PHASE-03
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C.E.71 2月14日
「ふむ・・・・連合で新型モビルスーツ開発、内一機と新型艦が未だに行動中。第八艦隊と新型が合流。で、追撃は"あの"クルーゼ隊、ねぇ」
「目的地はどこですかね。やはり連合の本部があるアラスカでしょうか」
夜遅く、日付が変わったばかりレセップスの士官室の一つにてバルトフェルドがプラントで発行された紙面に目を通しながら思案する。副官のダコスタの考えもかなり常識的であるため、バルトフェルドは小さく頷くだけで、何も言わなかった。
北アフリカ方面に在留するバルトフェルド隊には件の新型艦や新型モビルスーツの話題はあまり関係がないことなので、頭の片隅に入れる程度にしておく両名。
「嫌いな奴とはいえあのクルーゼの隊が追撃してるんだ。こっちまで来ることはないと思いたいねえ」
「ええ。ただでさえテロリストやレジスタンスの存在に悩まされてますから」
「逆らわなければ撃つ気はないのだがねぇ・・・・・」
現在の問題を思い浮かべ、どちらからともなく深いため息をつく両名。すると控えめに士官室のドアがノックされる。
「入りたまえ」
「新型の最新情報です。どうやら新型艦はこちらに降下する模様」
「ん、・・・・・やれやれ、君も早く寝たまえ。こちらに来るのならば相手せざるを得ないだろうしな」
報告書片手に入ってきたのはスバルだった。バルトフェルドは彼から報告書を受け取るとそれに目を通すと傍らにいるダコスタに手渡し、席を立つ。
「ダコスタ君も寝たまえ。当直に事情を説明、必要最低限の人員だけ当直に残し、新型艦に備える」
「了解です」
ダコスタに指示を出したバルトフェルドは、一度深いため息をつき、まだ名も知らぬ新型艦に備えて英気を養うことにするのだった。
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C.E.71 2月15日
北アフリカエリア リビア砂漠
クルーゼ隊の襲撃を受けた結果、第八艦隊の奮戦虚しく連合軍の新造艦"アークエンジェル"はザフト勢力下のアフリカ共同体に降下する事になっていた。
夜半、アークエンジェルCICにアラートが鳴り響く。それと同時にミサイルが飛来。緊急起動した白亜の艦の対空砲が弾幕を形成してミサイルを叩き落とし、さらにフレアが散布されミサイルを逸らしてゆく。
「始めようか。スバル君、君にモビルスーツ隊の一番槍、また任せることになる。あのクルーゼ隊が破壊できなかった新型艦だ。艦の性能、噂の新型モビルスーツ、GAT-X105ストライクの地上での性能、そのパイロット等謎が多い。無理は禁物だ。そのストライクが出てきたら出てくれ」
「分かっています。できる限り情報を引き出してみます」
ミサイルを見送りつつ指揮車からバルトフェルドが双眼鏡でミサイルを迎撃する新型艦を見据え、指示を出す。
部下が無線機に指示を伝えるとザフトの戦闘支援ヘリ"アジャイル"が新型艦に向かいつつ有線制御ミサイルを放ち離脱してゆく。
「隊長!出てきました、情報にあったストライクです!」
「スバル、先手を打ったらバクゥ隊に今回は任せてみてくれ。バクゥ隊、何時もの戦術でな!」
アークエンジェルから一機のモビルスーツが発進、砂漠に降り立つ。それを確認したバルトフェルドは、モビルスーツ隊に指示を出す。
「「「了解!」」」
部下達の返事を聞きつつ、バルトフェルドは双眼鏡を再び覗き込むのだった
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「ストライクを確認。各機、仕掛けるぞ」
「「「了解!」」」
ランチャーストライクが砂漠に脚を取られているのを確認したスバルはバクゥ隊に先駆けて突撃、ストライクの肩を足場にして前方に跳躍する。
「ぐぅぅ・・・・」
ストライクのパイロット"キラ・ヤマト"は襲い来る衝撃に呻くしかない。更にスバル機に続くように2機のバクゥが通過、更にもう一機がミサイルを放つ。
「あれは・・・・!」
新型艦"アークエンジェル"の艦長を務めることになった地球軍の士官"マリュー・ラミアス"はその4機の機影に目を見開く。
「キラ・・・!」
「ZGMF-515、TMF/A-802、ザフト軍モビルスーツ、シグーならびにバクゥと確認!」
「なっ・・・・バクゥだと!?」
オペレーターを務める少女"ミリアリア・ハウ"が思わず、と言う具合に声を上げ、CICの一角に座る青年"サイ・アーガイル"が機種を判別する。
副艦長を務めることになった女性"ナタル・バジルール"は判明した機種に驚きを隠せない。
「くっ・・・・!」
ランチャーストライクが背面の320mm超高インパルス砲"アグニ"を構え、その砲身からコロニーすら破壊可能なビームを連射する。
「回避行動を行いつつ各機散開、フォーメーションで叩く!」
「宇宙じゃどうだったか知らないがな・・・」
「地上じゃこのバクゥが王者だ・・・!」
スバルのシグーアサルトが砂丘に隠れるように回避し、バクゥはその脚部に搭載された無限軌道による機動性を見せつけるようにアグニの砲撃を回避、2機の450mm2連装レールガンを撃ち放ち、更にもう一機が撹乱する様な軌道でランチャーストライクを翻弄する。
「スレッジハマー、撃て!」
「ストライクに当たります!」
「フェイズシフト装甲がある!このままではどうにもならん!」
見かねたバジルールがフェイズシフト装甲の利点を利用し、ミサイルの発射指示を出す。
「ミサイルだ!回避しろ!あのコースならストライクにも当たる可能性がある。俺はあの新型艦の牽制に回る。ストライクは任せる」
「「「了解」」」
ミサイルが放たれ、それを確認したスバルが指示を出す。バクゥ各機が離れると同時にストライク周辺に着弾する。
「パイロットに優しくない指揮官だなぁ・・・・・それとも信頼しているのか?にしても良いモビルスーツだ。それにパイロットの腕も良い。が、所詮は人型、この砂漠でバクゥに、彼以外に二脚型で勝てるのを僕は知らんよ」
バクゥの波状攻撃に対応するランチャーストライクを双眼鏡で見ながら評価するバルトフェルド。
「少佐のスカイグラスパーはまだ出られないの!?」
「それが例のシグーの攻撃が激しく、仮に出そうとしても出た瞬間落とされる可能性が高いです!」
ストライクの苦戦に焦りを隠せないマリュー。しかしアークエンジェルにはバルトフェルドの言う例外"スバル・クロムハーツ"がシグーアサルトに搭載されたグレネードランチャーで牽制しており、そちらの対処で手一杯という風で、ストライクの支援に回ることができないでいる。
「いい加減に・・・・!」
何度攻撃しても撃破できないストライクに痺れを切らせたミサイルポッド装備のバクゥが至近距離からミサイルを叩き込もうと飛びかかる。
「何っ!?」
しかし咄嗟に砂の接地圧に運動プログラムを対応させたストライクが膝蹴りでバクゥを迎撃する。
「こいつ・・・!」
その背後から450mm2連装レールガン装備のバクゥが強襲する。しかしそれをランチャーストライクはアグニの砲身で迎撃、バクゥはひっくり返るように吹き飛ばされる。
「ひっ・・・・」
レールガン装備のバクゥパイロットが最後に見たのは、月明かりに照らされたアグニの砲身から放たれたビームの光であった。
「あの短時間で運動プログラムを砂地に対応?おいおいおい、アレに乗っているのは本当にナチュラルか?レセップスのダコスタ君に砲撃指示だ!スバル、バクゥ隊の支援に回ってくれ。アレはただの機体じゃない、気をつけてかかれ!」
「了解です」
「了解」
双眼鏡でバクゥの撃破を見ていたバルトフェルドは考えを改める。副官と砂地でバクゥ隊に対抗できる数少ない例外たる少年に通信を入れる。両名からの了承を受け、バルトフェルドは再び双眼鏡をのぞき込むのだった。
「南西より熱源接近!」
「離礁!緊急回避!」
「砲撃だと!?」
「本艦より南西20キロ地点と推定!」
「本艦の攻撃装備では対応できません!」
レセップスの40cm2連装砲二門からの砲撃に急ぎ対応するアークエンジェルクルー。そこに格納庫から通信が入る
「俺が出て敵艦をレーザーで照射する!それを元にミサイルを撃ち込め!それまで当たるなよ!?」
「シグーに牽制射!ウォンバット、てぇー!!」
スカイグラスパーに搭乗したムゥ・ラ・フラガからの通信でバジルールが即座にシグーに向けて大気圏内用のミサイル発射指示を出す。
「ちっ・・・・」
「進路クリア、フラガ機発進どうぞ!」
襲い来るミサイルにスバルは素早く対応、回避行動をとりつつ右手に装備したM7070 28mmバルカンシステム内装防盾と左手のMMI-M7S 76mm重突撃機銃で弾幕を形成、ミサイルを迎撃するが、その隙にスカイグラスパーが発進する。
「ん?アレは報告になかった機体だな。第八艦隊からの補給か?だがスバルを警戒しているなアレは。なら、アジャイルはバクゥ隊の支援に回れ!」
「第二波接近!」
「回避!上げ舵20、取り舵15!総員衝撃に備えて!」
「直撃、来ます!」
スカイグラスパーを確認したバルトフェルドは一人呟きつつも指示を出す。一方アークエンジェルはレセップスの第二波砲撃が襲いかかっていた。
「・・・・・っ」
キラの瞳から虹彩が消え、ランチャーストライクが動く。120mm対艦バルカン砲で目くらましを行い、襲い来るミサイルポッド装備のバクゥにショルダータックル、その反動で自ら離れるとレセップスの砲弾目掛けてアグニを二連射、砲弾を撃墜する。
「確かに凄まじい性能の機体だが、情報だとそろそろパワーダウンのはず。沈めさせてもらう。残りのバクゥも出せ。レイラムの敵討ちといこう。スバルは?」
「現在アークエンジェルから放たれるミサイルを迎撃、あの戦闘機を牽制しつつストライク側へ移動中です」
手元の端末にデータを撃ち込みつつバクゥ隊に指示を出す。スバルはアークエンジェルから断続的に放たれるミサイルを弾薬を抑えつつ迎撃していた。その間にアジャイルはバクゥ隊の支援に回る。
「ストライク、エネルギー危険域です!」
「くっ・・・・・アグニを撃ちすぎた・・・!」
そしてストライク・アークエンジェル側ではバルトフェルドの読み通り、ストライクのパワーが危険域に達していた。
。
「何・・・?」
突如飛来したミサイルがアジャイルに直撃、撃破する。砂漠の向こう側から砂埃と共に複数の車両がミサイルとガトリング砲を放ちながら接近してくるのをスバルのシグーが捉える。
「隊長・・・!明けの砂漠の連中だと思われます」
「ちぃ・・・!地球軍のモビルスーツを助ける気か!」
レジスタンスの思わぬ介入に舌打ちするバルトフェルド。まさか連中が地球軍の味方をするとは予想だにしていなかった為、彼にしては珍しく素早い指示が出せなかった。
「隊長、バクゥ隊とアジャイルが!」
「なっ・・・・!レイラムをやられて頭に血が上っているのか・・・・!」
レジスタンスの車両に導かれるようにストライクが移動を開始、それを追撃するように追加した分も含めて三機のバクゥと4機のアジャイルが移動を開始する。その僅か後、指揮車に乗るバルトフェルド、シグーに乗るスバル両名の目に、凄まじい爆風が目に映る。
「スバル、残存部隊を纏めてレセップスまで撤収だ」
「・・・了解」
バルトフェルドは普段とは僅かに反応が鈍かったスバルの応答に、残存部隊がスバルの機体一機のみであったと理解する。
こうして彼等バルトフェルド隊とアークエンジェルの初戦はバルトフェルド隊の大敗という形となるのだった。
2017/4/11 添削を行いました