東方霊無鏡 〜Per hour 2.5 minutes 【完結】   作:LOORUME

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其鏡源郷の反応 上 蛇足世界-05

モノクロ魔法使いに逃げられてからほんの数日経ってあたしは、とある噂を友人から耳にした。

 

友人曰く、

「もうすぐ鏡が設置されて、そこを通れば あなざぁわーるどに行けるんだって!

今度だったらこのあたくし、一緒に行ってやっても構わないの、よ?」

だそうだ。

 

全然素直じゃないなぁ。行きたいなら普通に行きたいって言えばいいのに。まあそんな所も可愛いんだけどさ。

...あ、でもあの娘結構上から目線だ、いやいや結構素直だし、いや時々怒ると怖いし、と意味不明な擁護と揶揄を繰り返していたら、我が家である小さい神社の裏口にノックが響いた。

 

時々人里から来る参拝客は本来境内から来て御参りしてもらっているのだけれど、私に直接用がある場合は裏口から入ってもらうようにしてもらっている。

 

ノックには心当たりがあった。はあ〜い、と返事をして戸を開けるとそこには、

 

「出るのが遅いわよ!ろくちゃん!」

 

化怪化ヶの姿があった。

 

 

 

 

 

「やあ〜、ごめんごめんばけちゃん」

 

そこまで待たせてないし、あたしに非はない筈だが気にしないで謝ることにしておく。

 

「ん.....ま、まあいいわ」

 

まさか謝られるとは思っていなかったらしく、目線を逸らし白い頬を染めながら言っている。可愛いなあ。

 

「それより、アナザーワールド、幻想郷だっけ?そこに行くんだよね?」

 

「そうよ、楽しいものが沢山あるって聞いたからこのあたくしが行く価値が無い事もないと思うわ」

 

後で聞いた話だが、この時点で既に幻想郷に行っていた者は少なく、ましてや帰ってきている者は一人も居なかったらしい。なので話を聞けるはずはないんだけど...まあ多分だけど彼女があたしと行きたくてついた嘘なのだろう。嫌な気はしない。

それと『このあたくし』で一つの一人称になっているのか?とか、上から目線すぎてもはや見えないくらいの高飛車な言い回しどうにかなんないの?っていう疑問はもう無い。慣れた。

 

「へえ、そうなの。じゃあ早速行ってみようか!」

 

「うん!」

 

彼女は素晴らしい笑顔で返事した。幼さが一瞬だけ見えて、この瞬間がどの顔より可愛い。

 

 

 

 

 

神社を出て、空中で会話しながら移動して少し経つと私達の身長くらいある大きな鏡が見えてきた。

 

「すごい大きいね。これで行けるの?」

 

「そ、そうらしいわね」

 

どうやら今更怖気付いたらしい。...私を駄々捏ねて捏ね繰り回して連れてきたくせに。

だけどここで手を引っ張って連れて行こうとすればばけちゃんの可愛い姿を見られる、と神のお告げがあった。神ってあたしのことか。結局ただの勘じゃん。

 

とにかく、私はばけちゃんの服の袖を引っ張った。

 

「どうしたの?ほら行くよ?」

 

「へぁー?...そうね、ま、また今度にしないかしら?」

 

出た。『へぁー』頂きました。このアホな発音も可愛い。だがここで続けるともっと可愛い姿が見れると勘が呟いている。

っていうか語尾が震えてるよ。もうちょっと気丈に振舞ってくれないと嘘がバレちゃうよ!バレバレだけど。

 

「ん?ビビっているのかな?」

 

言外に『まさかそんなはずはないよね?』という感じも持たせて。

 

「まっまさかぁ。そんなはずはないわよ。ただちょっとここにくる間に疲れちゃったなぁ〜、って思ってさ」

 

必死になってる。()()い。

 

「あれ?おかしいぞ?ばけちゃんってそんなに体力少なかったっけ?」

 

我ながらうざったいね。

 

「よっ、余裕よ余裕!」

 

かかったな。観念せい。

 

「そうよねー。じゃあ行きましょうか」

 

今度は腕を引っ張る。だが踏ん張っているようでピクリとも動かない。

 

「い、いやよぉ」

 

ぐいぐい。

 

「嫌だってばあ!」

 

ぐいっぐいっ。

 

「嫌ああぁん」

 

ついに泣き出してしまった。っていうか....。

 

「鏡の中、怖いよぉ...うぇええん」

 

っていうか、可愛すぎる!

心の中でガッツポーズとグッドサインをしながらリンボーダンスをしている状態であたしはそう叫んだ。

 

「大丈夫よ。あたしがいるのよ?

あたしとあなたは、結んで離さないから。離ればなれにはならないから」

 

あたしの能力『恋と怨を操る程度の能力』は、恋を操れる。つまり縁を結んだり切ったりすることもできるのだ。

 

恋とは切り離して考えた時、縁を結ぶ、というのは人と人とが離れようとしても離れられない。それは心理的にでも、無意識的(物理的)にでもできる。

今回使うのは無意識的に。

 

無意識的に、一定の人とは離れられなくなる。

そんなことがあたしの能力の副産物である『縁を結んだり切る程度の能力』で出来る。

切ると、無意識的にその人と会えなくなる。どんなに心が求めていようと。

心理的に結ぶと、一目惚れしてデレデレになる。

心理的に切ると、毛嫌いして会うだけで心がムカムカする。

そんな感じの副産物能力だ。

 

 

説明が長くなったがあたしは、無意識的に、物理的に化怪化ヶがあたしを離れられないようにした。これではぐれることが全く無くなる。

 

「さ、もう安心だよ。大丈夫だから。ね?行こう?」

 

結ばれた感覚わかったのか、何とか落ち着いたようだった。

彼女は無言で頷き、腕を掴んでいた手を握り、少し赤い目で二カッと笑ってあたしを見た。

 

 

........。

 

...........かっ。

 

 

........。

 

 

「かっ」

 

「か?」

 

.......。

 

可愛い、そう叫ぶ前にあたしは悶絶のあまり意識を手放した。

 

 

 

 

 

続く。

 




ということで、来上社ろくと化怪化ヶのスピンオフストーリーです。

『ろくは化怪化ヶを弄り倒すがその反応やいかに?次回!鏡映、散る!』(※嘘です)

ところでスピンオフとは言え、違う世界でオリキャラばっかりってどうなんでしょうかね....果たしてその原作は東方なのでしょうか?難しいことは考えたくないです。

ろくのキャラがいいですね。いい感じに崩壊しています。
化怪化ヶも化怪化ヶで自分の中では完全に萌えキャラになっています。どうしましょう。

とりあえず、上中下と続けるつもりですのでよろしくお願いします。(2000文字を超えたのがこの話が初めてっておかしいでしょ)
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