乗であっちもドローしちゃうけど。アーチャーを墓地に送って、破壊するのは当然カタストル!」

 

「ちっ」

 

 カタストルが攻撃を仕掛けようとしたとき、フィッシュボーグ-アーチャーが命懸けの突撃を行い、カタストルを破壊する。その後カード効果で、清明はカードをドローする。

 

「そしてカードをドロー!」

 

「便乗により2枚をドロー。メインフェイズ2に移行し、モンスターをセット。さらにカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

清明 LP2400

手札2

・モンスター

超古深海王シーラカンス

ハリマンボウ

・魔法・罠

リビングデッドの呼び声

 

仭 LP3300

手札0

・モンスター

セット

・魔法・罠

闇次元の解放

便乗

伏せ1

 

「僕のターン!今引いたカードを使って魚介王の咆哮、第二陣!竜宮の白タウナギ、シャクトパス、ゼンマイシャーク召喚!」

 

(また来たか。いい加減シーラカンスをどうにかしないと。シンクロだけでなく、エクシーズも持っていないというのが、幸い…だが、な)

 

 シーラカンスの呼び寄せた魚たちを見ながら、仭は複雑ながらそう思う。

 

竜宮の白タウナギ

DEF:1200

 

シャクトパス

DEF:800

 

ゼンマイシャーク

DEF:1300

 

「そして白タウナギとゼンマイシャークをリリースして、と。来て、青氷の白夜龍!」

 

 呼び寄せた魚達のうち2体がリリースされ、氷の翼を広げた蒼き竜が降臨する。

 これにより上級モンスター2体が清明のフィールドにいることになるが、未だ仭は余裕の表情だ。

 

青氷の白夜龍

ATK:3000

 

「さあ、反撃と洒落込ませてもらうよ!まずはシーラカンスでその伏せモンスターにマリン・ポロロッカ!」

 

 シーラカンスの突撃に、セットされた壺のようなモンスターが破壊される。

 

「盛り上がっているところ悪いが、今破壊されたモンスターはメタモルポットだ。

 リバース効果によりお互いは手札をすべて捨てて、カードを5枚ドローする。もっとも、俺はさらに便乗の効果を使うからもう2枚ドローするがな」

 

『そもそも一時休戦の効果が生きてる今の状況でどうやって反撃と洒落込むつもりなのか俺に詳しく教えてくれ。なあ、それどうやってやるんだ?なあなあ、何か俺の知らん反撃手段でもあんの?』

 

「う。うるさいなあ、これから反撃するって意味だよ、うん。カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

(…やはり、何かいるのか?)

 

 そう思いながらもドローする。それによって仭の手札は8枚だ。

 

「ドロー。ダブル・サイクロンを発動。此方は闇次元の解放、そっちは…1番左を破壊だ」

 

 仭のフィールドで邪魔なカードと化していた闇次元の解放が破壊され、清明のフィールドでは伏せられた――賄賂を渡している男が描かれていたカードが破壊された。

 

『魔宮の賄賂が破壊されたか』

 

「リビングデッドを破壊するかと思ったよ」

 

『何かしてくるんだろうな』

 

「モンスターをセット。さらにカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

「ってあれ、手札事故かな?」

 

『疑問形だったからまだ良しとしよう。やはりインフェルニティだからか?』

 

 インフェルニティに関係するカードは無手札(ハンドレス)の時に、そのほとんどが真価を発揮する。だが、逆にいえば手札があれば、そのほとんどがバニラ同然となる。それを知っているユーノはそう呟くが、当然相手に聞こえはしない。

 

清明 LP2400

手札3

・モンスター

超古深海王シーラカンス

ハリマンボウ

シャクトパス

青氷の白夜龍

・魔法・罠

リビングデッドの呼び声

伏せ2

 

仭 LP3300

手札0

・モンスター

セット

・魔法・罠

便乗

伏せ2

 

「僕のターン、ドロー。よし決めた、このままバトル!マリン・ポロロッカ!」

 

 シーラカンスの突撃。だが、セットされたモンスターは破壊されなかった。

 

「残念だったな。このセットモンスターは魂を削る死霊、つまりバトルでは破壊されない」

 

「むー……でも知ってるからね、そのモンスターは効果の対象になった瞬間自爆することは!

 メイン2に移ってハリマンボウをリリース、氷帝メビウスをアドバンス召喚!ふふふ、これでまずメビウスの効果を発動。その便乗と真ん中の伏せカードを破壊するよ、フリーズ・バースト!」

 

 メビウスによって発せられた氷柱(つらら)が、仭の2枚のカードを貫く。

 

「ほう、ダメージ・ダイエットを破壊したか………これくらいは教えておいてやるが、はっきり言って外れだな」

 

『だがそれだけじゃねえぜ、ハリマンボウの効果がこっちには控えてんだ』

 

「ハリマンボウは墓地に送られた時、相手のモンスター1体を対象にとってその攻撃力を下げる………魂を削る死霊、撃破ー!で、カードをセット。ターンエンドだよ」

 

「待て、ターンエンドだな?なら、ここでトラップ発動。ハンドレス・フェイクだ」

 

 ライフは減らされなかったものの、仭のフィールドは永続罠1枚。対して清明のフィールドはモンスター4体に、伏せカード2枚。差は圧倒的だが、仭には焦りがそれほど見られない。

 静かにドローを行う。

 

「ドロー…さて、少々長引きすぎたな。そろそろ決めにかかるとしよう」

 

「む、来るかな?」

 

「まずは死者蘇生発動。蘇れ、ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン」

 

 コピーした効果により、その身を墓地へ置いていた全身に無数の目を宿す竜が再び仭のフィールドに現れる。

 

ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン

ATK:3000

 

「うぅ、また来た」

 

「さらに魔界発現世行きデスガイドを召喚」

 

 次に制服を着た女の悪魔が現れる。そのガイドの後ろには怪しげなバスがあり、いかにも魔界から来たと言える。

 

魔界発現世行きデスガイド

ATK:1000

 

「召喚時効果により、手札またはデッキからレベル3の悪魔族モンスター1体を効果を無効にして特殊召喚する。デッキから2体目のネクロマンサーを特殊召喚」

 

 デスガイドの後ろにあるバスから、ネクロマンサーが下りてくる。死霊使いが下りてくる光景に、仭は苦笑の表情を浮かべた。

 

インフェルニティ・ネクロマンサー

DEF:2000

 

「効果を無効に召喚?」

 

『あ、何か面倒そうな予感』

 

「レベル3のデスガイドと、ネクロマンサーでオーバーレイ。

 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。

 エクシーズ召喚、虚空海竜リヴァイエール!」

 

 そしてデスガイドはネクロマンサーと共に光の球体となり、上空に突如できた空間へと飛び込む。そして宙に浮かぶ海竜が姿を現した。

 

虚空海竜リヴァイエール(ORY2)

ATK:1800

 

「ちょっと今度は何かモンスターが光になって上にできた空間に飛び込んだら何か新しいのが出てきたんふぁんだけどどゆこと!?」

 

『じゃかわしい!てか、一気に言い過ぎて一部噛んでるじゃねぇか。…………あれもさっきのシンクロでのモンスターと同じように、異世界で出回っているカードのようだな。同じレベルのモンスターを素材としてモンスターを特殊召喚するってところだろ』

 

 清明の反応にああやはりエクシーズも知らなかったのか、予想通りだと思いながら、リヴァイエールの効果を発動する。

 

「リヴァイエールの効果発動。

 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、ゲームから除外されている自分または相手のレベル4以下のモンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚する。ミラージュを特殊召喚する」

 

 リヴァイエールの周囲に漂う光の玉が失われ、効果が発動されるとワンハンドレッド・アイ・ドラゴンの効果によって除外されたミラージュが現れる。

 

虚空海竜リヴァイエール(2)→(1)

 

インフェルニティ・ミラージュ

DEF:0

 

「あれは?」

 

『さっき素材にしたのが、墓地とは別にあるってことだな。カウンターとでも思えばいいだろう』

 

「なるほど」

 

 リヴァイエールの周囲に漂う光に疑問を抱く清明だったが、ユーノの説明に納得し、次の仭の行動を待つ。

 

「カードを3枚伏せる。

 そしてハンドレス・フェイクの効果を発動して残りの手札1枚を除外。手札が0なことにより、ミラージュの効果発動。ミラージュをリリースして、デストロイヤーとビートルを蘇生」

 

 ミラージュがその姿を消すと、シーラカンスに破壊されたデストロイヤーと、シンクロ召喚にたびたび使われてきたビートルが現れる。

 

インフェルニティ・デストロイヤー

ATK:2300

 

インフェルニティ・ビートル

ATK:1200

 

 そして、と言葉を紡ぐ仭。

 

「レベル6のデストロイヤーに、レベル2のビートルをチューニング。

 シンクロ召喚、その息吹(ブレス)で全てを浄化せよ。煉獄龍 オーガ・ドラグーン!」

 

 今度はバウンスによってフィールドを離れた煉獄より現れし竜が来る。

 

煉獄龍 オーガ・ドラグーン

ATK:3000

 

「通常魔法シンクロ・チェンジ発動。

 ドラグーンを除外し、効果を無効にしてインフェルニティ・デス・ドラゴンを特殊召喚」

 

「あれ、せっかく召喚したのを?」

 

 ドラグーンが姿を消し、新たな竜が姿を現す。効果を失われているとはいえ、その攻撃力は高い。

 

インフェルニティ・デス・ドラゴン

ATK:3000

 

「通常魔法成金ゴブリンを発動。

 相手のライフを1000回復させ、デッキからカードを1枚ドロー」

 

 ドローと引き換えに、清明のライフが回復してしまうが、仭にとっては些細なことでしかない。

 

清明 LP2400→3400

 

「最後に装備魔法D・D・R(ディファレント・ディメンション・リバイバル)。

 手札を1枚捨て、ゲームから除外されている自分のモンスター1体を選択して表側攻撃表示で特殊召喚、このカードを装備する。ドラグーンを特殊召喚!」

 

「また来た!」

 

『おいおい、攻撃力3000のモンスターが3体かよ』

 

「+海竜?が1体…」

 

 再び戻ってくるドラグーンの姿に、驚愕を隠し得ない清明。攻撃力3000のモンスターが3体というだけでも脅威。

 

煉獄龍 オーガ・ドラグーン

ATK:3000

 

 だが、仭はさらに追い打ちをかけるかの如く、効果を発動する。

 

「まだだ。ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンの効果で、墓地のネクロマンサーを除外、コピー。そして効果により墓地からデストロイヤーを蘇生」

 

「さらに狂暴そうなのが…」

 

 仭のモンスターゾーンが埋まり、総攻撃へと入る。

 

インフェルニティ・デストロイヤー

ATK:2300

 

「バトル。デス・ドラゴンで白夜龍に攻撃。…相殺だがな」

 

 青白く光るブレスと強力な火炎がぶつかり合い、そして大爆発を起こす。

 

「次にワンハンドレッド・アイ・ドラゴンで、シーラカンスを攻撃。インフィニティ・サイト・ストリーム!」

 

 口から放たれたエネルギーに、シーラカンスは呑まれた。

 

清明 LP3400→3200

 

「ああ、とうとうシーラカンスが…」

 

「続いてドラグーンで、メビウスを攻撃。煉獄の混沌却火(インフェルニティ・カオス・バースト)!」

 

 3体目の攻撃。メビウスは攻撃に呑まれ、清明もライフをさらに削られていく。

 

清明 LP3200→2600

 

「デストロイヤーで、シャクトパスを攻撃」

 

 オイスターマイスターのようにシャクトパスは叩き潰される。

 

「けど、シャクトパスを破壊したモンスターは――」

 

「装備されて、攻撃力が0になり、表示形式も変更できない。だろ?知っている。それと戦闘破壊により、1600のダメージだ」

 

「うぐっ…」

 

 が、ぎりぎり持ちこたえたシャクトパスが足でデストロイヤーに絡みつき、締め付けるもデストロイヤーは清明に胸の目を向け、そこから光球を放った。

 

インフェルニティ・デストロイヤー

ATK:2300→0

 

清明 LP2600→1000

 

「まあ、そもそもこのターンで決着をつければそれは無意味!リヴァイエールで、ダイレクトアタック!これで終わりだ」

 

「いいや、まだだね!まだ僕は負けないよ、トラップ発動!これが僕の最後の砦、メタル・リフレクト・スライム!」

 

 文字通り最後の砦であるメタル・リフレクト・スライムが、清明のフィールドに現れる。

 

「……ドラグーンの効果。手札が0の場合、1ターンに1度、相手が魔法・罠カードを発動した時に発動可能。その発動を無効にし破壊する」

 

「え?」

 

 だが、ドラグーンの効果により、メタル・リフレクト・スライムは消滅する。これで本当に清明を守るモンスターはいない。

 

「攻撃続行」

 

清明 LP1000→0

 

 デュエルの終了と同時に、ソリットビジョンも消えていく。

 

「よしっ、勝てた」

 

 だが、素直に喜びきれない感情もまたある。複雑な感情を抱きながら、カードを纏めてホルダーに入れ、ディスクを収納した仭は清明に声をかけようとその方向を見ると、言葉を失った。

 

「…んん?」

 

 清明の隣に浮いている先程までいなかった存在。少しの間硬直して、その存在に幽霊かと脳が判断すると驚きよりも、納得の方が頭を支配する。

 

「…ああ、なるほど。そういうことか。おい、そこの遊野の隣にいる…幽霊?」

 

 その言葉に清明とユーノが驚きの表情を浮かべていた。それを見た仭は苦笑しながら

 

「今までは視えていなかった。が、今ははっきりその存在が視える」

 

「えええええ!?」

 

『どういうことだ!?』

 

「それは俺の台詞だ」

 

 

 

(あー…そういや本来シンクロとか持ってないのは普通なんだったな。すっかり失念してた)

 

 結局何故ユーノがいきなり見えるようになったかはわからないままだったが、何だかんだで3人は話を始めた。そして改めてシンクロやエクシーズが自分達の世界にはないと、清明から聞かされると仭は今更ながらにそう思った。

 

「ひとまず悪かった」

 

「いや、いいよ。知らなかったんだし。それに…皆も君のように使ってくるかもしれないことを考えたら、君みたいな相手に出会えたことは運が良かったんだろうし…」

 

『ポジティブだな』

 

 清明の言い分に、ユーノはドライだった。そして言ってから何か思い始めたからか、目が段々と黒に染まっていくのに、表面には出さずも驚く仭。

 

『清明、目!目が死んでるぞー!』

 

「え、そんなに生気なかった?」

 

『ああいや、ダークシグナー的な意味で。まだまだやる気十分、心は折れてないみたいで安心したけどな』

 

 慌ててダークシグナーを解除するのを見てため息をつき、仭がまた口を開く。

 

「まあ、シンクロやエクシーズだけでなく、その世界にしか存在しないカードや、同名でも違う効果のカードとかもあるだろうしな。自分でいうのもなんだが、多分俺はマシな方だったのだろう」

 

 そう言い切れる確信がある。何せ自身の世界は言ってしまえば、デュエルモンスターズが娯楽になっているのだ。それを聞いた清明は別の所に注目する。

 

「え、そんなカードのがあるの?」

 

「かもしれないってことだ。しかし、俺が使ったデストロイヤーの効果とかはまず俺のような世界だけだと思うぞ」

 

「…確かにあれは強すぎるよ。何さ、初期ライフの5分の2を削るとか」

 

 あれはおかしいと抗議的な視線を送る清明。それに苦笑しながら仭は答える。

 

「言いたいことは分かるさ。だが、こっちでは初期ライフが8000なものでな」

 

「えぇ!?」

 

『いやー、本当に他の世界は面白いなー』

 

 衝撃の事実?に、驚く清明。それと同時に本当に世界によって違うんだなぁと、そんな考えが頭を過ぎっていた。

 

「そういえば聞きたいことがあるんだけど」

 

「ん?」

 

「2ターン前に勝ってたのに…って、あれどういうこと?」

 

「あー、あれか。…ミスト・ウォームってシンクロモンスター…まあ、シンクロ召喚で召喚できるモンスターがいてな」

 

「ふむふむ」

 

「まあ、今は知人に取られていて、手元にないが…もしあったら4ターン目のシンクロはガイアナイトではなく、レベル4のデーモンとレベル3のネクロマンサー、それにレベル2のビートル使ってレベル9であるミスト・ウォームを召喚するつもりだった。ちなみに攻撃力は2500で、効果はシンクロ召喚に成功した時、相手フィールド上のカードを3枚まで選択して持ち主の手札に戻す」

 

「……え?」

 

「で、そっちにフィールドはちょうど3枚だったわけだから、丸裸になるわけだった」

 

「ちょっ、ちょっと待って。それだと確かにダイレクトアタック受けちゃうけども、その時フィールドにいるのはナイトとそのミスト・ウォームってのでしょ?ナイトの攻撃力は1400で、ミスト・ウォームも攻撃力2500なんだから、僕のライフはまだ100残るけど…」

 

『ま、確かにあの時手札は0で、伏せカードも蘇生系じゃなかったが、お前は1つ忘れてることがあるぞ』

 

「え?」

 

「デーモンの特殊召喚時効果。魔法・罠ではなく、モンスターを手札に加えていればいい。さすがに攻撃力100以上で召喚できるインフェルニティはデッキにあるしな」

 

「…そういえばあの時召喚権は…」

 

『ああ、まだ使ってなかった』

 

「…………」

 

 それを聞いた清明は冷や汗を浮かべ始める。

 

『そんな顔をするな。結局の所、それは手元にはなかったんだ』

 

「その通りだ。…さて、お互いそろそろ、次の相手を探すとしないか?」

 

 一通り会話をした所で、そう仭が問いかける。

 

「そうだね。せっかく強い人とデュエルするチャンスなんだし」

 

『まあ、そうだな』

 

「…ああ、正直いろいろ思うところはあるが、楽しまなければ損だろう」

 

 もっとも全部あの腹黒そうな眼鏡に見られているのだろうがと、その言葉は心の中に留めておく。

 

「デュエルは楽しめたぞ」

 

「僕の方こそ」

 

「だが、これから先は俺のようにシンクロやエクシーズを使ってくる奴が多くいることだろう。特殊召喚メタのカードをデッキに入れておくことを勧める」

 

「そうするよ」

 

『清明ー、できもしないことはあんまり口にしない方がいいぞ?』

 

「ん、どういう意味だ?」

 

 そう尋ねると軽く肩をすくめてユーノが答える。

 

『こいつはそんなメタを組んで動けるほど器用な性格してないってことだ。多分、自分の好きなよーに組んだこれで戦い続けるだろ』

 

「……なるほどな。それも1つの戦い方だろう。じゃあな」

 

「また会えたら」

 

 そう言葉を幾つか交わすと、お互い次のデュエリストを探し始める。

 

(…ああ、そういえば普通のデュエルだったな)

 

 そんな中で仭はそう思い返しながら、これである程度不安要素が消えたと考えていた。

 

 

 

 




久本誠一さんの「遊戯王GX ~水と氷の交響曲~」とのコラボです。

あちらの方では、清明とユーノの会話がもっと見れます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。