IS~透明だった少女は何を思う~   作:はにゅー

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一つ言い忘れていたんですがサーシャとエフィは原作知識というものを大雑把にしか持っていません。過去の一夏がIS学園に入学したのは知っているけどそこで何が起きたのかは知らないといった感じです


第28話

 仕事を終え依頼金をもらった俺たちはエジプトにある会社に訪れていた。会社の受付の方に向かい、社長を呼び出してもらうように頼んだ。受付の人も直ぐに了承し電話で呼び出してくれた。

 

 「社長室に来てくれとのことです」

 「はあ、わかりました」

 

 俺たちはエレベーターを使って最上階にある社長室に向かった。社長室の前まで来ると少し息をついてドアをノックした。すると「どうぞー」と気の抜けた声がしたので「失礼します」と断りを入れて室内に入った。そこにはスーツの上に白衣を着て頭にウサミミを着けた社長の威厳も欠片もない篠ノ之束がいた。

 

 「いっくんもエーフィーもお疲れ様~。それで今回の仕事はどうだった~?」

 「今回の仕事の目標であるテロリスト集団の戦力がテロリストらしくもないくらい兵器が充実してましたね。最新型の機体もあるくらいでしたし」

 「ふ~ん?そいつは気になるね。どこかの国が援助でもしてるのかな?」

 

 束は特に興味も無さそうにパソコンのコンソールを叩いていた。

 

 (本当にあの束さんがまともに仕事をしているなんてあの頃じゃ考えられないよなぁ)

 

 俺は不真面目ながらも一応普通に仕事をしている束さんを見ながらそう思った。我が道を行くを体現したかのような人間嫌いのあの束さんがまともに社長などをしていることには実は訳があった。それはクロエが救出されてから一ヶ月後のクロエのある発言がきっかけだった。

 

 「束様はもしかしてニートなのですか?」

 

 その発言は束の心にぐさりときたらしく、動揺を隠せてはいなかった。慌てて弁明をしていたが、クロエが「一夏さんでも仕事しているのに?」という一言がとどめとなり束さんは会社を作ることを決意した。元々会社を作ることを考えていたようなので一度決めたら会社を設立するまでそれほど時間はいらなかった。各地で優秀な人材を集めつつ自分の身分を偽造して社長兼技術主任として会社に君臨した。束さんが設立した会社の名前は『シルバーラビッツコーポレーション』でおそらく自分の趣味とクロエの身体的特徴をそのまま会社の名前にしたものだと考えられる。とりあえず束さんの会社はIS企業として発足し急成長を遂げ、エジプト一のIS企業となっていた。

 

 

「いっくん達を呼び出したの他でもない。電話で伝えた通り君たちにある依頼を出したいからだよ」

 

束さんはいきなりまじめな顔をして話を切り出した。このとき俺はすごく嫌な予感がしていた。

 

「束さんは俺たちにどういった依頼を出したいんですか?」

「その前に、いっくん。君はニュースを見たかい?」

「…………ええ。ここに来る前に一通りは」

 

俺は苦々しい表情を浮かべながら束さんの質問に答えた。束さんが俺にそう言ってきた理由は日本で発見されたのがなんと俺の実の弟織斑百春だったのだ。その事実に俺は驚愕しながらも内心まあそうなんだろうなと思っていた。なぜなら俺がISを動かせるのなら弟である百春が動かせてもなんら不思議ではないからだ。

 

「うん、なら話は早いね。じゃあ単刀直入で言うよ。いっくん達にはIS学園に行ってもらいたいんだ」

「……………理由を聞いてもいいですか?」

「うん。理由はいくつかあるんだけどね、大きな理由はあいつのデータを取ってきて欲しいこととIS学園の警護かなぁ」

 

もちろんそれ以外の理由もあるけどね、と笑みを浮かべながら言った。

 

「それじゃあ俺のことを世間に公表するんですか?」

「いやいや、そんなことはしないよ。いっくんには女装したまま行ってもらうよ」

「ちょっと待てや!!この駄兎!!!」

 

俺は聞き捨てならないことを聞いたので思わず叫んでしまった。

 

「流石にIS学園にまで女装は出来ないですよ!絶対ばれますよ!俺変態扱いされますよ!」

「大丈夫大丈夫。この二年間でいっくんの女装能力は格段に上がってるし、この束さんが作った特殊装備と私のハッキング技術があれば余裕のよっちゃんだよ!それに世間的には死人である君が突然現れたら大騒ぎになるだろうしね」

「ぐうう。と、というかISはどうするんですか!俺のISは黒騎士事件で有名になってるんでしょう?」

 

 黒騎士事件。それは二年前に池袋で起きたテロ事件の

名称だ。『黒騎士』はニュースを見る限り俺のISのことをさしているのだ。おそらく俺のISの造形が『白騎士』に似ており、カラーが黒いからだと思うのだが業界では変に有名になってしまい困ったものだった。

 

 「その点も心配いらないよ。いっくん達が使っている系統のISは全身装甲(フルスキン)」モードと半身装甲(ハーフスキン)モードの二つが搭載されてるし、機体認証を阻害することも出来るからいっくんが黒騎士だってばれる心配はないよ」

 「そんな機能まであったんですか」

 

 俺はあまりにも多機能すぎるISに若干呆れつつ一つ気になったことがあったので聞いてみることにした。

 

「俺たちは自分のISを持っていくんですよね?だったら俺たちの身分はどうするんですか?エジプトの代表候補生とかですか」

「うん、それもあるけどね。とりあえずしゃるるんとエーフィーが代表候補生として入学してもらうとしていっくんとさーちゃんが私の会社のテストパイロットとして入学ということになってるんだよ。大丈夫、ちゃんと各国に根回ししてあるからノープロブレムさ♪」

「そこまで準備は終わってるんですね………」

「うんうん、頑張って一日徹夜した結果だよ!もっと束さんを褒めてくれてもいいのよ」

「ハイハイスゴイデスネー」

「すっごい感情こもってないんだけど!?」

 

とここで束さんは何かの作業を終えたらしくコンソールを叩くのを止めて背伸びをした。

 

「やっと作業終わったよ~………ああそうだそうだ二人には渡しておくものがあったんだ。くーちゃん!例のものを二人に渡して頂戴!」

「はい、承知しました」

 

奥の部屋から声がして顔を奥のほうの部屋に向けるとちょうど部屋の中から二つの段ボールを持ったクロエが出てきたところだった。

 

「この段ボールの中にIS学園の制服とか参考書などの学園生活に必須なものが入っているからね。それとはい」

 

束が机の引き出しを開けて中から飛行機の切符を取り出して俺たちに手渡した。

 

「この切符は明後日の飛行機のだからね。それでIS学園の実技試験は四日後、筆記試験は免除されているから今から必死こいて頭に詰め込まなくても大丈夫。それであらかたの説明したはけど何か質問は?」

 

束さんが俺たちに問いかけたが特に聞きたいことはなかったので「特にないです」と告げると束さんは「そっか」といい、クロエがこっちまで歩いてきた。

 

「それでは整備や新しい設定に変える必要があるのでISをお預かりします」

「はい、わかりました」

 

クロエに『禍津火』と『陽炎』を渡して、渡された段ボールを持って部屋から出ようとした時束さんが「ああ、忘れてた」と俺たちを引き留めた。

 

「その段ボールの中に資料が入っているから必ず熟読しておいてね!」

「了解です」

 

そして俺はこれから起こるだろう厄介ごとに頭を痛くしながらまずはできることから始めようと自分にあてがわれた部屋に戻った。

 

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