東方霊無鏡 〜Per hour 2.5 minutes 【完結】 作:LOORUME
やばいぜあの神サマ。振り切るのにすごい時間がかかった。
自分でいうのも何だが、私も幻想郷トップクラスの早さを持っているはずなんだが・・・。上には上がいるのかね。
さて、だいぶ鏡刻塔が近づいてきたようだ。
・・・・まあ正しくは鏡刻塔が、じゃなく
私が鏡刻塔に近づいてきたんだが・・・言葉の綾ってもんだろ。
自分で自分に突っ込みつつ虚しくなっていると、鏡刻塔のすぐそこまで来た。
「いやぁ〜眩しいねぇ。
眩しいのはわかるけど眩しくないみたいな!」
・・・・・・反応なしか。誰もいないのか?
「いやぁ〜眩しいねぇ。
眩しいのはわかるけど眩しくないみたいな!」
・・・もっかいだ。
「いやぁ〜まぶ」
「五月蝿いですよ貴女」
「・・・・・・・・・」
「どうしたのでしょうか?
わたくしめを誘っておられたのでしょう?
まさかわたくしが出るまで言い続けるとは思いませんでした」
「・・・・・・・・」
「・・・喋ってくださいよ」
彼女は薄ら笑いながら言う。
この理不尽な状況に私も笑わずにはいられない。
喋れだと?残念ながら無理だ。何故なら
私の首にナイフを当てられると迂闊に喋ることはできない。
気づいたら居たんだ。私のすぐ後ろに。こいつが。
「喋ってくださいませ。切りますよ?」
なんて物騒な奴だ。
「・・・あのなぁ」
「話してくれますか。
何でしょう?」
「首にナイフ当てられてしゃべれるわけねーだろ?引っ込めろ」
「失礼。今すぐ仕舞います」
そしてその馬鹿丁寧で下手な敬語もやめとけ、と心の中で呟く。
相手はナイフをしまい、私に向けてきていた殺気というか牽制する気配も消した。
やっと自由だ。
塔の前でソイツと私は対峙する。
・・・さて。
「お前は誰だ?」
「わたくしめは、ハニエル。どうかハニーとお呼びくださいませ」
「呼ばねーよ」
何歳だよお前。小学生じゃあるまいに。
改めてハニエルを見る。
2枚の大きな翼。。綺麗な金髪。青い目。
そしてどちらかというと洋風な装いだ...なんと言うんだっけこの服。
ヒマ...ヒマ何とかだ。
ヒマティ?そうそうヒマティ........
「ところであなたの名前は?」
「.........ヒマティオ......」
「わたくしの着ている服と同じですか。
.......いい名前、ですね」
そう思えないなら言うなよ
「冗談だぜ?私は霧雨魔理沙」
「騙しましたね!」
「騙してな......いや騙したのか」
無意識のうちに言ってたんだが...まあ無意識だからしょうがない。
「ところでお前は天使なのか?」
「ええ、そうですよ」
ろくさんが言っていたのは嘘じゃないらしい。あとは悪魔がどこかにいるはずだが・・・?
「悪魔さんならこの塔の中でございます。
貴女がどうしてここに入りたいのはわかりませんが、
入りたいというのなら、喜んでお相手いたしましょう」
「・・・そうかい」
「ええ」
私とハニエルは微笑む。
BGM:零の始まり 〜Miracle side
「天符ッ!『神の栄光』!」
やれやれ、手加減はしてくれないらしい。
数本の黄色いレーザーがハニエルを中心にして回る。
さらにカラフルなパステルカラーの、天使をモチーフにした羽の生えている弾幕が、大量に、且つ多方向から降り注ぐ。
「おいおい!最初っから本気かい?」
「わたくしめの本気はまだまだこれから、と言いたいところですがこれがわたくしの全身全霊でございます!」
「そーかい!ならそれが本当だと祈っているよ!」
こういうアツいのは嫌いじゃないぜ!
スペルブレイクだ!何とか通常弾幕で切り抜けた!
「使符『神を見る者』!」
半径50mほどの球形の結界が私たちのまわりを囲う。
そののち、先程の天使型弾幕が一匹だけ、しかも低速で放たれた。
......遅い。さらに薄い。当てる気あんのかコイツ!?
「おいおいハニエルさんよ。本気を出してくれるんじゃないのかい?」
「黙って見てなさい」
怒られた。全く、何が起こ る ん だ?
その時、たった一つだけの弾幕が結界に当たった。そして。
そして当たった弾幕は跳ね返り、二つに増え、しかも速度も少しだけ上がっていた。
ははぁん。さてはこれ、倍々で増えて行くんだな。
その後、弾幕が何度も結界に当たって跳ね返り、その度に増殖し、それなりの密度の弾幕になっていた。
確かに、敵が上級者であっても初心者であってもこれは効果覿面だ。
だがしかし、欠点が一つだけある。
それは自分の弾幕を自分で避けなければいけない事だ。
全くバカだなハニエルは。
相手が上級者であればそれに見合った能力の持ち主、もしくはそれ以上の腕前がなければ効果はあっても意味はないんだよ。
無論、ハニエルより数段は上手い私だ。あと数分はこの弾幕に耐えられるだろう。
だがあいつは無理だ。あと数十秒でもしたらピチュっちまうだろう。
「仕方がありません!」
どうやら自らスペルブレイクしたようだ。いい判断だ。
無茶をしてこの弾幕に耐えるより次のスペカに頼った方が勝てる確率は上がる。ま、負けないけどな。
「.....次のスペカ、全力で来いよ?」
「ええ!わかっております。
輝符ッ!『ミラクルサイド』ッッ!
全身をもってして体感し、
全霊をもって思考なさい!」
ふん。
「恋符、『マスタースパーク』
悪いが速攻で決着をつけさせてもらうぜ」
眩い閃光だ視界を包...まなかった。眩しくないんだよ今。 物足りないなあ。
まあ、何にせよ私の勝ちだぜ。
「なあ」
「なんでしょう?」
「なんで、結界の外に居る状態で弾幕を撃たなかったんだ?」
「それは...全力をもって相手に挑むなら、わたくしめも同じ条件でなければ、と思いまして」
「.......おま..ホント馬鹿だな」
「そうでしょうか?」
「ああ、とびっきりのな」
私とハニエルは笑う。
霊無鏡 第2章 其陸話 完
其陸話へ続く。