機動戦士ガンダムSEED Urd   作:めーりん

11 / 29
ストライクvsイージスの結末は変わらず

そしてスバルにも変化が


PHASE-11

‡‡‡‡‡

 

C.E.71 4月17日 マーシャル諸島

 

日没間近にザラ隊の三機が母艦、ボスゴロフ級潜水空母から出撃、アークエンジェルの背後から襲いかかる。彼等は仲間のニコル・アマルフィがスバル・クロガネの化け物じみた技量による大博打により生きていると知らない(むしろ状況が状況だけに死んだとしか思えなかった)。故に復讐心で挑んでいた。

 

「行くぜ!!」

 

「敵影3、5時方向、距離3000!」

 

「同方向より熱源接近!」

 

「回避!取り舵!」

 

「フラガ少佐、ヤマト少尉、クロガネ三佐は?」

 

 

「各機準備完了しています」

 

先制にバスターが超高インパルス超射程狙撃ライフルを放つ。レーダーでそれを捉えていたアークエンジェルは、回避行動を行いつつ順次対応する。

 

「ストライクは後部デッキで迎撃、アークエンジェルの守りにつけ。フラガ少佐はバスターの牽制に回ってくれ。アグニの火力を利用すれば盾を持たないバスターは押さえられる筈だ。アークエンジェルは少佐と私の支援をしつつ回避行動を優先。イージス、デュエルには私が対処する。アラスカ防空圏までは後僅か、グゥルさえ破壊できればそれで良いはずだ」

 

「了解だ」

 

「分かりました」

 

「待ってください!イージスは僕が!」

 

「グゥルを破壊してアラスカの防空圏に逃げ込めばイージスらは追ってこないはずだ!俺達の目的はX(エックス)ナンバーの破壊ではない!目的を履き違えるなヤマト"少尉"!」

 

 

スバルが指示を出す。軍が違えどもその実力や作戦立案能力を知るムウやマリューはあっさり了承(これは目的を理解しているため)。

 

だが、キラは目的を理解できなかったため反論する(これは彼が元は軍人ではなかったのも原因)。しかしスバルの真剣な表情に、キラは言葉を失う。

 

「いい加減しつこいんだよ、お前ら!今日こそ叩き落としてやる!」

 

「罵りたければ罵れ。だが、結果はどうであれ"見捨てた"のは貴様らが先だ」

 

「ッ・・・・・スバル貴様!!!!!この・・・・・ニコルを見捨てた裏切り者がぁぁ!!!!!」

 

「こいつら・・・・!」

 

「くっ・・・・・」

 

ランチャーストライカーを装備したスカイグラスパー1号機がアークエンジェルの支援を受けつつバスターを牽制する。スバルは感情を排した声音で宣言、歯噛みするアスランのイージスと激昂するイザークのデュエルASをアークエンジェルからの支援砲撃を受けつつビームライフルで巧みに押さえ込む。

 

‡‡‡‡‡‡

  

「アスラン・・・・!」

 

「ヤマト少尉!何故出てきた!アークエンジェルを守れ!」

 

事態が急変したのはスコールが近づく中、アークエンジェルに接近したイージスにストライクが後部デッキから飛び立ち、スバルらから離れるように交戦を開始してからであった。スバルはデュエルを抑えつつ、キラに怒鳴る。

 

「この・・・・!」

 

「ふざけるな!」

 

「ちっ・・・・フラガ少佐、支援する!」

 

「うわぁ!?」

 

フラガ機がアグニを放ち、バスターを牽制する。ディアッカはそれを苛立ち混じりに回避すると、両肩のミサイルを全弾発射する。それを確認したスバルは、デュエルのライフルをバレルロールで回避しつつ接近、デュエルに飛び蹴りを叩き込んで機体を弾き飛ばしつつ反動で離れ、試作型フライトユニット"ハヤブサ"のサブアームが背面に向けて構えた90mm対空散弾銃でミサイルを撃破する。 

 

「クソッ、作戦が台無しだ!・・・・・ヤマト少尉!そこまで言い切るならせめてイージスを抑えきれ!アークエンジェルに被害が出始めているぞ!」

 

「そんな事・・・・!」

 

「イーゲルシュテルン4番、5番被弾!」

 

「ヘルダート発射管、隔壁閉鎖!」

 

キラの参戦でイージスが離れた結果、スバルの牽制が間に合わなくなり、超跳躍しかできないストライクをあざ笑うかのようにビームライフルでアークエンジェルを狙うイージス。被害が出始めたアークエンジェルを傍目にデュエルASを牽制しつつ怒鳴るスバル。

 

ここで離れた場合、デュエルASがフリーになってしまう為、スバルはデュエルASから離れられなくなった。アークエンジェルに被害が出てきたため、ムウにも負担が出始めている上に、スカイグラスパーはあくまでも"支援"戦闘機、無茶はできない。

 

 

「直上よりイージス!」

 

「何!?ヤマト少尉は何をやっている!」

 

 

「緊急回避!!」

 

「プラズマタンブラー損傷!レビテーター、ダウン!揚力が維持できません!」

 

スバルから怒鳴られるキラからの射撃を一度距離を取って回避したイージスが、アークエンジェルの直上から接近、グゥルから離れ、モビルアーマー形態時のみの武装"スキュラ"を二連射で放つ。副砲のバリアントと主砲のゴットフリートにそれぞれ直撃、さらにバリアントを撃ち抜いた一撃が甚大な被害をもたらし、アークエンジェルは姿勢を崩す。

 

 

「姿勢制御を優先!」

 

 

「緊急動力は予備レビテーターに接続!」

 

 

「スカイグラスパーで俺も出ます!危ないですよ、このままじゃ」

 

「待ちなさいケーニヒ二等兵!」

 

マリューやナタルの指示が飛び交う。我慢できなくなったトールが、マリューの静止を無視してスカイグラスパーに乗り込むためにブリッジを後にし、スカイグラスパー二号機で出撃する。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「あぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「8時方向よりバスター接近!ゴットフリート、バリアントの射角、及び射線が取れません!」

 

 

いつしかマーシャル諸島の中で一番大きな島に降下し、お互いにビームサーベルでの格闘戦に移行する両機。揚力を失い、姿勢制御が出来なくなったアークエンジェルも同じ島に着底、バスターの接近に武装が使えないという事態になる。

 

「(俺はまた・・・・守れないというのか・・・?そんなのはもう、認められるか!)」

 

「ッ・・・・邪魔だ!!」

 

「何!?くっそぉぉぉぉ!!!」

 

バスターの接近を確認したスバルは自身を襲った感覚に恐怖し、それを意志の力でねじ伏せようとする。すると彼の両目から"弟"のキラと同じように虹彩が失われる。その直後、ライフルをマウントしつつ回避行動と共に突撃、シヴァとミサイルを放ったデュエルASに今まで以上に鋭角な機動で回避と同時に接近、ビームサーベル二刀流を披露し両腕とシヴァの砲身を破壊、デュエルASをグゥルから蹴り落とした反動をも利用し、ランスロットがバスターに向かう。 

 

「やらせるか!!」

 

「くそ・・・!」

 

ガンランチャーと高エネルギー収束火線ライフルを構えたバスターにムウのスカイグラスパー1号機が無茶を承知で突撃、背面のビーム砲でグゥルを破壊する事に成功する。

 

「この・・・・!」

 

 

「ち・・・・!」

 

グゥルから離れたバスターが対装甲散弾砲を放ち、それと同時にスカイグラスパー1号機からアグニが放たれる。お互いに放った砲撃は、スカイグラスパー1号機のアグニ、バスターの右腕をお互いに破壊する結果になった。

 

「ぐぅ!?」

 

「ちっくしょ!着水する!」 

 

スカイグラスパー1号機は海に着水、バスターは着底したアークエンジェルの正面に落下する。

 

‡‡‡‡‡

 

「キラぁぁぁぁぁ!!!!お前がニコルを!ニコルを殺したんだ!」

 

「ぐぅぅぅ・・・・!」

 

「キラぁ!!」

 

「トール!ダメだ!来るな!」

 

島の反対側ではイージスの猛攻撃にストライクが終始圧倒されていた。そこにトールが操るスカイグラスパー2号機がビーム砲を撃ちながら接近する。思わず離れるように促すキラ。

 

「邪魔を・・・・!」

 

「トールぅぅ!!!!」

 

「うそ・・・・・・?」

 

 

 

対艦ミサイルを放つスカイグラスパー2号機。アスランは苛立ち混じりに回避しつつイージスのシールドを投擲する。勢いよく回転するシールドはスカイグラスパー2号機のコクピットに直撃、アークエンジェルのCICにスカイグラスパー2号機のシグナルがロストした知らせが届き、アークエンジェルCICに座るミリアリアはその知らせに唖然とする。

 

「アスラァァァン!!!!」

 

「ちぃ・・・・」

 

ついにキラの瞳から虹彩が消える。イージスのサーベルをシールドで弾き、振り上げたサーベルで左腕を斬り飛ばすストライク。蹴り飛ばされ、イージスのエネルギーが危険域に突入する。

 

「俺が・・・・お前を討つ!」

 

覚悟を決めたアスランの瞳からも虹彩が消え、イージスは残った右腕と両脚からサーベルを出力、ストライクのシールドと共に左腕を脚部のサーベルで斬り飛ばす。

 

しかしそれと同時にストライクのサーベルがイージスの頭部を貫通、衝撃でお互いに離れると即座に突撃する。

 

「アスラァァァン!!!」

 

「キラぁぁぁぁぁ!!」

 

ここでイージスが斬りかかると見せて可変、残ったクローでストライクを捕縛し、超至近距離からスキュラを叩き込もうとする。

 

「くっ・・・・・!」

 

「なっ・・・。こんな所で・・・・!」

 

フェイントに引っかかり、可変したイージスに捕らわれるストライク。しかしスキュラに収束していた光が急速に失われる。アスランが確認すると同時にエネルギーがなくなる。そしてフェイズシフトダウンを起こすイージス。

 

「ちぃっ・・・・!ならば・・・・!」

 

動き出すストライクを見てアスランは手元の機器に自爆コマンドを入力、イージスから脱出する。次の瞬間、イージスは捕らえたストライク諸共自爆するのであった。

 

‡‡‡‡‡

 

「ッ・・・・やらせるか!」

 

「なっ!?両膝予備バッテリーごと脚部損失!?あの一瞬でかよクソッタレ!ぐぅ!?しかもハイドロ消失、グローパルス低下まで・・・・!」

 

 

アークエンジェル前方に落下したバスターだったが、即座に片腕でアークエンジェルに狙いをつける。そこにスバルのランスロットが強襲、ビームサーベル二刀で両膝の予備バッテリーごと脚部を斬り飛ばすように斬り抜けサーベルを投棄、更に反転しつつ両脇からサブアームを突き出させて90mm対空散弾銃を叩き込む。

 

「ッ・・・・」

 

「・・・・・」

 

落下と90mm対空散弾銃による衝撃に眉を寄せつつ計器を操作し、必死に立て直しを図るディアッカだったが、バスターの前にランスロットが着地、問答無用でコクピットにビームライフルとキャットゥスを向ける。

 

 

 

「・・・・・投降するなら、撃つ気はない」

 

 

「・・・・・・・・・ッ」

 

スバルの感情が感じられない声にディアッカは彼の言葉なき警告を顔を青くして理解する。すなわち"投降しないなら、コクピットを問答無用で撃つ"と。

 

「え・・・・?」

 

「投降する気か・・・・!?」

 

「・・・・ッ」

 

バスターのコクピットが開かれ、ヘルメットを取りつつ両手を上げたディアッカがライフルを構えるランスロットとアークエンジェルの前に姿を現す。

 

その様子を見て、マリューとナタルは唖然とする。ディアッカはやや顔は青いものの、憮然として顔で、ランスロットが構えるビームライフルとキャットゥスを睨むのだった。それはイージスが自爆する、僅か5分前の出来事である。

 

 

‡‡‡‡‡

 

「今の爆発音はなんだ!?」

 

「分かりません。ですが・・・スカイグラスパー2号機とストライク、その両方との通信が途絶しました」

 

「それと同時にイージスの反応も消失しました。バスター、及びそのパイロットは収容しましたが、クロガネ三佐の機体も損耗が激しく、直ぐには行動ができません。マードック軍曹からの報告では少なく見積もっても1時間はランスロットは動かせません。更に本艦は火器の約四割が使用不能。応急修理を行い、飛べる様になるまで10分が必要ですが、15分後にはこちらに接近中のディン4機と会敵します」

 

ブリッジに被害を受けたスカイグラスパー1号機から降りたムウが問いかける。マリューもナタルも最悪の事態を想定しつつ、答える。

 

 

「ヤマト少尉、ケーニヒ二等兵は共にMIA。応急修理完了次第直ぐに現空域を離脱すべきだと思います、艦長」

 

「2号機とストライクの最後の確認地点、ならびに島の位置と救援要請をオーブに通信。・・・・・責任は私がとる」

 

「クロガネ三佐・・・・!!」

 

「アークエンジェルは現空域を離脱するべきだ。・・・・ラミアス"艦長"。アナタはクルーにこの場で死ねと命令するつもりか!?」

 

「ッ・・・・!」

 

ナタルの報告に唇を噛み締めるマリュー。そんな彼女に変わり、ブリッジにやってきたスバルが変わりに指示を出す。余りの越権行為に、マリューがスバルを見やると、彼の唇からは血が流れていた。

 

 

「・・・・・ッ!機関最大!この空域から離脱する!」

 

「・・・・艦長や隊長の責任は、非常に重たいな。だがラミアス艦長、この事態は俺にも少なからず責任がある」

 

マリューが指示を出す。そんな彼女をスバルはかなり申し訳なさそうな表情で見、ブリッジを後にするのであった。

 

‡‡‡‡‡‡

 

「トールがMIAだなんて・・・・」

 

「嬢ちゃん・・・・・」

 

 

「フラガ少佐、私が対処します。・・・・・彼が出撃を決意するような事態になったのは、作戦をたてた私の責任ですから」

 

「ッ三佐・・・・・。すまねえ」

 

 

ブリッジから格納庫に戻ったスバルは、スカイグラスパーのシュミレータ機の前にうずくまるミリアリアと、その前で俯くムウを見つける。

 

ミリアリアの嗚咽混じりの声を聞いた彼は、ムウに一言掛けてミリアリアに近寄る。ムウは、スバルの拳が堅く握りしめられていたことに気づき、申し訳なさそうに背を向け、その場を後にする。

 

「・・・・・責任は、あの作戦を立案した俺にある。殴ってくれても、・・・・・むしろ、殺されても文句は言えないよ」

 

「スバルさん・・・・嘘じゃ・・・・ないんですよね・・・・・」

 

涙を流すミリアリアは、思わずスバルに抱きつき、声を押し殺す。彼はそんな彼女に触れることすらできなかった。

 

 

‡‡‡‡‡

 

C.E.71 4月18日 マーシャル諸島

 

様々な要因があるためアークエンジェルにそのまま同乗、アラスカに向かうことになったスバル・クロガネ三佐からの緊急報告、及び緊急要請を受け、オーブ軍は大規模な探査団をマーシャル諸島のスカイグラスパー2号機とストライクの最後の信号が確認された島に派遣。その中には同行を強固に望んだ、カガリ・ユラ・アスハの姿もあった。

 

彼らの必死の捜索もむなしく、最終的に確認されたのは大破したストライクと、木っ端微塵になったイージスとスカイグラスパー2号機の残骸、そして気絶したアスラン・ザラしか発見することができなかったのである。

 




はい、と云うことでスバルにSEEDが発現しました

"SEED"とは
"人類のひとつ先のステージに進む"だとか、"種の進化的要素を決定付ける因子"だと解釈されています。

公式に監督が"火事場の馬鹿力"だと明言されたとはいえ、その解釈だと他にも多数のキャラが発現する可能性が出てきてしまうので、どうしたものか・・・・と悩んでいまが、ネット上での様々な方々の解釈を読ませていただいた結果、"遺伝子操作による進化ではなく、当人が潜在的に持つ進化的要素を持つ人物が発現する"、と解釈する事にしました。


色々と意見や批評が多くなりそうな要素でしたが、スバルのSEED発現はこの作品を執筆すると決めた当初から、ニコルの生存と共に決めていた事なので、ご了承ください。

あ、ちなみにキラもスバルも"最強"だとか"TUEEEE!"とかではありません。苦戦したり機体が破損したりする事は普通にあります。

2017/4/10 階級に関する勘違いを修正
2017/4/10 若干の添削
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。