つまらない文章ですが、お付き合い頂けると幸いです。
目を覚ました時、"彼女"は自分がどこに居るのか全く分からなかった。
"彼女"の目の前には一人の男と一人の女。
だが目の前の二人の男女は一風変わった格好をしている。
凛とした佇まいで屹立している白い軍服を着た男。風貌は随分と若く見え、精々二十代前半ほどの見た目だ。
もう一人は軍服の男の隣に青を基調とした道着を身にまとった女だった。凛とした表情で冷やかな目をしているが、落ち着いた物腰をしている。髪型は真っ直ぐ伸びた黒髪を一つにまとめた清潔感のあるものだった。
場所はおそらくどこかの軍事拠点の軍需工場であると思われる。
だが、"彼女"は自分が何であるかすら理解できていなかった。
"彼女"は困惑していた。
全く見覚えのない場所に立っているからだ。
自分がこんな場所に来た覚えはない、こんな場所すら知らない。
"彼女"は元々"彼女"ではなかった。
そもそも"彼女"は女性ではなかった。
そうだ、"彼女"は至極普通の男性であった。
進学と共に上京し、それなりに偏差値の高い国立大学に通って、いくつかのアルバイトを掛け持ちしながらの一人暮らしを送っていた。
交際している人間も居なかったが、人間関係は割と充実していた。
今まで不自由なく幸せに暮らし、これからもそのつもりだった。
だが、違った。
彼は死んだのだ。
21歳と短い生涯だった。人間の平均寿命に比べれば、余りにも短いものだった。
彼は持病は持っていなかった。自殺でもない。
彼は"事故"で死んだのだ。
交通事故だった。信号無視の車に撥ねられ、全身を強打した。即死だった。
彼は思い出した。
自分に何があったのかを。彼は黙考した、漠然と自分の頭の中に"前世"の記憶が走馬灯のように巡った。
だが、彼はもう"彼"ではなかった。
そう、"彼女"は彼とは全くの別人、彼は生れ変わったのだ。
"彼女"は、目を見開かせた。
目の前には変わらない二人の男女と、鼻腔を刺激するような鉄の匂い。
辺りを見回してみると、そこら一帯は白いシートのようなもので包まれており、背後には緻密な精密機械のようなものがあった。
まるで工場などにある"ドック"のようなものがあった。
これは夢なんかじゃない、現実だった。