登場する人物、団体、諸々はフィクションです。
キャラクター崩壊なども見受けられますので、「そーゆーのー無理ー」という方は御手数ですがブラウザバックして下さい。
終戦間際の日本海軍が寄せ集めで造った幻の一隻。
それが私――闇雲である。
――てーとくのへや。
誰が書いたのか。エラく下手くそな字体で、斜めにぶら下がっている板にそう記されている。
ま、他人のこと言えた立場でもないけどね。
「失礼します」
一応、ノックしてから部屋に入る。
「お、来たね」
「あなたが、提督?」
「そうだけど」
ここが沈守府、なんて揶揄されているのは知ってたけど。ここまで酷いとは正直、思わなかった。
「失礼を承知でお聞きしますが、どうして上半身を覆い隠しているハズの衣服を身に纏って居られないのでしょうか?」
「嫁――ごほんっ。いたずら好きな娘に剥がれてしまってね。まったく、参っちゃうよな」
「ええ、本当ですね」
こんな場所に回された事に、ね。
やっぱり私みたいな出来損ない、お払い箱って訳なのよね。
分かってはいたつもりだけど、いざその事実を目の当たりにするとどうにも、やるせない気持ちが込み上げてくる。
「どうした浮かない顔して、轟沈するには未だ早いだろうに……なんつって」
「あの、帰ってもよろしいでしょうか?」
「え、ウチの娘たちには鉄板のジョークなのに?!」
はあ。
頭の中でさえ溜息が吐けちゃうよ。
「あの。部屋の場所をお教え下さればもう用事はないので、早いところ教えて貰ってもよろしいでしょうか?」
「君、見た目通りにシュッとしたお澄ましさんなんだね」
「別に。私たち艦娘は深海棲艦を撃沈する為の存在です。本来なら言葉を発する事さえも不要なもののはずで、ましてや性格などの概念すら不必要な――」
「要らないこと、なんじゃないのかな」
思わず言葉を切ってしまったけど、この人は何を言っているんだろうか。
「必要だと仰る理由をお聞かせ下さい」
「喋ったり出来なきゃ、こうやって笑い合えないだろう?」
「……私はこの執務室に入って以来、一度も笑っておりませんが」
「これから先は分からないだろう?」
苦手なタイプの人間だ。
この手の思想を持ち合わせる輩は総じて、いつか自分の甘さに絶望する。あの頃の私のように。
「すみません。本当に疲れて来たので、早く部屋の場所を教えて下さい」
「付き合わせちゃったごめんね。この部屋を出て右に行って、突き当たりを左に曲がった先の三零三号室だよ」
「ありがとうございます。それと最期に――戦うことが存在理由の相手に向かって先の話をするのは止めた方が良いですよ。意図せずに傷付けてしまう可能性がありますので。それでは、失礼します」
何を言ってるんだろう私は……。
次回予告!
無事に部屋の位置を知ることが出来た闇雲だったが、その部屋で待っていたのは……。
次回「残娘」お楽しみに!
闇雲「歯を磨いてから寝ないと、深海棲艦になっちゃうぞ」