機動戦士ガンダムSEED Urd   作:めーりん

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PHASEー17

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C.E.71 6月15日 09:30 オーブ近海

 

オーブからの再三に渡る会談要請を無視した地球軍は、ブルーコスモス盟主"ムルタ・アズラエル"の一声と共にオーブのマスドライバー施設"カグヤ"とモルゲンレーテ社の工廠を確保するために侵攻を開始する。

 

しかし、侵攻開始から30分も経過しない内に飛び込んできた報告に 、旗艦に詰めていたアズラエルと指揮官は揃って顔を青くする。

 

「なん・・・・・・だと・・・・?」

 

「誤報・・・・ではないのか・・・・?」

 

「誤報ではありません!空挺部隊及び補給部隊、壊滅との報告です!」

 

信じられない、という表情の指揮官とアズラエルに、若干顔の青い士官が繰り返し報告を行う。さらに追い討ちを掛けるように前線から報告が届く。

 

「こちら第2揚陸船団!オーブに近寄れません!う・・・・うわぁぁ!?総員退艦!。退避!!退避ぃぃ!!」

 

「こちら第3打撃艦隊!敵の砲撃激しく被害甚大!後退の許可を!」

 

「な・・・・何が起きてるんですか・・・!!誰か説明してくださいよ!」

 

「情報が錯綜しています。一時撤退し、正確な情報を集めるべきかと」

 

もたらされた情報にヒステリック気味にアズラエルが頭を抱える。指揮官もまずは情報が必要だと判断しアズラエルに進言、彼が頷くのを確認すると即座に撤退の指示を出すのだった。

 

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スモークを散布しつつ後退してゆく地球軍。その報告を受け、オーブ防衛本部にてウズミは小さく息を吐き出していた。地球軍の戦術は数の利を活かした波状攻撃。僅か30分足らずの攻防だったとはいえ、その圧力は聞いていた以上の恐ろしさだと、防衛本部にいたウズミは感じていた。

 

「敵の第一波は退けた。大至急補給と整備を行わせよ。またパイロット達には交代で休息をとるように徹底させるのだ。地球軍の動きには細心の注意をするように」

 

「はっ。アークエンジェル率いる別動隊も補給の為に帰還した模様です」

 

「そちらの補給等も手早く済ませよ。地球軍の連中がこの程度で諦めるとは到底思えぬ」

 

ウズミの指示に、防衛本部の士官達は頷き、指示を出して行く。

 

「お父様、地球軍からの回答は・・・・」

 

「相も変わらず、未だに独立の道を行くオーブこそ、我々地球連合とプラントとの戦火を長引かせる元、だそうだ。奴ら、相当焦っているみたいだな」

 

不安そうなカガリからの問いに、ウズミはやや呆れ気味に答える。さらに数人のオペレーターがウズミに報告に現れる。

 

「お父様、スバルから、ですか?」

 

「うむ。ストライク含むGAT計画を発展させた機体が投入される可能性をあげてきた。アラスカでアークエンジェルからストライクの稼働データは渡った筈だから、投入される可能性はあるだろう、とな」

 

「あいつ、ドコまで予測してるんだろうな」

 

ウズミの言葉に、上を見上げるカガリ。ウズミは現在、スバル・クロガネという一個人に頼りすぎている現状を何とかしないといけない、と決意を固める。

 

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同日 14:30

 

一時撤退し、情報を集めた地球軍(というよりは大西洋連邦)の旗艦ではブルーコスモス盟主"ムルタ・アズラエル"がイライラしたようにオーブ近辺の地図を睨み付けていた。

 

ZAFTの量産MSに対抗できるMSを開発し、大量配備も完了した。MSを用いた得意の物量作戦ならばオーブも容易く落とせるとたかを括っていたのだが、ふたを開けてみれば上陸前に壊滅的被害を受け、補給線にも攻撃を受けてしまった。

 

「部隊の再編成は完了しました。しかしあの防衛ラインをどうにかしなくては、先の二の舞ですぞ?」

 

「分かっていますよそんな事!大体、貴方達がもっとあの国の情報を集めていればこんな屈辱、味わうことなんかなかったんですよ!?」

 

報告に現れた士官に、苛立たしげに反論するアズラエル。頭を抱えながら考え込んでいた彼だったが、突如顔を上げる。

 

「補給や整備が完了次第、つぎの戦闘には"アレ"を投入しましょう」

 

「確か時間制限があるのでは?」

 

「構いませんよ。あの防衛ラインに風穴を開けさえすれば後は、数で押し潰せる。そうでしょう?それとも、他に策がありますか?」

 

どこか狂気染みた笑みと共にアズラエルが提案する。その提案に、指揮官は懸念を述べるが、アズラエルの反論に半ば諦めがちに頷く。

 

「さあ、フォビドゥン、カラミティ、レイダー発進スタンバイです。補給が完了次第、今回で決めてしまいましょうか?ボクもいい加減、地面のある場所で食事がとりたいですしねぇ」

 

「補給が完了次第、第一戦闘配備。カラミティ、フォビドゥン、レイダー発進後、鶴翼の陣で艦隊を展開。穴が空けばそこに楔を打つ!」

 

アズラエルと指揮官が指示を発令する。ここに第二次オーブ攻防戦の火蓋が切られるのだった。

 

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後に"オーブ攻防戦"と呼ばれる事になったこの戦闘は、防衛戦の教本になるとまで言われるほどオーブ側の防衛方法は強固なものだった。逆に攻撃を仕掛けた側が引くタイミングを読み違えた事や従来通りの攻めかたしかしなかった事などから、大西洋連邦最大の失策とまで呼ばれる戦闘となるのだった。

 

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オーブ国防本部

 

「大西洋連邦側の動きはどうか」

 

「大攻勢を行うためか、予備戦力の合流を待つようです。アークエンジェル隊の行った"嫌がらせ"の為、時間は稼げているようですが」

 

国防本部の一室に主だった人員が集まり、現状の再確認を行う。机の上に広げられた地図の上には無数のメモ書きが貼り付けられ、今もなお連絡要員が報告と共に張り付けていく。

 

「やはり国力の差で押し負けてしまうか」

 

「はっ。保ってあと一回かと。隊員達の体力、気力も最早限界です」

 

顎に手を当て、ウズミが唸る。リニアガンタンク隊を指揮していた士官が感情を圧し殺しながら報告する。

 

「やむを得まい。これよりフェーズ4に移行する!避難がまだ完了していない国民達もカグヤに集めよ。我らはこれよりオーブより脱出する!」

 

「・・・・・・・・はっ。」

 

握りしめた拳から血を流しつつウズミが指示を出す。各部隊の指揮官達も、唇を噛み締めつつ応じ、作業に取りかかる。こうして、大西洋連邦側の思惑に反し、オーブは素早く行動を開始するのだった。

 

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大西洋連邦の攻勢は、アークエンジェル率いる別動隊が行った妨害行為により、本来の予定より大幅に遅れて実行に移された(当初の予定では、同日中に行う予定だったが、妨害行為により合流が遅れに遅れた)。この時オーブ側は既に戦力の八割をマスドライバー施設"カグヤ"に結集させ、脱出準備の八割を完了させており、地球に残留する潜水艦部隊や海上打撃部隊は既に中立国である、スカンジナビア王国に身を寄せるためにオーブを離脱していたのだった。

 

作戦を立案したスバルは、アサギ・コードウェル、マユラ・ラバッツ、ジュリ・ウー・ニェン、キラ・ヤマト、ムウ・ラ・フラガ達と共に殿(しんがり)として待ち受ける構えを取る。こうしてオーブ攻防戦は、最終段階を迎えることになるのだった。

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