だから君は勇者にしか成れない   作:◆◇夢幻水晶◇◆

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自分の二次創作作から派生して出来上がったオリジナル作品です。
異世界モノって一回は書いてみたいと思っていたんですよ!やっと叶った……


それでは本編(∩´。•ω•)⊃ドゾー


01

学年総合点

 

【1位】  豊咲(とよさき) (みなと)     1165点/1200点

 

【2位】  川岸(かわぎし) 椿(つばき)     1158点/1200点

 

 

 

 

 

「何で勝てねぇんだ……!?」

 

学期末の成績は以上の通りで俺、川岸 椿は僅かな点差で頂点と言う名の盃を掌から見事に取り零していた。

どれだけやったと思っているのか、アニメだとかゲームだとか必死に自制して勉学に持てる時間全てを傾倒した、なのに何故!!

割と本気で落ち込んでいると背後から女の子としてはやや高めの声がする。

 

「それは君がプレッシャーに対する対処法を知らないからだよ椿、頂点に居座っていた私にぽっと出の君が痛い痛い痛い!!!」

 

多少イラっときたのでアイアンクローの要領で相手の頭をギリギリと締め付ける。

俺の気が済むまで十分に痛めつけてから頭に乗せた手を離す。

 

「すぐに暴力に訴えるのは良くないと思うんだがどうだろうか……」

 

涙目になりながら若干痛むのか直上アイアンクローを執行した後も湊は頭を両手で押さえていた。

 

「口で勝てないのわかってんだから勝てる方法をとったまでだ。」

 

小さい頃からこいつは俺の努力の少し上に居て、それでいて俺にお節介をかけてくる。

別に嫌だというわけではないし、嫌味ったらしいお節介をされた事もないので特に気にはしていない。

だが俺にも男としての矜持は持ち合わせていたらしく、ガキの頃からこいつに勝てそうな事なら何でもやってきた。身体を使うことに関しては集中的にだ。それが身体に染み付いていったせいかいつの間にか『勝てる方法』を優先的に行使するようになっていた。

 

「あの頃はもっと椿は可愛かったのになぁ……いつからこうなってしまったんだか。」

 

いつぞやの光景を懐かしむように遠くを見つめる湊。

いい演技力だが、お前のせいだと強く言いたい。しかしサバサバしているように見えて結構抱え込むタイプである事は知っているのであえて飲み込む。

 

「それを言ったらお前だってあの頃は可愛かったぞ? そんな男っぽい喋り方じゃなくて普通に女の子って感じの口調だったし。」

 

「私は口調に関しては椿の男っぽい口調が原因だと言いたいのだけどね!君が毎日のように私の家に遊びに来たりしていなければ君の言うように女の子らしい様に育っただろうさ!!」

 

「何だと聞いてりゃ好き勝手……うおっ!?」

 

『言いやがって』と続けようとしたのだが突然背中に感じた重みに身体が潰されそうになる。

それなりの体格の俺を自重で潰しかけた180cm近い身長を持つ親友は背中で喋り始めた。

 

「お前ら二人がイチャついてるって情報が集中的に回ってくる僕の身にもなってくれよ……暗に僕に止めてこいって言ってるんだぜ……?それだけでも心的苦労が絶えないのに痴話喧嘩の間に割り込まなきゃいけないってのもまた辛いんだよ……夫婦喧嘩は犬も喰わないって言うけど痴話喧嘩なんてその比じゃないんだってわかってる?」

 

とてつもなく恨みがましかった。

背中で放たれる怨嗟の声はあたかも悪霊の嘆きの如く響き、半径数mの空間全ての精気を奪うかのようですらある。

 

「そもそも君たちさ……」

 

「わ、悪かったって柳也(りゅうや)……気をつけるって……ほ、ほら、湊も。」

 

「すまない、池上……」

 

このまま放っておくと延々と説教が続く気がしたので、イマイチ何が悪いのがわからないまま二人で謝る。

 

「分かってくれればいいんだよ、それじゃ僕は教室戻るから。川岸も豊咲も早めに戻りなよ?HRまで後二分もないからさ。」

 

そう言われて湊と同じ動きで時計に目を向け、焦りとともに弾かれるように教室へと戻る事になった。

一部始終を覗き見していたクラスメイトが自分の席へと戻っていく俺たち二人を茶化し、冷やかしの言葉をかけて来たが双方苦笑で場を収めた。

 

 

  ◇

 

  ◆

 

  ◇

 

  ◆

 

  ◇

 

 

――――――――――学校帰り

 

俺はいつもの面子で集まり、俺の家のリビングでくつろいでいた。

俺、(みなと)、池上 柳也(りゅうや)荒牧(あらまき) 響姫(ひびき)、溝上 伊織(いおり)の五人でとりとめの無い話をする。それが高校に上がってからの恒例になっており、今日もまた例に漏れずくだらない話に花を咲かせる。

 

今日は数日前に終わったテストの話、あまり話したくはない内容のはずなのだが不思議なものでどうしても話さずにはいられない話題でもある。

第一に口を開いたのは柳也。

 

「今回のテストは僕としてはいい点が取れたと思うんだよね、まぁ後一歩でこの平均地獄から抜けられそうってとこだから君たちからすれば低いんだろうけどさ。」

 

伊織が続く。

「私は池上くんよりもちょい上って感じでしたねー、テストを重ねる毎に上がってくる池上くんの成績にビクビクしっぱなしですよホント。」

 

そのセリフが気に食わなかったのか、口元を引つらせながら柳也が返答を返す。

「そういう割にテスト重ねるごとに溝上さんは僕の少し上にいる気がするんだけど気のせいかな? 」

 

地雷を踏んだのを察した伊織があはは……と苦笑している間に響姫(ひびき)は湊に話しかけていた。

 

「みなちゃんは頭が良くて羨ましい……みなちゃんの爪の垢を煎じて飲めば私も頭が良くなるだろうか……?」

 

「勉強法ならいくつか今度教えるから変な行動に走るのだけは勘弁してくれよ……?あまり喋らないから気がつかないが君の行動力は椿に引けを取らないからな……走り出したら止められる自信がないんだ……。」

 

そんな会話を少し遠くから聞いていた俺は人数分の飲み物を用意してキッチンからリビングへと出て行く。

 

「コーヒー持ってきたぞー、ミルク入れる奴は挙手しろー。」

 

「「「 はーい!! 」」」

 

手を挙げた三人へとミルクの入ったプラスチック容器を投げる。

何故俺が給仕のようなものをやっているのかと言われれば答えは至極簡単で両親が共働きなのだ。

朝と夜しか家にはおらず、基本家には俺一人しかいない。二人共自分の好きな仕事に就いていると豪語するだけあって止めないと日曜でも関係なく出かけようとするあたり困りものだが。

自由にさせてもらっている上に一人でいるおかげで先立つものさえあれば生活に困らないくらいのスキルを習得することが出来た、文句は無い。

 

 

日も傾いてきた所謂黄昏時、そろそろお開きにしようかという話になった時に異変は起こる。

 

家のリビングは壁に寄り添うようにしてテレビが設置されており、その正面に来客用のテーブル、そしてさらにそれをぐるりと取り囲むようにしてソファが並んでいる。

俺らは全員ソファに腰を沈めていた、話に夢中で誰もテレビなんて点けていなかった。

それなのに点いた、何か番組が映されたわけでもなく点いた。

このご時世なのに砂嵐が。

 

 

「あ、あはは、嫌ですね。誰がこんな巧妙な悪戯を仕掛けたんです? 」

 

ザーーー……っと鳴り続けるテレビから感じる恐怖感に負けないようにと伊織が周りに返答を求めるが返ってきた言葉はどれも不安感を拭ってはくれなかった。

 

 

『黄昏の……戦士……は……何処ーーー!!!!!!! 』

 

 

テレビの中から叫び声が聞こえたかと思うと部屋全体が光って一瞬だけ五人の視界を奪った。

 

「うおっ!?まぶしっ!? 」

 

「……くっ!? 」

 

「……さんぐらすぷりーず……」

 

「うわっ!? 」

 

「めがぁー!!めがぁー!! 」

 

誰だこんな状況でお約束をしっかり守ってる奴。

視界が晴れた時、テレビがあった場所にはゲームでよく見るポータルと呼ばれるものが出来ており俺たちの中心には隻眼のヤクザっぽいオッサンが立っていた。

 

「突然の訪問、謝罪します。私、リュエル・グランシュと申すものです。」

 

オッサンは丁寧にも挨拶をしてくれたが俺は静止の声をあげる。

 

「失礼、ギャグのために視界をわざと光に晒したアホがいるのでもう少し後でお願いしても? 」

 

「あ、これはこれは。…………そういうわけには参りませぬ!事態は一刻を争うのです!! 」

 

「………じゃあ……どうぞ……話して? 」

 

響姫が促すと、グランのオッサンは話し始めた。

曰く、シュリエント帝国連合という国が他連盟の一つに狙われており、一刻も早い対処が必要である。

曰く、先代の英雄が選定した次期英雄が俺ら五人である。

曰く、異世界に赴き、物理的な脅威を取り除き、世界を救って欲しい。

 

なるほど? 『命をかけて異世界に赴き連盟、つまり国一つを五人で潰してくれ』、と?

 

いきなりそんな事言われて納得しろと? このオッサンは本気で言っているのか? 俺たちが行くと?

 

俺はみんなの顔を見渡し、それぞれの意思を確認する。

そして、俺以外の『五人』に告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   「よし全員準備しろ!!!」

 

 

   「「「「 応ッ!!! 」」」」

 

 

 

 

「え……っと…本当に同行して頂けるのですかな? 」

 

さも予想外と言った様子でグランのオッサンは目を見開いているが何を驚くことがある?

そんな小説や漫画の中だけのような話を信じないとでも思ったか、否である。

俺ら五人はそういった展開は大好きだ。

急に言われて納得できるわけがないとでも思ったか、否である。

むしろ喜々として身を投じるのだから納得する必要すらない。

知りもしない異界の地にのこのこと行くなど愚の骨頂だと思うだろうか、否である。

そこに『異世界』があり、そこにいけるチャンスが転がっている。同意する者はいるはずだ。

 

その状況で何故行かないのかとッ!!!!

 

「このリュエル未だ信じられません……誰に何を言ってもバカにするのも大概にしろと突っぱねられてきましたのに……」

 

「てめぇ他の奴等のとこにもさっきみたいな話してたって事か?!おい!?結局誰でもいいんじゃねぇか節操無しがァァァ!!」

 

見た目ヤクザに物怖じせずキレる男、椿。

 

「それほどまでに切迫しているのです! 誰でもいいほどに!!」

 

開き直って自分の滑った口を正当化し始める見た目ヤクザ。

 

一方他のメンツは既に準備を開始しており、みんなもう椿の家にはいなかった。

オッサンと適当に情報交換を行いつつ俺は四人に連絡を送る。

『明日の昼の十二時、俺の家集合ね』、と。

『うい』『ん…』『了解した』『はいはーい』

返ってきた返事は顔文字付きだったりもして三者三様ならぬ四者四様であったがこんな状況に置かれてもブレない奴らに俺は少しばかり頼もしさを感じた。

 

「んじゃグランのオッサン、また明日来てよ、準備しておくからさ。」

 

そういうとリュエルは腰を深々と折り、感謝を述べた。

 

「心の底から、いえ、全霊を以て感謝をさせていただきますツバキ殿。明日、お迎えにあがります。それでは。」

 

ゲートへと踵を返し、ゲートと共に消えるリュエルの背中を見送りつつ考える。

 

「俺も必要そうなの一通り揃えるか」

 

俺は明日に備え、ソーラーバッテリー等を買うために茜色した空の町へと繰り出した。

 

「今日の夕飯何にすっかなぁ……」

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございました!
誤字脱字などはコメント下さい。それではまたお会いしましょうー
( 。`- ω -´。)ノシ
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