第2章ハジメテノタタカイ(後編)
屋上に着くと奴は何やら魔法を唱えはじめた。
「ボンノー、アイツは何をやってるんだ?」
(恐らく、邪魔が入らないように結界を張ってるんだろう。)
「そうか、じゃあ思いっきり暴れてもいいってことだな・・・。」
この会話が終わると同時に結界がはりおわったらしい。天使は正面から立ってポケットからコインを取り出した。
「このコインが地面に落ちたとき・・・そのとき戦闘の合図だ。いくぞ?」
キイィーン
コインが高い音を立ててなった、その瞬間天使は、神々しい羽を出した。
「これから、殺される君に僕の名前を教えてあげよう、神速のカリエル、この学校では、狩林幸太と名乗ってい、、、」
コインが地面に落ちた。
俺は相手が名乗り終わらないうちに斬りかかった。名乗り出るなんて日本では、元寇の時代に廃れた文化だぜ!
「相棒よ、話を聞かなくて良かったのか?」
ボンノーがあまりの悪役ぶりに質問してくる。
「良いんだよ、俺らはライダーや戦隊モノの悪役じゃない、相手の変身シーンを見てるうちに攻撃してしまえば・・・」
斬ったという感触は無かったがそれは魔剣であるボンノーの斬れ味の良さ故にだろうと思い、安心して振り返るとそこに天使がいた。
ズン!!!
「っっ!?」
声にならない声が出た 。
ドガッ!!!
気づけば俺は落下防止の金網に打ち付けられていた。
「言っただろう、僕は神速のカリエル。君の動きじゃ神速には追いつけない!あと、人の話はちゃんと最後まで聞け!!」
怒り混じりにそう説明されたが、最後の部分が本題な気もする、だが確かに奴に不意打ちの攻撃は当たらなかった。
「ボンノー、あいつ初手にしては強すぎじゃないか?」
「仕方無い、天使とは人よりも数段強いモノだからな。」
「勝つ手はないのか?」
運動神経は割とあると言っても武術や剣術を習ったわけではない。まして今の攻撃が外れた俺に為すすべはなかった。
「くそ、どうすりゃ良いんだ?」
「欲望を溜めるのだ。相棒、中等部二年の時「俺の煩悩は余裕で108以上ある除夜の鐘如きでは傷一つけられぬは、ハッハッハ」と言ったことがあるであろう、相棒ならできる。」
俺の黒歴史が一つオープンされていた。
「なんでお前がそれを知ってんだよ!人の黒歴史勝手に公開してんじゃねえよ!」
俺が文句を言っているとボンノーは、
「何を言っている相棒よ。我は伝説の魔剣だぞ。」
ボンノーはさも当然の様に答えた。
「なに?魔剣て、なんでもありなわけ?・・・まぁいいや、それで、欲望を溜めるって言ったってそんな暇あんのかよ?あいつ神速らしいぞ。」
「なに、時間なら我が稼いでやろう。」
俺の問いにボンノーは答えた。
「話しは終わったかい?なら、バイバイだ!」
狩林が話しかけてきた。なんとこいつ俺とボンノーの話しが終わるのを待っていてくれたらしい。腐っても天使てとこか・・・。
刹那、狩林の姿が消え俺の目の前に奴の拳が迫ってきた。ヤバ、俺死んだわ。死ぬ前に一度くらいモテたかった。
ガキーン!
次の瞬間、俺の右腕が勝手に動き奴の拳を阻んだ。
「なにやっている、相棒よ。言ったであろう、我が時間を稼いてやると。」
「え、なにしたんだよ、ボンノー?」
「我は伝説の魔剣だぞ。幾多の戦闘の経験がある。奴の攻撃は出来る限り我が防ごう。その代わり少し体を借りるぞ。」
そして、そこからはボンノーが俺の体を操り狩林との激しい攻防が始まった。
・・・あれ、これ俺いらないんじゃね?、とか考えていると・・・。
「なにをしている、相棒、言ったであろう欲望を溜めろと、幾ら我でもこれがいつまでもつのかわからないのだぞ!」
ボンノーが珍しく声を荒げて言った。欲望を溜める・・・か。欲望ってのは何もしなくても自然と生まれてくるものだ。だが自分から望んで欲望を出すっていうのは聞いたことがねーぞ・・・。ダメだ、考えれば考えるほど欲望からかけ離れていくようだ。さっきから激しい攻防が延々と続いているが、俺はまるで迷宮にもはいりこんだかのように、ずっと欲望について考え込んでいた。
「ほらほらほら!さっきからボクの攻撃を防いでばっかりじゃないの?」
ガキガキガキ!ギュイン!!
「ウグ、相棒よ急いだ方が良い・・・。そろそろ奴の剣が通ってきたぞ。」
そう言ったときだった。
ビシュ!!
遂に奴の剣が俺の左ほほをかすり、そこから血が出てるのが確認できた。
「まずいな、このままだと・・・。」
さっきから一向に欲望が貯まらねー・・・いや溜めかたがまだわかんねーどうすりゃいいんだ?動画俺が迷ってるとボンノーが助言をしてくれた。
「相棒よ、深く考えるな。朝に相棒は欲望を出せただろう」
そうだ、俺は朝モテルにムカついて、怒りで・・・。そう思った次の瞬間ボンノーが奴に弾かれてしまった。
「つまらないな、君も魔剣も、いやニンゲンはつまらないな・・・。」
「怒り・・・怒り・・・」
俺は朝の出来事を思い出して怒りをつくろうとしていた。
「ククク、おい高司!お前の相棒は向こうに転がってるぜ、取りにいかないのか?」
はっとなった。すぐさまボンノーを取りにいかなくては!
「まあ、取った所でそんなゴミ箱に捨てられた魚の骨なんてなんの役にもたたないだろうけどね。」
ブチン!!
俺の中でなにかが切れる音がした。
「今、お前ボンノーの事を何と言った?」
「おっと、怒るか?何度でも言おう、ゴミの中の魚の骨・・・」
俺は・・・無意識に体が動き、ボンノーを手にしていた。
「うおおおあああ!!」
ギィン!!!
「バカな、さっきとはパワーが格段に違うぞ。」
「キタキタキタ!相棒よソレだ、ソレ!さあここから反撃といこうではないか!」
だがボンノーの声は俺に届いてなかった。
ガキーン!ガキ!キィン!ガキガキガキ!!!
力任せの剣撃だが、だんだんと奴に追い付いてきた。
「く・・・調子に、乗るなあ!!!」
ギュイイン!!!!
再びボンノーが弾かれ、俺の頭上を舞った。
「はあはあ、糞が!てこずらせやがって。」
「まだ終わってねーよ!」
バキィ!
俺が右の拳で思いっきり奴を殴ると、そのまま向こう側の金網に体をぶつけていた。
「グフゥ、このボクがこんな奴に・・・意味がわかんねぇよ。何でコイツはこんなに怒ってるんだ?」
「意味がわかんねぇ?なら教えてやるよ。まだ出会って少しだけどよ、俺の・・・」
俺は上から落ちてくるボンノーをキャッチした。
「相棒を・・・」
柄を強く握りしめた。俺の怒りに反応してボンノーが熱をおびはじめた。
「ま・・・まて!」
待てるかよ!
「馬鹿にすんじゃねーよ!」
ズバアアアアーーー!!!
確に相手を斬ったその感触もした、しかしそこに天使は転がってはいなかったあったのは天使の翼であっただろう切れ端だけだった
「っっ」
最初と同じように回り込まれた・・・そう思い急いで後ろを見るがそこには影1つない、
「どこに行きやがった!!?」
俺は周囲を見渡すも誰もいない。
「今回は僕の負けの様だね、高司君」
どこからともなく天使の声が響く。
「勝利した君に賞品をあげよう、やられた僕の翼の切れ端とその近くに卵があるだろう」
俺は確認するために、天使の翼の切れ端をめくってみると本当に卵があり、また切れ端の裏には
ザンネン、後ちょっとだったね(笑)
と書かれていた。
「あったけど、何だよこれ?」
相手が、自分の攻撃をわざと当たったのだとわかり少し怒気を含んだ声で高司は尋ねた。
「それは、シルフドラゴンの卵、上手く懐けば君の力になるだろうね、君は女性に触れられないのだろう?」
「だからどうした!!俺にはボンノーがいる!そうだろボンノー?」
突然話をふられたのでボンノーはうわずった声で答えた。
「そ・・・そうだな相棒」
今は姿が見えない天使が少し笑いながら問う。
「天使には女性もいるのだよ?更に僕よりも遥かに強い天使も、そしてその二つが合わさった者も、僕にトドメをさせなかった君たちがどうやって勝つのかな?」
言葉を失った。考えても無かった。そら初戦だもんこれよりはみんな強いよね・・・・
「そ、それは修行でもしてー」
「相棒、流石に修行は我がめんどくさいんだが。」
お前がめんどくさがってどうするんだよ。
「まぁ、いいや君達が僕らに負けてくれれば、僕らの邪魔はいないってわけだし、君達と遊ぶことはいい暇つぶしになるしね」
完全にこちらを舐めてやがる。コイツ、モテルの次ぐらいに嫌いかもしれん、だから、こう言ってやった。
「バーカ」
「小学生かい、まぁ、いいせいぜい頑張ることだ。」
バッ
天使が羽ばたいたと思ったら結界が消えた。
「天使はどこかに言ったようだな、相棒」
「そうだな」
こうして俺達の【初めての戦い】が終わった。
しかし急に爆発音が遠くから聞こえた。見てみると空中が爆発していた。
「なんだ?あれ?」
「ん、ああそういやさっき相棒が奴を切った時に、切り口が爆発する魔法をかけた事を言うのを忘れていた。すまんな相棒よ。」
なんだよそれ・・・アイツの無駄にまた出てくる感台無しじゃねーかよ。
「ん?おいなんか消えたアイツの体からなんか出てるぞ。」
「うむ、あれは奪われたエピロの魔力だな。そのうち地面に落ちてくるからビニール袋か何かに詰めて持ち帰るとするか。相棒?」
なんかもう笑うしかねーや。
「ハハハハ、そうするか。」
俺たちはシルフドラゴンの卵とエピロの魔力を、持って家に帰った。はじめての敵の最後については、まあ語らないようにしよう。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
さあ、ここで突然ですが今、この小説のキャラクターの挿絵やイラストを募集してます。
興味のある方や描いてもいいよーと思っていただける方は感想欄の方でお待ちしてます。
ではでは、また次回。