インフィニット・ウィッチーズ 空駆ける自由の翼   作:天野蒼夜

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ついに世界征服のために動き出すネウロイ。碧、一夏、そして魔女は世界を守るために空へと飛び立つ。

OP2:
「Belibve」唄:玉置成美さん

ED2:
「迷々コンパスはいらない」唄:Stylips



第15話「ゼロ」

【ブーン!ブーン!ブーン!】

 

基地中にブザーが鳴り響き、僕達はミーティングルームに集まる。

 

これが示すことはただ一つ……ネウロイの出現だ。

 

だが、今回はいつもと違っていた。

 

「巣の中から大量のネウロイが!?それは本当なのかミーナ!?」

 

「ええ、司令部からその連絡があったわ。各国の魔女達もそれに対処するために出撃したわ。しかも、その中の一体にこれまでと違ったネウロイが混じっていることも」

 

「それって何ですか?」

 

「そこまでは分からないわ。でも、そのネウロイは貴方と碧君と似たような機械を纏っていたそうよ」

 

僕と一夏と似たような機械……?

 

それで連想されるものは一つしかない。

 

ISだ。

 

「司令部が言っているのは恐らくISのことだ。でも、この世界にISを開発するほどの技術も機材もないはず。ネウロイがそれを作ったっていうのか……?」

 

「ありえないことだけど、そうだとしたら話の辻褄が合うわ。多分ネウロイは本格的に私達と総力戦をするみたいね。司令部をこれを機にネウロイの巣に総攻撃を仕掛けるみたいだし」

 

「それならこちらも受けて立つまでだ。全てのネウロイを殲滅してやる!」

 

「そうね、今回は全員で出撃します!インフィニット・ウィッチーズ、出g―――!」

 

「待って下さい」

 

一つだけ気になったことがあったので僕はそう言ってミーナさんの言葉を遮る。

 

「どうしたの碧君?」

 

「何だ、せっかくミーナ中佐が士気を高めようとしてる時に……」

 

「すみません、でも一つだけ気になることがありまして」

 

「何かしら?」

 

「インフィニット・ウィッチーズっていうのは何ですか?ここの部隊の名前ってストライクウィッチーズなんじゃ……」

 

「あ、それ俺も気になってた」

 

「何だ、そんなことだ。たしかにこの部隊はストライクウィッチーズだ。だが、お前達二人が加わったことにより、名を改めたのだ。インフィニット・ウィッチーズというのはお前達の持つインフィニット・ストラトスと我々ストライクウィッチーズを掛け合わせたものだ。ちなみにこの名前を考えたのは私だ」

 

「貴方達はもう準隊員ではなくれっきとした私達の仲間。この名前はその証。理解してもらえた?」

 

ミーナさん、そうそこまで僕と一夏のことを……。

 

ミーナさんの言葉に目頭を熱くしながら、僕は【理解しました】と言って頷く。

 

「では、改めて……インフィニット・ウィッチーズ、出撃!」

 

『了解!』

 

ミーナさんの言葉に僕達は勢いよく返事をしてそれぞれ格納庫に向かって行った。

 

「……オラーシャ」

 

そんな時、サーニャさんが何かを呟いていた気がするが、誰もそれを気にする者はいなかった。

 

 

―――――

 

 

「皆、準備はできたわね?では我々も出撃します!」

 

『了解!』

 

ミーナ中佐の掛け声で私を含めるメンバーがいい声で返事をする。

 

ちなみに私達と違ってすぐに出撃できる東条と織斑はもう先に出撃している。

 

「……」

 

ポーチの中から一枚のタロットカードを取り出す。

 

取り出されたそのカードは大鎌を持った死神が描かれものだった。

 

「(死神のカード……不吉なカードが出ちゃったナ……)」

 

「エイラ」

 

しばらく死のタロットカードを眺めていると隣にいたサーニャが声をかけてきた。

 

「何だ……サーニャ……?」

 

「そのカード……とても不吉なことを表すカードなんでしょ……?二人共、大丈夫なのかな……?」

 

サーニャが暗い顔をしている。

 

私がこんな状況下でタロットなんてやっていたせいだ。

 

そのことを後悔しながら私は半ば無理矢理笑顔を作ってサーニャに向ける。

 

「大丈夫ダッテ!あいつ等メチェクチャ強いんだからサ!どんなネウロイにだって負けやしないッテ!」

 

私がそう言ったことによってサーニャが【そうね】と言ってようやく笑ってくれた。

 

うん、やっぱりサーニャはいつも笑顔でないとナ。

 

「二人共、話のほうはもういいかしら?そろそろ出撃するわよ?」

 

いつもの笑顔ではなく、隊長の面持ちで私に言うミーナ中佐。

 

どうやらずっと待っていてくれたみたいだ。

 

「ごめんミーナ中佐、じゃあサーニャ、行くゾ!」

 

「うん……!」

 

そうして、私は皆と一緒にストライカーユニットで空へと飛び立った。

 

鉛色の空の中を……。

 

 

―――――

 

 

鉛色に染まっている空の中を僕達は駆け抜けながら無数のネウロイを斬撃、ビームで撃退していく。

 

「行け!ライオット!」

 

背中の機動ウィングから四基のライオットを離脱させて四方に飛ばす。

 

飛んで行きながら先端からビームを射出してネウロイ達のコアを撃ち抜いていく。

 

撃ち抜かれたことによってネウロイ達は白い光の粒に変わって消滅していく。

 

「烈風斬!!」

 

一夏が雪片弐型の刀身を巨大化させて前進し、目の前にいる戦闘機型のネウロイを両断して消滅させる。

 

いつも坂本さんに鍛えられてるだけに烈風斬の精度も上がっているな。

 

「一夏、烈風斬が様になってきたね」

 

「いや、まだ坂本さんほどじゃないさ。にしても今回のネウロイはかなりの数だ……こんな数今までなかったぞ……」

 

「ミーナさんも言ってただろ、奴等も総力戦だって。多分僕達をここで潰して本格的に世界征服のために動いてるんだと思うよ」

 

「ネウロイが世界征服?あいつ等世界征服のためにこんなことしてるのか?」

 

「あくまで憶測だけどね。っ!」

 

前方から飛んできた紅いビームを両サイドに分かれて避ける。

 

「どうやらこれは満更でもないって感じだね」

 

「そうみたいだな」

 

僕達を追従するように撃ち放つ紅いビームを避けながら話す。

 

全てのビームを掻い潜り、一夏は雪片弐型、僕は飛んでいたライオットを戻して二丁のダークリパルサーの銃口からビームを放ってネウロイのコアを斬り裂き、撃ち抜いていく。

 

「よし!これで……ラスト!」

 

一夏が最後の一体の戦闘機型のネウロイの僕の銃撃によって露出されたコアで刺し貫く。

 

刺し貫かれたことによってそのネウロイはたちまち光の粒となって消滅した。

 

「よし。これであらかたネウロイは片付いたね。あとは他のエリアを―――」

 

【ソレハドウカナ?】

 

「っ!?」

 

一夏が勝利を確信した途端後ろからふと聞き覚えのない声が聞こえてきた。

 

振り返るとそこには……。

 

 

―――――

 

 

「美緒!碧君達のいるところにはまだ着かないの!?」

 

急かすようにミーナ中佐が戦闘を走り、眼帯の中の輝く目を露出させている坂本少佐に言ってくる。

 

「落ち着けミーナ!今魔眼で二人を探しているところだ!」

 

「そうだぞミーナ!焦ったって何も始まらないぞ?」

 

坂本少佐の言葉に賛同するようにバルクホルン大尉もミーナ中佐に言う。

 

「分かってる……分かってるけど……私、何か嫌な予感がするのよ……」

 

「嫌な予感?」

 

「ええ……」

 

ミーナ中佐の意味深な台詞にシャーリー大尉を含むメンバーも疑問符を浮かべる。

 

嫌な予感は私もしている。

 

タロットカードで占った時もそうだが、未来予知ができる今の状態なら尚更それが感じられるのだ。

 

「二人は今私達のために戦ってくれているわ。でも、あの時言った碧君と織斑君と似たような機械を纏ったネウロイが不吉を運んでくるような気がしてならないのね」

 

「それは考えすぎじゃないのか?二人共ネウロイを圧倒できるスペックを持ってるんだぞ?」

 

「……そうね、でもだからといってそれだけで勝てるほど戦いは甘くないわ……」

 

今日のミーナ中佐はいつになく厳しい。

 

まあ、ミーナ中佐の言ってることは正しいと言えば正しいんだけどサ。

 

「皆!見えてきたぞ!東条達だ!戦いのほうはもう終わっているようだ!」

 

魔眼で東条と織斑を探していた坂本少佐が声を上げる。

 

聞いた感じだと二人は無事なようダナ。

 

「それは本当なの!?美緒!」

 

「ああ!私のこの眼に間違いはない―――ん?」

 

「どうかしましたか?坂本さん?」

 

「……東条と織斑の他にも誰かいる……あれは……」

 

「……」

 

固有魔法でこの先の未来を予知してみる。

 

………………。

 

「っ!?」

 

未来を予知してみると、私はそれからとんでもない未来を予知してしまった。

 

その予知は悲惨なことに私がタロット占いで予知したものとまったく同じものだった。

 

「坂本少佐!!!」

 

「何だエイラ?らしくなく声を上げたりしおって!?」

 

「二人のところに急ぐゾ!このままじゃ二人が殺されル!!」

 

「何ですって!?まさかエイラさん、未来を予知したの!?」

 

「ああ、坂本少佐が言ってたそれと関係してることダ!」

 

「やはりあれはミーナの言った通り不吉を運ぶものだったのか……。皆、二人のところへ急ぐぞ!!」

 

「了解!!」

 

そうして、私によってこの未来が予知され、東条と織斑達のところに向かって更にスピードを上げた。

 

頼む……間に合ってクレ……!!

 

 

―――――

 

 

声のしたほうへ振り返ると、僕達の前に異形の”もの”が浮かんでいた。

 

それはたしかにネウロイではあるが、今までネウロイと違って人の姿をしており、全身には黒に紅のフォルムが施され、背中には四基の紅いビットが搭載された黒い機動ウィングが纏っていた。

 

あの形状は間違いなくISと酷似したものだった。

 

ミーナさんの言っていた僕達と似たような機械を纏っているというのはこいつのことだったのか……。

 

「お前は……誰だ?」

 

眉間にシワを寄せ、敵意を持った眼差しを向けながら聞く一夏。

 

【私ガ誰カダッテ?ソウダナ……コノ世ヲ統ベル者……・トデモ言ッテオイタホウガイイカ?】

 

「そんなまどろっこしいこと言ってないで名を名乗ったらどうだ?」

 

それの言っていることに苛立ちを表すように一夏が言う。

 

【私ニ名ナドナイ。ダガアエテ名乗ルナラ……ゼロ、トデモ名乗ッテオクカ……】

 

「ゼロ……無という意味か……」

 

「ふ……」

 

一夏が手をわなわなさせている。

 

と思えば両手に雪片弐型を両手に持った。

 

「ふざけるなああああああああああああああぁあああああああああぁ!!!」

 

「一夏!無闇に突っ込んじゃダメだ!!」

 

僕はそう言って制止させようとするが、一夏はそれを無視してゼロに斬りかかろうとする。

 

ゼロの目の前まで突撃し、雪片弐型を振り下ろしてゼロを突き刺す―――。

 

【フ……】

 

ことができなかった。

 

ゼロが斬撃が当たる寸前に右手に近接ブレードを呼び出して受け止めたのだ。

 

だが、俺はそれ以上に驚いていることがあった。

 

いや……僕以上に驚いているのは一夏だろう。

 

何故ならそのゼロが呼び出したという近接ブレードが……。

 

「雪片、弐型……?」

 

色は一夏のと違って黒をメインカラーにしているが、あの形状は間違いなく雪片弐型そのものだ。

 

だが……何でこいつがそんなものを持っているんだ……?

 

【驚イタカ?マサカネウロイガISノ武装ヲ使ッテクルトハ思ワナカッタダロウ?コレガ使エルノモ幾多ノネウロイヲ犠牲ニシテ貴様達ノ戦闘データヲ取ッタオカゲダ】

 

「どういうことだ……?」

 

【私ノ纏ウコレ……NSは貴様等ノISノ戦闘データヲ元ニ作リ出シタモノダ。ツマリコレニハフリーダムト白式ノ両方ノ機能ヲ備エテイルトイウコトダ】

 

ゼロの言っていることに僕達じゃ驚愕の表情を隠すことができない。

 

何故なら今までネウロイを送っていたのは僕達の戦闘データを取るためで、それによってあのような機体を誕生させてしまったからだ。

 

「だが、そんなの信じられるか!そいつが俺達の戦闘データを元に作られたなんて!」

 

【ダッタラ、戦ッテ試シテミルカ?】

 

挑発するように言うゼロ。

 

「へっ、上等だ!たかだかコピーしただけの野朗に俺達が負けるわけがない!その勝負、受けて立ってやる!」

 

「ダメだよ一夏!ここで挑発に乗ったらあいつの思うツボだよ!」

 

【恐イノカ?人間?】

 

「……何だと?」

 

【私ト戦ッテ、負ケルノガソンナニ恐イノカト言ッテイルノダ】

 

「……」

 

【ソンナコトデ恐レヲナストハ……人間ハヤハリ下等生物ダn――】

 

ゼロがその単語を言った途端、僕はいつの間にかダークリパルサーからビーム砲を撃っていた。

 

撃ったビームは避けられてしまったが、ゼロの言動には我慢できなかったのだ。

 

「……碧?」

 

「一夏、ごめん。一夏に落ち着けって言ったけど、さすがの僕もあの言動には堪忍袋の緒が切れちゃったようでね……」

 

「……お前」

 

「一夏、さっきあんなこと言ったばかりで申し訳ないんだけど、僕の憂さ晴らしに付き合ってくれる?」

 

「碧……ああ!もちろんだ!最初から俺もそのつもりだったんだからな!」

 

「ありがとう一夏。じゃあ、行くよ!」

 

「おう!」

 

【(フン……人間トハ何ト単純ナコトカ……)】

 

互いにそう言い合って僕達はそれぞれの武装を持ってゼロに向かって行った。

 

だが、僕達はこの戦いによって知ることになる。

 

本当の絶望というものを……。

 

 

 

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