インフィニット・ウィッチーズ 空駆ける自由の翼   作:天野蒼夜

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魔女とISの物語が今、幕を開ける……。


第1話「選ばれし者達」

西暦19XX年……世界は”あるモノ”によって支配下に置かれていた……。

 

上空を浮遊するそれは自分の体内から紅色の放射線を発射し、次々と街を滅ぼし、そこに住む人々を死に至らしめた。

 

しかし、そんな異形の者……ネウロイに対抗する術を人類は長い月日を経てようやく探し当てることができた。

 

「街が……もうこんなに……これもネウロイが……!」

 

若年でありながら両手に銃火器を携え、両足に飛行脚、通称ストライカーユニットを纏って空を駆ける魔導歩兵……。

 

それが……。

 

「これよりネウロイ殲滅の任務に入る!ストライクウィッチーズ、ネウロイを一機残らず殲滅せよ!!」

 

第501統合戦闘航空団【STRIKE WITCHES】である。

 

 

―――――

 

 

ここはインフィニット・ストラトスの世界……。

 

さきほどのストライクウィッチーズの世界よりも更に機械技術が発展した世界だ。

 

しかしこの世界の中の魔法はファンタジー的なもので認識されており、実際には存在していない。

 

もちろん……ストライカーユニットもだ。

 

「碧、商店街に来たのはいいけど……これからどうする?」

 

商店街を歩きながら隣を歩いている隣を歩く青年に聞いているのは織斑一夏。

 

この世界において男性でISを動かすことができた数少ない人物で、青年とは友人の関係だ。

 

姉の織斑千冬は昔白騎士と呼ばれ、伝説的な偉業を成し遂げている者を身内に持ち、自分も仲間と共に数日前に暴走した福音を撃破した功績を持っている。

 

「う~ん……そうだな。これといって何がしたいっていうのはないんだけど。せっかくこうして町に出たんだし。何か男らしいことしたいな」

 

考えるように顎に折り曲げ、人差し指を添えている黒のストレートにスカイブルーの瞳をしている女のk—-—青年の名は東条碧。

 

一夏の次に男性でISを起動させた人物で、操作技術においては代表候補生に匹敵する実力を持っている二人目の男子のIS操縦者だ。

 

彼等は二人共IS学園というIS操縦者を養成する高等学校に通っており、そこで日夜授業や放課後に厳しいIS訓練を行っている。

 

もちろんその指導を主に行っているのは箒やセシリアといった代表候補生達だ(箒は代表候補生ではないが)。

 

「男らしいこと、男らしいことねぇ……商店街でできる男らしいことって何だ?」

 

「それをこれから考えるんだよ。だから一夏も一緒に考えてよ」

 

「いきなりそんなこと言われてもなぁ……」

 

腕を組みながら商店街でできる男らしいことについて考える。

 

しかし思いつくのはショッピングとかの女の子みたいなものばかりで全然男

らしいことなんて考えつかなかった。

 

「悪い碧、俺には考えつかないよ。だからお前が考えてくれ。お前が言い出したんだから」

 

「一夏、諦め早いよ。そんなんじゃ世の中渡っていけないよ?」

 

「こんなことでか!?」

 

碧のボケに一夏は的確にツッコミを入れる。

 

そのツッコミを見て碧が笑う。

 

「あははっ、冗談だよ。でもやっぱり男二人で商店街に来ること自体間違いだったかな……箒達も連れて来ればよかった」

 

「たまにはいいだろ。いつも顔合わせてるんだし。男同士で遊ぶ機会なんて滅多にないからな」

 

「ああ、それは言えてるね」

 

二人の通っているIS学園は彼等以外の生徒と教師全員が女子で占められている。

 

これは本来ISが女性にしか扱えないのが原因であり、女性のほうが男性より優れている世の中になっているからだ。

 

碧も一夏もそんな世の中にはまだ納得はいっていないが、中には男性を卑下しない人もいるということも分かっている。

 

現に箒達がそうだ。

 

「じゃあ……ゲーセンでも行く?最近新しい格ゲーが出たらしいし」

 

「え!?マジで!?そりゃ知らなかった!お前何で知ってんだよ!?」

 

「この前テレビのCMで宣伝してたから。それで知ったんだよ」

 

「なるほどな……じゃあゲーセンに行ってみようぜ。他に考えつかないしな」

 

「よし、そうと決まれば早速行こうか」

 

「おう!」

 

行き先をゲーセンに決め、二人はそこに向かって歩いていく。

 

しかし歩いている時に後ろから走ってくる影に気付かなかった。

 

その影が一夏を横切った拍子にぶつかり、謝りもせずに広場方面に向かって走って行った。

 

「あいつ、ぶつかっておいて謝りもなしかよ……ん?あれ!?」

 

ぶつかっておいて謝らないことに若干憤りを感じながら財布を入れていたポケットに触れると、一夏は違和感に気付く。

 

入れていたはずの財布がその中に入っていなかったのだ。

 

「どうしたの?」

 

「ない……俺の財布がない!あいつだ!あいつがぶつかった拍子に俺の財布を盗みやがったんだ!」

 

だがさっきの人物にそういう行動は見られなかった。

 

碧がよく見ていなかったっていうのもあるかもしれないが……。

 

「えっ!?それって完全にスリじゃん!よし、そいつを追おう。さっきの奴は広場方面のほうに逃げて行ったから」

 

「ああ!とっとと捕まえて警察に突き出してやる!」

 

右拳を左の手の平でバシンッと叩き付けて一夏は碧と共に広場方面に走って行った。

 

 

―――――

 

 

走り出すこと数分。

 

二人が来たのは公園広場だった。

 

その公園広場の中央に位置する大木の下にさきほど一夏から財布を盗んだ影が佇んでた。

 

よくよく見るとその人物は身体全身を蒼いフード付きのマントで覆われており、素顔を確認することはできなかった。

 

「見つけたぜ盗人野郎!さあ!俺の財布を返せ!」

 

「……」

 

一夏に怒鳴られると、蒼いフード付きのマントで覆われた人物は一夏の財布を取り出し、中身を見る。

 

「全部で五千円……か。まあ、学生の割には持っているほうじゃないか」

 

声からして若い男性だということは分かった。

 

しかしこんな怪しい格好をした男性がどうしてわざわざ一夏の財布を盗むのだろうか……?

 

文無しなのだろうか……?

 

「てめぇ!何人の財布覗いてんだよ!?すぐに警察に突き出してお前を牢屋にぶち込んでやるからな!」

 

警察に知らせようと、一夏は上着の胸ポケットに入れていたスマホを取り出して警察署の番号にかけようとする。

 

しかし蒼いフードの男性は左手の人差し指から蒼く細いビームを発射し、一夏のスマホを貫いて機能を停止させた。

 

スマホがビームに当たった瞬間、一夏が手を放してしまい、スマホは地面に飛ばされて落ちる。

 

画面が完全に刺し貫かれているのでもうこのスマホは使えないだろう。

 

「(今のはどう見ても人間技じゃない……トリック?いや、トリックをしている素振りはどこにもなかった……あの人、一体何なんだ……?)」

 

格好からして怪しいが、さっきの放ったビームでこの人物への認識は怪しい人物から危険な人物へと変更された。

 

そう冷静に分析した碧はクールな顔立ちを保ちながら蒼いフードの男にまずこんなことを聞いてみた。

 

「貴方、一体誰なんですか!?さっきの攻撃をISを纏わずに出せるのはどう見ても人間ができることじゃない。目的は何ですか!?」

 

「俺は英雄を探している。この世界とは異なった世界の危機を救ってくれる英雄だ」

 

「英雄?何だ?中二病か?それなら病院に行ったほうがいいぞ」

 

「信用できないのは無理もない。こんな話、RPGでなきゃ成立しないことだ。だがな、お前達の知らない世界では本当にその世界の危機が訪れているんだ。その危機は既にその世界の住人じゃ手に負えないくらいまで浸透し始めている」

 

蒼いフードの男の言っていることはどうも信じられなかった。

 

いきなり自分達の世界とは違った世界に危機が迫っているとか……。

 

非現実的にもほどがある。

 

「まさか……俺達がその選ばれし英雄とか言うつもりですか?」

 

「ああ、その通りだ。お前達はこの世界の中でもスバ抜けたスペックのISと才能を持っている。十分に英雄になれる可能性はある」

 

「ふざけんじゃねぇよ!何が英雄だ!俺達にそんなもの必要ねぇ!それより

俺の財布を―――」

 

「今からお前達の力を試す。現時点でどれほどの力を持っているかをな」

 

そう言うと、蒼いフードの男は左手の親指と中指でパチンッと鳴らす。

 

鳴らされると、背景が蒼で、その中央に石で作られたバトルフィールドが目の前に広がった。

 

たった指を鳴らしただけなのにこれだけのことができることに二人は驚愕する。

 

「碧……俺は夢を見ているのか……?あいつ、指を鳴らしただけで公園広場をバトルフィールドに変えやがった……」

 

さっきのビーム攻撃といい、これといい、信じられない技の連発に一夏はだんだん感覚が麻痺してきたようだ。

 

だがそれは碧も同じだ。

 

「うん……さっきからありえないことが連続で起こってる……。正直これは夢なんじゃねぇかって思っちゃうよ……」

 

「いいや、これは夢なんかじゃない。まごうことなく現実だ。いい加減今起こっていることを受け入れろ」

 

「受け入れろったって……そんなのできるわけがないだろ!」

 

「そうか、だったら無理にでも現実だって分からせてやるよ」

 

そう言うと、蒼いフードの男は右腕を思いきり横に振る。

 

すると頭上に二つのクラックが開かれ、そこから白い毛並み虎の姿をした怪物と蒼い毛並みの獅子の姿をした怪物が現れてバトルフィールドに降り立った。

 

二匹共グルル……とノドを鳴らしている。

 

「何だこいつ等は!?」

 

「こいつ等は俺が使役しているモンスターだ。今からお前達にはこいつ等とタイマンで戦ってもらう。そして負ければ死あるのみだ」

 

こいつの言っていることは本当だ……碧は蒼いフードの男の冷静な物言いでそれを察した。

 

自分達が生き残るには戦うしかないのだと……。

 

「一夏」

 

一瞥せずに碧が一夏を呼ぶ。

 

「何だ?逃げる算段でも思いついたのか?」

 

「いや、その逆。戦おう」

 

「はぁ!?お前本気で言っているのか!?あいつの言う通りにする気かよ!?」

 

「そういうわけじゃない。ただ、ここでやらないと僕達はあの怪物に殺される。今は戦わないと生き残れない状況なんだよ」

 

「けど、相手はどう見てもバケモンだぞ?」

 

「どうせこのまま逃げても殺されるだけだし。それにあんなの、福音戦と比べたら大したことないでしょ?」

 

「……ああ、たしかにな」

 

碧に言われて福音との戦いを思い出したのか、一夏は笑って怪物達のほうに視線を向け、右手の平に左拳をバシンッ!と当てる。

 

「いいぜ、そこまで言うなら見せてやる。俺の……いや、俺達の力をな!」

 

「僕が白い奴をやる。一夏は蒼い奴を。いい?」

 

「了解!思えば箒達や無人機以外の敵と戦うのなんて初めてだな」

 

「それは僕も同じだよ。けど、どんな敵でも僕達は負けない。そうだろ?」

 

「ああ」

 

袖で隠れていた左腕に付けられている白と黒をメインカラーにしたガントレットを露出させて天に掲げる。

 

それと連動して一夏も左腕に付けられた白をメインカラーにしたガントレットを天に掲げる。

 

「よし、久しぶりに暴れてやろうぜ……白式!!」

 

「飛翔しろ、フリーダム!」

 

それぞれの掛け声で碧のガントレットからは白、一夏のガントレットからは蒼く輝く光が発光された。

 

二人はその光に包まれた後、碧は背中には黒をメインカラーにした翼に青をメインカラーにしたビット【ライオット】が四基装着されている機動ウィング、身体全身は白をメインカラーに胸部は黒に赤のラインが施され、左右の腰部分には近接戦で使用されるビームサーベル【カリバーン】が一本ずつ装備され、頭部には白をメインカラーにしたヘッドギアが装着され、一夏は全身を白をメインカラーにした装甲、背中には白い機動ウィングが浮遊したISをそれぞれ身に纏った。

 

二人はそれぞれISを展開すると碧は両サイドの腰部分に装着されている二本の柄【カリバーン】を両手で取り出して白いビーム刃を出現させ、一夏は右手に専用武装の近接ブレードである【雪片弐型】を召喚して構える。

 

「一夏」

 

「分かってる、やられるな……だろ?」

 

「ああ、そういうこと」

 

「言われなくてもそのつもりだ。じゃあ、行くぜ!」

 

一夏のそれを掛け声に碧は白い毛並みの虎の姿をした怪物、一夏は蒼い毛並みの獅子の姿をした怪物に向かって行った。

 

戦っていく二人を蒼いフードの男は空中に浮遊して傍観している。

 

「(東条碧……そして織斑一夏。お前達の力、じっくり観察させてもらうぜ)」

 

フードで素顔が見えないまま、蒼いフードの男は口元を不適に吊り上げた。

 

 

 

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