音がしたアリーナに、仭を除く1年専用機持ちはすでに来ていた。仭はおそらく生徒会室へと戻ったから再び来るのに時間がかかっているのだろう。
「どうかしたんですか?」
「来たか…ってお前達も来たのか。生徒は待機してろと放送があっただろう」
「私達生徒じゃないので」
「…………」
「むぐぐぐぐ!?」
結が屁理屈を言うと織斑先生は無言でアイアンクローをかます。
「…すいません」
「うーー!うーー!」
楯無、簪と共に来たことを俺は謝る。結も何か言っているようだがアイアンクローにより内容がわからない。
「はぁ…大人しくしていろよ」
「ぷはぁっ!はぁ…はぁ…」
「…大丈夫か?」
とりあえず俺達はいることを許可され、結はアイアンクローから解放された。
『…で、あれは何?』
「…さあな」
エリアがアリーナの中心にある物に疑問を抱く。
「大根…?」
結が言う。そう、大根型の飛行物体なのである。
「箒…」
「言うな、一夏」
一夏と箒が何やら話しているが聞こえない。…しかし何故だろう。あれを見ていると何か怒りが湧いてくるんだが…。
「あっはっはっ!今回は大根で来たよーーー」
!奴は!!!!!
「「!?」」
「「借りる(わ)!!」」
俺と結は大根が真っ二つに割れ、出てきた人物へ突っ込んでいた。途中俺は一夏からブレード、結は楯無からランスを拝借している。一般的には重いと思われるが幸い三幻魔を巡る事件で結はいろいろ規格外の領域に足を踏み入れているし、俺もかなり鍛えている…だから、そんなこと関係ねぇんだよおお!!!!!
「「積年の恨み!!!今ここで!!!」」
「はいぃぃぃ!?」
ズガァァァン!!
「…ふぅ、ギリギリ間に合ったな」
「仭……!」
攻撃をしようとしたが、それはISを展開している仭によって妨げられた。
「どいてくれないかしら?」
「俺達はそいつに10発はヤキを入れてやらなきゃ気がすまないんだ…」
「お前達あっちで何があったんだよ。…とりあえず恨みがあるのはわかった。だがこの人はお前達がヤキを入れる束さんじゃない」
そう。わかっている。頭じゃ俺達はわかっているんだ。こいつが今回、俺達をこの世界に送り込んだ張本人の天災科学者篠ノ之束じゃないことも、今仭の後ろにいる人物は関係ないってことはわかっている。だが、あふれるこの怒りを抑えるために、日ごろの人体実験まがいのことへの報復をあきらめることは…!!!
「まあ、ひとまず武器を降ろせ」
「そうだよまったく。人に対していきなり武器向けてくるとか失礼じゃない?」
「ああ?」
「むごほっ!?」
武器を降ろし、仭もISを解除すると天災がそう言ってくると、俺と結ではなく仭が動いた。…アイアンクローを顔面に食い込ませている。
「こちとら生徒会室から動きまくって疲れているんだよ…。いきなり訪問してきて失礼なのはどっちだコラ?ええ?束は~か~せ~」
ぎちぎちぎちぎち、と発してはいけない音が聞こえるくらいに仭のアイアンクローの威力もとい握力はすさまじいようだ。しかも現在進行形でまだ音が大きくなっていく。
「ギブッ!じーくんギブッ!!」
「最近耳が遠くなっていて…何も聞こえませんねぇ」
(非情だ!!)
おそらくそう思ったのは俺だけじゃないはずだ。
「じーくん!本当にこれ以上は!!骨格が!!」
仭の右手をギブアップと言いながら叩く、が仭は聞き入れない。というかむしろ口元が吊り上がっている気がするんだが。
「じ、仭君?何かその人に対して怒っている?」
すると後ろから楯無が仭に話しかけた。
「怒ってないぞ?お前と結の件で生徒会室から保健室まで動くことになって、生徒会室にやっと戻ってきたと思ったらアリーナにこの人が降ってきてまた廊下を走ることになったことなんか…全然怒ってないぞ?」
絶対に嘘だろ。その言葉とは裏腹には笑顔だが青筋が立ってきているし、何よりアイアンクローの威力が上がってきている。
「黒崎、その辺にしておけ」
「織斑先生…」
「さっすがちーちゃん!やっぱり束さんのこと愛「黒崎、もっと締めあげて構わん。火渡もやれ」――ちょっ!?ちー「「了解」」――のおおおおお!」
織斑先生に言われて少し力を弱めた仭だったが、再び言われて強められる。俺もついでに天災の後ろから首を絞める。
「ふーー顔面の骨格と首が変形して、曲がるとこだった…」
「首が曲がるもとい折れたら360度回転するようになるんじゃないですか?」
「おぉそっか」
「…てか何で大根で来たんですか?まさか砂糖大根がテンサイって呼ばれているからじゃないでしょうね?」
「ピンポーン、だ~いせいか~いだよさっすがじーくん」
「…………」
「…ヒータ、火霊術を撃てるか?」
『いやちょっと待て、カイ。ディスクを展開するな』
思わず、《火霊術―紅―》のカードを発動しようとした俺は悪くはない。ヒータがいればこのカードの効果を使うなど朝飯前だ。
「おー?君たちだね~。異世界の私が送り込んできたのは!」
「「『『『『『!?!?』』』』』」」
その言葉に俺達、異世界から来たメンバーはそろって驚く。
「…束。どうやって、そのことを知った?」
織斑先生が問いただす。このことはあの時いた関係者しか知らないはずだからだ。
「アッハッハ、天才に知らぬものは…てごめんごめん!真面目に言うから!」
仭はパキッと拳を鳴らし、織斑先生は出席簿を掲げたのを見て天災は謝罪した。てか今まで真面目じゃなかったってことか?
「いやぁ実はね。聞いたんだよ~」
「大雑把すぎて経過がわからないんですが…」
一夏がそう言う。
「え~、一々説明するのも面d「織斑先生、ちょっくら卍固めの原型といわれている地獄卍固めという技に挑戦したくなったんで、あれ抑えてくれません?下手すると殺してしまうかもしれないのでこの人をスパーリングにすれば」オッケィいっくん!優しい束さんがちゃんと話してあげるよ!!」
仭の脅しに屈した!てか仭、怖いことを言うな。
「あっちの方の私からね、連絡が来たんだよ」
『はっ!?』
その言葉に俺達全員は驚く。
「『異世界の私へ、そっちに私の大事なもとい大切な研究対象の2人を送ったよ。何かあったら守ってほしいんだ。ちなみに名前はひーくんとゆーちゃん。よろしく頼むよ~~』って来たんだ」
『………………』
その言葉に俺達は絶句する。てかあの野郎実験体扱いとかマジで戻ったら覚えとけよ。それに名前じゃなくてあだ名じゃねぇか。
『抑えろカイ』
『そうです。復讐をすべき人はあの人じゃありません』
「ああ、わかってる」
『…だったら2人とも拳を握り締めるのをやめていただけません?』
おっといつの間にか拳を握りしめてたようだ。どうやら結もらしい。
「そんなことだったか。まあ、納得したな」
『って納得出来るの(か)!?』
仭のその言葉に一夏と箒と織斑先生以外が俺を含め吠える。
「いや、もう天災だからって勝手に納得がいく」
「確かにな。異世界通信とかもできそうな気がするし」
「姉さんらしいと言うか…」
「っていっくん達皆私のことそういうふうに思ってんの!?」
「「「「はい(ああ)」」」」
織斑先生含め4人は考える素振りも見せず返答する。
「ひどい!!」
「!というか束さん。あなたよく異世界の自分とはいえ、カイ達のことを見に来ましたね」
「いやー、やっぱ異世界の私とはいえ、興味を持った人物だからね?淡ゆくば実験させてもらおうかなーと「織斑先生。正当防衛ということで殺っていいですか?」
「ならカイ、結。俺の所有してる武器を貸してやる」
「ちょ!?冗談だよ冗談!」
「じゃあこれを貸してもらうか」
「私はこれを」
「聞いて!?」
俺は仭からブレード、結はトンファーを拝借して構える。
「2人とももう少し待ってくれ。束、殺られる前に1つ聞いておきたいことがある」
「私殺られることがもう決定してんのちーちゃん!?」
「こいつら2人に意識を持った本当の理由は何だ?」
「いやー実はね?あっちから報酬的なのを前払いしてもらったんだよ」
「何だそれは?」
「あっちのちーちゃんのレアな映像「よし、殺って構わんぞ貴様ら」
「「了解」」
「!?またこの展開!?箒ちゃんヘールプ!!」
「!」
「ぐへっ!?避けるなんて…箒ちゃんひどーい!!」
「…………」
「「覚悟!!」」
「おっとぉ!」
ちっ、かわされたか。
「ま、待って待って!そうだ!専用機を作って挙げようか!?」
「これ以上世界を混乱させるんじゃない!!」
「!?っ!!!のおおおおおおお!!!」
尻餅をついていた天災を織斑先生が抱え込んだ。(肩の上に天災を仰向けに乗せ、あごと腿をつかんでいてどこぞの英国紳士超人の必殺技の体勢だった)そして背中を弓なりに反らせると天災が苦しみ始めた。あっ、何か見ているとスッキリする。
「おーい、生きてますか束さん?」
「諦めろ。不死身かと思ってたがこの人もさすがに死んでしまったようだ」
「生きてるよ!?てかひどすぎるよじーくん!!」
何だ生きてたのか。織斑先生のタワー…ではなくアルゼンチン・バックブリーカーが終わり、少し経って一夏が話しかけ、仭が諦めろと言ったが生きてた。
「でも腰痛は治ったでしょう?」
「おーそっか!――って言わないよさすがに!?」
「そうですか。というか束さん。あなた本当に何しにきたんです?
「おっと!そういえば言ってなかったね。じゃあ真面目に言うよ。実はねー、ひーくんとゆーちゃんの持ってるそれに興味があって来たんだ」
「「「束(姉)さんが、人をまともに呼んでいるだと!?」」」
それの何がおかしいんだと周りが聞いて来ている。他人嫌いで箒、千冬、一夏、仭ぐらいにしかまともに接しようとしないために、自分からはおろか周りの人に話しかけても冷酷なまでに無関心になるという。まあ、あっちでも興味のないものには、本当に興味がないからな。…で
「デュエルディスクか?」
「あ、そういう名前なんだ。別世界の技術に束さんは興味津々なのだよ。見せてくれないかな?」
どうやら俺がつけていたデュエルディスクに興味があるらしい。…まあ、別に困ることはないし、この人のしつこさは知ってるし
「わかった」
「いいのか?」
「ええ、別に困ることはないですから」
織斑先生に聞かれる。ちなみに結は部屋に置き忘れたらしい。デッキは持ってるくせに。
「カイ、実際にそれ使ってみた方がいいんじゃないか?」
「おっ、それいいねいっくん。じゃあやってもらおうかな」
何か勝手に決まった。
「でも束さんは遊戯王知ってました?」
「遊戯王?なにそれ?どっかの大会の名前?」
「大会とか新しい!」
何か仭と天災の漫才が始まったぞ。
「一夏、何の話をしているのだ?」
「あー、それはな…」
一夏の方に遊戯王知らない組(箒、セシリア、シャルロット、ラウラ)が聞いてくる。てことはほかは楯無みたいに一応知ってるか、やってる奴だな。
「えーとですね。遊戯王というのは―――」
「うんうん」
あっちでも何か地面に座っての講座が始まった。しかし天災が教わる側とは珍しいな。
で3分ぐらい経ち
「興味ないなぁ」
「でしょうね」
仭が説明したが、天災は興味を持たなかったらしい。あっちではあるんだがな。
「とりあえずあのディスクはカードを置いて…何というかそれに書かれてる絵柄を実体化させるみたいな感じですかね」
「なるほどねー。それは見てみたいな」
が、それでもデュエルディスクには興味があるらしい。
「まあそれはともかくデュエルをひとまずやってやらないとあの人は帰りそうにない。だからカイ、結のデュエルディスクを借りてデュエルをしようと思う。ちなみに遊戯王をやれる奴はカイと結以外に俺と一夏、鈴、簪、アリィ、レイラだ。アリィとレイラに限ってはテキストが日本語じゃないがな」
計8人か。
「どうする?誰かやってみたい奴いるか?」
「あっ、じゃあ私と簪ちゃんでいいかしら?」
『!』
すると結が簪とやりたいと言ってきた。
「さっき約束したからね。いいかしら簪ちゃん?」
「…うん!」
「決まりだな」
「じゃあ私ディスク取ってくるわね」
「…私はデッキを」
そう言って2人はアリーナから走って行った。
「あっ」
「どうした仭?」
何だそのやばいという感じの『あっ』は。
「織斑先生、アリーナでやっていいんですか?」
『あっ』
確かに。
「…はぁ、今回だけ許可しよう」
「ありがとうございます」
とりあえずデュエルをやっていいと許可を頂き、俺達は結と簪を待った。
今回は束に対して色々制裁ネタが多いなぁ。(苦笑)次話はデュエルです。