クラリスの葬式から二週間が経過した。IS適正検査でAランクを叩き出したシャルロットは今でも政府から誘いの電話が絶えないという。最初の方はやんわりと断っていたシャルロットだったが、あまりにもしつこかったせいなのかどんどん扱いが雑になっていき政府の使いの応対にも苛立ちが混じるようになっていた。これを深刻に見た私とエフィは傭兵の仕事で培ったコネを使い、シャルロットを執拗に勧誘している議員を突き止めまた数日かけて弱みを探って議員の犯している汚職の数々を脅しの材料にし脅迫することでなんとかシャルロットへの執拗な勧誘は収まった。
だが、シャルロット自身代表候補生になる気がないだけでISについては興味があるらしく私に稽古をつけてくれと頼まれた。ここで少し問題が発生した。その問題はシャルロットのISがないことだ。ISコア自体はこの前の仕事の時の鹵獲したISから引っこ抜けばあるのだが、いかんせん鹵獲したISは大破しており修理ができない状態だし、予備の機体も一夏に渡したので最後だったのだ。エフィと一晩中相談した結果、私たちの機体のスペアパーツから集めて新しい機体を作ってしまおうということで話が纏まった。幸い私の頭の中には制作に関することもあるし、エフィも整備班並みに知識はあるしそれを作るための工具も疑似型ISコア(収納用)に入っていたのでそれを使えばいい。シャルロットには悪いが完成するまでは量産機のラファールで我慢してもらうとする。
シャルロットと一夏のISと基礎訓練は基本的にエフィが担当し、私はシャルロットのISの設計を担当することとなった。適材適所というやつだ。流石のエフィもコジマエンジン辺りの知識は乏しいのでそのあたりの知識もしっかり備えている私が担当することになったのは当然だと思う。どうして兵士である私がそのあたりの知識が豊富かというと藤堂博士が熱心に私に講義してくれたからだ。当時何もすることがなくて暇を持て余していた私のために博士がしてくれたことなのだがまさかこんなところで役に立つとは思わなかった。
そういう訳でなんとかフレームまでできたのだがここからがまた長そうである。
最近色々な問題ばかりが起きている気がする。と私は作業の休憩でブラックコーヒーを飲みながら最近起こっていたことを思い返していた。さきほどのシャルロットの勧誘しかり、私の記憶のことしかり、そして新しい問題のようなものが浮上し始めていた。クラリスの葬式の時に現れたシャルルという痛い男がどうやって突き止めたのか知らないが私の家に来るようになったのだ。それだけならまだいいが、あの男私達のことを探っているようだった。現に不審な動きをしていた何人かの情報屋をとっつかまえて吐かせた結果依頼主が同じだったので間違いない。
本当迷惑だ。色々と面倒なことや考えなければならないことがいっぱいあるのに面倒事持ってくるなよ………
私は考えただけで頭が痛くなるようなことばかりあって頭を抱えた。
いっそあの男が来ないような場所に引っ越してしまおうか。それならなるべく治安が良くてモラルがあって、ご飯がおいしいところがいいな。ああそれがいい。
私はそこらへんに置いておいたパソコンを起動し自分の理想的な国を検索し始めた。するとある国が一位にあった。その国は
「ニッポンか…………一夏の故郷で、アニメーションの国でご飯がおいしいと評判の国だよね」
そう、サーシャは一年前からアニメに魅入られてしまった。初めてアニメを見たときはカルチャーショックに襲われて衝動的にそのアニメのDVD全巻を購入してしまうくらいには驚いていた。それからのサーシャは漫画やラノベを買いあさり、すっかり日本のサブカルチャーにはまってしまっていた。そんな彼女が住みやすい国の上位にその国がランクインしているとなったら
「ニッポン行きたいなあ」
観光に行きたくなってしまうのも無理はない。引っ越すのは無理だとしてもせめて観光ならと思った。そういえば一夏とエフィで旅行してないなと思い早速プランを練り始めた。
「まずは一夏のパスポートは…………知り合いにパスポート偽造できる奴がいるからそいつに頼むとしてシャルロットパスポート持っていないだろうからその手配をして。うふふなんだか楽しくなってきたな♪」
声色と目はとても楽しそうなサーシャではあったが表情はいつものように無表情のため周りからみれば楽しそうなのかつまらなそうなのか判断しずらいだろうが本人がそれに気づく日はまだ遠い
「突然ですがみんなで旅行することになりました」
「「「はい?」」」
その日の夕食私は旅行することをみんなに発表したら案の定みんなぽかんとした表情になった。
「どうしたんですか?いきなり旅行なんて」
意外そうな表情をしたエフィが私に訪ねてきた。
「最近いろんなことがあったでしょ?やっぱり疲れとかストレスたまっているだろうから旅行しようかなって」
「ふむ、確かにそうですね。それで何処の国にするんですか?」
「ニッポンという国よ」
「ええ!?日本だって!?」
「きゃあ!も、もう一夏いきなりさけばないでよ……」
サーシャの提案で思わず一夏が叫んでしまったせいでシャルロットが驚いてしまっていた。
まあ、一夏のこの反応予想どおりね。むしろこのままスルーされた方がかえって心配になるし。
一夏は私に駆け寄り、シャルロットに聞こえないように小声で
「俺って日本じゃ誘拐されていることになっているんですよね? だったら日本に行くのは危険じゃないんですか?それに俺パスポートもありませんし」
「そのあたりは心配いらないわ。この時のために一夏には髪を伸ばし続けてもらったわけだし。それに加えて偽名にすればまぁばれないんじゃない?」
「これってそのためなんですか?ていうか随分と適当ですね」
とここで「あのう………」とシャルロットが申し訳なさそうに手を上げ
「私パスポート持ってないんですけど」
「その点なら大丈夫よシャルロット。あなたのパスポートはもう手配済みよ。あとは本人の記入だけね」
「ほんと!やったぁ!」
シャルロットが年相応の笑顔で喜んでいた。ふむ色々苦労した甲斐があったな。
「それでいつ行くんですか?」
「来週。それまでみっちりと訓練してもらいなさい」
「「はい!」」
まぁ一夏はなんだか気が乗らないみたいだけどそろそろ話つけないと後々面倒になってくるかもしれないからね。あと一週間で組み立てられるかな?まぁ徹夜すれば終わるか
私は旅行でどこ行くかとか用意する物などで盛り上がっている3人を眺めながらドクターペッパーをあおっていた。
次の話から日本旅行編に突入です。サーシャがアニオタになっている影響でそのあとの行動でネタに走ることが多くなります。それも無表情で。
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