IS~透明だった少女は何を思う~   作:はにゅー

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この作品は原作よりも若干ハードモードの予定です。


第30話

試合の後、俺は少し山田試験官と会話をしたあと、着替えるために更衣室に来ていた。

 

「ふぅ、下手すれば負けてたなあれは」

 

俺はISスーツを脱ぎ捨てながら先ほどの試合を思い出しながら呟いた。試合の最後の攻撃が通っていなかったら恐らく俺は負けていただろう。

 

 (だからといって奥の手の一つ使ったのは痛かったかな)

 

 いくら勝つためとはいえ俺は試合の最後の攻撃で奥の手を晒してしまったことを若干後悔していた。

 

 『一点集中瞬間加速(ピンポイント・イグニッション・ブースト)

 腕部に着いているサブスラスターに機体の全ての出力を集めることで爆発的な加速を行い、必殺の一撃を与えることができる。利点といえば相手の意表をつくことができ、かつ威力が倍増することだ。欠点は使用したスラスターが耐えきれずに自壊してしまい、運が悪かったら腕部の出力まで低下してしまうことだがエネルギーの調整さえできれば腕部の出力は低下することはない。サブスラスターは壊れるが。

 誰かに見られないように手早く着替え、外に出るとどんよりとした空気を纏ったサーシャさんがいた。

 

 「うわ、どうしたんですか?そんな暗い顔をして。そんなにお腹空かせたんですか?」

 

 俺は冗談半分で聞いてみたが「半分はそう」とサーシャさんは切なそうにお腹をさすっていた。

 

 (まじかよ。でも半分って言ってたな。残りの半分の理由ってなんだろう?) 

 

 残りの半分の理由が気になった俺はそちらの理由も聞いてみた。サーシャさんは隠すつもりもないらしく直ぐに話してくれた。

 

 「試験の試合で負けたから」

 「…………へ?」

 「負けたのよ。いくら武御雷の性能が格段に落ちていてその落ちた性能に慣れていなかったとはいえよりにもよって得意の近接戦でね」

 

 悔しそうに口の端を曲げながらサーシャさんが話してくれたが俺には信じられなかった。あの無茶苦茶な反応速度を持ち、俺たちのなかでは唯一あの束さんを捕まえることができるくらいの運動能力を持つサーシャさんが負けるビジョンが思い付かないのだ。

 

 「相手は誰だったんですか?」

 「織斑千冬。あいつ本当に化け物ね。」

 

 織斑千冬。その名前を聞いたとき何となくだが納得した。流石のサーシャさんでも世界最強のブリュンヒルデが相手では分が悪かったらしい。

 

 「また鍛えなおしていつか再戦を挑むとしてとにかく今はお昼を食べましょう。私もうお腹と背中がくっつきそうだわ。というか早く食べないと私行き倒れそう」

「サーシャさんって本当に燃費悪いね。今朝私の二倍食べてたのに」

 

サーシャさんは心なしか顔色を青くしながらせかすように言ってきたので俺は呆れながら返した。サーシャさんは激しい戦闘の後はまるでガス欠を起こしたかのように激しい空腹を覚えるらしい。ということはやはり織斑千冬との戦闘はかなり激しいものだったのだろうか。

このままだと本当に倒れてしまいそうなくらいふらついていたので急いで食堂へと向かった。

 

_______________________________________________________________

 

「ふむ……………」

「あれ?織斑先生どうしたんですか?」

 

試験終了後、今回の受験者のデータを整理している最中に千冬が何かを考え込んでいたのを気になった摩耶がデータをまとめながら話しかけた。

 

「ああ、シルバーラビッツコーポレーション(SRC)からの受験者で私が試験管をやった奴なんだが少し気になってな」

「何が気になったんですか?」

「動きは少しぎこちなかったくせに反応速度が異常に早くてな。もしかしたら私よりも反応速度が速いかもしれん」

「そんなに早かったんですか?」

「ああ、操縦技術の差で私が勝つことはできたがな」

それはまたすごい娘が来ましたね、と摩耶は驚いていたが千冬はそのとき別のこと考えていた。

(試験中に何度か私の急所を狙った攻撃を寸止めしたときエーデルバインの目が金色になっていた………あいつは一体何者なんだ)

 

 千冬はドイツにいる教え子のことを思い出しながら仕事に戻っていった。




主人公がどんどん駄目な方向に成長していくスタイル。人間らしくはなっていっているとは思うんですけど
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