サンタローズの洞窟 その3
どこまであるんだろう。
どこまで続くのかな?
この先に一体何があるんだろう?
お父さんはこの先で何をしているんだろうか。
僕は好奇心を抑えられず次の日もこの村の洞窟にやってきた。
好奇心を抱くことは大事なことだっていつも教えてくれてるお父さん。
後で叱られちゃうかもだけど、僕がこうなっちゃったのはお父さんのせいでもあるんだから気にせず探険しちゃうもんね。
大丈夫。今日の僕は道具屋のおじさんから、ひのきの棒よりしっかりしたこん棒に取っ替えっこして貰ったんだ。
足りない分はお小遣いから使っちゃったからもう使い果たしちゃったけど。
ぶんぶん振り回す。重みがあって叩かれたらひのきの棒なんかより何倍も痛そうだ。僕はすごく強くなったみたいで嬉しくなっちゃった。にひひ。
昨日のモンスター程度なら今の僕なら簡単にやっつけられるから僕はぐんぐんと進むことにした。
*****
途中に文字の書かれた木の立て看板を見つけたんだけど何て書いてあるのかな。
僕には読めなかった。
「……ビアンカの言う通り勉強も頑張んないとかなぁ。ちぇ」
何かの注意書きかな、と思ったけど今の僕には頼りになる武器もあったし気にせず進むことにした。
「ん?」
何かの足音に気がついた僕は音のする方へ目を向けるなり、暗闇から兎のモンスターが僕目掛けて突っ込んでくるのが見えた。
僕は反射的にこん棒を振り回す。
「えいっ!」
どごん!
と鈍い音を立てて兎のモンスターはその場で崩れ落ちちゃったので、僕は思わず「ありゃりゃ〜」と声をこぼした。
その分だけ反動があって手が痺れちゃったけど、手応えがあって強くなったことを実感できた。
「昨日のこともあるからもう行くけど勘弁してね」
*****
さらに奥まで進んだところで僕は行き止まりに当たったこと気がついた。
分かれ道があったところも進んでみたもののそこも行き止まり。
お父さんの姿もない。
どうやらお父さんのいる所は小舟でしか入っていくことの出来ない場所みたいだ。
「ちぇ。探険も終わりかな」
明日は一緒に小舟で連れて行ってくれないかなー、と考えながら洞窟を戻ろうとしたとこで岩かげに人が倒れているのを見つけた。
岩と岩との間に挟まれていて顔だけが出ていた。見覚えのある顔に思わず叫ぶ。
「ホビットおじさん!」
気を失っているのか目を瞑っていて、反応が無かった。
この村の薬師でビアンカのお父さんの薬を作ってもらうことになっていた人だ。
僕は慌てて声をかけると少しして目を覚ましたホビットおじさんは予想外の言葉を発した。
「いやあ……よく寝た。ん? 坊やはもしやパパスさんとこの息子じゃないか? 見ない内にちょっと大きくなったな!」
「そうだよ! 僕強くなったんだ! ってそんなことより寝てたの!?」とビックリ。
まさか死んでるのかと思ったからちょっと安心したけど。
「動けないのでついな。坊や、わるいがこの岩をちょっと押してくれるか。もう少しで動かせそうなんだ」
「うん!ちょっと待ってね!」
僕は力を込めてホビットおじさんが挟まれている岩をどかしてあげた。
「やれやれ助かった! 坊や、ありがとう! これでダンカンのおかみさんに薬をわたせるってもんだ!」
幸い怪我は無いようでホビットおじさんはすぐに立ち上がると「こうしゃいられない!」とすぐに歩きだした。
僕ももう洞窟に用が無いので一緒に戻る。
「ねえホビットおじさん! これでビアンカのお父さんの具合すぐによくなるのかな!」
ホビットおじさんは嬉しそうな顔して僕の方を見た。
「ああ! バッチリじゃ! 坊やのおかげだな!」
僕も嬉しくなって飛び跳ねた。
ビアンカ待っててね。