東方霊無鏡 〜Per hour 2.5 minutes 【完結】 作:LOORUME
「ん?どうしたんだい?魔理沙。立ち上がったりして。」
「なん て言うのかな...。 私にもよく分からないけど。デジャヴだ!その、霊夢を騙して鏡を見せたっていう話」
「? 話した記憶は無いんだけど....もしかして あそこに居たの?」
霊夢困惑中。というか少女困惑中。
ここにいる人は全員訳が分かっていない。
「いや、それはないぜ。数日間引きこもって研究していたからな」
「ふーん。紫、分かる?」
「そうねえ...研究してたのは嘘じゃないっぽいし。ねえ魔理沙、その話を見たのはいつ?」
「...多分、紫の隠れ家で寝てた時だぜ」
「なるほどね」
鏡映はガッテンした。
「何だと思うの?」
と言う紫。
「ほら、寝てる間に夢を見ていたのなら、記憶が差し込まれたタイミングは一つじゃないか。
鏡で移動している時だよ。」
「ああ...」
魔理沙も少し心当たりがあるようだった。
「二人同時に移動したからだろうね。記憶が二人の中だけでほんの一部とはいえ混ぜられてしまった。混合して、混濁してしまった。
多分、魔理沙のその記憶は霊夢の一人称だろう?」
「言われてみればそうだな」
「それが霊夢の体験した記憶であるがため、だね。
紫、改良作業が見つかったよ」
「二人で記憶が混合しちゃうのね...。はあ、境界を調整したほうが良いのかしら
それにしても鏡を2つだけにしといて良かったわ。修正する手間が省けるし。」
「ふうん。どう改良すればいいのか、とかは興味ないが合点が行ったぜ」
「そうかい。ありがとう」
「だけど、納得はしてないぜ?」
鏡映は首を傾げる。
どういう意味だ、と。
「まだ話してないじゃないか。こうまでして鏡の世界と繋げさせたかった理由を。
話して、私や霊夢が納得したのなら文句はない。鏡の連中と一緒に宴会でもしようぜ」
「ありがとう、理由だったね」
と言って鏡映は一つ、深呼吸した。
「さっきも言ったけど、うちは鏡の世界を創った。一からだ。地形こそ同じだけど中身は全く違う、幻想郷とは別物さ。
あそこには、ハニエルや、ミラルが居る。
他には人間もいる。妖怪も、妖精も、神様も。
その人たちが、24分の1の速度でーー幻想郷の1時間で鏡の世界で2.5分ーーゆっくりと暮らしている。のんびりと、楽しくだよ」
でもそれで終わらせたくなかった、と言う。
「一から創ったんだし、私にも親心が芽生えてきてさ。住人達に、違う世界も見てもらいたいって、聞いて、知ってほしいって心の底から思ったんだ。
ただ、それだけなんだよ」
霊夢は、それを聞いて微笑で、しかし幻想郷や、その他すべてを包み込むような笑顔で言った。
「そ。私は納得したわ。魔理沙は?」
「まあ、いいぜ。それより宴会はいつにする?」
と言って笑顔で進める。
魔理沙は鏡の住人達を歓迎してくれているようだった。
「本当に、ありがとう」
少し、鏡映の目頭が熱くなっていった。おりしも、
「ねーえ、あなた達。折角の機会だし、呑まない?」
スキマに手を突っ込みながら紫は言った。
返事は、
霊夢曰く
「返事が必要?」
魔理沙曰く
「つまみはキノコで良いな?」
鏡映曰く
「あ、ハニィとミラルも誘っていい?」
答えは肯定を表すものばかり。スキマでハニエルとミラルを連れてきて、宴会の前夜祭という名の飲み会は6人で始められた。
乾杯の音頭は鏡映がとった。
「じゃあ!うちらが幻想入りした事を祝って!!」
「「「「「「「乾杯!!!」」」」」」」
声が響いた。
それを聞きつけた伊吹萃香が人を萃めた。
言わずもがな、飲めや歌えやの大盛況。どんちゃん騒ぎは深夜まで続いた。
暫く経って、紫と鏡映によって幻想郷の各地に鏡が設置された。
その後、幻想郷に住むありとあらゆる神、妖怪、霊、そして一部の人と、鏡の世界の住人達が博麗神社に集まり、三日三晩に渡る大宴会が執り行われたそうだ。
神社の周りは隙間が無いほど人が集まった。
鏡の住人は幻想郷に来て交流をし、気に入った者は幾度となく往復した。
果てには移住する者も。
その逆もまた然り。幻想郷から鏡の世界へ行く者も少なくなかったそうだ。
人間であろうとも。
物語は終わらない
霊無鏡 完
続け。
副題回収です。
第4章もお楽しみください。