機動戦士ガンダムSEED Urd   作:めーりん

1 / 29
ハーメルンに来て初の小説執筆になります。

これから長い道のりにお付き合いいただけることを切に願います

活動報告にも目を通していただけたら幸いです


原作開始前
PHASE-01


C.E.70に地球、プラント間での交渉の席で起きた爆破テロを切欠に地球連合はプラントに宣戦布告。両陣営はお互いに引けない戦争に突入する。

 

さらに農業プラントの一つ、ユニウス・セブンに対し秘密裏に持ち込まれた一発の核弾頭が着弾、24万3721名ものコーディネーターが命を落とした。

 

後に"血のバレンタインの悲劇"と呼ばれた攻撃の報復として、プラントは地球各地に核分裂反応を阻害するニュートロンジャマーと呼ばれる機器を投下、敷設する。

 

これによる副次効果によりレーダーや無線、誘導兵器を無力化され、地球各地では深刻なまでの電力不足が発生。さらには連合の兵器各種にも多大な影響を与えた。そんな中、驚異的な猛威となったのがプラントの直属軍事組織Z.A.F.T.の運用する人型機動兵器"モビルスーツ(MS)"であった。

Nジャマー化で行われる有視界戦闘に対応し、宇宙空間にて連合の主力となる近接格闘能力を有する亜戦闘機"モビルアーマー(MA)"であるメビウス相手に三対一の性能を誇るとされた。

 

また、地上の不整地踏破が可能という汎用性の高さもあり、地上での連合の主力であるリニアガン・タンク等相手に善戦。

 

結果として連合としては各戦線に配備されたZ.A.F.T.のモビルスーツ(MS)の性能は驚異的となっていた。

 

しかしプラント側としても地球軍のその圧倒的物量は無視できない脅威として認識されていた。

 

‡‡‡‡‡‡

 

C.E.70 5月30日

この日地中海に面する地"エル・アラメイン"では死力戦が行われていた。

 

連合軍は主力戦車"リニアガン・タンク"大隊を用いた物量戦を展開。ZAFT軍は苦戦を強いられる。

 

そんな中、とある部隊が奇策を用いてこれを撃破しようと試みていた。

 

‡‡‡‡

 

「隊長、こちら準備完了」

 

まだ若さを感じさせる声がレセップス級のCICに届く。

 

「隊長、無茶がありますよ!いくら戦線が膠着状態だからってこんな捨て駒、って痛いですって!」

 

「ダコスタ君、僕は彼なら出来ると思ったからこの作戦を実行するんだよ。君だって彼の腕は知っているだろう?」

そんな声を受けてCICで二人の男が声を交わす。一人はこのレセップス級の旗艦に据えるバルトフェルド隊の隊長"アンドリュー・バルトフェルド"。バルトフェルドに頭を叩かれながらも抗議をしていたのは、バルトフェルド隊の副官を務める男性"マーチン・ダコスタ"であった。

 

「ダコスタさん、俺は大丈夫ですから」

 

「それでも無茶だよ!敵は大多数で、しかもかなりの切れ者が居るという情報だって入っている!」

 

スバルと呼ばれた通信相手からの声に思わずダコスタは声を荒げる。

 

「大丈夫です。隊長とダコスタさんの指揮を信頼していますから。これより作戦に移ります。・・・・・・隊長、俺のことは最悪、無視しても構いません」

「ッ・・・・・。コンディション・レッド発令!バクゥ隊各機作戦は頭に叩き込んでいるな?失敗は許されない作戦だ。じゃあダコスタ君、後の指揮は任せるぞ」

 

スバルからの通信が切れたと同時に歯噛みしたバルトフェルドが号令を発し、ダコスタの肩を叩く。彼が頷くのを確認したバルトフェルドは、即座にMSハンガーに向かうのであった。

 

‡‡‡‡‡

 

隊長であるバルトフェルドがコンディション・レッドを発令した丁度その頃、地中海に面したエル・アラメインにてザフト地上部隊と交戦する連合軍に知らせが飛び込んでくる。

 

「大尉!こちらに接近する機体あり、数は不明ですが熱量からして少数による撹乱かと推測されます!」

 

「ちっ・・・・あと僅かで勝利だと言うのに・・・・。予測では少数だったな?。現在の戦力でも十分に迎撃は可能か」

 

爆音に紛れながらももたらされた報告を受けて一人の男性が頭を回転させる。男の名はモーガン・シュバリエ。現在スエズでザフト地上部隊を迎撃中の連合軍の一つ、ユーラシア連邦の戦車大隊を指揮官であった。

 

「到達時間からしても十分間に合うな・・・・各隊に通達、迎撃に移る!」

 

「はっ!」

 

腕時計ともたらされた報告を確認したモーガンは即座に指示を出すのだった。

 

‡‡‡‡‡

 

「各車は有効射程まで引きつけろ!前線の様子はどうか!」

「問題ありません!現在敵モビルスーツを翻弄中、我が方の勝利は目前です!」

 

レーザー通信を通じて報告を受けるモーガン。更に通信が入る。

 

「敵モビルスーツ急加速!これは・・・・!」

 

「どうした!」

 

「敵影確認!敵モビルスーツは1機!かなり速い!」

 

「たかが一機で何ができる。各車作戦に変更はない!即座に撃破し、その後敵主力を殲滅する!」

 

通信内容を鼻で笑い、指示を出すモーガン。暫くして正面から砂埃と共に一機のモビルスーツが突撃してくる。

 

「各車作戦開始!連続斉射で粉砕しろ!撃てぇ!!」

 

 

 

モーガンが指示を出した丁度その時、突撃していたモビルスーツのパイロットである青年"スバル・クロムハーツ"は愛機であるシグーアサルト特殊仕様の速度をそのままに、右手に持ったM68キャットゥス500mm無反動砲を発射、更にAMBACを利用して右にスライドしつつ飛来したリニアガン・タンクの砲弾を回避する。

 

回避した先にリニアガン・タンクが連続斉射。右手に保持したM68キャットゥス500mm無反動砲で別のリニアガン・タンクを狙いつつ、左腕に装備されたシールドでリニアガン・タンクの砲撃を受け、直後シールドが爆発する。

 

「っ左腕パージ!隊長、予想より少し厳しいですが、作戦通り敵は食らいつきました」

「あと僅か耐えてくれ。我が方のザウートが予想以上に仕事をしていないせいでそちらへの迎撃に数が出てきてしまったみたいだ」

 

無数のリニアガン・タンクの砲撃を細かい機体制御と機体の追加装甲を巧みに利用して被害を抑えるスバルだったが、数の暴力に少しずつ追加装甲に被害が出始める。

 

そしてついに右脚部の追加装甲にリニアガン・タンクの砲弾が直撃、その衝撃で一瞬だけ機体制御が危うくなる。

 

「予想より被害が出たが、これでトドメだ!」

 

リニアガン・タンク隊を指揮するモーガンも、いくらカスタマイズされているらしいとはいえ、たった一機のモビルスーツにここまで手こずるとは思わなかったが、脚部への被弾によりバランスを崩したスバル機に照準を完了させる。が、次の瞬間に入った通信に、思わずトリガーを引き損ねることになる。

「大尉!支援を頼みます!敵モビルスーツの奇襲を受け、被害甚大!う、うわぁぁぁぁ!!?」

 

「何!?コイツは囮か!!」

 

「報告!接近中のモビルスーツ多数!機種、バクゥと思われます!前線の各部隊と連絡途絶!更に反応多数!包囲されつつあります!指令部との連絡も途絶」

 

「ちぃ・・・・・!戦線を放棄!各部隊スモーク全力散布!我に続け!離脱するぞ!」

 

モーガンにもたらされた通信も直ぐに砂嵐に変わる。別車両からの通信を受けたモーガンは即座に決断、両側面のスモーク・ディスチャージャーを展開し、離脱を開始する。

 

煙が晴れた頃急行したバルトフェルド隊のバクゥのモニターに映ったのは、中破したスバル機と無数の履帯跡だけであった。

「あー・・・・スバル君、生きているかね?」

 

「ええ、ピンピンしてますとも」

 

「申し訳ないね、損な役回りをさせたみたいだ」

 

中破したスバル機に近寄り、バルトフェルドは乗機のバクゥ改修型のコクピットで苦笑混じりに通信を入れる。返されたスバルの声はやや疲れ気味だったが、無事そうで安心するバルトフェルド。

 

「アンディ、嬉しそうね」

 

「いやなに、僕としても彼からの進言とは言えかなり博打に近い役をさせてしまったからねぇ・・・・・生き残ってくれてホッとしてるよ」

 

通信を切り安堵の息を零したバルトフェルドに、砲手を担当していた女性"アイシャ"がからかい混じりに問いかける。

 

対してバルトフェルドは心底安堵したように息を吐き出しつつ、副官であるダコスタに通信を入れる。

 

「ダコスタ君、スエズは確保できたのだろう?旗艦を乗り入れさせたまえ。被害報告などはレセップスで聞く。あと、スバル機が中破したからそれの回収も頼むよ」

 

「了解です・・・・ってスバル君は無事なんですか!?」

 

「マーチン君、スバルちゃんは無事ね。不安なら機体収容した後、検査させれば良いですの」

 

「了解です。全モビルスーツ隊は帰投をお願いします。ジンオーカーパイロットで手が空いた方はスバル機の回収を願います」

 

バルトフェルドの言葉に慌てるダコスタ。それに対してアイシャが笑みを浮かべながら進言する。その言葉に落ち着きを取り戻したダコスタは、指示を出すのであった。

 

‡‡‡‡

 

C.E.70 5月30日

 

後にスエズ攻防戦と呼ばれたこの戦いで、バクゥ隊を率いて多大な戦果を上げたアンドリュー・バルトフェルドはそのままアフリカ戦線の司令官に抜擢される事になる。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。