~どこかの無人島~
ずしんと重い衝撃があって目が覚めた。なんて乱暴なタイムマシンなんだ……。ドラ〇モンのタイムマシンだってもうちょっとお淑やかな運転だというのに。これじゃ夢もロマンもあったもんじゃない。とくだらないことを考えているとパートナーのことが頭に浮かんだ。といっても流石にここまで乱暴な運転じゃ無事じゃないだろうと思って辺りを見回してみると、すぐ近くに「はぅぅぅ~~~~」となんだかあざとさがある間抜けな声が奥の方から聞こえてきた。
…………うん?エフィの声はこんなに高く幼い感じだっただろうか?いくら精神年齢が低そうに見えてももう二十歳は超えていたと思うのだが。と考え込みながら立ち上がってみたらズルッと服が落ちた。
「……………………ハイ?」
いや、ちょっと待て服が脱げた?確かタイムスリップする前に着ていた服はぴっちりと自分の体に合った服だったはず。なのに何故下着までもが脱げた?導かれるように自分の体を見た。ここに来る前は女性の平均くらいはあるかな位の胸が縮んでいたしかなり視点が低く感じる。まさかまさかそんなわけがないと思いつつそこらへんに落ちてた自分の服から手鏡をとり出して改めて自分の体を見た。
もう何の言い訳ができないくらい完璧に背が縮んでいた。骨格や筋肉の付き具合などを見て、単に背が縮んだわけではなく全体的に幼くなっていることがわかった。まぁ、わかったところで心がついていかなければ全く意味がないんだが。
呆然と鏡を見ていたら奥の方から悲鳴が聞こえてきたので覗いて見ると
「何か背が縮んでいます~~!!どこの少年探偵ですかこれはーー!?」
と、なんだか割と心に余裕を持っていそうな声だった。そんなどこか呑気な感じの相棒に溜息をつきつつ声をかけることにした。
「大丈夫?と言いたいところだけど随分と余裕そうね。安心したわ」
「全然余裕じゃないです!めちゃくちゃ混乱してますよ!なにがどうなってるわけ!?」
もう分かりやすいくらい動揺してるわねこの子。結構余裕がありそうだと思ってたけどそうでもなかったみたいね
「少佐殿は何でそんなに落ち着いていられるんですか!」
と言われた。私そんなに落ち着いているように見えるのかな。
「別に落ち着いているわけじゃないわ。むしろあなたよりも動揺しているわ。でも今騒いだり慌てたりしたってなにも自体は解決したりしないから必死で冷静になろうとしてるだけよ」
それと、と続けて
「少佐殿だなんて堅苦しく呼ばなくていいわ。私のことはサーシャって呼んで。みんなはそう呼んでるし。サ~にゃんだけはお断りだけどね」
「え!?は、はいわかりましたではさーにゃ「サーシャ」……………サーシャさんってよばさせてもらいます。」
とエフィが不愉快なあだ名で私を呼びそうだったので即訂正させてもらった。けどどうしてだろう?エフィが妙に怯えた顔になっているのは。私そんなに怖かったのかな。なんて考えながら周囲にISスーツの入ったバッグを探し、見つけたバッグからISスーツを取り出した。
昔もそうだったかは知らないけれど今のISスーツはどんな体系でもフィットできるように作られており、さらにメタルジャケットも数発程度なら防ぎどんな環境でもある程度なら活動できる優れものだ。前からこの機能には感謝していたが、今ほど感謝しなかった日はない。
「着替え終わりました~~、さーny……シャさん。」
今不愉快なあだ名が聞こえた気がしたけど……まあいい。さっさと今いる時代を確認しなければ。飛んだ時代と場所によってはガスマスクと酸素ボンベが必要になるし。と、タイムマシンの中にあった計器を調べてみたんだけど、うん。あれだけ乱暴で体内の臓器がちぎれるのではないかと不安になるくらいに振動があったにもかかわらずちゃんと目的の時代には到着してるわね。絶対誤作動起こして目的の時代には全く関係のない時代に飛んだと思っていたのに
「サーシャさん、わたしたち今どの時代にいるんですか?」
「約150年前ね。場所は太平洋の赤道近くにある無人島」
「無人島って、あのすべて海に沈んだ伝説の島のことですか?」
そう、私たちの時代の地球はとうの昔に無人島などの小さな島は海に沈んでいた。あのジャパンですら半分近くは海に沈んでいたくらいなのだ。
「ええ、そうね。あの伝説の島よ。それとガスマスクと酸素ボンベはいらないわよ。今の時代には汚染された地域は存在しないわ。まだコジマ粒子が発見されていないはずだし。」
「じゃあ、青い空やきれいな海に生い茂る自然も見れるってことですか!?」
エフィが興奮するのものも無理はないわね。かなりうるさいけど。私たちの知ってる海は緑色で濁っているし空は灰色だし何より自然が少なすぎる。おかげで自然よりも砂漠の方が多いくらいだし。でも私も今興奮気味だ。だって写真や映像媒体くらいでしか見たことのないものが外に出れば自分の目で見れるのだから。
はやる気持ちを抑えつつ私は装備を整えタイムマシンの外に足を踏み出した。そこには、私の想像していたより何倍も美しい風景があった。グレーではなくスカイブルーの空、濁って一センチの先も見えない濁った海でもなく底まで透き通っているきれいなエメラルドグリーンの海。後ろには力強い緑が生い茂る木々たち。今まで見たことのないようなものが見れて感動し、興奮している感情とは裏腹に、何故今の時代の人類はこんな素晴らしいものを壊してしまったのかと疑問に思った。