ドラゴンペアレント(後編)
森の消滅と街の修復とエピロとプロロに任せて、ドラゴンを駆け出した俺たちを待っていたのはまたしても森だった。
「おい、ボンノー、また森が出来てるって事は・・・」
「あぁ相棒、ここにいるのであろうな・・・例のドラゴンは・・・」
「じゃあ、行くか」
覚悟を決めた俺たちは早速、森の中に入った。
しかしまあ、森と言ってもさほど大きくは無い。ボンノーが言ってたようにドラゴンの魔力切れが近いのだろう。案の定、ドラゴンはすぐに見つけることが出来た。ドラゴンは木の上に座っており、こちらにはまだ気づいていないようだ。
(・・・よし、また逃げられるのも面倒だし、このまま後ろから近づいて捕まえるか。)
俺がそんなことを考えながらドラゴンの背後へと近づいていく。そしてもう手を伸ばせば届くということで
「おーい、たかしー、どこー」
「たかしさんー、どこですかぁー」
大声を出しながら飛んでくる馬鹿2人が見えた。おいー!なんでこんなタイミングでくんだよ!やっぱりと言うべきか大声に気がついたドラゴンは俺を見つけてすぐに翼を広げ飛び上がった。
「チィ、こうなりゃ実力行使だ。ちょっと痛いかもしれないが我慢しろよ。」
俺はボンノーを抜くと構えた。
「相棒・・・やるか?」
ボンノーは少しノリ気だった。
「ああ、これ以上商店街の皆さんに迷惑かける訳にはいかねーし、何より・・・これ以上この追いかけっこを続けるのは面倒くせーからな!」
「後半が本音だな、それこそわが相棒よ。」
だがそうこうしてるうちにエピロとプロロが俺たちの所までたどり着いた。
「ふーぅやっと見つけた。ちょっと、何してんのよ。」
「そうですよぉ〜随分探したんですよぉ〜。」
2人は近くの木に着地すると俺に話しかけてきた。
「て言うか、あれドラゴンじゃない。何してんのよ?さっさと捕まえなさいよ・・・ん、なんかこっち向いてない?」
イヤ、主にお前らの所為でこうなってんだよ。
「それにあんた、なんでボンノー構えてんの?・・・まさか!?ドラゴンと!?やめなさい、ドラゴンが可哀想じゃない!」
「そうですよぉ〜。それはちょっと引きますぅ〜。」
イヤ、だからね?君たちの所為でこんなっての!
馬鹿2人をほっといてドラゴンに突っ込もうとしたその瞬間だった。
「おいー、嬢ちゃんたち、お代を貰ってないんだか?」
・・・向こうからおっさんが走ってきた。話を聞いてみると俺が去った後、森の消滅と街の修復を終えたエピロとプロロの2人は俺たちを探す過程で腹が減り、近くのファミレスに入ったはいいが2人で店のメニューを全部平らげた挙句に、お金を持っていないことに気付き相談した結果、俺を見つけてお金を貸して貰えば良いと考えたらしく、トイレの窓から2人して抜けだし、此処まで飛んできたらしい・・・。
俺はとりあえずお金を払い、頭を下げた後、何食わぬ顔でいるポンコツ2人組の頭をはたくとひたすら謝らせた。
ひたすら頭を下げている様は、どこぞの汚職政治家か粉飾決算をやらかした企業の役員さながらである。
こういうときだけ偉い人の真似ができてもちっとも嬉しくねぇ・・・。
だったら一生庶民でいいわ。
2人の誠意が伝わったのか、おっさんは特に怒ることもなく帰っていった。最後に残ったのは、ボンノーを構えている俺とひたすら頭を下げている悪魔2人と、此方をずっと見ているドラゴンだけだった。
ちなみにこの騒動中ドラゴンは鳴きも逃げもせず、ずっとこっちを見てた。案外良いやつなのかも。
・・・さぁー、気を取り直してドラゴン捕まえるか。
なんとも締まらない空気の中、ボンノーを構えた俺と空をホバリングしているドラゴンは向き合った。
・・・そう言えば、あのおっちゃんこの状況見て何も言わなかったな。おっちゃんは何となく気になるが、今は目の前のドラゴンだ、これ以上暴れられると流石に怪我人が出るのではと思うし
「やるぞ、ボンノー」
「おう、相棒!!」
俺はボンノーを刀背打ちが出来るように構えドラゴンに襲いかかった、しかしドラゴンは二度も捕まっているためか植物の鞭を出したがら逃げていく
「クソっ!ツタが邪魔で追いつけない、」
俺は蔦を切り刻みながらドラゴンに向かっていくがあと一歩で届かない!
ビビビビ~!!!
奮闘していると俺の背後から奇妙な音と共に真っ直ぐと光線のようなモノが現れ、蔦を華麗によけながらそのままドラゴンへと命中した。次にそれはドラゴンの周りで瞬く間に鳥籠のようになってしまった。
「へぇ?」
何か拍子抜けで変な声が・・・
「何してんのよ、とろいわね。」
後ろでエピロが溜め息をついてる。あのビームみたいなのはエピロが撃ったらしい。
「そういうのがあるなら一番最初にしろぉぉ!」
俺の魂の叫びがここ一帯に響き渡った。
「だって、これ疲れるんだもん」
エピロがビームでできた鳥籠のようなモノを持ちながら答える。その頃プロロさんはなんか見たこともない動物、多分犬か狸みたいなのに襲われている所だった。
「さぁ、帰るわよ」
ひと仕事終えて満足したのかエピロは植物を消してから家の方に歩き出した。
「プロロさんはいいのかよ、友達なんだろ?」
俺はなんか良く分からない犬みたいな動物に襲われているプロロさんを横目に見ながら言う。
「いいの、いいの、いつものことだから、関わると巻き込まれるしねー」
なんか親友ぽいエピロまでそんな反応なのか・・・なんか可哀想だなプロロさん・・・まぁ俺も置いてくけど・・・そう思い俺もエピロを追いかけた。
「こうしておけば逃げられないだろ」
俺はつかまえたドラゴンを首輪と鎖でつなぎ逃げられないようにしておくことにした。
「首輪の強度が心配だし、魔力なんかで強化できないか?」
「そういえば、この子がもっていちゃった私の魔力はどこにあるの?」
そういわれて気づいたが最初につかまえるまえからこのドラゴンは魔力をもっていなかった。
「まさか、回収し忘れた、とかいうんじゃないでしょうねぇ」
エピロが青筋立てながら詰め寄ってきた。するとボンノーが
「まずいな。このままだとあのカリエルだったか…が復活してしまうぞ。あいつらはエピロの魔力から生み出されたものだからな」
と、実に面倒なことになりそうなことをいってきた。
「ってことは魔力を天使にとられる前に回収しなきゃいけないのか」
「そうなるな。一度倒されたのだから、ある程度強化もしてくるだろう。もしかするとまたくるようなふりをしておいてその後私の爆破でやられたので恥ずかしくてもう出てこないかもしれないがな」
「でもせっかくのふりを台無しにされて怒り狂って襲ってくるかもよ」
「もしかするとほかの天使と合体してくるかもしれません」
と3人でカリエルの予測をあーでもないこーでもないと言い合っている。
「うんうん、確かにお前らの言う通り・・・て何でプロロさんがここにいるんだぁー!?」
「とりあえずエピロの魔力を探してみよう」
そうして3人と一本でエピロの魔力を探しにいくことにした。ドラゴン逃がさないようにつれていくことにした。
ザッザッザッ
俺達は、ドラゴンが暴れた場所に俺、ドラゴンとエピロ、プロロの二手に別れて行った。俺はビニール袋が無いか、注意深く探した。探して探して探した挙げ句に探したが、結局魔力は見つからなかった。俺が探し終えると同時にエピロ達から連絡が入った。あちらも見つからなかったらしい。
「不味いな、これは天使が先に見つけて回収した可能性が高いぞ・・・」
「ああ、どうやらそのようだ相棒よ・・・これは予定を変更して急いで天使を追いかけた方がいい・・・。」
だが今日はもうボンノーの力を使いすぎて、賢者タイムは使えない・・・どうすりゃいいんだ?俺が考えてると空から女の高笑いが聞こえてきた。
「オーホッホッホッ!」
ヴン!!!
重い重低音が鳴り響くと同時に周りに結界が張られた。
「しまった!」
どうやら向こうから直々に俺をぶちのめしに来るらしい。
「これはどういうことだ?あんたの目的は魔力の回収だけじゃないのか?」
奴は空中に浮いたまま答えた。
「そうですわね、本当ならそうしたいところですけど貴女方は後々ワタクシ達の邪魔になりそうですので・・・ここで始末しときますわ!」
「あんた、誰だ?」
俺は、空中にいる女に率直な感想を述べると、
「まあ、先程御会いした相手の顔も忘れるなんて、どういう教育を受けているのかしら?」
「相棒よ、どうやらこ奴はさっきの天使らしいぞ。」
ボンノーがそう言うと、奴は笑いながら自己紹介をした。
「オーホッホッホッホッ!その通りワタクシの名はプリム。早速ですが貴方のお命貰い受けますわ。」
そう言うとプリムはこちらに向かって攻撃を仕掛けてきた。
「おい、相棒。我はもう賢者タイムは使えぬ。この状態で奴の相手をするのは少々骨が折れるぞ。」
奴の攻撃を弾きながら移動している俺に向かってボンノーが話しかけてきた。
「そんな事は分かってるよ。だが、今日は戦えません。はい、そうですか。で帰してくれる様な相手じゃねーだろ。」
俺だってこのままでは、勝機が微塵も無い事ぐらいは分かってる。だか、この状態でこれ以上の戦闘もできないだろう。
しょうがないあの手を使おう。
「おい、ボンノー。秘策がある、俺の動きをサポートできるか?」
俺は、ボンノーに俺の体内に魔力を送り動きを強化出来るか聞いた。
「うむ、できない事は無いが、精々ちょっと速度が上がる程度だぞ?」
「十分だ。やってくれ。」
俺はボンノーに頼み体内に魔力を送り身体能力を強化した。
「おい!プリムとか言ったな。これでもくらえ!」
俺はステップを踏みながらプリムへと突撃すると、奴に向かってその辺の砂をぶん投げた。
そう、あの手とは目潰しである!
我ながら天使とはいえ、女の子に手荒だとは思うが、こちとら命掛けだ甘い事は言ってられない。
「・・・相棒。流石に女相手にそれは卑劣過ぎぬか?」
ボンノーが聞いてくる。
「うるせぇ、この状況でなり振り構ってられるか!」
俺はボンノーに言う。
「聞け、ボンノーよ。「青春ウェーイwww」なんて馬鹿なリア充がはしゃぎ過ぎているような部活やサークルは、大抵しょーもない騒ぎをやらかして潰れていく。
その轍をここで踏むわけにはいかない。
つまり、調子に乗ってその場のテンションに身を任せると、とんでもない痛手を負うて事だ。
本当いいお手本になってくれるよ、リア充(笑)は。まあ、詰まる所なにを言いたいかと言うと、下手な橋は渡らないて事だ。」
イノチダイジ、オレウソツカナイ。
そうして、プリムに目潰しを食らわせた俺は家への道を走った。
因みにプリムが張った結界は、奴が現れてすぐ逃げて行ったエピロとプロロさんが壊していた。
あいつら、天使が現れた瞬間、俺を置いて逃げるなんて悪魔かよ!
・・・いや、そういやあいつら悪魔だったわ・・・。
「俺を置いていくんじゃねえよ!」
「だって、相手は天使よ。あいつらに私は攻撃できないし、あっちの攻撃を受けたら死んじゃうかもしれないじゃない」
そういえばそうだったこいつは神に関わるものに攻撃できないんっだった。
「俺を置いて逃げたことに関してはもういいや。ところでプロロは?」
俺がそう聞くとエピロは滑り台の方を指さして
「あの子ならそこの影で震えながら隠れてるわよ」
そういわれて滑り台の方をみてみると確かにプロロがふるえているのがみえた。というより丸見えだった。
「隠れるの下手だな」
「あの子いつもかくれんぼで最初にみつかるタイプなのよ」
「連れて行ってやれよ!」
俺がそう言うと、エピロはしぶしぶプロロを持ち上げて直ぐ様その場を退散した。
「痛い!痛いですわ!」
結構目潰しが効いてるらしい。俺はだめ押しに砂ボコりを巻き上げながら走り、結界が閉じる前に退散した。そして息が切れる頃には見覚えのある建物の前についていた。俺はプロロさんによって散らかった玄関をなんとか乗り越えて、自分の部屋に向かい、部屋の真ん中にドラゴンを置いた。やっと一息つけるぜ。
「ふ~こいつ・・・名前どうするかな?」
「そうね~・・・」
「バタンキュー」
俺は鎖の首輪をドラゴンにつけ、檻から出した。するとドラゴンは真っ直ぐとエピロの方へ向かい、甘えているような行動を取った。
「む?エピロよ、もしやそのドラゴンはお主になついたのではないか?」
「え?」
エピロは顔を赤らめ、素直に喜んでいるらしい。
「エピロになついたか~じゃあ名前もエピロにちなんでつけるとするか。」
「え~いいの?」
「あーそうだな~エピロとドラゴンだからエピゴンとか?」
そう言うとボンノーから間髪いれずに
「ダサい!」
と一瞥された。なぜだ!?
次に、このやり取りの最中に起き上がったプロロさんが名前を考えた。
「そうですねーエピロは終わりを司る悪魔だから・・・」
おお~~~?
「終わりを司るドラゴン!略してオワンとかどうですか?」
「「ダサい!」」
エピロさんの名前はボンノーとエピロから却下された。結構いい名前だったのに・・・。
「もう!ちゃんとした名前にし・・・」
「エンド・・・」
ボンノーがエピロの言葉を遮った。
「エンドだ。終わりを司るのだろう?」
お・・・おおおお!エピロも納得してる。流石ボンノー!
「よし!名前はエンドで決定だな!お~よしよし」
そう言って俺がエンドに手を差し出すとエンドはおもいっきり俺の手を噛みついた。その痛みで俺は思わず鎖を握っていた手を離してしまった。
「あ!」
ダダダダダ!
ドラゴンがまた逃げてしまった。ヤバい!凄い皆こっち見てくるんだけど!
とりあえず追いかけるしかねぇ!
「まてぇーエンドー!」
こうして俺たちにドジッ子とハチャメチャな仲間が加わった。
はい、ドラゴン編終了。
次回は設定とかになると思います。
では、また次回。