機動戦士ガンダムSEED Urd   作:めーりん

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PHASE-22

†††††

 

マイウス市のとある兵器工廠の傍に、大型の建物が複数ある。そこはその工廠に籍を置く技術者や、研究者の住まいであった。その建物の中の一部屋に、二人の人物が向かい合っていた。

 

一人は赤服を身に纏う少女"シホ・ハーネンフース"。ZAFTに所属する研究技術者である。もう一人はオーブに亡命し、現在は和平への道を探る為の任務でプラントに変装して来訪した男性"スバル・クロガネ"。現在は変装を解き、私服に着替えている。

 

「それにしても久しぶりね、スバルさん。貴方を世界樹攻防が始まってすぐ、ハイライン局がわざわざナスカ級を使ってまで戦場から引き抜いて以来、かしら」

 

「そうだな。・・・・ところで俺の変装を見破れた理由を教えてくれないか?一応、俺にも今の立場があるのは理解してくれていると思うんだが」

 

「え?そんなのただの勘よ?いわゆる"女の勘"ってやつ」

 

笑みを浮かべるシホに柔らかい笑みを浮かべていたスバルだったが、それでもまずは変装を見破られた理由を解明しておかないとならない、と思い、理由を聞いてみる。それに対してシホはなんて事はない、と言わんばかりに答える。

 

「・・・・嘘だろ」

 

「本当よ。MS操縦の師でもある貴方を、貴方の弟子たる私が見間違うはずないじゃない。多分、バルトフェルド隊にいた頃、貴方の元で戦っていた"彼ら"でも、貴方に会えば気づいたんじゃないかしら。多分だけれど、バルトフェルド艦長らが気づかなかったのは一種の先入観が原因だと思うわ。今の貴方は以前よりいい表情をするようになっているし」

 

唖然とするスバルに、シホは少しばかり得意げに答える。頭を抱えるスバルだったが、腕時計が小さく振動を伝えてきた事を感じると、意識を切り替える。

 

「悪いが時間になってしまったらしい。できれば敵同士にはなりたくない、と言うのは俺が弱くなったのか・・・・」

 

「いいえ?かつての貴方より、今の貴方の方が人間味があると私は思うわ。・・・・・後はそうね、これも良いきっかけかな・・・・・?」

 

苦笑しながら立ち上がるスバルを見て、小さく笑みを浮かべて立ち上がると歩み寄るシホ。スバルが怪訝そうな表情を浮かべると、そこでシホはスバルの腕を掴み、問答無用で別の部屋に彼を引っ張り込む。

 

「って何してるんだ?お前はZAFTの軍人だろう!?」

 

「今のプラントはザラ議長の独裁状態よ。そして彼は完全に私怨で軍を指揮している。少なくとも私は、彼の私兵に成り下がるつもりはないわ。だから、オーブに亡命したいの」

 

連れ込まれたのはシホの私室だったらしく、狼狽えるスバルに、ベッド下に隠してあったパネルに素早く番号を打ち込みながらはっきりと答えるシホ。再び唖然とするスバルの目の前で床がスライドし、明らかに不法に作ったとしか思えない通路が姿を現わす。

 

「機体は二機用意してあるの。一機は私の予備だけどね」

 

「・・・・一度決めたら曲げないのは相変わらずか・・・・・。まあ、亡命は俺も話してみよう」

 

「ありがとう。・・・・・着いたわ」

 

通路を移動しながら隣に居るシホを見て、少しだけ笑みを浮かべるスバル。そんな二人の前に重厚な扉が姿を現わす。シホがそこにパスワードを打ち込み、網膜認識を行うと、扉が開いてゆく。

 

「ZAFTの新型か・・・・。しかしコイツは確か、ゾノやラゴゥと一緒にプロパガンダも込みで発表されていなかったか?配備がなかったから廃棄されたものだと思っていたんだが」

 

「ええ、そうね。でもクルーゼ隊が連合のGを鹵獲した事を受け、この機体はマイウス・ミリタリー・インダストリーが中心となって再開発されたの。私が中心となって研究していたビーム兵器搭載型の機体稼働データと、鹵獲したGATシリーズのデータを統合して、ね。形式番号ZGMF-600、機体ネームはゲイツ。連合の機体が全機PS(フェイズシフト)装甲を搭載していると仮定して、ビーム兵器を標準装備に設定された、近接型の機体よ。私の機体は中距離仕様にカスタマイズしてあるけどね」

 

扉の向こうにあったのは、ZAFTの量産機特有のモノアイとセンサーを備えた機体であった。シホはスバルに説明をしながら側にあった部屋に入って行く。

 

「ところで迎えなどは大丈夫なの?」

 

「近くのデブリ帯にイズモとアークエンジェルが隠密状態で伏せている。警戒しているナスカ級の脚に多少の損害を与えちまえば逃げるのは容易いさ」

 

部屋の側に背を預けるスバルに扉越しにシホが問いかける。スバルの答えに納得したのか、ノーマルスーツに着替えたシホが、部屋から少々の私物を入れたカバンを肩にかけて出てくる。

 

「ノーマルスーツはどうするの?」

 

「時間が惜しいから構わない。行くぞ。・・・・・アスランは自力でなんとかしてもらおう。元々、付いてくると言い張ったのはアイツだし、いざとなれば置いていくとも伝えてあるしな」

 

私服のままシホの予備機であるゲイツに乗り込むスバル。シホも気持ちを切り替えたのか、自身のゲイツに乗り込む。

 

「スバルさん、レーダーに感ありよ。この反応は・・・・エターナル?」

 

「混乱しているなら好都合だ。これに乗じて離脱するぞ」

 

機体を立ち上げたシホがレーダーに映った情報に眉を寄せる。スバルも少し考え込むが、気持ちを切り替えて前を見据える。

 

「極力追撃部隊は撃破しないほうが足止めになる。ヤキン宙域まで行けば、ニコルが気づいてくれるだろうしな。・・・・・行くぞ」

 

「ええ。・・・・・・また貴方と肩を並べられる事に感謝するわ」

 

シホが機体側から操作してハッチを開く。ハッチが開ききった瞬間、スバルが操るゲイツが先行し、シホも迷いなく続くのであった。

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