魔法少女?リリカルなのはDiabolical Modified 〜魔改造された彼女たちの運命〜 作:アリヤ
「やっぱり、こんなところに居た」
「…………」
まさか、屋上に居ることが簡単にばれてしまうとは思いもしなかった。別に逃げていた訳でもないが、場所も教えてすらいないのにも関わらず、こうも簡単に見つかってしまえば対応もすぐに出来ないかったからだ。
また、授業中だというのにどうしてこんなところに居るのだろうかとなのはは思ってしまう。自分もサボっているというのにも関わらずなのははついそのような事を思ってしまった。
「なのはちゃんの事が気になって、授業中に具合悪くなったって嘘ついて教室から出てきちゃった」
「……どうして、ここが分かったの」
なのはが思った事をすずかは答えてきたが、すぐにもう一つ思っていた疑問をすずかに問いかける。
先ほど思っていた本心とは違い、結局いつも通りの――誰とも関わりたくないみたいな強い口調で聴いていた。本心ではそのような口調で言いたくないと思っているのにも関わらず、自分の捻じ曲がってる性格のせいでついそのように言ってしまったのだ。
しかし、すずかはなのはの強い口調に対して特に動じず、なのはの問いに答えた。
「単なる勘かな? 保健室も考えたけど、具合が悪いって言って教室を出たのだから、保健室は後でも行けると思って屋上に向かったの。そうしたら、なのはちゃんの姿が見えたから」
「……そう」
先生に会う確率が少なく、教室から屋上までならばあのとき先生に会う事はないだろうという考えから屋上に来たわけなのだが、どうやらすずかはその辺りの事まで考えていなかったようだ。だけどそれでも屋上に居ると思ったことを考えると、屋上以外にもどこか隠れていられる場所を探しておくべきだったとなのはは思ってしまった。
さっきから本心と真逆の考えをしているなのはではあるが、その事にあまり気づいていない。そのため、どうして本心と真逆の考えをしているのかを、なのはは全く気にもしていなかった。
「……ねぇ、なのはちゃん。やっぱり、誘拐されたことがきっかけで今みたいになっちゃってるの?」
「やっぱり、知ってたの?」
「うん。何をされたのかは、さすがになのはちゃん以外に知らないけど――誘拐された間に何かあったことくらいはなんとなく分かるから――」
「だったら、私をほっておいてよっ!! 家族にも全く接していないことから察してよ――っ!!」
またしても、なのはは自分が思っている事と真逆の事を言ってしまっていた。さすがにこの事に関してはすぐになのはも気づき、自分が言った言葉に後悔した。
どうしてこんなにも本心と逆の事を言ってしまうのかが分からず、自分で自分が分からないでいた。いや、正確にはどうして真逆の事を言ってしまうのかはなのはが一番理解している。簡単な話、人が怖いのだ。
誘拐されて以降、なのははその時受けた仕打ちによって、他人が信じられないでいた。今はそこまで信じられないわけではないのだけども、
どんなに他人と仲良くしたいと思っていても、身体が拒絶してしまう限りはなのはすらもどうしようもない。本心と逆の事を言ってしまうのも、無意識な思考によるものだった。
そしてそれを、なのはは今更だけどようやく自覚していた。どうして自分がこのような事を言ってしまい、こんなにも体が震えていたりする理由を。そして、先ほども席で揉めていた時にも体が震えていた理由も――
「……本当は、今のままだとダメだって分かってるんでしょ? このままだと、自分の末路がどうなるかって――」
「それがなに? 私の異能力が何か忘れたわけじゃないよねっ!!?」
「うん――知ってるよ。だけど、使ってるとは限らない。ううん、多分なのはちゃんは未来を見ることが出来ても、それを見るのが怖いのじゃないかな? どんな末路になるのかが目に見えてるから――」
「どこにそんな根拠を!!」
だが図星だった。図星だからこそ、なのははすずかに怒鳴りながらも言ってしまった。
未来を見ることが怖い。今のままが続けばどうなるのかがなんとなく分かってしまうからこそ、未来を見ることが恐ろしかった。別に少し先の未来を見るのならば特に何もなく見れるのだが、何年、何十年先の未来を見ることにはどうしても見ようとも思わず、逆に見たくないっていう気持ちの方がかなり大きかった。だから未来を見るときは、基本的戦いの中、相手の攻撃パターンを先読みする時だけになっていた。
「根拠はないよ。だけど、そうなんじゃないかって。それに――」
「それに?」
「気のせいかもしれないけど、なのはちゃんは今、別の意味でも怖がってない? なんか、体が震えているようにも見えるのだけど?」
その言葉に、なのはは内心動揺していた。さっきから本当の事を言われて驚いたりはしていたが、体が震えていると気づかれるとは思いもしなかった。
そしてすずかはなのはへと近づこうと歩きだし始めたが、なのはは無意識に足を後ろに引いていた。どうして無意識に足を後ろに引いていたのかは、なのはでもわからないでいた。すずかの何が怖いのか――それすらもなのははわからなかった。
「もしかして――私が怖かったりするの? 別に私は何もするつもりないのだけど……」
「お、お願いだから……近づかないで……」
同い年だというのにも関わらず、遂になのははすずかに対して怯えていた。どうして怯えているのかは分からず、どうしてすずかを避けるような言葉を放ったすらもわからなくて、自分で自分の事が訳分からないでいた。
どうして体が震え、怯え、逃げようとしているのか。今まで身体が震えることは人が近づくことに何度かあり、家ですらもあったくらいなのだが、ここまで怖いと思ったことはなかった。
なぜ、このような事になのはがなってしまったのか――その理由についてはなのはも理解している。しかし、そのおかげで身体が拒絶するほどに他人と接することが今のなのはには出来なくなっていた。ここまで重傷だという事も、なのは事態知ったくらいだったのだから――
「大丈夫。もうなのはちゃんがあのような事をされることはないんだから……」
「…………」
いつの間にかすずかはなのはの目の前まで近づいており、抱きしめられていた。
突然の行動になのはは驚き、体の震えは止まらないけど少し落ち着くことが出来た。
「辛かったんだろうね……どんな目にあったかは分からないけど、私はなのはちゃんの味方だから――」
「……無理だよ。どんなに私が望んでも、身体が拒絶してるから――」
遂になのはは否定するわけではなく、唯の弱気な声になっていた。
この時点でなのははもう狂っていたのだろう。表面上も内心も平常に戻れたかのように思えたが、心のどこかで誘拐されたときのせいで身体が拒絶してしまったいたのだ。
「挑む前に諦めたら、何も変わらないよ。私が支えてあげるから、一緒に頑張っていこう」
「ぁ――」
その言葉を聞いた瞬間、ずっと震えていた体は突然治まり、すずかに抱きしめられている事が温かく感じた。
そして同時に、今までの自分が抱えてきたことが突然と軽くなり、こんなに軽いと感じたことが今までになかった。なのはの中で何かが決壊していき、今まで溜め込んでいたものを思いっきり吐き出した――
「――怖かった。私も気づいていなかったけども、人を話すのが怖かった……」
「うん……」
「……またあの時みたいにされるのではないかって思ったりして、信用していたのに裏切られたときのことを思ってしまうと、どうしても怖かったの」
「……何があったのか話してくれる?」
なのははすずかの言葉に頷いた。なのはが誘拐されたときの記憶を話すのは実は初めてだったりした。
正直に言えば、こんな記憶は自分の中で閉まって、両親にすら言うつもりはいなかった。それを聞いてしまえば、あまりにも悲惨で、悲しくさせ、そして涙を見ることになっただろうから――
それほどまでに酷かったのだ。誰も悲しませず、同情をさせないためにも、今まで黙っていて自分の中で忘れようと考えていた。
だが――そう決意してなのはがすずかに話そうと思ったのは、多分信用が出来ると思ったからだろう。正確には完全に信用していないのだけども、すずかなら別に話しても構わないような気がしていた。
そしてなのはは、すずかに誘拐されたときの出来事を話し始めるのだった――
前回であのように決意したのにもかかわらず、本当の事と真逆なことを言ってしまった理由は次回の過去話にて。
次回で終われるかな……無印入りたい……