黒騎士事件から約二年。ほとんど変わらなかった。テロを憎みその報復としてまた紛争地域が増えたり、それがきっかけになって日本の軍備が強化されたりと世界的に変わった部分といえばこの程度しかない。相も変わらず戦争はなくならないし女尊男卑はひどさを増す一方。
それで現在俺は何をしているのかというと。
砲弾と悲鳴が行き交う硝煙でむせ返りそうな戦場の真っただ中にいた。
「くたばれぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
と今までの状況確認をしていた時に横からスラスターを全開にした『グラナーダ』がパイルバンカーを構えて突っ込んできていた。俺は最小限の動きでパイルバンカーを回避し速やかに持っていたIS用プラズマブレードで相手の頭を切り裂いた。相手は
「援護ありがとうございます、エフィさん」
『いえいえ。それよりも三時の方向から三機が接近中です。気を引き締めていきましょう』
「了解」
俺はブレードを構え直して新しく接近してくる機体に備えた。
今回の依頼はテロリストの追撃から敗走する政府軍を援護するという内容だった。最初から俺たちを送り込んでおけばこんな惨めな敗走はなかったのだがとやかく言っている場合じゃなかった。
「ちっ!次から次へと………!」
今戦ってるテロリスト達は随分と潤沢な武装を所有している様子で戦車に戦闘ヘリにISときたものだ。使用しているISは『グラナーダ』の初期型『とラファールリヴァイブ』と『テンペスト』と種類が多かった。
こっちに向かって撃ってきた機体を
「そんなのあり!?」
ーーーーシールドセイバー
シールド自体がブレードのように鋭利になっており、先も鋭く尖っているため剣として使用が可能となっている。そして最大の特徴がこの射出機能だ。シールドの裏にあるスイッチを押すことによってシールドの後部にある隠されていた小型ブースターによって勢いよく射出することができるようになっており、もう一度スイッチを押すことで腕に装着されていた装置によってワイヤーが巻きとられ回収が出来るようになっている。
スイッチを押してすぐさまシールドを回収しつつ、グレネード弾の暴発によって少しだけひるんでいた相手に切り込んでいったがすんでのところで回避されてしまった。追撃しようとしたが仲間の機体から援護射撃が飛んできたので追撃を断念し回避に専念することにした。少し経ってからテロリスト達が撤退を始めた。何とか政府軍の撤退が成功したようだった。これ以上戦う意味もないのである程度牽制射撃をした後俺たちも撤退することにした。
「ふぅ………」
とりあえず安全地帯まで戻ってきた俺はISを解除してスポーツドリンクを飲んでいた。すると奥から女性兵士が近づいてくるのが見えた。
「
そう、俺は未だに女装をしていた。最初は全然女装というやつに慣れていなくて色々とばれそうになっていたのだが今では女装自体に慣れてしまっていた。しかも俺は結構鍛えているはずなのに筋肉が増えずに華奢なまま(なのに筋力や体力は上がっている)。背は伸びない。顔立ちも女性らしくなってきているという有様だ。これはもしかして束さんが原因なのではと思ったのだがそうではないらしい。束さん曰く織斑家に居た時碌な食事を摂っていなかったのと体内にあるナノマシンとISに乗っている影響なのではという仮説を立てていた。
「いえ、全体の三割被害を出してしまったのでとても感謝されるようなことでは………」
「それは指揮官の見通しが甘かったからです。あなたたちは十分やってくれました。本当に感謝しています。本当にありがとう……!」
女性士官が深々と頭を下げたのでこれ以上言うことができず俺とエフィさんは困ってしまった。
「そういえば音無さんとハーミットさんの依頼はこれで完了となります。一週間お疲れさまでした」
「私達がいなくなっても大丈夫なんですか?」
エフィさんが尤もなことを言ったが、女性士官は「大丈夫です」と言った。
「直に本国から増援が来ますし、今回の戦闘でテロリスト側にも大打撃を与えられたので後は大丈夫です」
「そうですか」
とそこで携帯からバイブ音がしたので女性士官に断りを入れてから電話にでた。
「もすもすひねもす~♪いっくん今時間空いてるかな?」
「ちょっと待っててください」
俺は人気がない場所まで移動してから通話を再開した。
「どうしたんですか束さん?いきなり電話を寄越すなんて」
「いやぁー、そろそろいっくんたちが仕事を終える頃かなと思ってね」
「ということはもしかして?」
「うん。いっくんの想像している通りだよ」
電話の向こうでも相手が満面の笑みを浮かべているのが分かるくらいの声の高さで束は告げた
「いっくんたちがこっちに戻りしだい依頼したいことがあるんだ」
束は一層声を低くして言った。
「日本で初めての男性操縦者が発見されたことは知っているかい?」
「え…………?」
さて始まっていきます原作が。世界初の男性操縦者。一体誰のことなんだ