ビアンカちゃんが死ぬほど好きなんだ!!   作:nao.P

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サンタローズの村 その2

次の日。

 

僕は村の中を歩き回った。

 

二年ぶりの村の中は見るもの見るもの懐かしくなっちゃってもう大変!

 

ほら、あの村一番の木。旅に出る前はよくよじ登ろうとしては登りきれずに、途中で落っこちて泣き叫んだっけ。でも今の僕なら簡単に登れそうだ。

 

あっ!川だ!

村の中を流れてる小っちゃい川。よくカニさんやザリガニさんを捕まえたことを思い出して、木登りは後回しに僕は水面を覗き込む。

 

「おーいカニさん! 帰ってきたよ! どこかなー! 出ておいで!」

 

そう叫びながら皮の靴を脱ぎ捨てて沢の石をひっくり返す。

 

バシャーンと水を被る。冷たくて気持ちがいいな。あっザリガニさん見っけ!

 

「何してるのリュカ!」

 

見るとビアンカが昨日とおんなじ髪型で金色にキラキラ輝く三つ編み頭をピョコピョコさせて現れた。

 

「ビアンカ! まだ村にいたんだね!」と僕は言う。

 

「居るわよ。昨日言ったじゃない。パパのお薬をホビットさんに作ってもらってるから、それまでこの村に泊まってるって……」

 

「ほら! ビアンカ見て見て! ザリガニさん!」

 

僕は大っきなザリガニさんを捕まえてビアンカに見せてあげた。

 

「あなたねー、人の話を……」

 

「聞いてるよ! ビアンカのお父さんの具合早くよくなるといいね!」

 

そう言うとビアンカは「まったく」と言って僕の側にやってきた。

 

「大っきなザリガニね。私の住んでる町でも男の子たちが捕まえてるの見るけどもっと小さいわ」

 

「この村はやっぱり水が美味しいからね! 大っきくなるんだよ! だから僕もたくさん飲んでお父さんみたいに強くなるんだ!」

 

お父さんも小さい頃はこうやって遊んだりしていたのかな、と思った。ザリガニ捕りや木登り。

 

「それだけじゃ強くならないわよ。たくさん稽古して難しい本も読んで勉強しなくちゃ」

 

「勉強はニガテなんだよね僕」

 

「あらリュカ? パパスおじさまみたいになれなくていいの?」

 

ビアンカは意地悪そうな顔をしてそんな意地悪を言った。

 

僕がうーうーと唸るとビアンカは「そうだわ! 今度リュカにご本を読んであげようか? リュカの居ない間に読み書き出来るようになったのよ」と今度はなんだか「えっへん」と自慢気に僕を見てそう言った。

 

でも僕は読んで貰うのは楽しいから「ほんと!? 」と飛び上がる。

 

「ふふふ。すごいでしょう?」

 

「うん! 僕まだ読めないもん!」と素直に頷く。

最近僕も読み書きの練習をお父さんに教えてもらっているんだけど、さっぱりだからビアンカが読み書き出来るようになったって言うのはすっごく羨ましい。

 

「わかった? だからちゃーんとお姉さんの私の言うこと聞くのよ」と、いばりんぼみたいにビアンカは腰に手を当てる。

 

やっぱりなまいき! 読み書きはまだ出来ないけど僕だってすごくなったってのに。こうなったら分からしてやるぞ。

 

「ねえねえビアンカ!」と僕は叫ぶ。

 

「どうしたの?」

 

「ほらあの木!」と僕はこの村で一番の大木を指差した。

 

いつだってこの村の中心で僕らを見守ってくれている立派な木。

二年前まではまるで登れなかったけど今なら絶対登れるはず。

 

「にひひ」と僕は言う。

 

「あぶないわよ」とビアンカが何か言ったけど知るもんか! 僕だって二年間でいっぱい成長したんだぞってところを見せてやるんだもんね。

 

僕は川から上がってそのまま木に向かって駆けていく。

 

「待ちなさいよリュカ! あぶないってば」

 

「あぶなくないよ! 僕はモンスターだって倒せるんだよ! このくらい朝飯前だよ!」

 

木の下まで行って見上げるとてっぺんは見えないくらいに高いけど全然大丈夫。だてに二年間も旅してきたんじゃないんだよね。

 

手に唾を付けると木に絡まるツタやツルに手を掛け足を掛けてスルスル登る。

 

最初こそ「降りなさいよ!」ってビアンカが叫んでたけど僕の慣れた感じが分かったのかいつの間にか「へぇ」って感心していた。

 

「ビアンカもおいでよ!」と小っちゃくなったビアンカを見下ろすと「無理に決まってるでしょ!」とビアンカは僕を見上げてそう答えた。

 

「凄い景色だよビアンカ! ビアンカの住む町も見えるかな!」

 

ビアンカの住むアルカパと言う町。僕の住む森と山に囲まれたサンタローズの村からは、高いところから見ても遮られちゃっていてやっぱり見えなかった。

 

ちぇ。残念だなーって思って村を眺めていると「ん?」と僕は首を傾げた。

 

浅黒く日焼けした立派な身体の肌に、伸び切った黒髪を一つ結って背中にはカッコいい剣。

 

間違いなくお父さんだ。川の上流の方。何やら小舟に乗って一人どこかに行くようだ。

 

目で追ってみると先には、真っ黒な洞窟が口を開けているが見えていた。

 

洞窟!

 

僕はすぐさま木から駆け下りると「ごめんビアンカ! また明日ね!」と言って僕一人お父さんの後を追うことにした。

 

 

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