IS~透明だった少女は何を思う~   作:はにゅー

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今回は一夏の身の上話です。


第5話

~フランス住宅地~

 

現在、私はフランスの首都に近い都市にある本拠地でドイツの仕事のもう一つの報酬である織斑一夏に英語を教えていた。英語は世界中で使えるし、覚えておいて損はないからだ。まぁこの後フランス語も覚えさせようと思っているけど。一夏がこの家に来てもう一週間が経つ。ニュースを見ても一夏を捜索しているというニュースはまだないし、新聞にもそのようなことは書かれていない。それと、この家に来て3日はずっとしゃべらないでいた一夏だったが、4日目に入って、私たちが朝食の準備をしていた時に

 

 

「ねえ、君たちはどうして俺を拾ってくれたんだ?こんな出来損ないの俺を」

 

 

とかなり暗い声色でおそるおそる聞いてきた。うーむ、拾ってきた理由は衝動的なものだから説明しづらいんだけど

 

 

「君のあの複雑な表情が気になったから」

 

 

と簡潔に告げたら、一夏は「っへ?」と鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。なによその顔は、そんなに私変なことを言ったかな

 

 

「仕方ないですよ。サーシャさんはかなり不思議ちゃんなところがありますからね。一夏君が戸惑うのも無理も

ありません」

 

 

エフィはにこにこと笑いながら言っているが、心外だ。私はそんなに不思議ちゃんなのか?

 

 

「はい。相当な不思議ちゃんです。」

「エフィ、私の心を読まないでくれる?」

「サーシャさんは普段仏頂面のくせにこういう時は表情がでてすごく読みやすいんですよ」

 

 

なに?そうなのか。次からは表情に出ないように気をつけなくては

 

 

「本当にそれだけなの?このあと俺を奴隷として使ったりひどいことをするんじゃないの?」

「なんてことを言うんだお前は。エフィならともかく私がそんなひどいことをするわけないじゃないか」

 

 

外野から「私もそんな酷いことしませんよ!?」と抗議がでた気がするが無視無視。

 

 

「安心してください。私もサーシャさんも君に危害は加えないし、人身売買もする気は毛頭ないですから。」

「本当に?」

「ええ、本当ですよ。」

 

 

そこまで聞いて一夏はとても安心した表情になった。私はそんなに信用なかったのか。あれか?私の仏頂面が悪いのか?手鏡を取り出して自分の顔をもみほぐしていると

 

 

「一夏君、改めて自己紹介をしましょう。私はエフィ・ハーミット。それと、あそこで仏頂面な表情を気にして直そうとしている人がサーシャ・エーデルバインよ。」

 

 

「あはは…………」

「…………エフィ、あなたのおやつはなしね」

「ええ!?勘弁してくださいサーシャさん!」

「絶対許さない」

 

「勘弁を、勘弁を」と泣きついてきても私は聞こえないふりをしてエフィの今日のおやつをぱくついた。うん、ちょー甘くておいしい

 

 

「ああ!私が楽しみにしていたショコラケーキが!?」

 

いい気味ね。私をおちょくった罰よ。………………あれ?そういえば一夏と大事な話をしていたような気が…………

 

 

「じゃあ、俺はここに居ていいんですか!」

 

 

私とエフィの漫才のような会話が終わったのを見計らって一夏がうれしそうに言った。

あれ?『家に帰してくれ』とかじゃないの?なんだかおかしい。まるで家に帰りたくないみたいじゃない

エフィも私と同じことを思ったのか

 

 

「一夏君は家に帰りたくないんですか?」

 

 

と聞いた。すると一夏は悲しそうな表情をしながら、頷いた。

 

「あそこには俺の居場所なんてないから。俺の大切なものも居場所も全部あいつに奪われたんだ………」

「あいつって誰なんですか?なんでそんなひどいことを………」

「弟の百春です…………あいつは俺を追い出そうとしていたんだ」

「お姉さんの千冬さんは?あの人は追い出そうとはしないでしょう?」

「いや、千冬姉は最初は俺にも優しかったんだ。でもいつの間にか俺を他人みたいに…………」

そこまで聞いてようやく納得した。なぜ家に帰りたくないのかとかどうして捜索願いが出なかったのかとか

確かにそんな家には居たくないでしょうね。

一夏は何かを決心したのか

 

 

「お二人にお願いがあります。俺を鍛えてください!」

「ええ!?別に構わないですけど………でもどうしたんですか?」

「俺は弱くていつも誰かに守られてばかりだった。そんな俺を変えたい。強くなりたいんです!大切なものをもう奪われないように。誰かを守れるように。俺は強くなりたいです!!」

 

 

 …………へぇ、復讐ではなく守る為に力を求めるのか。大抵の一夏のような境遇のものは復讐のために力を求めるものだと思ってたけどね。本当に一夏は強いのね。なら私も彼の思いに答えなきゃね

 

 

 「覚悟はあるみたいね。いいわ、鍛えてあげる」

 「本当ですか!!ありがとうございます!」

 「ただし最低限英語は覚えること。ここはジャパンじゃないんだから。日常会話くらいはできるようにしないとね」 

 「わ、わかりました」

 「それと一つ確かめたいことがあるわ。もし成功すればあなたは世界最高峰の兵器を所持できるようになる」

 「ちょっ!?サーシャさん何を!?」

 「サーシャさんそれって?」 

 「あなたがIS に乗れるか試すのよ」

 「えっ?」

 

 

 一夏はぽかんとした表情を浮かべ慌てて

 

 

 「いやいや、無理ですよ!?男の俺がIS に乗るなんて!」

 「だからこそ試すのよ。原則オリジナルコアのISには男は乗れない。だけど私のコアが言ってるのよ。君は乗れるって」

 「何か色々と突っ込みたいけどわかりました」

 

 

 と一夏は渋々納得したようだった。まぁ、未来のことは話す訳にはいかないからね。結構苦しい言い訳だったけど納得したようね

 

 

「でもサーシャさん、どうやって一夏君が乗れることを確かめるんですか?私達のISはもう一次移行しちゃってますから試せませんよ?」

「あら、あるじゃない。もう一機。あなたのISの予備機の禍津火が」

「まぁ、予備のオリジナルコアもありますし、いけそうですね。じゃあ、わたしは先に地下に行って準備してきます」

 

エフィは地下室の入り口がある物置部屋に駆け足で向かって行った。さて、私たちも行こうかしらね。

 

 

「一夏行くわよ、地下室に」

「はい」

 

 

 

 

 

 

「ところで、私とエフィはあなたと同い年だからそんなにかしこまらなくてもいいのよ?」

「え!?同い年だったのか!?」

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