東方霊無鏡 〜Per hour 2.5 minutes 【完結】 作:LOORUME
(後)
「ん、あの方達は」
「お知り合いですか?」
文さんに運ばれながら私は尋ねた。どうやら白装束の方と華やかな和服に身を包んだ2人組を指しているらしい。
「はい。少し前に観光で幻想郷に来ていた方達なんですが、その時に取材させてもらったのです」
「その話、後で詳しく聞かせていただけますか?」
もう取材していたらしい。後で話を聞いて分析しよう。
「はい、いいですよ。ところで、次はどの方にしましょうか」
「そうですね.....あの方に....」
私はニヤリと笑いながら指で指し示した。その先には、
「....しましょうか」
八岐鏡映がいた。
「すいません、八岐鏡映さん」
「なんだい?ってまた、アンタかい」
また?前にも取材した事があったのでしょうか。
「いえ、あれはあくまで異変についての取材でしたので。ですが今回はあなた自身について聞きたいのです」
なるほど。新聞に書かれてた内容は八岐鏡映に聞いたのですね。あれ?でもそうなると....。
「断ってもひっついてくるんだろう?まぁいいさ、座りな。飲みながら話そうよ」
「あやややぁ、般若湯ならしょうがないですねえ」
「別に酒でもいいでしょ、仏教徒でも無いんだし......そちらさんは?」
「あ、私ですか?申し遅れました、人間の里で幻想郷縁起の編纂をしています。稗田あっきゅんです☆」
「.....阿求さんです。
☆とかつけちゃってまあ....年齢考えてくださいよ」
「外見も実年齢も15歳ですよ?」
「あなたの場合、精神年齢が1000歳くらいでしょう?」
「なっ、失礼な!それを言ったら文さんだったら実年齢も精神年齢も1000歳以上のはずなのに若作りしてるじゃないですか!980年分くらい!」
「わ、若作りじゃないですよ。若くあり続ける努力と言ってください!」
「若さへの渇望ですか?」
「その言い方は嫌ですねぇ....」
「うふふ、お二人さんとも仲が良いんだね」
あ、と私と文さんは声を漏らす。
やってしまった。つい冷静さを失ってしまった。
「鏡映さんはどうして鏡源郷を創ろうと思ったんですか?」
切り替え早いですね。私もそうしましょう。
「............そうだね、何て言うのかな。最初はただの好奇心だった」
「最初は、ですか」
「うん。でも外から連れてきた人間、自分で創った妖怪、信仰によって生まれた神を見てると愛着が生まれちゃってね。いまは少なくとも好奇心なんて軽々しいものじゃないよ。それがなんなのかは今も分からないけどね」
へえ、そんなことがあったんですか。
私が感心していると、文さんが疑問を持ったようだ。
「え?妖怪を創ったんですか?」
「うん、勿論人の恐れで生まれたのもいるけど...ああ、うち、『山と水を司る程度の能力』を持っているんだけどそれは使わないで、妖力で無理矢理作ったんだ」
「む、無理矢理ですか?それはあまりに無茶では....」
「妖力さえあれば力ずくで何とかなるもんだよ?莫大な量が必要だけど。
あ、その結果誕生したのがハニィだよ。天使だけど」
「ミラルさんは?」
「あいつは魔界から召喚したんだよ。」
な、なんだか凄い話ですね。聞くのがやっとです。
「ところで先程耳にしたんですが、あなたは主犯ではないと。
どうしてあのような嘘をついたのですか?」
それです、私が先程思った疑問は。
「ん、誰から聞いたの?あ、やっぱいい、多分ミラルあたりだから。
嘘、では無いんだけどね」
はい、正解です。勘が冴えてますね。
「でも本当でもないのでしょう?」
「うふふ、まあね。実は外聞を気にしてたんだよ」
鏡映が自らの盃に視線を落とす。
「外聞、ってほら、幻想郷の管理者である紫が異変に加担した、ましてや主犯だなんて知れたらそれなりに混乱が起こるでしょ?」
「なるほど、そういうことでしたか。
ならば新聞にするわけにもいきませんね」
「うん、よろしく頼むよ」
話はそこで一旦終了した。
「ところであっきゅん、酒は飲めるかい?」
「勿論です!酒を語らせても五月蝿いですよ私は!やまたん」
「うふふ、いいね、面白い。今夜は飲み明かそうよ!」
「はい!」
「あ、阿求さん?その体で無理をなさっては.....」
黙れ鴉天狗。お前に私の何がわかる。
心配は嬉しいけどね。
そして私は文さんの制止を聞かず、やまたんと文字通り三日三晩飲み明かした。人里に帰ったのは三日目の早朝、そんな時である。
「う〜、頭が痛いです」
神社の境内は怪異の酒屍累々で溢れていた。
「ほら、飲み過ぎるからですよ。人間で、その上元から寿命が短いんですから」
優しい文さんも良いですね。
「すいません、人里まで運んで行ってください」
「合点承知の助」
「前から思ってたんですけど何ですかそれ」
「持ち上げますよー、って酒くさっ」
無視ですか。
「うるさいですよー。そう言う貴方は宴会なのにあまり飲んでいなかったんじゃないですか?」
「取材という建前ですからね」
「建前ですか、飲んでいたんですね」
「はい、あなたの二倍以上」
「マジですか」
「マジです。大マジですよ」
そんな雑談をしながら、私と文さんは人里の方向へ、そして霧の中に消えて行きました。
文さん、大宴会で軽く100人は取材をしたと言っていたので編纂作業が忙しくなりそうですね、楽しみです。
大宴会にて 完
この後、人里に帰った私は慧音さんに無理をするなと怒られました。暫くは自粛しましょう。
第4章はあと1話で終わりです。キリ良くいきたいので。
あ、ご意見やアドバイス、感想などがありましたら是非アレしちゃってください。